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ハルキ君(仮名・20代前半)は、地方のホストクラブで働くホストでした。
ハルキ君のセクシャリティは、限りなくゲイに近いバイセクシャルといった感じでした。
ハルキ君は、どこに行ってもモテモテで、恋人作りには困ったことが無いという恵まれた容姿の持ち主でした。
ところが、その容姿を逆手にとって、常にゲイ向けの出会い系サイトで恋人(未満を含む)を募集し、同時に何人と付き合っているのか本人すら分からなくなる状況でした。
ハルキ君と話していると、「付き合う」ということが一体何なのか?という疑問が湧いてきましたが、ハルキ君的には、相手が付き合っていると思えば付き合っているのだそうです。
そして、ハルキ君は、その多くの恋人に必ず『あるお願い』をします。
「今月の携帯代の支払いがヤバイんだよね。ちょっと援助してよ」
「勤務先の給料が遅配になって困ってるから、少し生活費を都合してよ」などなど…
ハルキ君は決して「貸して」とは言わないそうです。
そう、貸してと言うと、返さなければならないからです。
確かに契約は口頭のみでも成立します。ハルキ君にとっては「貸して」は禁句なわけです。
しかし、相手方はそうは思っていないのでは?と聞くと、「返してと言われたことは滅多にない」と言うのです。
貸した人は、あげたつもりで貸しているのだろうと察しがつきます。
そうまでしても自分に振り向いて欲しいと思っているのでしょう。
「恋人が複数いるってのはバレないの?」と聞いてみると、「バレても、責められることはほとんどない」と言います。
やりたい放題のハルキ君、それを受け入れている多くのファン的恋人?達、どっちも普通じゃ考えられません。
ただ、やりたい放題しているハルキ君ですが、金銭面と複数恋愛を除いては、相手に対してとても優しく、一緒にいてもとても楽しい存在だというのです。
『許されてしまう』というその存在。理解できない人も多いと思いますが、本人と話していると何となくわかるような気がしました。
いつか痛い目をみるぞ~!!と言うと、「太く短い人生」がモットーなんで(笑)と無邪気に話していました。
ハルキ君は、仕事柄、お酒をたくさん飲むので体調を崩し、ホストを辞めてしまいました。
次の就職先として選んだのは、ビデオモデルの世界でした。
その仕事をするために、それまでの多くの恋人たちとの縁も切って、地方から大都会に出てきました。
ビデオ会社の寮に入り、モデルの他、編集などもこなすスタッフとしての仕事が始まりました。
ハルキ君出演の作品はとてもよく売れ、スカウトしたビデオ会社も大満足の人材でした。
大都会での生活に慣れ始めた頃、ハルキ君に悲劇が襲いました。
飲み会後に酔って帰宅する途中、歩道で嘔吐していて、立ちくらみが襲い、そのまま道路にフラフラと飛び出して、大型車のタイヤに巻き込まれました。
直ちに救急車で病院に担ぎ込まれましたが、命が危険な状況が2週間続きました。
結果的に一命を取り留めたものの、体の一部を切断し、片目を失明、顔の一部を欠損してしまいました。
顔が変わってしまったのはもちろん、仕事どころか、日常生活を一人でおくるのも困難な体になりました。
事故の責任について、大型車の運転手・保険会社・ハルキ君の見解が一致せず、賠償をめぐってトラブルになりました。
ハルキ君は、訳あって、子供のころから親戚に育てらて、高校生のころから地元で一人暮らしをしていました。
事故に遭い、働けなくなった今、田舎で療養するのが一番ですが、ハルキ君には帰る田舎がありません。
面倒をみてくれる人も居ません。
長い入院生活が終わった後の生活設計は何もできていない状況です。
ハルキ君は言います。
「人生、プラスマイナスゼロって、本当なのかもしれないね」
こういう事態に遭って、彼は達観したのかもしれません。
愛情に飢えて育ち、愛情を求めて彷徨い、それを手に入れ貪り、結局本当の愛情を知らぬままに、全てを失ってしまったのでしょうか。
愛情はもらうばかりではダメです。自ら愛情を注ぐことも忘れてはならないのです。
さて、上記の記事はハルキ君が退院して、落ちついたら掲載するつもりでいました。
ところが、先日、ハルキ君は病院を抜け出して、自ら命を絶ってしまいました。
生前に掲載の許可を頂いていたことを書き添え、心からご冥福をお祈り申し上げます。
