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2010/03/30

THE TALES OF HOFFMANN(1951)

DVD発売日: 2003/09/20      @allcinema

オペラ、バレエ、演劇、幻想文学、トリック撮影といった様々な表現技法を融合させた総合芸術「ホフマン物語」。僕には未知のジャンルでした。(今でも特に詳しいわけではありません。)この作品を訳す時、僕は1951年の社会情勢を大雑把にでも調べようと思いました。(この作品は製作が1951年で、日本公開は1952年3月でした。)

余談になってしまいますが少し歴史のおさらい。第二次大戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が皇居の前に設置されたのが1945年10月2日。GHQが活動を終えたのが1952年4月28日。この時期は映画界的に言うと、GHQの映画部ともいえる配給窓口会社、通称“セントラル”が洋画配給界で幅を利かせていました。

ちなみに映画雑誌「スクリーン」の1951年12月号には、こんな見出しの記事があります。『各社新入荷作品への期待。MGMは余りにも有名な大作「風と共に去りぬ」が期待の的!』(「風と共に去りぬ」は1939年製作、昭和で言えば14年の作品です。)この作品の日本初公開は、第二次大戦をはさんで昭和27年9月(1952年)でした。「スクリーン」のこの号では、他にも『セントラル解体後各社の放つ第一陣』という特集があります。戦後7年ほど日本の洋画界は、かなりの数の旧作が未公開のまま眠っていた事になります。

余談終わり。

この程度まで、手元にあった資料とネットでのリサーチなどで分かりました。しかし、本作とは特に関係があるわけではなく、肝心なオペラに関する知識はありません。でも幸いに、この作品ではオペラの専門家が監修についてくれました。

そこで、とにかく僕は作品を訳し始めました。「Stellaはステラ」。「Olympiaはオリンピア…」。有名なオペラなので登場人物も定訳があります。「ステラはステッラね」、「オリンピアじゃなくてオランピアです」。「そ、そうでしたか…。」「Lindorfはリンドルフ?リンドーフ?」、「リンドーフで」。「それなら酒場の主人Lutherはルーサーじゃなくてルター?」、「その通り」。といった人名表記も監修の方の助言で大助かり。

さらに、「ビールやワインを飲む音『グル グル グル グル』も字幕にします」とか、「道化師クラインザックが膝を揺らす音も、『クリック・クラック』と字幕を出しましょう」といった助言を受けて仕上げていきました。

この作品は登場人物の説明の翻訳字幕以外は全て歌に対する字幕です。歌に対する字幕は2行の場合、いわゆる「千鳥」にします。千鳥というのは↓

                1行目がここから始まると
                        2行目はこんな感じです

 とにかく全ての字幕が歌なので、2行になったら全て千鳥…。どうしても画面を汚す事になります。そこで僕は考えました。「全ての字幕を1行にできないかな?」それを意識しながらスポッティングをして字幕を作っていきました。結果的に1000枚少しある字幕のうち、人物などの説明以外の字幕はムリせず全て1行で仕上げる事ができました。

脈絡がありませんが、この作品、主人公ホフマンが林家ペーに見えてしまったらアウトです。(ペーさん、失礼。)それから舞台の映像化なので、客席から固定した感じのアングルの方が舞台としてのリアリティが出て、寄りのカットは芝居がかりすぎている印象を受けます。それでもタテにもヨコにも空間を意識したカットが多いので、やはり面白いです。例によって自分で字幕を作ると愛着がわくという事を差し引いても、当時の空気に包まれて見られれば、とても幻想的な世界に浸る事のできる作品だと思います。

最後に少しバージョン違いの説明。この作品は1952年の日本初公開時は全長版より7分短いアメリカでカットされたバージョンでした。2001年1月に劇場公開されたバージョンが全長版としての日本初公開です。その時の字幕を作ったのが僕で、ソフトとしては紀伊國屋書店から発売されているバージョンです。

それが先日、2010/03/25に再発売されました。こちらのバージョンは誰が訳しているのか、少し調べましたが分かりませんでした。こちらには連絡がなかったので僕の字幕ではないと思います。新訳を作らなくてもいい程度に作り込んでいたので、新しい訳がどんな具合なのか興味はありますが、5000円でソフトを買って調べるのはちょっともったいないし、レンタルで出ればいいんだけど…。

2010/03/30 02:45 | 翻訳作品(音楽), 翻訳作品(映画) | 1 Comment

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