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2010/01/29

今、遺言書を作成する人が増えてきています。

遺言書を作成する人が増えてきた背景には、遺産相続による親族間のトラブルを経験した人が、自分の子や孫の世代に同じような思いをさせたくないという思いから作成したり、未婚者や子供のいない夫婦が増え、自分の財産を法定相続人以外の第三者に譲ろうと考える人が増えてきたことが考えられます。

戦前は、家督相続という制度があり、いわゆる長男が全ての財産を相続するように法律で決められていました。しかし、戦後の民法では、家督相続の制度は無くなり、兄弟間であれば皆平等に相続分が規定されています。

戦後の民主・平等教育の成果もあってか、国民の権利意識が高まったため、遺産相続の場面においても、自分の権利を主張する人が増えてきました。

そのため、「相続」が「争族」になってしまうという骨肉の遺産相続トラブルが増えてしまったのです。

ところで、遺言書というと、資産家が遺産分けのためにあれこれと思案して書くものであるとか、自殺する人の書き置きであるとか(これは遺書の勘違いだと思われますが)、普通の人にとっては縁遠い文書であるように思われがちです。

確かに、全ての人が遺言書を作成する必要があるわけではありません。

でも、多くの人は、遺言書を作成することによって、メリットを得ることが出来ます。

特にLGBTは、遺言書を作成することによって、自分の遺産をパートナーに譲ることが可能になります。

信行さん(56歳・仮名)は、パートナーと相互に遺言書を作成して、お互いに万が一のことがあった場合には、相互に財産を継承できるようにしました。

信行さんの両親は既に他界していて、残る親族は2人の兄弟だけでした。

もし、信行さんが遺言書を作成せずに他界した場合、パートナーと暮らす信行さん名義のマンションは、信行さんの兄弟が相続することになります。

全ての財産をパートナーに譲るという遺言書を作成したおかげで、二人の生活の本拠であるマンションの権利が、信行さんの兄弟に相続されることは無くなりました。

このケースでは、法律上、兄弟姉妹には遺留分(相続人に対して留保された相続財産の割合)が無いので、遺言書さえ作成すれば、パートナーに全財産を譲ることができるわけです。

さて、遺言書と言っても、実はそう簡単に作れるものではありません。

遺言書の様式は法律で厳格に決められており、その様式に反して作成すると、法的な効力が否定されてしまいます。

また、遺言書には、①公正証書遺言 ②自筆証書遺言 ③秘密証書遺言という3種類のものがあり、通常は、公正証書遺言か自筆証書遺言かを選択して作成することになります。

私としては、公正証書遺言をお勧めしています。

公正証書遺言は、公証役場という役所で公証人立会いの下で作成され、その安全性と確実性は遺言書の中で最も高いものと言えます。

但し、デメリットとしては、内容を公証人や2名の証人に知られてしまう事と、公証役場に支払う費用などが必要という点です。

一方、内容を誰にも知られないように作成するのであれば、自筆証書遺言という手段があります。

自筆証書遺言であれば、費用もかからず、誰にも内容を知られずに作成することが出来ます。

デメリットとしては、遺言書の厳格な要件を満たすことが難しいという点と、紛失や変造の恐れ、死亡後に家庭裁判所で検認という手続きが必要という点です。

総合的に勘案すると、やはり公正証書遺言が最も安心して作成できる遺言書だと言えるでしょう。公証人や証人から秘密が漏れる恐れはほとんどありませんし、LGBTの方は、その事を告白することなくして作成することが可能です。

遺言書を作成する前に、まずやっておかなければならないことがあります。

それは、自分自身についての詳細なデータを整理するということです。

親族関係や財産状況、遺しておきたいメッセージなどについて、自分なりに整理しておかなければなりません。その整理したデータが、遺言書を作成する際の重要な情報源となります。

このデータの整理に活用できるグッズが「エンディングノート」と言われるものです。

このノートに自分に関する情報を書き込んでいくことで、自分自身の最期と真剣に向き合う事が出来、最低限の準備が可能となります。

エンディングノートは、今静かなブームとなっており、書店などで購入することが可能です。

参考までに、エンディングノートの作成を支援している団体のホームページをご紹介します。このホームページは、私も所属している高齢者を支援するNPO法人のホームページです。

http://homepage2.nifty.com/fas9/index.htm

普段は考えない自分自身の最期について、たまには考えてみてはいかがでしょう?

