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A Walk In The Sun(1946) @IMDB
これは遠い昔の物語
1943年の物語だ
イタリアのサレルノ湾に
テキサス師団が上陸した
というナレーションから始まるのが1946年に公開された「激戦地」です。46年に43年を振り返っているのに「遠い昔の物語」と言っているのには、たぶん意味があります。「あの壮絶な戦闘は繰り返したくない。もう戻らないから、遠い昔だ」という事だと思います。
ところでTBSの開局60周年記念ドラマ「99年の愛~Japanese Americans~」の第4夜で語られるエピソードをアメリカ人スタッフが撮った映画に「二世部隊」(GO FOR BROKE!)というのがあります。
こちらは以下のようなナレーションで始まります。
第442連隊戦闘団と
第100歩兵大隊が――
日系アメリカ人部隊である
欧州での主要な戦闘7回
死傷者9486名
勲章18143個
大統領表彰7回
彼らの英雄的活躍を描く本作は
1943年 ミシシッピー州
キャンプ・シェルビーから始まる
どちらも過去に訳した作品ですが、この2作をつなぐ作品が「99年の愛」第4夜のようです。今、ふとテレビから聞こえてきたセリフがGo For Broke(「二世部隊」の原題)=「当たって砕けろ」だったので、ふと書いてみていますが、日系アメリカ人は映画「二世部隊」から見ると、TBSのドラマよりも、もっとアメリカ人だったように見えます。
恐らく、見ている自分に馴染みのない日系人俳優がキャストされていて、彼らは実際に日本語より英語が得意な人達だったからだと思います。実際はどのような位置というか、感じだったのか興味を持ちました。
いずれにせよ、ここで書いた2本の映画をサブテキストとして「99年の愛」を見ても、逆に「99年の愛」を見て2本の映画をサブテキストとして見ても興味深いでしょう。
そういえば「二世部隊」の主演のヴァン・ジョンソンは先日書いた「空爆大作戦」にも出ています。
「激戦地」も「二世部隊」も字幕を作りましたが、「二世部隊」は結局、僕の訳ではソフト化されずじまいになってしまいました。ただ、訳者が誰かは分かりませんが、ソフト化されているので見る事はできます。
以前、自分で書いたものの転記に近いですが、ここで「激戦地」について少し。監督は「西部戦線異状なし」の名匠ルイス・マイルストン。「プライベート・ライアン」と同じ、ノルマンディー上陸後の話です。ライアン「兵卒」を救うという任務ではないですが、イタリアの海岸近くの森を進む兵士達の人間模様を会話をベースに描きます。120分近い作品ですが、戦闘場面より会話で進むので字幕が1800枚にもなりました。時系列で並べると「空爆大作戦」があって「暁の出撃」があって、「激戦地」と「二世部隊」が並行するような感じでしょうか。まあ、違う国や人種の作戦だから接点は少ないけど。
戦場での会話は大変です。階級上の上下関係は年齢と関係ない上、白黒作品で上陸作戦だと制服の違いも目立たず、声の違いも不明瞭。当時のオリジナル台本は残っておらず、最近になって改めてアメリカで聞き起こした台本は「聞き取れません」も多い…。
そんな中で「sea ration」という表現がありました。それを「海洋性食品」と訳して納品したところ、「それはc-rationのはずです」と、クライアントから簡単に誤訳を指摘されました。こんな時は言い訳したくなります。「英語の台本にはsea rationとあったんだ」と…。c-rationは軍隊用語で、携帯食糧でした…。
さらに思い出しましたが、TBSの開局50周年記念ドラマだったでしょうか。「百年の物語」の英語字幕を奮闘して作りましたが、当時のヘザーでの英語字幕の翻訳体制は今とは違って日本語的な英語が残る事が多かったから…。今は違いますけど。(汗)