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2019/07/04

2011年12月21日発売

8年近く前に翻訳したソフトです。昨年秋に公開された「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒット以降、人気急上昇したタイトルです。クイーンの素顔に迫るイギリスBBC製作のドキュメンタリーに加え、初来日の様子を収めた映像等々、4時間以上に及ぶ映像集になっています。ただ、日本語字幕が入っているのはリンク先にある国内盤DVDのみで、輸入盤やブルーレイがあった場合、それには日本語字幕が入っていないはずなので注意して下さい。音楽関係のソフトですがドキュメンタリーが中心なので字幕がある方が分かりやすいと思います。

宣伝はここまで。この後はお詫びです。

このソフトの本編であるドキュメンタリー部分を以前WOWOWで放映したのですが、それを録画していた視聴者の方から誤訳の指摘を受けました。正確には、その放映を見た視聴者の方がWOWOWのカスタマーセンターに連絡し、その内容が同局のプロデューサーに伝わり、そのプロデューサーがこちらに連絡してくれたという流れです。

『日本版DVDの字幕には複数誤訳があります。そのうち2カ所は、最悪の場合、世間のフレディ観を左右しかねない間違いです。』

1つは21分くらいのところ:
マネージャーの発言 “(Freddie)wasn’t out to the band”
誤【彼はバンドに集中していなかった】
正【彼はバンドにカミングアウトしていなかった】

参考までに、この次の字幕は【性的志向に悩んでいたんだ】でした。上の訳でもマネージャーの談話としては通じてしまうところがタチの悪い誤訳です。確かに「性的志向に悩んでいた彼はバンドにもカミングアウトしていなかった」とマネージャーが回想する方が自然ですね。

2つめは84分くらいのところ:
フレディの発言(シングル「ボヘミアン・ラプソディ」について)
“Either it goes out in its entirety, or not at all”
誤【永遠に残るか消滅するかだ】
正【曲全体でなければ出さない】

これはentiretyをeternityと思い違いをした誤訳です。

発売済みのDVDを直す事は現実的には難しいので、せめてここで説明しておきたいと思います。こうした誤訳が分かった場合、正誤表を入れる等したいところですがそれも難しいものです。ただ将来、ソフトが再プレスされる事があれば字幕自体を修正する機会があるはずです。もちろんこちらからも販売元の担当者にもこの件を伝えます。とにかく今はここで告白しておきたいと思います。

「映画の字幕ナビ」にも自分で書いていますが、こうした誤訳はどうにかして無くしたいものです。そう願い、それを意識して作業していてもこうして誤訳があるまま世に出てしまう…。字幕に限らず翻訳というものはマイナス評価になるしかない面が大きいものではありますが、現実として世に出てしまう誤訳はあるものです。ただ、今はこうしてネットで世界に情報を発信することができます。これを「正誤表」の代わりにさせて下さいとまでは言いませんが、何もしないよりマシでしょう。翻訳の仕事をしている当事者である僕がこう提案してしまうと甘えていると言われるでしょうが、こうした誤訳のデータベースを作れたらとも思います。そうすれば次に訂正できる機会があるコンテンツは、その時に訂正できる可能性が上がるから。「それなら自分でデータベースを作れ」と言われるかもしれません。それもやりたいところですが、残念ながら本業の翻訳をこなすのが精一杯です。これも本に書いていますが、字幕は翻訳家だけで完成させるものでもなく、チェックする人もいます。その意味でこうした指摘を受けた場合、ここに書いているように翻訳家自身が1人で表に立って詫びるというのも、場合によっては正しくない気もします。それでも今回のようにそれを知ってしまった場合、やはりこうして書くしかないと思っています。こうした誤訳を「無くす」のではなく「減らす」ために。そして、それが世に出た後の場合、次の機会に「訂正する」ために。問題提起というか、議論の出発点というか…。

いずれにせよ、特にクイーンのファンの皆さん、誤訳が入ってしまって申し訳ありませんでした。これをWOWOWに指摘してくれた方には感謝します。この方は「ソフトの訂正はムリだとしてもWOWOWで今後、またこれを放送する機会があったら直してほしい」という思いで連絡して下さったそうです。ありがとうございました。

今後も精進します。

2019/07/04 08:16 | 字幕.com, 翻訳作品(音楽) | No Comments

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