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2010/06/26

4dman.jpg @allcinema

THE 4D MAN(1956)

今、時代は3Dですが(一応ね)、もう一歩先を行く人が半世紀以上前にいました。4Dマンです。いわゆる四次元の男ですね。もちろん「ある科学実験」の暴走の末に起きる悲劇の話です。だいたい50年代の科学者は「世のために」と思って失敗して悲劇に見舞われます。(「太陽の怪物」の人は二日酔いの結果の悲劇か…。)

あらすじは、どうせ脱線しますが少し書くと、科学者兄弟がメイン。兄は彼女がいてエリート研究員で、弟は彼女がいなくて失業中。弟は兄の彼女を奪った過去があります。今回は…。(っていうか、この弟の、この過去って太陽の怪物になる素質を感じるんだけど、彼はそうならず、兄が…)この世界は不条理です。

さて、弟は究極兵器になり得るカーゴナイトという物質の研究に没頭しすぎた結果、前の職場を追われます。そこでエリート兄貴を頼るつもりでは本当にないのに兄貴の研究所に行って「俺、失業中」なんて余計な事を言います。さらに「どんな物質も通さない金属を研究中なんだ」なんて言った日には…。兄貴は、単なる好奇心ですが、その研究の成果を弟に内緒で見ていたところ、何でも通す体に変身。大変な副作用がある事も知らずに、「おお!ガラスの向こうのリンゴが取れた!」とか「ポストから手紙を抜けるかな?」「お!取れた」と無邪気に4Dマンぶりを楽しみます。

という事で見せ場満載(「ここも通り抜けられた」「これも取れた」と喜ぶ兄の図)で物語は悲劇に突き進むのです。

雰囲気としては都会が出てこない都会的な作品です。(BGMの軽快なジャズがちょっとうるさいです。)60年代の東宝の特撮ものも、こうした作品の影響を受けているのか、何か共通する空気を感じます。

弟役のジェームズ・コングドンという俳優は、たぶんかなり大根役者です。(横顔だけロバート・ショーン・レナードに似ています。あ、知らない?)兄役のロバート・ランシングは、かなり演技派です。ただお蝶夫人みたいにカールした髪が硬そうな気が…。ちなみに目つきはゴルゴ13です。

この作品は60年代に日本でも劇場公開されています。こういう作品が劇場にかかるというだけで、いい時代だったね、と勝手に思ったりします。80年代にビデオ発売された時には「4Dマンの恐怖・怪談壁抜け男」というタイトルで、ホラーではなく脱力系の売り方をされていました。

実際「ゆるい」映画ですから脱力系なのは確かですが、独特のツヤがあるというか、味のある作品です。

DVD発売日: 2010/06/29

2010/06/26 02:39 | ゆるい映画劇場 | No Comments