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2014/10/03

少し前は、同性婚挙式・披露宴を取り扱う式場・ホテル・プランナーなどの事業者が珍しい状況にありましたが、ここ最近は急に増えたような気がします。

同性婚に特化した事業者もありますが、既存の冠婚業者やホテルなどが、同性婚挙式や披露宴をパッケージプラン化するところも現れてきました。

こうした事業者は、この分野に踏み込むことに最初は抵抗があったようですが、実際に行ってみると、良い反響の多さや、市場の可能性を実感して、本格参入を決断するに至ったようです。

利用者の声を聞くと、現場のプランナーやスタッフも利用者に寄り添い、種々の希望を叶えてくれるために懸命に働いてくれたとのことで、概ね良い印象で無事に挙式や披露宴を終えたようです。

そもそも挙式や披露宴などのように、極度にプライベートな事柄を扱う仕事は、顧客に寄り添い、そのニーズを的確に把握し実現していくことが仕事であるといえます。

そうした業界の基本的な姿勢は、顧客のセクシュアリティを問題にしない接遇姿勢であるはずで、LGBTビジネスへの参入には、もともと親和性のある業界であったといえるのではないでしょうか?

我が国には法制度としての同性婚制度は存在しませんが、任意に同性同士で挙式や披露宴を行うことを禁止する法令もありません。

「やりたければ、どうぞ」といった緩い風潮といえるかもしれません。

宗教上や国民感情上でタブー視する観点が少ない我が国においては、LGBTのライフステージ(冠婚葬祭など)やライフスタイルに関するビジネスへの参入は、既存の事業者にとってさほどのハードルとはいえないのかもしれません。

もちろん、LGBT当事者に配慮すべき様々な接遇上の方法論などはあります。

しかし、正しい知識と心構えさえあれば、それを修得することは難しいことではありません。

LGBTビジネスは、競争の時代へ突入しつつあるようです。

2014/08/22

先日、西日本の、とあるゲイタウンにあるゲイバーの閉店に関する手続を終えました。

そのお店は、昭和の時代に営業を開始したという老舗で、3代目の経営者でその歩みを止めることになりました。

景気の良い頃には、支店を出すほどの繁盛ぶりで、法人化や別事業への参入なども果たした程でしたが、ここ数年は、赤字が累積する一方でした。

ゲイバーは、アルコールを楽しむ場所であるのはもちろんですが、出会いを提供する場の役割が大きいと言います。

しかし、近年のインターネットの急速な発達により、人と人の出会いのきっかけが、インターネットを利用した様々なサービスに偏るようになり、ゲイバーの新規来店者数は激減したというのです。

確かに、同じような意見は、LGBTの風俗ビジネスや飲食ビジネスに携わる方たちからはよく聞きます。

「その場に行かないと同じセクシュアリティの仲間と出会えない」時代から、「いつでもどこでもインターネットを通じて自由に出会える時代」へと変化したわけです。

これは、当事者にとっては、とても便利なことでしょう。

ところが、この気軽さには、ゲイバーでの出会いにはない危険をはらんでいるというのです。

ゲイバーでは、マスターをはじめ、常連さんの目があるので、危険な出会いはある程度抑制できるとのこと。

もちろん、ゲイバーでの出会いが、100%安全なものであるとは言えないでしょうが、近年のインターネットでの出会いのトラブルをみていると、確かにゲイバー安全説もあり得なくはないなと思います。

そうした一種のセイフティーネットであるゲイタウンの老舗ゲイバーが、今、全国で姿を消しつつあります。

「時代には逆らえない」と冒頭の経営者は仰っていましたが、LGBTカルチャーの発祥・発展を担ってきた場が静かに消えゆく状況を当事者の皆さんはどうお考えでしょうか?

