« | Home | »

2015/10/19

こんにちは。根本齒科室の根本です。

ここ半年~1年、いろいろ状況の変化があり、それに伴って考え方の一部が変わってきた感じを持っています。
簡単に言うと、すき焼き鍋の中の「肉ばかりでなく野菜もシイタケも食べなさい」みたいな仕事の感じになっている、といえばいいのか・・・

ちなみに私はシイタケは大嫌い。肉だけ食べたい。
しかし、経営は正直で、数字は正直です。
負けたらまたリセット、みたいなリセマラは現実の経営には通用しない。

仕方なく、シイタケにも箸を伸ばすようにしてみました。

私も元々あまり体力があるほうでもないし、肉体派でもありません。
本当は都心のデンタルオフィスみたいに、働く時間は短めでがっぽがっぽ、みたいなのが理想です。
とくに開業当初はそうでした。
でもまあそうも言っていられない事情もあり、心霊?!治療を始めてからはもう1年になります。昼休みを短縮してそろそろ1年弱になります。

正直、件数や数字は上がってきました。
CR(コンポジットレジン口腔内直接充填)だと30分枠だったのが、Cn(コンポジットレジン口腔外作成修復)だと1回10分くらいで終わるので15分のアポでも余裕を持って治療できます。

「半完成品」という概念は、自分でも合理的だったたと思います。

税理士に怒られた自費が、そこまでは下がってません。
保険の点数は1.5~2倍くらいになったでしょうか。

と同時に、シイタケも食べるようになって、仕事の感じも変わってきました。
最近特徴的なのは

 Cn治療が極端に増えた(前出)
 入れ歯が極端に増えた
 急患対応がかなり柔軟になった

ことです。
昔はインプラントのメリットと(可撤性)義歯のデメリットばかりが頭を占有していました。
そしてご本人の自覚もないまま、私がここで何とかしないと誰も何もやらないし、この口腔内は崩壊していってしまう、などと変な責任感と言うか大きなお世話と言うか、自縄自縛になっているところもありました。

もちろん今も臨床的な診断についての考えは変わりありません。

しかし

①患者様の体は患者様のもの

と思いきって割り切ってしまったのが大きいのかもしれません。
私のおもちゃではないので、勝手なことはできないのは当然です。

もちろん黙っておくのはアンフェアなので説明はします。しますが、「こうしないとこうなりますよ、でもどの辺で折り合いをつけるかは患者様のご判断ですから、おまかせしますね」みたいな話し方に一気に変わってしまいました。

それでももちろん今でもインプラントのケースはそこそこありますが、

②営業系の苦心が極端に減った

のがこんなに楽だったとは!
 「無理して自費を勧めなくていい」
と思うだけで、こんなに解き放たれてしまうなんて、、、
こんなのでいいのだろうかと思うくらいです。

昔は自費が多く出て自費率の高い医院の方がレベルの高い医院で、保険診療で数ばかり診ている医院は「意識低い系」だと思っていました。それは開業前に勤めていた医院の雰囲気に抵抗感を持っていた面が強かったのもあると思います。
で、「ナンバーワンの営業マンが語るマル秘ナンとかカンとか」とか「NOと言わせないトーク術のアアたらコーたら」みたいな本を読み漁ったりもしていましたね。

しかし、一向に”営業成績”は伸びませんでした。
それどころか日々プレッシャーや後味の悪さ、気まずさに苦しむばかりでした。

あまりにも苦しかったので、パソコンで「メニュー帳」のようなものを作って、待合室においておきました。たまに目を通される人もいらっしゃるようで、少しほっとしました。

◆ そして東日本大震災が発生しました。

これは、治療行為の無力さ、修復物の有限性を改めて思い知らされることになり、自分にとって大きな臨床的な転機になりました。

私より上手な先生が作ったとしか思えない修復物がボロボロ取れて、急患の方が大勢来ました。
私のところのような中間的なレベルの被害の地域は、ストレスによるブラキシズム(かみしめ・くいしばりetc)に端を発して、詰め物が取れてしまったり歯がかけてしまったり、知覚過敏になってしまったりなどの諸問題への対応がとても多かったのを覚えています。

その頃から、自分の関心が営業よりも生活習慣への介入の方に大きく移行し始めました。

被害のレベルが高く、津波や原発で辛い長期の避難所生活を余儀なくされた方々においては、義歯を紛失して仮義歯を作ることが、現地の応急診療所における当座のメインの仕事だったようです。これはどこの避難所でもそのような傾向があるみたいです、

