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2010/06/13

「残酷の人獣」

tiam.jpg @allcinema

TERROR IS A MAN(1959)

まだまだ忙しさは続いていますが、久しぶりにゆるい映画。“ドクター・モローの島”の源流で、密かに行なわれた人体実験…。みたいな話ですが、厳密に言うとこれは人体実験ではなく動物実験で、理想的な新人類を創ろうとするマッドな博士の話です。

舞台は「ブラッド・アイランド」と海図にある南海の孤島。主人公の博士と妻、そして数十人の先住者が暮らす小さな島に、難破した貨物船に乗っていたアメリカ人が漂着する。このアメリカ人はフィッツジェラルドという、字幕にするには「彼」とか「君」とかにしないと字数を食って大変な人。(なのに、博士は彼を「フィッツジェラルド君」と呼ぶし、助手にも「フェッツジェラルドさんを案内して」なんて言う…)。ちなみに彼のファーストネームはウィリアムで、こっちもちょっと長い。面倒臭いから博士に「やあ ビル」なんて呼ばせたいんですが、そうもいかず…。

という話ですが(って、またあらすじになってない)、問題は主要人物の年齢でした。口調を決めるのに年齢が1つの判断材料になるわけですが、映像だけ見ている限り博士とビル(本当はウィリアム・フィッツジェラルド)はそれほど年の差がないように見えます。でも演じた俳優の年齢を調べると、博士は当時60歳近い人が演じていて、ビルは40歳くらいでした。だから実際、博士はビルを「フィッツジェラルド君」なんて呼ぶわけです。

さらに博士の妻が問題をややこしくするのですが、彼女はフランシスといって、映像からは年齢不詳という感じ。彼女も調べてみると当時の3サイズは40-24-36(インチ)で…、じゃなくて、30歳半ばくらいで、彼女は60歳くらいの亭主への愛情を保ちつつも「ビル、私不安なの。夫が研究を続けると、危険な事が起こりそう」、「島から私を連れ出して」なんて言ってビルと仲良しになっていき…。という事で、彼女は彼を馴れ馴れしい呼び方で呼んでもいいんですが、最初は他人行儀で、徐々に馴れ馴れしくなる。これを字幕でも調整していくのって、案外面倒臭いわけです。

そんな「残酷の人獣」ですが、もちろん見どころは人獣です。この人獣が、また、その…。

そして博士の妻フランシスを演じるグレタ・ティッセン(と、またなぜか彼女に戻るし)。彼女は1952年のミス・デンマークで、1950年代にはマリリン・モンローと並ぶほどの人気のピンナップガールだったそうです。彼女のグラマラスな肢体を楽しむのが正しいのですが、それより注目してしまうのは、彼女の乱れない髪。南海の孤島で博士夫婦と先住民だけとか言いましたが、たぶん専属のスタイリストがこっそり住んでいるはずです。

というか、そもそもなぜ彼女はこんな島にまで博士と一緒に来てしまったのか…。謎は深まります。博士の実験室も、どうも家の大きさからは想像もつかない広さを感じさせるし、怪しいです。

そういえば、この作品には見る者を貧血にさせる恐れのあるショッキングなシーンが含まれていて、本編上映前に、その件で警告のテロップが出ます。そこも当然訳しました。

警告

 本作にはショッキングな
映像が含まれております

そこで当劇場は観客である皆様に
事前に警告が必要だと考えました

               心臓が弱い方は
ベルが鳴ったら目を閉じて下さい

  再びベルが鳴ったら
目を開いて大丈夫です

どんなに恐ろしいシーンが出てくるのか…。確かにベルは2回鳴ります。「ここは見逃さないように」と気張らなくても、幸い見逃す心配はないと思います。

どうも怪しい仕掛けがたくさんある作品ですが、こんな会話もあります。

「地下の動物は
何と呼べばいいんです?」
「君なら?」
「考えました」
「あの目を見てから…」
「見たのは目だけですが」
「何と呼ぶ?」
「人間です」
「違いますか?」
「人間とは何だろう」
「種の始まりは?」
「あの目には魂があった」
「人間です」
「彼が人間で 魂があるなら」
「私が与えた」
「思い上がりでは?」
「私は科学者で哲学者じゃない」
中略
「研究の目的は?」
「人間は動物を飼育する」
「改良して 進化の
プロセスを早めもする」
「この原理を使ったら
どうなるか」
「人間を改良するために」
「実際にはできない」
「人間の脳は複雑だ」
「劣等感や不安だらけで」
「何世代も前の恐怖や偏見もある」
「だから新しい人類の祖として
動物を選んだ」
「自分で考える
まっさらな脳を持っていて」
「完全に客観的だ」
「そんな人間はいない」
「自然の法則で変わるには
待ち続けるしかない」
「何百年も何世代も
見ているしかない」
「時間のムダだ」

こう考えた博士の研究の成果が、ついにDVDでベールを脱ぐ!

DVD発売日: 2010/06/29

2010/06/13 04:53 | ゆるい映画劇場 | No Comments

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