個々のお店の経営能力の問題と言って片づけることのできない問題があるような気がします。

2013/05/31

4兆円市場と言われる魅力的なLGBT市場へ参入をしたいけれども、企業イメージや大多数のヘテロセクシャル(異性愛者)の顧客の反応を考慮して、具体的な商品やサービス開発は先送りする会社が多くあります。

今はまだ時期尚早という結論に至るわけですが、そこから一歩踏み出して、実際の商品やサービスの開発に着手したとしても、ニーズのデータが不足しているため、客観的で正確な情報に基づいたマーケティングが困難なのも事実です。

セクシャルマイノリティ特有の需要を考えるには、彼らのライフスタイルを分析しなければならないわけですが、LG(レズビアンとゲイ、すなわち同性愛者)とB(バイセクシャル、すなわち両性愛者)とT(トランスジェンダー)では、そのライフスタイル自体も異なるので、LGBT市場全体にグサっと串刺しのように突き刺さる商品やサービスの開発は難しいのです。

さらに、セクシャリティの違いだけで、それが商品やサービスの購入者・受益者としてヘテロセクシャルと明確な行動相違をもたらすとは限りません。

厳密にLGBT向け商品・サービス開発をしようと思えば思う程、その作業は困難を極めます。

商品やサービスをLGBT当事者にも好意的に受け止められるような内容にするとか、ファッションやイメージ戦略によって、セクシャリティによる壁を感じさせないような演出をするといった、緩やかな融合路線なら近々に取り組む事が出来るはずです。

ただ、以下にあげる具体的な商品・サービスは、LGBT当事者の方から熱望する声の多いものです。

①同性同士(特に男性同士)で宿泊可能な温泉旅館宿泊プラン

②海外のゲイスポット(ビアンやトランスジェンダーのスポットの場合も)への観光をオプションとして選択できるツアー

③携帯電話のいわゆる家族割に、同性のパートナーも含んで欲しい(既に対応済みの通信会社もあるとか…)

④同性パートナーと一緒に入れるお墓(納骨堂など)

⑤LGBT向けの介護施設(老人ホームやデイサービスなど)

⑥LGBT向けの政治・経済情報誌(非アダルト情報)

⑦LGBT向けの不動産賃貸仲介・販売

⑧LGBT向けの冠婚・葬祭

これらの8つは、レインボーサポートネットにLGBT当事者の皆さんから、当該事業を行っている会社やお店の紹介を求める問い合わせが多いものです。LGBT市場への参入をお考えの方、参考にされて下さい。

次に問題なのは、こうした商品やサービスを開発したとして、それをLGBT当事者にピンポイントに周知するために、どのように広告・宣伝したら良いのか?という点です。

これについては、現在のところ唯一、インターネットが解決してくれるでしょう。

様々な市場の掘り起こしが経済の活性化にもつながるはずです。経済の観点からLGBTに光が当たれば、その存在は無視できないものとして、接遇向上にも効果をもたらすと思います。

あらゆるマイノリティ向けのサービスは、その質を高めることで、多数者のサービスの質の向上にも貢献し、企業価値を高める効果もあります。その事に、多くの事業者が気づいて欲しいものです。

2012/11/30

今回は中橋とゲイのヨシさん(仮名・41歳)とレズビアンのミナさん(仮名・35歳)の対談です。

中「お二人は、LGBTのためのショッピングサイトの運営会社を起業されようとしているわけですが、きっかけなどをお話しいただけますか?」

ヨシ「LGBTにはある種の共通の感性的な側面があって、その感性を満たすような商材だけを集めて販売する事が、同じセクシャリティの仲間の役にたてるのではないかと思ったからです」

ミナ「物販だけではなく、様々なサービスに提供などもしていくことのできる、LGBTのための総合商社を目指したいと思っています」

中「大きなビジョンをお持ちのようですね。LGBTの皆さんに支持してもらえる自信があるという事ですか?」

ヨシ「LGBT向けの通販としては、エロ系がほとんどですが、我々はそうではなく、非エロで商品構成をしたいと考えています」

中「エロと非エロの線引きをどこでするのか?というような問題があると思いますが…。例えば下着とかはどうなるのですか?」

ミナ「それは実は難しい問題だったんです。でも、現状ではクリアーしました。直接的にセックスに関わる事、例えばアダルトグッズ等はNGで、下着とか出会いの場を提供するようなサービスはOKとしたんです」