2010/01/15

「なぜ自分はレズビアンになったのでしょう?」

早苗さん(仮名・28歳)とは、そんな唐突な質問からやり取りが始まりました。

現在のところ、LGBTになる原因というのは科学的にはっきりとはしていません。

遺伝子説やホルモンバランス説、生育環境説など様々な説がありますが、L・G・B・Tのそれぞれで分けて考えるべき問題であって、学問的にはかなり難しい問題であるようです。

早苗さんは男性との交際経験も複数あったそうですが、内面的に満足することが出来ずに、いずれも長続きしなかったそうです。

しかし、ある時、女性に告白されて付き合うようになり、女性同士で恋愛することの方が自分とっては内面的な満足を得ることが出来たというのです。

性的な関係については抵抗感が無かったそうで、内面的な部分を大切にしたい早苗さんは、性交渉の部分は無くても良いというのです。かといって、性交渉が嫌いなわけではないとも。。

早苗さんは言います。「恋愛と友情の違いが分からなくなることがあるんです」と。

なるほど、内面的というと要するに『気が合う』とか『一緒にいて楽しい』とか『安心する』とか、恋愛でも友情でも要求しがちな自然な感情ですね。

ポイントは性交渉の有無なのか?

「仲の良い友達ともセックスできますよ(笑)」と笑いながら話す早苗さん。

こうなるともはや、恋愛と友情の区別が何なのかよくわかりません。

ただ、確実に言えるのは、この問題は全ての人に当てはまるものではないということ。

つまり、大多数の人は、恋愛と友情は区別しうるものであるということです。これは、セクシャリティを問わずそうでしょう。

でも、早苗さんの抱える問題は、彼女の独自のメンタリティからきているもので、友達とか恋人といった自分に近い人との人間関係構築の概念が非常に特異なのだと思われてならないのです。

早苗さんは果たして本当にレズビアンなのか?バイセクシャルではないのか?いや、もしかすると本当はヘテロセクシャルなのかも。。

早苗さんの「好き」は、友達として好きなのか?恋人として好きなのか?人間として好きなのか? LOVEなのか?LIKEなのか?

二人で突き詰めて考えているうちに、結局わからなくなってしまいました。

ただ、私は思うのです。

『一番好きな人、1人とだけセックスする』という決まりを自分の中で作り、守ったとします。

そうすれば、恋愛と友情の違いは見えてくるのではないでしょうか?

結局、人間は欲張ってしまうと、様々な境界が次第に曖昧になってきてしまうのではないでしょうか?

恋愛感情の『愛情』というものは、本来ベクトルは一つのはずです。

恋愛か友情かわからないというのは、これは、全てを恋愛として考えたいのか、逆に友情として考えたいのか、そういう自己愛を欲張りすぎた上での一種の症状のようなものではないかと思うのです。

「愛情に1番とか2番とかつけられるのですか?」という早苗さんの質問に、「恋愛というのは、1番の愛情を注ぎたいと思い続けられることなのではないですか?」と答えました。

2番目の愛情は、恋愛には不要なのです。それにも増して、複数の1番の愛情も不要なのです。

絶えず1人の人に向けて1番の愛情を注ぐことが、恋愛であるのだと思います。

この理性的コントロールは人間であることの証なのかもしれません。

自分への愛情が欲しい人、愛に飢えている人ほど、自分からは複数の1番の愛情を発そうとします。つまり、恋人を複数作ろうとします。

理性的な動物である人間同士のコミュニケーションは、「信頼」という絆で確実なものになっていきます。

愛情は信頼の証であり、恋愛関係における信頼は、常に1対1の対等な関係であるはずです。

多くの恋愛遍歴を今も重ねている早苗さんは、実は人一倍寂しがり屋なだけなのかもしれません。一つの愛情に満足できずに、また不安を解消できずに、自らそれを破壊して次を求めていくという繰り返し。

早苗さんが愛情と友情の違いを自然に発見できる日が来ることを願うばかりです。

2010/01/01

明けましておめでとうございます。図らずも元旦の記事となりました。
今年も隔週金曜日の更新で記事を掲載して参りますので、よろしくお願い申し上げます。
さて今回は、前回に引き続き、レズビアンの涼子さん(仮名・32歳)が中橋にインタビューします。

中「色々ありますよ。例えば、カップルであれば、それぞれの将来のために、任意後見契約書の作成や遺言書の作成に関する仕事があります。LGBT向けのお店を始めたいというような場合には、必要な許認可をとったり、会社を設立したりする仕事をします」

涼子「後見だとか遺言書だとかいうと、かなり遠い将来の課題であるように思うのですが?」

中「確かに若い人にとってはそうかもしれません。でも、いつ何が起きるかわかりません。添い遂げたいと思うようなパートナーと出会えば、お互いのために不測の事態に備えようとするのは自然な感情だと思いますよ」

涼子「具体的には、後見や遺言書で何をどうするのですか?」

中「後見制度は、身体や精神の自由が利かなくなった場合に、後見人に財産管理などをしてもらう制度です。任意後見では、後見人を任意に選んで(パートナーや私達のような手続の専門家)万が一に備えます。遺言書では、法律上は相続権が無いパートナーに対して、相続と同様の法的権利を発生させたりします」

