これは「First floor!」の訳です。イギリス英語。イギリスの警察が出てくるドラマの1シーンです。
イギリスでは日本で言う1階の事をグラウンドフロアと言い、2階の事をファーストフロアと言います。なぜこうなるのか考えると、それなりに答えも出ます。1階は地上階、グラウンドの床。フロアが存在しなくてもグラウンドだけで成立します。2階はフロアが人工的に作られていないと存在しません。フロアが物理的に不可欠な最初の階がFirst floor(2階)になるわけです。さらに欧米では家に入った後も靴を履いていて大丈夫なので、グラウンドフロアーはグラウンドのうち。1階上に上がると、そこは最初の床=ファーストフロアなので2階がファーストフロアと考えるのもありでしょう。もちろん2つめの床=セカンドフロアは3階です。
でも、やはりどうも日本語の感覚でいくと2階はセカンドフロアにしてほしいと思ったり。だって2階建ての家にセカンドフロアがなくなっちゃいます。そのため2階建ての家ではアップステアーズとダウンステアーズという区別の仕方をするわけです。
計算する時も1階上がって2階、1階下がって地下1階ですから、地上階は0階であるべきで、グラウンドフロアを0階と考えるのが正しくなります。1階を1階にしていると0階がなくなり、地下の計算がヘンな感じになります。
だからFirst floor!と叫ぶセリフは「2階だ!」になっちゃうのですが、なんか誤訳っぽく見えるのでイヤです。でも、もちろん合ってますけど。その証拠に、隣の家の屋根の上側が窓から半分見えていたりします。そうした映像の中の情報からも「このFirst floorは間違いなく2階だ」なんて確認しながら訳すわけです。
ちなみにfloorを使わない方法もあります。LEVEL。駐車場などで、よくこの表現を目にします。これだとFirst level=1階。Second levelは2階。地下の最初のLEVELはBasement1。やはりこの方がシンプルな気がします。10階建てのビルはLEVEL10まである。それだけですから。
こうした表現の違いは他にも長さや距離や重さなど色々あります。異文化のものは分かりずらかったりしますが、その成り立ちの歴史を知ると一気に分かりやすくなったりするものですよね。(と、言うだけ言って、歴史は大して知らないけどさ。)