中「出会いの場の提供ですか?まさか、ハッテン場の経営?」

ヨシ「いえいえ。例えば、旅行やイベントの企画をして、そこで出会ってもらうというような場合です」

中「なるほど。物販だけではなくて、イベントの企画などもするわけですね」

ミナ「具体的な商品やサービスの開発は、まだまだこれからですが、仲間が集まって、あ~でもない、こ~でもないとやっているのが楽しいです」

中「この事業に携わるお仲間は何人くらいいるのですか?」

ヨシ「現在は10人くらいです。まだ正社員としての雇用ができる状況ではないですが、各分野で頑張ってもらって、社内で独立採算的な運営をし、頑張った人が頑張っただけの報酬を手にすることができるような企業運営をしたいと考えています」

中「商品は、オリジナルの物を開発するのですか?既存の商材を使用するのですか?」

ヨシ「その両方です。市場に出回っていながら、良い可能性を秘めた商材をどんどん発掘していきたいですし、世の中にない品物やサービスを自社で開発していきたいとも考えています」

ミナ「ゆくゆくは実際にお店を構えてみたいとも思っています」

ヨシ「店舗は夢ですね。都心から徐々に地方へ広げていけるような展開ができればと考えています」

中「今回、古物商の許可を取られましたが、リサイクル的な営業形態も考えておられるのですか?」

ミナ「はい。衣料品のリサイクルを考えています。私の趣味も兼ねています(笑)」

ヨシ「ミナさんは、服飾デザイナーなんですよ。私はWEBデザイナーです」

中「お二人の接点は何だったのですか?」

ヨシ「LGBTの健康に関する勉強会で知りあって、もう5年の付き合いになります。お互いの人脈を駆使して、今回の起業にたどりつきました」

中「新しいことをするというのは、難しい側面も多いでしょうが、ワクワク感は前に進む原動力になりますね。お話をうかがっている最中のお二人の眼が輝いて見えます。事業が成功することをお祈りしています」

ヨシ・ミナ「ありがとうございます」

 

 

2012/06/15

今回は中橋と元ゲイバーオーナーの小林さん(仮名・48歳)の対談です。

中「小林さんは、ゲイバーのオーナーを10年以上されて、このほどお店を閉店されましたが、これまでのお店の歴史を振り返ってみてどのような感慨をお持ちですか?」

小「あっという間でしたね。お客さん、スタッフ、何人もの人が私の前を通り過ぎて行きました。それを毎日同じ場所で出迎え見送るという日々が、私の日常でした。開店当初から閉店時まで通い続けてくれたお客様もおられますし、一度来て忘れたころにやって来るというお客さまもいたり、一時期毎日のように通い詰めていたのに、ある時パタッと来なくなったお客さん、私が密かに恋心を抱いたお客さん、お客さん同士やスタッフ同士の色恋沙汰など、本当に色々な人や出来事が私の店で発生していました(笑)」

中「なかなか語りつくせない思い出がいっぱいといったところでしょうか?」

小「そうですね。当時は嫌な思いもたくさんしましたが、今となっては良い思い出で、私の財産でもあります」

中「その一つ一つの思い出をお聞きしたいところですが、今日は、ゲイバーの経営という観点でのお話しを中心にお聞きします」

小「ゲイバー経営学ですか? 私は失敗した人間ですので、教えられることは何もないですが、まあ反面教師ならかって出ましょうか(笑)」

中「失敗だなんて、とんでもない。小林さんのお店の経営状態は決して悪いわけじゃなかったでしょう?」

小「う~ん、しかし良くもないですよ。日々回してくのはいいですけど、将来的な展望はありませんでしたね。オーナー業に専念した時期も一時期ありましたが、結局、オーナー店長に戻りましたし、体力的にもボロボロでしたよ」

中「そもそもなぜゲイバーを始めたのですか?」

小「私は飲食業に興味があって、高卒後すぐに一般の飲食業界に飛び込みました。その後、一度社会人を辞めて、専門学校に入って調理師の免許を取り、自分のお店を持つことを目標に修業をしていたのですが、たまたま地元の近くの繁華街にあるゲイバーの多い一角に空き店舗が出たことを知り、若干安易にですが、そこで最初の自分の店を持つことにしました」