涼子「永久の愛を誓い合ったカップル向けの手続というわけですか?」

中「いえいえ、そうとは限りませんよ。身近な親族に世話を焼いて欲しくないとか、自分の財産を相続させたくないといった場合にも、任意後見や遺言書作成の手続は有効な手段です」

涼子「なるほど。自分の人生と真剣に向き合ったら、そういう事も考えなくてはならないでしょうね。私はまだそこまで性根が座っていません(焦)」

中「LGBTに限らず、人は誰でもいつかはこういうことを考える時が来ますよ。遅いか早いかは人によって違います」

涼子「私はまず永久の愛を誓い合う相手探しから始めます(笑) お店を始めるときの手続というのはどんなものがありますか?」

中「会社として始めるならば、まず会社設立の手続からですね。許認可が必要な業種の場合にはそれも取得しなければなりません」

涼子「中橋さんは、LGBT関係のお店ではどういう分野の手続をされることが多いですか?」

中「レインボーサポートネットには4人の行政書士が居ますが、私の担当は風俗営業関係が多いです」

涼子「フウゾク!?ん~、淫靡な響きですね。嫌いではないです(爆)具体的に教えて下さい」

中「風俗といっても、色々な分野があるのですよ。厳密な意味では、風俗営業法に規定されている業種のことを言います。バーやスナックの他にボーリング場やゲームセンターだって風俗営業の範囲なんですよ」

涼子「そうなんですか。Hな分野限定かと思っていました(笑)」

中「もちろんそれも含まれます。営業形態によって規制の内容が違いますし、地域の条例によっても規制されるものもあり、なかなかややこしいんです」

涼子「LGBT向けの風俗営業といったら、ゲイバーやビアンバーが代表的なんでしょうね。他に面白いどころはありませんか?(笑)」

中「う~ん、面白いというか、変わったところでは、ゲイビデオ会社の顧問業務でしょうか」

涼子「まさか、演技指導ですか!?」

中「…んなわけありませんが、許認可はもちろん、著作権に関する問題や対警察との問題など、コンサルティングする内容は非常に多いです」

涼子「ゲイビデオ業界って存在するのは知っていましたが、活況なんですか?」

中「需要は非常に多いようですね。しかし、ビデオテープやDVDといったメディアから、インターネットを使った動画配信へとその業態が急激に変化しつつあります。また業界の寡占化も進み、ゲイビデオ会社が母体となって、ビデオ以外のLGBT関連事業を行っていたりします」

涼子「小銭を元手に始めようと思っても難しそうですね」

中「撮影技術と良質なモデルの確保さえできれば、大手に販売委託するという方法もありますし、現に流行っていますよ」

涼子「へぇ~、ゲイの友達が失業したら勧めてみます(笑)」

中「風俗営業は、きちんと法の規制の枠内でビジネスを行えば何ら問題はありません。ただ、LGBTの風俗営業の実態に関して、風俗営業法という法律では律しきれていない部分もあるんです。私は中途半端になっている規制の部分に関しては、早急に見直して、LGBTの皆さんが安心して利用できるような業態にしていくべきだと願っています」

涼子「法の抜け穴というと得した気分になりますが、それは本来禁じ手であるべきものだから、危険も多いというわけですね」

中「そのとおりです。規制するのは守るべきものがあるから規制するのです。LGBTの存在は「守るべきもの」と認識されていないから、法の抜け穴は埋まらないままなのです」

涼子「犠牲になるのは、緩い規制を喜んでいるLGBT自身というわけですね」

中「そうです。その中でも特に危惧しているのは若い人達です。中には未成年もいるでしょう。大人は自己責任ですから構いませんが、10代や20代の若い世代のLGBT、特にゲイの子たちが危険にさらされているといってもいいでしょう」

涼子「レインボーノートにはそういう若い子の悲惨なお話も掲載されていましたね」

中「はい。私が関わるような事案は、ほんの少しです。今の日本の世の中では、多くの若いLGBTの身が欲望の世界の危険にさらされています」

涼子「具体的にはどうしたらいいのですか?」

中「私が唱えているのは二つのことだけです。①同性間の売春も禁止する。②ハッテン場という同性間の性行為の場を提供する業態を禁止する。以上です」

涼子「なるほど。でも、ゲイの内部からはあまり賛同は得られないかもしれませんね」

中「そうですね。永遠に無理かもしれません。でも私はこの二つが風俗営業法に追加されない限り、LGBTの権利の真の保証には程遠いと思いますよ」

涼子「権利って、広がっていくだけではなくて、規制という側面から得られる場合もあるのですね」

中「そうです。物事は内と外、表と裏、両方向から見ることが出来てはじめて本質を知ることが出来ます」

涼子「なるほど。いい勉強になりました。今日はありがとうございました」

中「最後は説教くさくなってすみませんでした。これからもレインボーノートをよろしくお願いします」