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At The Earth’s Core(1976) @IMDB
子供の夢を膨らませるにはピッタリの作品です。でも特撮的にはティーン(10代)以上には通用しないかもね、と…。以前書いた「怪奇!血のしたたる家」と同じアミカス・プロダクション製作。プロデューサーも同じマックス・ローゼンバーグが参加しています。この作品の前後の時期、ローゼンバーグ氏はホラーから恐竜ものに興味があったようで、「恐竜の島」「続・恐竜の島」といった作品も製作しています。
この作品は洋画では少数派の「着ぐるみ」の恐竜が暴れますが、これをショボいと思ったらいけません。(いや、いいんですけど、せっかく見るという場合は思わないで見る。)「微笑ましい光景だね」と思って見るのが正しいでしょう。これは、正直言って、公開当時でもそう感じたものだったりします。
主演はダグ・マクルーア(ハリウッドの林隆三って感じ)。割と適当な性格で女好きで、地底に潜るための「鉄のもぐら」に乗っている様子は、何となく1980年版の「フラッシュ・ゴードン」を演じたサム・ジョーンズのキャラに似ているような感じです。そして共演はオムニバス作品「怪奇!血のしたたる家」(1971)の1エピソードのメインキャストだったピーター・カッシング。何だか彼は5年の間に思い切り老いぼれちまった…。と思いきや、「スター・ウォーズ」(1977)では目つきの鋭い非情なモフ・ターキンとして登場するわけで芸達者です。見事です。老教授役。
ストーリーは、奇想天外です。地球の中心は空洞になっていて、空はないけど空があるように見えるし、「地底」ですが、鳥族が世界を支配しています。中生代(中世代じゃなく)の恐竜や植物がいっぱいで…。70年代にはいわゆるテーマパークという娯楽産業が今のように成熟しておらず、映画そのものがテーマパークの役割も果たしていたのです。と言うと分かりやすいかな。そういう恐竜がいっぱい出てきます。
見どころは23分目くらいのところの人間と恐竜の綱引き。それから下級種族“サゴス”の天狗のような造形。支配種族メーハーは翼竜ですが、老教授の見識から“ジュラ紀中期のランフォリンクス”のようである事も分かります。学名もちゃんとあるんだから、すごいです。
そして、この地底王国にも文字があり…。そうそう、この王国では人間が奴隷種族ですが英語を普通に話せます。そして文字は石板に刻まれ、記録が残されているようですが、これが誰が書いたのか謎。英語を話す人間がいて、英語を話さないサゴスとメーハーがいて、この石板の文字が何語なのかも、また謎です。が、老教授は見事に解読します。
“メーハーの発声能力は限定的である”
“しかし催眠術を使う力があり”
“テレパシーも使える”
鳥にしては すごいな
鳥にしてはすごいと思いますが、何よりすごいのは謎の石板文字を解読できてしまう老教授だと思います。
この作品、先ほども「スター・ウォーズ」と書きましたが、何だか似たシチュエーションがあり、この作品の影響があったのかどうか、興味を持ちました。
始まって1時間ちょうど辺りで、メーハーの秘密を知り、主人公達が逃げるシーンが「エピソード4」の横穴に逃げるシーンに似ていたり、最後の別れのシーンは「エピソード6」の惑星エンドアに似ていたりします。こちらの作品が先なので、ルーカス監督が影響を受けた可能性はありますが、どうなのかな…。
少なくとも、昔、ポール・バーホーベン監督が「トータル・リコール」で来日した時、火星の展望ラウンジのようなセットがあり、それがヒッチコックの「北北西に進路を取れ」の1シーンに似ていると思った僕は、関わっていた番組がインタビューに行く時、それを質問に入れて、実際に聞いてきたのですが、バーホーベン監督は「いや、それは意識していなかった」と答えていました。そう考えると、仮に影響があったとしても意識的にやった事とは限らないし、まあ、どっちでもいい事でもあります。ただ、この「地底王国」がヒット作をパクッたわけではない事だけは確かですし、そのテーマパーク的な遊び心や奇抜さにも好感が持てます。(弓で射抜かれた恐竜が爆発したりします。「おい、恐竜の体のどこに火薬が詰まってんだ!」と突っ込むところです。)
公開当時を知る人は、ワクワクしながら見た当時を懐かしみつつ突っ込み、知らない人は、そんなワクワク感で迎えられた時代も含めて突っ込みながら見るのが楽しい作品です。
そういえば、わざわざ蛇足。監督はケヴィン・コナーです。ケヴィン・コスナーではありません。