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Jazz Fileの1本です。
2010/02/03(水)午後0:40@WOWOW 2010/11/1(月)深夜2:10
1959年にレコード・デビュー。黒人解放運動のためのプロテスト・ソングを数多く歌い、公民権運動の象徴的存在となる。オバマ氏が大統領になった今では隔世の感がありますが、50年前のアメリカでは「黒人解放運動」が1つの大きな社会的テーマだったわけです。このライブで彼女は黒人をニグロと呼びます。被虐的な皮肉なのか、彼女がどんな気持ちで使っていたのかは分かりません。ステージの彼女は余裕たっぷりに見えます。
字幕では当初、本人が使っている言葉だからと考え、そのままカタカナで納品しましたが、「それでは彼女の真意は伝わらない」という事でシンプルに「黒人」にしたそうです。よく考えるとこれは賛成です。
歴史の恥部を隠すのは悪い事だと思いますが、このライブはプロテストを特にテーマにしたものではありません。様々な思いから、当時の文脈の中で彼女はこの表現を使ったのでしょうが、少なくとも自虐的な含みはなかったと思います。そこに原語のカタカナを字幕で出すと、妙に印象に残ってしまい、見ている人が音楽を楽しむ方向から離れる可能性を作ります。(たとえば「ミシシッピー・バーニング」(1964年夏に起きた事件の話)のような作品で差別的な表現が出てきた場合とは別です。)少なくとも、このステージでの彼女は、それは狙っていなかったはずです。
ちなみに、尾藤イサオの「悲しき願い」のオリジナル、Don’t Let Me Be Misunderstoodもニーナ・シモンの曲で、このライブでも聴く事ができます。(とってもメローなバージョン)
淡々と歌う彼女の中に潜む力強いエネルギーを、ぜひ一度耳で確かめてみて下さい。
ところで、この「ジャズ・ファイル」という番組のインタビューも(英語のみですが)毎回翻訳しています。過去のインタビューもネットで動画を見られるので、よかったらこちらもチェックしてみて下さい。(左側の「アーティスト インタビュー映像」のところをクリックすると見られます。)
この「ジャズ・ファイル」は、いわゆるビンテージ映像が多く、MCの訳にはしょっちゅう聞き取りで苦労しています。(ただ、幸いにしてジャズ特有の表現に関してはディレクターが知識豊富なので安心です♪)