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2009/07/31

生まれつき身体に障がいがあり、車椅子での生活をしているSさん(ゲイ・26歳)から、パートナー募集についてのご相談がありました。
Sさんは、ゲイ向けの出会い系サイトで、最初は障がいがあることを隠して出会いを探し、会うまでにメール交換などでフィーリングが合った人に、自分の障がいについて告白するという方法を実践していました。
ところが、障がいのことを告白すると、相手からの返信が途絶えたり、中には「なぜもっと早く言わないのか!」と腹を立てるような相手も居たりと、なかなか思うように出会いを見つけることができないというのです。
「どうしたら、良い人と出会える事が出来るのでしょうか?」というSさんのご相談でした。

まず、Sさんには、自分に障がいがあるという事実について、相手にどの段階で告白するのかよく考えるようにアドバイスしました。
Sさんは、真剣に交際する相手を探しているので、その前提として、自身の障がいについて理解してもらうことが必要です。
身体的な障がいというハンデは、相手にとっても当初はSさんの重要な個性として認識されるからです。
2人で関係を深めていく中で「2人の関係に、障がいなんて関係ないよ」という気持ちになればいいのであって、最初からこの気持ちを共有することを相手に求めるのは現実的ではありません。
『良き友達』ではなく、『パートナー・恋人』を求めているのなら尚更でしょう。

出会い系サイトというのは、簡単に出会えるツールとしてはとても便利なものです。
特に現代のLGBTにとっては必需品といっても過言ではないほどのアイテムです。
毎日何回も出会い系サイトの掲示板をチェックするという方も多いと聞きます。
しかし、相手の顔や姿が見えない点や、仮に写真が添付されてあったとしても、その写真が偽物でったり、極端にデフォルメされたものであったりする危険性もあります。
本来、「人と出会い、相性を確かめていく」というのは、実際に会って話して、多くのエピソードを共に体験していくという時間のかかる作業です。
しかし、それを端折って、相性の善し悪しを、まず、掲示板でのアピールやメールの文章で決めてしまおうというのが出会い系サイトです。
これは、時間と労力の節約になり、もし、そこで自分にとって良い人に出会えたら、これほどラッキーなことはありません。
ただ、掲示板やメールの段階では相性が悪いと判断して進展に至らなかった人が、実際に会ってみると印象が変わって、急に進展にGOサインが出るかもしれません。
もちろん、逆のケースもあるでしょう。メールでは相性が良かったが、会ってみると、残念なパターンです。
要するに、「会ってみないとわからない」ということなのです。
会ってみるチャンスを厳選しすぎて、出会いの機会をすり減らしている人も多いのではないでしょうか?
Sさんは、こうした『出会いのチャンスを厳選する人々』に翻弄されているのかもしれません。
でもそれが、出会い系サイトを利用する多くの人々のスタイルであり、郷に入っては郷に従え理論でいくと、Sさんは、この状況を受け入れるしかありません。

障がいを持っていることは、悪いことではありません。Sさんの個性の一つです。
その個性を受け入れられない人に出会う度に、Sさんは傷つくかもしれません。
障がいを持って生きていくということは、健常者に比べて多くのハンデを背負っているのは言うまでもありません。
まして、障がい者というマイノリティとLGBTというマイノリティの両方を背負っているSさんは、パートナーを探すという観点からだけでも大きなハンデを持っています。
「障がい=個性」だなんて、偽善のように思われても仕方ないかもしれません。
でも、そんな風にネガティブに考えても、何も良いことはありません。
ハンデをハンデと思わない。常に前向き、ポジティブな姿勢。そういう風に自分の気持ちを持っていかないと、困難な状況に立ち向かうことは出来ません。

世の中のあらゆる少数者(マイノリティ)に必要なのは、多数者で構築されてしまう社会常識や世相・世論・風潮に立ち向かう強さです。
広く世間に自分の存在をアピールするまではしないにしても、自分の心の中での自分自身の独立は保たなければなりません。
自分の心の中で多数者に迎合してしまうことは、自分の存在を消し、自分を否定することにつながりかねないからです。
あるがままの自分を自分の中で受け入れるということは、強くならなければならないということであり、それが出来た人は、本当に強い人間だと言えます。
Sさんには強く生きて欲しいと願うばかりです。

2009/07/31 12:01 | LGBTと恋愛 | No Comments

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