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2011/07/05

一月半ぶりにお目にかかります。なおです。

今回は、平安ワンコ事情②をお届けする予定だったのですが・・・
ワンコについて書きますと、更新期日に間に合いそうにないのです・・・・・・いや、資料は手元に揃っているのですが、それを読んでいただくに値する文章(と書いているワタクシが自己満足出来る文章) にする気力が・・・もごもご。

万が一「ワンコ」に期待してくださっていた方がいらしたら申し訳ありません。

というわけで(!?)、『源氏物語』研究者および見習いの「手の内」の1つをさらけ出して、お茶を濁そうかと思うのです。

さて、長大な物語である『源氏物語』。
テレビの教養番組等で、その内容の紹介や説明がされる際に、「それってどうやって調べたんだろう?」と疑問に思われたことはありませんか?

例えば。

『源氏物語』作中、「◇◇」という言葉は○例、「△△」という言葉は×例使われており・・・

などというナレーションがさらっと流れた時。

「全文読んで、数えあげたんだろうか!?」と思われる方は、あまりいないとは思いますが・・・

もちろん、全文を読み返して数えたりなどしていません。索引という便利なものがありますから。

一世代前までの研究者たちは、池田亀鑑という偉い先生が、お弟子さんたちやご家族までも総動員して完成させたと伝えられている『源氏物語大成』に所収の索引をとても重宝していたはずです。
最近では、CD-ROMでより精緻な検索が出来るようになりました。角川書店から、『CD-ROM 角川古典大観 源氏物語』(伊井春樹編)という大変ありがたいものが出ています。私はもっぱらこちらのお世話になっています。

索引による用例調査は、聞き慣れない言葉が出てきた場合や、その言葉の語感が知りたい場合に欠かせない作業です。作中でその言葉がどのように使われているか調査することで、その言葉の意味が見えてくるということがあります。あるいは、ある人物を形容するのにある特定の言葉が用いられている!などということが分かれば、作品の新しい読み方が提示出来るかもしれません。

多くの(特に若手の)源氏研究者(及び見習い)は日々索引を引き引き、物語の言葉に対する理解を深めようと、また、物語を読み解くためのキーワードを見つけようと、努力しているのです。

また、『源氏』以外の平安文学作品についてもほぼ「索引」は出揃っているので、院生になれば、それらを活用することも求められます。和歌は『国歌大観』という江戸時代までの和歌を出来る限り網羅した本があるのですが、そちらも角川書店からCD-ROM化されており便利に検索できるようになっています。和歌研究者は必ず使うことになっているものです。

このように、索引が便利になったことは歓迎すべきこと、なのですが、一方で手軽に索引が引けるせいで、手軽な研究が量産されるようになってしまった・・・という声も聞こえないでもありません。
言葉は文脈との関係性の中で読まなければならないのに、文脈を無視した用例調査の結果が「研究論文」として発表されることもままあるように思います。

大切なのは、便利な道具をどのように生かすか、索引で得た調査結果をどのように論にするのか、そこに研究者の力量が試されていることは言うまでもありません。

私なおは、学部生のころ何を思ったか「一度は索引を使わずに『源氏物語』の用例調査をしてみることが大事なんではないか!?」と思い、索引を用いない用例調査に挑戦したことがあります。
じっくり読みながら、というわけにはいかず、急いで字を目で追いながら必要な言葉を探す・・・という感じでしたが、なんとかレポートの期日に間に合わせて『源氏物語』の「寝たまふ」と「大殿籠もる」の用例を取り終えたのでした。
用例数がさほど多くなかったことも幸いしたかと思いますが、興味深い場面は思わず読み耽ってしまったり、となかなか楽しい作業でした。

空き時間を使って、用例調査をしていたので大学の控え室のようなところでもせっせと、『源氏物語』を走り読みしていたのですが、そこをある友人に見られてしまったことがあります。

友人「なおちゃん、何してるの?」
なお「『源氏』の用例調査、○○先生のレポートなんだけれども、索引使わずにやってみようかと思って・・・」
友人「なおちゃん、目を覚まして。窓の外の空はあんなに青くって、なおちゃんは女子大生なんだよ。一番良い時代なんだよ。なにをやっているの??もっと大事なこといっぱいあるはずだよ!!それを用例調査だなんて!」

うーむ。友人の忠告を聞いておいた方が良かったような・・・
20歳の夏の思い出でした。

「手の内」シリーズ、なおがまた私事に追われている時に登場するかもしれません。

最後に下世話なお話を少し。
今回ご紹介した『源氏物語』のCD-ROM。26万!!いたします。
『国歌大観』CD-ROMは、30万・・・・・・
発行部数が少ないので、仕方がない面はあるのですが。
手元にあれば便利だな・・・と思うことは多いのですが、とても手が出ません(泣)

それでは、タモンにバトンいたします。

2011/07/05 11:54 | なお(平安時代文学担当) | No Comments

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