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2010/10/28

eol_jct.jpg @allcinema

EAGLES OVER LONDON [米] (1969)@IMDB

クエンティン・タランティーノが「イングロリアス・バスターズ」としてリメイクした「地獄のバスターズ」のE・G・カステラッリ監督によるマカロニ・コンバット。第二次大戦最大の航空戦となったバトル・オブ・ブリテンを背景に、ロンドンに潜入したドイツ軍スパイとそれを阻止するイギリス軍将校との諜報戦をスリリングに描く。

といった作品です。80年代にVHSのソフトがリリースされていましたが、そちらはイタリア語版。今回は英語版。話の印象が変わるくらいセリフもナレーションも違います。

この作品、タランティーノ監督が痛く気に入っていて、本人所有のフィルムでロスで上映会をやったようで、その日はゲストとしてカステラッリ監督も登壇し、舞台挨拶しました。特典にはその様子も収録され、タランティーノとカステラッリ両監督の対談も入っています。

タランティーノがステージでカステラッリを喜々として紹介する様子や、「マカロニ・コンバットっていう呼び方は日本人が作ったんだぜ!」「イカしてるよね!」と、また彼の「心は日本人」ぶりが炸裂して、微笑ましいです。

この作品は調べ物が多かったです。こうしたフィクションに、それなりのリアリティを出すために歴史上の事実が色々盛り込まれるためです。時代考証的には矛盾も多いのかもしれませんが、「戦争映画には興味がないけど歴史は好き」という人も楽しめると思います。

ここでちょっと歴史の流れを見るためのキーワードをいくつか。まず「電撃戦」。これはドイツの侵攻作戦の総称みたいなもので、第二次大戦の色々な局面で出てきます。そこで単に「電撃戦」でよいのか悩み…。この作品の前段として「バトル・オブ・フランス」があり、本作の冒頭で、このバトル・オブ・フランスから「バトル・オブ・ブリテン」への流れがナレーションで説明されていきます。他にも「ベルギー王 レオポルド3世」が出てきたり、さらに調べた内容を確認するうちに「フォン・クライスト」、「ベルギーの戦い」、「ダンケルクの戦い」などなど。言葉としては聞いた事があったり、歴史的な流れとしては表面的には知っているといった事でも、「念のため」と思いながら、調べていくのですが、それでどんどん時間がかかる。これらは翻訳自体の手間よりも確認に時間がかかります。

たとえば元のセリフで「ベルギー王 レオポルド3世が降伏」と言っているとして、字数を減らす場合「ベルギーが降伏」でいいのか。じつはレオポルド3世が国を追われていて、ベルギーが降伏したのではなく、レオポルド3世だけが降伏したのではないか。そうだとしたら「ベルギー王が降伏」にすべきだろうか。とか、それなりに確認したくなるわけです。

いくらフィクションとは言っても、史実を下敷きにした部分があって、そうしたナレーションが事実に即した説明をしているとなると、脚本を書いた人も、元から知識があったにせよ、リサーチしたにせよ、それなりに事実関係を確認しながらナレーションを書いたに違いなく、インターネットに簡単にアクセスできる現代では、こうした調べ物は当然になります。

「だいたいこんな感じ」から入って「だいたいこんな感じ」の訳を作るのではなく、「こういう事実関係」から入って「だから、だいたいこんな感じ」の訳にしないといけないといったところでしょうか。

そういう意味で、こうした作品は調べ物に苦労させられます。

それから最初に書いた80年代のVHSのイタリア語版ですが、イギリスで英軍兵がイタリア語で話すだけでなく、ドイツ人スパイ達もフランス兵もイタリア語ですから違和感ありありです。でも、ちょっと考えると日本語吹替え版というのは、どこの国の言葉の作品であっても基本的に全部日本語で語られるわけです。ただ、「オリジナル」に字幕が付いたものと、「吹替え版」に字幕が付いたものとでは、やっぱりちょっと違うのか。とも思ったり。

DVD発売日: 2010/11/03

2010/10/28 02:15 | 翻訳作品(映画) | No Comments

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