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失敗してしまった話なので、わざわざコラムにせずに忘却しようとも考えたのですが…。
敢えて書いてみます。
2月に、ちょっとした挑戦をして、自分の浅はかさに打ちひしがれることとなったという、ぱっとしないエピソードです。
その頃、なんとなく行き詰まっていたんですよ。
でも、うずくまっていても何も変わらないので、動いてみようかな、と考えたのです。
何を思い立ったかというと、路上で演奏してみようと。
それも、ソロで。
テクニックはないけれど、そして伴奏もないけれど、音色だけで人の足を止められないものかと。
(まだまだ大した音色ではないのに…)
1人でも足を止めてくださる方がいたら、元気が出るなと。
全然だめだったら、むしろ元気がなくなるだろうけれども…。
で、仕事が一段落した2月中旬のとある平日の夜、新宿に出かけてみました。
その日は、ちょっと寒さが和らいだ日でした。
行くのをためらう気持ちもあったのですが、「行こうかと考えていた今日の日がたまたま寒くないというのも、神様の思し召しではないか」そう考えました。
フリューゲルホーンのソフトケースを背負い、夜の8時半頃、西口をうろうろしてみると、すでに2組みほどのパフォーマーがいらっしゃいました。
様子を探りつつ、お一方がパフォーマンスを終了されそうだったので、終わるのを待ってみました。
とあるマジシャンの方もいらして、その場所が空くのを待っているとのことでした。
しかし、先を譲っていただき。
おもむろに、吹き始めてみました。
とりあえず、バラードを。
…。
誰1人として、足を止めてくださいませんでした。
1曲ですべてを察して、パフォーマンスを終了しようと思いました。
しかし、先ほどのマジシャンの方の姿が見えなくて…。
荷物は置かれているのですが。
ここでぼくがその場を去ってしまうと、マジシャンの方が戻ってくるよりも先に、違うパフォーマーの方が来てしまうかもです。
なので意を決して、もう1曲、吹いてみました。
だめでした。
もう1曲。
今度はバラードはやめて、超有名なボサノバナンバーをミドルテンポで。
だめです。
完敗でした。
ストリートを舐めていました。
身の程知らずでした。
ただただ、自分の無力を思い知りました。
ちなみにぼくの前にパフォーマンスされていた女性シンガーの方は、Twitter等を活用して、ご自分のファンをしっかりと集客しながら、そして、カラオケ、簡易PA、フライヤー、看板、それらをしっかり用意して臨まれていました。
ストリートを主戦場として(ファンとの交流の場として)、覚悟と準備を持ってそれにあたられていました。
そうこうしていたらマジシャンの方が戻られたので場所を譲り、パフォーマンスを拝見させていただくことにしました。
マジシャンの方いわく「1人だけ観客がいるパターンは、むしろ人が足を止めにくい。申し訳ないが人が集まるまではちょっと遠くにいてください」と。
了解して、ちょっと離れた建物の壁沿いで様子を伺わせていただきました。
マジシャンの方は、あらかじめご自分のファンに告知して、というやり方ではなく、パフォーマンスだけで勝負する手法を取られていました。
BGMとご自分の音声を流すための簡易PAを持参し、ご自身が乗る台を持参し、衣装も着替えて。
やはり覚悟と準備を持ってパフォーマンスに臨まれていました。
ところが…。
マジシャンの方が道具を広げ始めると、変なおじさんがその前をうろうろし、話しかけてきます。
これはまさに、マジシャンの方が憂慮してた「1人観客」パターン…。
そのパターンの中でも、さらに難易度が高いタイプなのでは…。
その中でパフォーマンスをスタート。
最初の5分くらいは誰も足を止めなかったのですが、徐々に人が集まり出し…。
さすがでした。
結局、おまわりさんに介入され、途中で終わりになってしまったのですが(投げ銭を回収する前に終わらざるを得ないという…)。
せっかくなので、お話も聞かせていただきました。
お店等でパフォーマンスをされていて生活はできているが、修行として路上に出ている、とのことでした。
路上は、お店などでパフォーマンスするよりも難易度が高く、自分を鍛えることができる、とも。
さらには、どのような演目が良い反応を得られるのか実験の場とも考えている、とも。
ちなみに、やはり冬場は厳しい、という側面はあるようです。
冬場に路上パフォーマンスを始めて、挫折するパフォーマーの方も少なくないとか。
(自分の失敗を寒さのせいにしているわけではないですよ。第一その夜は、それほど寒くはなかったのですから)
勉強になりました。
そして、恥ずかしい気持ちになりました。
でも、やらなかったら分からなかったことがたくさんでした。その意味では、やって良かったと考えています。
いつかリベンジできたらいいな、とも…。
音色で見知らぬ道行く人の足を止められるようになりたいです。
(今度はソロではなく、誰かに加勢してもらって…。もろもろも準備して…)
ひと月以上経ち、やっと文にできました。
もっともっと上手くなろうと、決意も新たです。
押忍
[…] もちろん、トランぺッターという立場から練習用ミュート最新事情や、音楽を嗜まれる方は誰しもが一度は悩む住宅事情。奏法に関するトレーニングから演奏中の写真を見て愕然としたという眉間問題まで様々な内容があるものの、どのコラムを読んでも感じるのは太田さんの“好きなことをし続けられる喜び”です。 […]