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2010/04/03

先日書いた「ホフマン物語」はマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーの2人が連名で監督でしたが、こちらの作品はその1人、マイケル・パウエルの監督作です。

この作品の字幕を僕が作ったのは2003年の春。

 peepingtom.jpg

現在は廃盤になっていますが、販売元:スティングレイ・DVD発売日: 2003/06/21のバージョンです。

この作品が昨日、DVDで再発売になりました。販売元:ジェネオン・ユニバーサル・DVD発売日: 2010/04/02です。

このソフトは高くなかったので購入してみました。まず2005年に新たに製作された関係者が語る20分ほどの特典映像が字幕つきで収録されています。本編を訳す時にそれなりにリサーチした僕には、そこで語られる事の大半は新鮮味のないものでしたが、この作品に興味を持って見る人にとっては興味深い短編ドキュメントでしょう。

日本語字幕は、時々海外で作られる事があります。このソフトがそうなる可能性を僕は少し感じていて不安でしたが、幸い、最初の15分ほどを見た限りでは字幕は問題なさそうです。海外で作られた日本語字幕は、書体も変、レイアウトも変、タイミングも変みたいな、たとえるなら、どこか異国のホテルで見かける日本語の案内文のようなものなのです。その場合、意味がどうこうではなく字幕が破壊的な存在感を発揮してしまい、まさに誰にとっても邪魔なだけの字幕と化してしまう。もしくは、変な字幕に突っ込むのが楽しくなってしまう。意味や話を追うのではなく、映像を追うのでもなく、作品鑑賞というより字幕鑑賞になってしまいます。このソフトの場合、セリフが終わって何秒か字幕が消えないという部分もあったりしますが、その程度では「破壊力」なんてインパクトになりませんから安心です。今回発売になったソフトが海外産の日本語字幕なのなら、素晴らしい進歩を遂げています。非常に喜ばしい事です。(ちなみに訳者は不明です。)

ところで、この作品は忌み嫌われるようなテーマを扱った、悲しく救いのない話です。たとえば「シンドラーのリスト」や「黒い雨」もやり切れない、悲しく救いのない話です。でも後者の2本は「悲惨な戦争の惨禍を繰り返さないようにしよう」というメッセージがあります。この作品にはそうしたメッセージがない。主人公に同情する余地はあっても、命を軽く扱う者である以上、どうしても共感できない。「こういう人、実際にいるかもしれない」と不安になるだけなのです。引き合いに出す作品がどれもこれも古いですが、その意味で、「危険な情事」を思い出します。

主人公の異常さは、21世紀の今こそより存在感を増すもので、その意味でこの作品は50年早すぎた傑作だと思います。こういう人物像を、あの手法で、あの時代に描けたのはすごいと思います。ただ、メッセージはなく、救いもない悲しい話です。

2010/04/03 10:30 | 翻訳作品(映画) | 1 Comment

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