中「料理の修業を本格的にしていた調理師さんにとっては、ゲイバーというのはちょっと趣旨が違うような気がしますが…(焦)」

小「若気の至りです(爆)料理のおいしいゲイバーがあってもいいかなと」

中「面白いとは思いますが、それで当初の客入りはどうでしたか?」

小「ゲイ業界の友人知人などの応援もあって、客入りは良かったですよ。平日でも小さいカウンターと少ないボックス席だけの我が店は満員御礼になりました」

中「良いスタートだったわけですね」

小「はい。でも売り上げにはなかなか反映しないわけです」

中「よく聞く話ですが、客単価が安いおまけに、長居するので回転率が悪く、客でごった返しているのに利益が上がらないということでしょうか?」

小「そうです。凝った料理メニューもあったのですが、うちの店でそれを注文する人は希でした。望まれているのは、軽食とアルコールとカラオケですからね。お客のニーズを履き違えていたわけです」

中「それに気付いたとき、お店の将来をどう考えましたか?」

小「うっ、厳しい質問ですね。若干悲観的にはなりましたが、今さら後には引けないという思いで、私の料理人としてのポリシーよりも、ゲイバー経営者としてゲイのお客様のニーズに応える方を選びました」

中「お客のニーズに応えるように努力をされた後はどうなりました?」

小「無駄なメニューを無くしたおかげで、食材のロスなども減り、無駄な経費節減になりましたが、結局、どこにでもあるゲイバーと大差ない個性のないお店になった感がありました」

中「ウリであった料理を廃したせいで、お店の個性まで失った感じがしたわけですね。その後はどうなりました?」

小「周囲に新規のゲイバーの出店などもあり、固定客を奪われてしまったり、スタッフ不足で私がてんてこ舞いで働いたり、大御所への挨拶を怠って大目玉を食らったり、不幸というか不運というか、そういうこともありました」

中「ゲイバーには業界の横のつながりはあるのですか?」

小「地域によって多少はあるとは思いますが、横というより、その地元で古くから営業しているお店には礼を尽くさなければならないみたいな縦のつながりの方が強いかもしれません。でも、協力するとかいうより、どちらかといえば、潰し合いですかね(爆)」

中「その話は聞いたことがあります。結束が強いように思えて、実はそうでないのですね」

小「はい。個性豊かすぎる人が多いから、まとまらないですよ絶対に。どの店も必死に営業しているので、余所に協力する余裕なんて無いんじゃないですか?」

中「小林さんがお店を閉店することにした最も大きな理由は何ですか?」

小「体力的な問題です。自分がお店に出なければならないような経営状態が悪いのでしょうが、それにしても体力、精神力共に擦り減らしてしまいました」

中「でも、まだお若いと思いますが?」

小「今はまだ頑張れますが、将来もずっとこのままだと思うと、もう無理でした。いずれは店を譲りたいと思えるような人を育成できなかったのも自分の責任です」

中「事業承継ですね。難しい問題です」

小「はい。誰かにお店を任せるということをやってみた時期もありましたが、上手くいかなかったんです。どうしても売り上げが伸びない。景気のせいもあるかもしれませんが、ゲイバーが出会いの場として新鮮なものでなくなってしまっていますし、ゲイバーも潰れる店があれば、新規に開業する店もそれなりにあります。お客様にとっては、ゲイバーの選択肢はけっこうあって、その中での競争ですから、気が休まりません」

中「これからどうするのですか?」

小「原点に立ち戻って、料理人としての人生に転換していきたいと考えています。少ないですけど、新しい夢にチャレンジする資金もできましたので、第2の人生に向けて頑張ります」

中「チャレンジする心、素晴らしいですね。是非、頑張って下さい。成功を心からお祈りします」

小「ありがとうございます」

中「こちらこそ、ありがとうございました」

2012/05/18

今月は同性婚に関する大きなニュースが2つ飛び込んできました。

一つは、アメリカのオバマ大統領が同性婚を支持する声明を発表したというニュース。

このニュースは、秋の大統領選挙を意識した政治的なアピールであるとみる人が多いようですが、オバマ大統領は就任演説でセクシャルマイノリティに触れる発言をしたことからもわかるように、親LGBT的なスタンスをとっているので、今回の同性婚支持の声明はある程度予想できたことかもしれません。

アメリカでは、州によっては、同性婚制度を法制化している所もありますが、全米で導入されているわけではありません。オバマ大統領がどこまでの本気度で同性婚制度の構築に取り組んでいくのか、今後の推移が気になるところです。