ある意味、彼が目指した『太く短い人生』だったのかもしれません。
自殺には賛同できませんが、無茶な人生を駆け抜けようとした若者がいたことを私は忘れません。
誰かが彼に本当の「愛情」を教えてあげていたなら、結果は変わっていたのかもしれません。
家族・恋人・友人・仲間、人と人の間柄は様々ありますが、皆が自分に関わる全ての人に愛情をもって接せられるようになれば、世の中は平和になるのでしょうね。
彩香さん(26歳・仮名)は、3年付き合っている彼氏の聡さん(28歳・仮名)と婚約したばかりでした。
二人は聡さんの会社の先輩の紹介で知り合い、順調に交際を重ねて、ゴールイン間近の幸せいっぱいのカップルでした。
ある休日、二人はいつものように都内のお気に入りの場所でデートをしていました。いろいろなお店が入るビルの中でのウィンドーショッピング。何を買うわけでもないけれど、ただ二人で時間を過ごすことだけで幸せを感じれる時間だったそうです。
気に入ったお店があったので入ってみると、そこで誰かに声をかけられました。「聡く~ん!お久しぶり~!!」
聡さんの知り合いらしきその人は、そのお店の女性スタッフでした。
聡さんはちょっとビックリした様子でしたが、彩香さんにその女性が大学時代の友人だと紹介しました。そして、その女性にも彩香さんのことを「自分の彼女」だと紹介しました。
聡さんとその女性(亜紀さん)は少しばかり話をしていましたが、すぐに終わって、聡さんは彩香さんを連れて店の外に出ました。
彩香さんは、聡さんの学生時代の友人に会ったのは初めてでした。というのも、聡さんは地元も大学も遠方の地方出身で、上京してきたのは就職後だったからです。一方の彩香さんは生まれも育ちも江戸っ子です。
彩香さんは、聡さんの大学時代の話は、聡さん自身から聞いていて、学生時代の友人関係なども聞いたことがありましたが、今日会った亜紀さんの話は聞いたことがありませんでした。
「もしかして、モトカノ?」と思い切って聞いてみましたが、「そんなわけないじゃん」と素っ気ない返事。彩香さんにとっては、別に気に留めるほどのことでもなく、その時はそれ以上の突っ込んだ話はしませんでした。
挙式の具体的な日程も決まり、二人はその準備などで忙しくなっていきました。彩香さんは結婚式の二次会の幹事を務める人から、聡さんに何かサプライズプレゼントをしようと持ちかけられ、聡さんの学生時代の友人にビデオメッセージをしてもらおうと思いつきました。
そこで、以前に聡さんと行ったお店で会った亜紀さんのことを思い出し、聡さんには内緒でお店に会いに行きました。亜紀さんは快く応対してくれて、後日二人だけで会うことになりました。
そして約束の日、彩香さんは亜紀さんにビデオメッセージの話をしました。亜紀さんは少し戸惑った様子でしたが、大学時代の友人たちに連絡を取ってビデオメッセージを作ると約束してくれました。二人は色々な話をして打ち解けた仲になりました。彩香さんが少しだけ疑っていたモトカノ疑惑も解消されました。意気投合した二人は、その後も会うようになり、二人だけで飲みに行く仲になりました。ビデオメッセージを秘密にするために、聡さんには内緒の行動でした。
ある時、亜紀さんは随分と酔っ払って言いました。「聡の元彼の話を知ってる~?(笑)」
「モトカレ?モトカノでしょ。聡はゲイじゃないわよ(笑)」彩香さんが突っ込むと、亜紀さんは「やっぱり知らないんだ。アハハハ~。」
えっ?彩香さんは酔いが醒めてしまいました。でも真相を聞かないわけにはいきません。亜紀さんにアルコールを勧めながら、聡さんのゲイ疑惑の真相の全てを聞き出すことに成功しました。
亜紀さんによると、聡さんは大学時代に深い関係になった同性の友人が居るとのこと。その話は、聡さんの大学時代の友人の中でも亜紀さんともう一人の女性の友人しか知らない秘密だということ。亜紀さんは、聡さんの相手の男性とは今も連絡を取っていて、その人はもう結婚しているとのことでした。
彩香さんは、このモヤモヤを抱えて聡さんと結婚するのは耐えられないと思い、勇気を出して聡さんに話をしました。すると聡さんは、真摯に事実を認め、秘密にしていたことを謝り、今はゲイ的な行動は全くしていないと言いました。その上で彩香さんと結婚して欲しいと、あらためてプロポーズをしました。
彩香さんは悩みました。このまま聡さんと結婚していいのか?聡さんはゲイなのか?
