« | Home | »

2010/03/27

え?これって翻訳が必要なところあったっけ?これも、一応、ありました。

映画ではなくコミック版の裏表紙です。

 orikins.jpg

(C)Tetsuya Takeda, Kenichiroh Takai 1991 

原作の武田鉄矢氏が描いた“Orikin Country Club”という架空のゴルフコースの説明を英訳しただけですが。第一巻は1991年1月1日初版第1刷発行になっているので、作業は1990年の秋だった事になります。この英訳は知り合いのアメリカ人夫婦(ヘザーの家族ではなく)に頼りながら作業した事を覚えています。最終的に六巻まで発売され、6冊全ての裏表紙の英訳を行ないました。

この時、武田氏のメモが説明調で、それを訳した英文も説明調になりました。相談したアメリカ人夫婦には「英語でゴルフコースを説明する看板があるとしたら、もっと簡潔な表現になるはずだ。」と言われ、簡潔に訳す事もしてみたのですが、そうすると説明したい情報が全部落ちる事になります。そこで結論としては、「架空とはいえ日本のコースであり、英語で説明しているとはいえ、日本語での説明の英訳である」という考えで、説明調の英文を残す訳として仕上げました。その結果として「日本的な英文になっているけれど、文法的に変ではない英文」になっています。

この裏表紙では「日本的」という事の処理はそれほど難しくありませんでしたが、日本語のセリフに英語の字幕を付ける時、意外なところで注意が必要です。

たとえば「先生」や「先輩」。(「教授」は別です。)“スター・ウォーズ”ではルークがヨーダをMaster Yodaと呼んだりしますが、普通の小学校や中学や高校で子供達が「○○先生」と呼ぶ場合、英語では「Mr.○○」とか「Ms.○○」と呼びます。もちろん家での親子の会話なら「your teacher」とか「the teacher」になる場合もあり「teacher」という単語が「先生」を意味するのは確かなのですが、学校内で先生に対して子供が「先生!」と呼ぶ場面で、その訳が「Teacher!」になる事は、普通ありません。「先輩」や「後輩」も同じで、ファーストネームで呼び合う文化に、この概念は入ってきません。もちろん説明的なセリフで「彼は私の1つ先輩で」みたいな表現があれば、「He is a year ahead of me in school.」で成立しますが、廊下で先輩を見た後輩が「先輩!」と呼び掛けるとしたら、ファーストネームで呼ぶのが自然です。

こうした文化的な違いを自然に他の言語に置き換えられるかどうかで、字幕翻訳の場合は自然さが大きく違ってきます。字幕で情報は伝わっても「なんだか表現が不自然」という結果になる場合が多々あります。僕自身、英語字幕を作っている時、最近はほとんどなくなりましたが、以前の作品ではそうした不自然さが残っているものがあります。(青いね。)

ここで少し目先を変えて「タコライス」。30年前の人が「タコライス」と聞いたら(沖縄の人は分からないですが)、タコが入った炊き込みご飯を連想したかもしれません。最近では、タコスの具が乗った丼物を連想する人が多いでしょう。他の文化が混ざったものが新しい文化に単語レベルで浸透すると、その単語は新しい文化でも使えるものになります。「先輩」や「先生」も、英語圏で一般化すれば、英語字幕の中でも使えるものになるはずです。(以前、「ベスト・キッド」で「先生」が多用されて、少し市民権を得ましたが一般に浸透するには至りませんでした。)

2010/03/27 06:11 | 字幕.com, 翻訳作品(英語字幕) | 1 Comment

Trackback URL
Comment & Trackback

[…] 字幕.com » Blog Archive » 「プロゴルファー 織部金次郎」 http://www.junkstage.com/ochiai/?p=106 – view page – cached Filter tweets […]

Comment




XHTML: You can use these tags:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>