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2015/11/28

こんにちは、根本齒科室の根本です。

「AED」と聞くと、ご案内の方も多いと思います。心臓につけて救命する機械ですが、
駅やコンビニ、学校などにおいてある、赤い奴です。私もよく目にします。

でも、使いかたはちゃんとは分かりませんでした。
ついつい「こういうのは他のエライ人が使うものだ」みたいに、スルーしてしまいます。

もう1月前になりますが、歯科医師会内でAEDの講習を主宰していたので行ってきました。
(最近筆が遅くて恐縮です)

じつは私は普段から地元の歯科医師会内では極力存在感が出ないようにしていたのですが、たまたま今回は存在をかぎつけられてしまい、あまつさえ取りまとめを仰せつかってしまって、元々は行くのは面倒だったのですが仕事柄仕方なくの「初参加」でした。

ただ、
なかなかAEDの話しを聞く機会もないので、仕事半分興味半分で行ってきました。

今回は会場と指導で地元消防署の協力を仰いで、メンバーは県南歯科医師会の先生方やスタッフから募る形になりました。一応1私を含めて12名の方の参加となり、そこそこ講習やってる感が出るくらいにはなりました。人集めというのは本当に面倒なものです。

講習内容は、もっとも簡単な「普通救命講習Ⅰ」というもので、実習中心で午前中3時間で行なわれました。

内容についての詳細は、成書やウェブサイトに譲りますが、私が又聞きしていた内容と若干変わっていたのは、人工呼吸の重要度が相対的に若干低下していて、心臓マッサージとAEDが救命の2本柱のような概念になっていたことです。

AEDは、以前どこかで1回だけ遊びで使い方を習ったような記憶がありましたが、完全に忘れていました。
きちんと習ったのは今回が初めてです。

お話しを聞いていて、印象的だったのは、AEDを使うタイミングです。

非常にざっくりとした話になりますが、まずは街中などで倒れている人を見つけるわけですが

 ①「反応なし(呼びかけに対して)」

 ②「呼吸なし」

の2段階をへて、

 ③人を呼ぶ(できれば2人)
  ◆119番通報
  ◆AED持参

の流れになると教えていました。

ですから、「反応がなくても呼吸はある」とか「反応があっても呼吸がない」などの場合は悩ましいことになります(そんな場合があるかは別ですが)。。

そして、まずはひたすら心肺蘇生、なかんづく心臓マッサージは極力切れ目なく行うわけですが、通報から平均

◆救急車は8分

で到着するというデータがあると説明がありました。
もちろん救急車が来たら、救命措置は彼らに交代するわけですが、「ひたすら」とはいいつつも(だいたい8分くらいだろう)と思いながら頑張ります。

でも

◆自分が何分心肺蘇生すればいいか

が分からないと、さすがにしり込みしてしまいます。ただでさえ社会参加に消極的な国民性も相まって、講習の十分な効果が発揮されにくい、ということになってしまいます。

いっぽう、「8分程度」と分かっていれば、市民の救命参加へのハードルが大きく下がると思われます。
何気にコレは大きなポイントのような気がします。

◆善きサマリア人の法

あとは市民参加のハードルで言えば「善きサマリア人の法(免責法)」の制定が一刻も待たれるところです。Wikipediaによると、立法化不要論を唱えるのが現場と無関係な法律家であるのに対し、立法化必要論は主に蘇生教育者・救命活動者などの現場の人間である、とあります。

こういうのを傍から見ると、情けなくなります。
それでいて、機内でドクターコールに応じたり、すがるように頼まれて救命活動に参加した医師に対して訴えたりする痛い例も後を絶たない、などのような国民意識なのは、行政の啓蒙不足が大きいとは思います。このような社会的にハイリスクな状況ではドクターコールに応じる医師もなかなか現れないのも仕方ありません。私は現状はいち早く立法化すべきだと思います。

◆ AEDの守備範囲と限界>

AEDの話を聞くと思い出すケースがあります。

<ケース1>
朝お茶を飲んでいて、これから出かけるというときに起こりました。
お茶をおいた後、急に胸が苦しくなり、倒れました。
心筋梗塞でした。
救急車を呼びつつ、一応心臓マッサージを行ないましたが、まもなく心肺停止状態に陥ってしまいました。

<ケース2>
夜ご飯を食べ終わり、家族の方が気がついたら、部屋で大いびきをかいて寝ていたそうです。
でも呼んでも起きないので、救急車を呼びました。
隊員の方が見えて開口一番「・・・覚悟して下さい」
脳内出血でした。ただちにICUに搬送されましたが、翌日未明に死亡確定しました。

じつはこのケースは、私にとって有る程度近しい人や身内の話なので詳細は省きますが、いずれも50代独身の男性です。

これらでいうと、<ケース1>のほうは、AEDが手元にあれば救命できた可能性が高いと思われます。
つまり心臓が原因の疾患なので、AEDが効果を発揮するわけです。

いっぽう、<ケース2>では、脳血管が原因なので、できることといえば、普段の食生活をしっかりして血管をもろくしないようにしておく以外にありません。
しかも「いびき」をしているので、「反応がなくても呼吸はある」という微妙な場合に該当してしまいます。
これは残念ながらAEDでは対応できません。

AEDの有効性と限界を表す端的なケースだと思われます。

それでも、三大死因のひとつの虚血性心疾患に著効を示すというのはきわめて大きなことです。

偉そうに聞こえるかもしれませんが、講習も、ちょっと話しを聞いてみれば、一番簡単な「普通救命講習Ⅰ」ならそれほど大したこともなさそうです。
また、AEDは機械から使い方がアナウンスされるので、とりあえず操作方法を知らなくても大丈夫のようです。

ただ、これも今後まったくこのままだと、また使い方などさっぱり忘れてしまいそうですので、時間があれば3年おきくらいには冷やかし半分でも受講した方がいいのかな、と思いました。

またAEDは、有志の社会人ばかりではなく、文科省と話をつけたうえで、たとえば一例ですが、中学と高校でそれぞれ全員に1度づつ義務的に講習させる(大学教養課程の学生も含む)、などして、もう少し強力に社会的普及を推し進めた方がいいと思います。
コンビニなどで機械を見ても、ついつい「こういうのは他のエライ人が使うものだ」みたいにスルーしてしまいがちな原因は、つぶせるだけつぶしていきたいものです。

講習の最後に、消防署の方からお話があったのですが、龍ヶ崎市は、全国に先駆けてすべての小中学校のAEDを建物の「外」に設置した、と強調されてました。なんでも、箱から出した段階で消防署に通報が行くようなので、盗難の心配も大丈夫だとのことです。

消防署だけに負担をかけてしまうのは、そろそろ日本も卒業してもいい時期だと思いました。

【今回のまとめ】

AEDは有効性と限界を理解した上で、社会的普及をもっと強く推し進めたい。


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