誰にも相談できず、自分一人で悩んでいた彩香さんはRSNに相談を寄せられました。
こういう場合、当事者同士がよく話し合うことが重要です。彩香さんと聡さんがよく話し合って、二人の関係の障害になっていることについて正面から向き合うことが重要です。
そもそも、聡さんはゲイなのか? これは難しい問題です。
聡さんが過去に同性愛的傾向があったとしても、現在は女性と付き合っている状況などからして、ゲイというよりはバイセクシャルでしょう。真相は聡さん本人しかわかりませんが、一時期ゲイ的行為があったとしても、本質的なセクシャリティはストレートであるという場合も考えられます。
彩香さんは、聡さんが結婚後に内緒で男性と関係を持つようなことだけは嫌だと言っていました。
同性・異性に関わらず、不貞行為は結婚生活を崩壊させる原因です。
結局、彩香さんは、聡さんが過去の話を秘密にしていたことを許し、結婚をされました。
この先は二人の問題です。二人が夫婦としてどのような関係を築いていけば良いのかは二人が決めることです。
彩香さんには、セクシャリティの話や、結婚後に夫の同性愛行為が発覚した場合の事例、同じような境遇の方の事例などをお話して、ご自身の判断の材料にしてもらいました。
この彩香さんのケースは結婚に至りましたが、逆のケースもありますし、結婚後に夫(妻)の同性愛が発覚する場合もあります。
そして、踏み込み具合というか、ゲイ(レズビアン)の度合いなども様々です。つまり、頭の中で想像(妄想?)しているだけなのか、行動に移しているのか?行動の頻度なども。
ゲイ(レズビアン)だった人が、ストレートになるのか?という難問もあります。
日々の相談に触れ、セクシャリティの壁というか、区別というか、その境界が曖昧な人が増えていることをことごとく実感していますが、必ずしもそういう人同士が結婚するわけではないので、この彩香さんのケースのような事例は今後増えていくのではないかと思います。
あなたの彼氏(彼女)の過去に、ゲイ(レズビアン)又はバイセクシャルの事実があったとしたら、どうしますか? 別れますか? 付き合い続けますか?
どういう選択をしても間違いではないはずです。
ただ、セクシャルマイノリティに対して偏見がないと公言している人の答えは限定されているような気がします。というより、限定されているべきなのかもしれません。私自身、セクシャルマイノリティに対して偏見がないと公言している1人でありますが、ここは正直苦しいところです。
ゲイやレズビアンとバイセクシャルは似ても似つかないものです。また、少々の経験をもってしてセクシャリティを判断することはナンセンスでもあります。
セクシャリティの区別を迫られるような発想や、偏見がありませんと宣言することで作ってしまっている『区別』自体が、実は人間の自由な感性や行動を制限しているのではないでしょうか。
とはいえ、こういう『区別』の発想は、長い時間をかけて作られてきた社会慣習や、「常識」という名の社会規範、あるいは法制度や行政手続などの『区別』を基本とする社会制度などによって自然と頭の中にインプットされるものであり、これを否定したり対峙したりすることは現代社会との戦いという壮大なものになってしまうでしょう。
本当に自由な世界というのは、それを欲したいと願う人の連鎖が長い時間をかけて獲得するものなのでしょうね。