避難所のエピソードを伺っていて、歯医者として「今」「ここで」困った人に対応できないのはいかがなものかと思い始めました。

そんなことは当たり前のように思うかもしれませんが、変な話、行列のできる人気ラーメン店を思い出してください。彼らは「スープ切れ次第終了」などといって、演出で出しているところも多いんでしょうが、本当に終了してしまいます。「鶏々」に食べに行った時には、本当に店員さんが私よりちょっと後の来店者にお引取り願っていて、驚きました。

そのように、急で困った人がいても「予約が一杯で」などといって断ってしまうことが、主導権がこちらにあって医院のステータスが高い証拠で、などと、力点が少しずれてるんじゃないか、みたいな考えにとらわれることもけっこうありました。

◆ そして「”心霊 Cn “治療」に手を染めました。

時間もかかってテクニックセンシティブな口腔内の直接充填に疲れた、というのがもともとの動機でもありました
意外なことに、この治療を始めてみて手技に対する不信感・無力感を感じる原因にもなりました。
あの頃は自分でも精一杯ていねいにやっていたつもりだったのに、後で良く見ると段差や気泡があったりしてがっかりしたことも多くて、口腔内での直接充填の限界を思い知らされました。

この作業を模型上で手にとって行なうと、はるかに楽ですし、治療時間の短縮にもなります。
大きな時短を生み出すと予約の枠も余裕が出てきて、歯科医院ががぜん地元になじんできたような感じがしまいた。

「今ここで対応」と思っていると、総義歯を中心とした義歯(入れ歯)のケースが大幅に増加しました。
私はもともと口腔外科出身なので、義歯よりも観血的なこと、たとえばインプラントの方が手にははるかに合います。入れ歯は正直得意ではないと自分でも思います。

それなのに、入れ歯を作ってくれという声は絶えない。
よりによってこんな私でいいのだろうか、などと思いつつも、現在のところは技工所さんが上手なので何とかなっているのが現状です。本当に助かっています。

少し前までは、義歯を入れること自体に罪悪感があり、臨床家としての堕落だ、みたいな強迫観念すらありました。
たしかに、とくに部分床義歯は他の歯に依存して支持・把持・維持しているので、他の歯を傷めるし、教科書的にもより大きな部分床義歯に移行しやすい。3年で3割、5年で5割の入れ歯が使用されなくなるというデータもありますし、とくにバネをかけた歯がいたんですぐに抜歯(や残根上義歯)になったりするのは私もよく経験しています。
ですのでそういう心配は常に付きまといながら入れ歯を入れているのが現状です。

もちろんインプラントのほうが強度的には圧倒的に安心だし他の歯も守られます。
私からしてみても外科処置のリスクもありながらも安心感は桁違いです。
ただ患者様にとっては費用面のハードルも高いし、ねじ。

以前は「NO」という人をどうやって「YES」に持っていこうか、といろいろ苦心したが、さっき書いたように苦心しないことにした。
今までの経緯を見ても、インプラントを選択された方の多くは、やはり最初からインプラントがご自身の中で選択肢にあったり、中には最初から「インプラントでお願いします」のような方だったりしている。また、そのような方のほうがメンテナンスの受診維持率も高い。

◆ そして自分の歯の治療の機会がありました。

自分にとっての第一の恩師の先生のところに、今年の2月くらいから7月くらいまで、ちょこちょこですが通いました。
古い歯医者と言うこともあり、非常に混雑しており、当たり前のように10分15分待たされます。このあたりの経緯は以前のコラムに書いたとおりですが、やっぱり、自分と師匠を見比べてみて(師匠の○○先生のほうがかなり歯医者っぽいw)と思えました。
忙しそうでしたが、何か「医療」をしているような感じがするんです。
自分の歯以外にも色々考え直す機会でした。

もったいを付けないでいいのか
入れ歯を作ってもいいのか
待たせてもいいのか

こう思うと、心理的にはだいぶ楽になってきます。

【今回のまとめ】

自分の普段の生活スタイルとあまりにかけ離れた臨床スタイルは取りにくい

2015/10/19 01:16 | 歯科の臨床的っぽいこと | No Comments

Trackback URL
Comment & Trackback
Comments are closed.
No comments.