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@allcinema
THE HOWLING(1981) @IMDB
5分前は人間だった…。
このキャッチコピーもかなり印象的でした。「サスペリア」の“決して1人では見ないで下さい”が強烈で、小学校の友達同士でも「決して1人では●●しないで下さい」ごっこが流行りました。当時は映画の宣伝文句がそれなりに流行語になった時代。今は情報が氾濫しているので、映画から流行語や社会現象が生まれる頻度が少なくて残念な気がします。
さて、この作品は監督がジョー・ダンテ。脚本が「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」を監督したジョン・セイルズ。「ピラニア」コンビです。(そういえばピラニア軍団ってあったよな~)
ソフトとしては、まず特典がものすごく充実しています。ただ量が多いだけでなく、内容もどれを見ても興味深く、そっちを目当てに見ても楽しめちゃうDVDです。
が、やはり5分前は人間だった狼男。人狼。シェイプシフター。彼らは銀の銃弾で撃つか、焼くか、それしか殺す方法がないと説明するのは「血のバケツ」の主演、ディック・ミラー。(「センチネル」に出ていたジョン・キャラダインが、なぜか上島竜兵に似ていると思ったのは気のせい?)
と、取りとめもない事を書くだけでも長文になりそうですが、この作品、僕は中学生の時に劇場で見て以来でした。改めて見ると、そして丁寧にセリフを訳していくと、思った以上に社会風刺の要素が盛り込まれていて、5分前は人間…の部分以外に楽しめる点がとても多かったです。
さらにユーモアも随所に散りばめられていてクスッと笑えるセリフも多く、訳は苦労しましたが、その成果が生きていれば、今回のバージョンで改めてこの作品を楽しめる人も多いかもしれません。
ここでこの作品の意義を語ったりします。変身。狼人間(=狼男)は英語だとWerewolf(&Wolfman)ですが、この作品ではShapeshifter(=姿かたちを変える者)と呼んだりもします。この変身シーンがビジュアル的には本作の最大の魅力でしょう。この作品から特撮の歴史は変わったと言えると思います。いっぱいある特典でもそれは語られますが、それまでの変身はストップモーション撮影で変身中は動けないという弱点があったのに、この作品では動きながら変身していく。それは当時見た時、ビックリしたものです。でも、これはたぶん今見ても、作り物だと分かって見ていても、それなりにすごいと感心するのではないかと思います。作り物でも生々しさが出ますからね。
この作品の変身は特撮映画史に残るエポックメーキングな映像だったと思います。ここまで気合いを入れて丁寧に変身させちゃった作品は(この作品の予算規模で言えば)後にも先にも、他にないのではないかと。
ここで思いました。映画を図画工作に例えると、実写は工作。アニメは図画。どちらも魅力がありますが、実写を図画にしすぎると、妙に白々しい。アニメを工作にしすぎると…っていうか、アニメは工作にしすぎようがないか。でもアニメ版の「指輪物語」の人間の動きには、当時やはりビックリしたものでしたが。
とにかく、最近の特撮は図画が過ぎて、工作が少なすぎる気がします。実写の映画はやっぱり工作だよ。と、個人的には思います。それもゼネコンのような大規模な建設現場より、大工さんの現場のような。手作り感、工作。これが映画の全てでは、もちろんありませんが、この手作り感はたまらない魅力を放ちます。名人芸とか職人技とか、そういう味がある作品って、やっぱり好きです。
…書きたい事がいっぱいある作品って、まとまりがなくなって終わる事が多い気がする。が、書きたい事がいっぱいある作品は、とにかく見る!のが一番です♪
そういえば「大アマゾンの半漁人」を誕生させてしまいそうになったのは、この作品の特典部分の字幕でした。