さて、二つ目のニュースは、東京ディズニーランド(ホテル)において、同性婚の挙式を行うことが可能になったというものでした。

日本では法律上、同性婚は認められていません。禁止されているという趣旨ではなくて、法律の想定外です。ですから、ここでいう同性婚というのはセレモニー的な意味のものに限ったことです。挙式を行ったからといって、法律上の手続(婚姻届の提出)ができないので、法的な夫婦になれるわけではありません。

しかし、レインボーサポートネットにも、同性婚をするので、挙式の際に使用する「結婚誓約書」等の作成のご依頼が時折寄せられます。法的な効力を求めることはできないので、その点は十分に理解して頂いたうえで書面を作成しています。

中には、その誓約書を掲げて、挙式の前撮り写真を撮ったり、人前式の最中に誓約書読み上げて署名するパフォーマンスをしたりと、当事者の皆さんにとっては大変意味のある書面として扱って頂いております。

今回の東京デイズニーランドの件は大きく報道されましたが、実は既に各地の結婚式場やホテルなどにおいて、同性カップルによる挙式や披露宴の開催に応じるところが現れ始めています。

レインボーサポートネットでは、こうした冠婚関連企業に対しても、LGBTの皆さんの接遇に関するセミナーや教育訓練を行っていますが、やはり様々な事情を抱えるお客様を相手にする職業柄か、スタッフの飲み込みは大変早く、理解度も非常に高いです。

東京ディズニーランドのような有名なところで、こうしたビジネスへの取り組みがニュースにされると、おそらく追随してくるサービス関連事業者も多く出るのではないかと思います。

4兆円規模はあると思われる我が国のLGBT市場、手付かずの眠れる財宝に気付いた方も多いニュースだったのかもしれません。

同性婚やそれに準じた法制度が日本にも創設されるきっかけは、ビジネス界のLGBTというカテゴリーの顧客獲得合戦で生じる各種サービスからの後押しであるのかもしれません。

法的な結婚ではないけれど、同性婚の挙式を行ったカップルが増えてくれば、その既成事実自体が、法的な結婚への道を切り開いていく可能性は十分にあるでしょう。

ただ注意が必要なのは、同性カップルが皆結婚をしたいと考えているとは限らないということです。男女のカップルであっても結婚するとは限らないのと同じです。

LGBTの皆さんにとって、同性婚制度を歓迎する意見が多いのか少ないのか、そしてそれぞれの理由は何なのか、非常に興味深いことです。

ともあれ、挙式行いケジメをつけて新たな人生の旅立ちを迎えようとするカップルには、セクシャリティの区別を問わず、心から祝福を送りたいと思います。

2011/07/29

今回は、中橋とLGBT向けアダルトショップ経営者のKさんとの対談です。

中「ありきたりですが、景気はどうですか?」

K「ありきたりな返事ですが(笑)、厳しいですね~。雑誌もDVDも売れ行きが鈍いです」

中「やはり不景気のせいでしょうか?」

K「それもあるでしょうが、時代の流れといった要素も多いでしょうね」

中「時代の流れですか?」

K「昔…といっても、ほんの10年くらい前までは、特にゲイの人たちは、ゲイ雑誌で業界の情報をつかんでたんだけど、最近はインターネットが普及したおかげで、そういう媒体としての機能を雑誌に求めなくなったんだよね」

中「ゲイ雑誌で業界の情報って何ですか?」

K「まず、出会いね。文通欄みたいなのがあってね、そこで出会うわけ。そして、地域別のインデックスみたいな感じで、飲み屋とかゲイ向けの風俗店の情報なんかもあって、DVD…いや当時はビデオだね(苦笑)のグラビア広告があって、とにかく情報の宝庫で、毎月の新刊が待ち遠しかったものなんですよ」

中「今はもう、そういう役割を果たさないのですか?」

K「今でもそういう役割も担えるんだろうけど、インターネットに利用者が流れちゃって、売れないんだよね。昔みたいには。。」

中「電子書籍とかの時代ですしね。ゲイ向けの雑誌に限った事ではないと思いますが、出版業界は厳しいんですね」

K「電子化は、DVDにも影響してますよ。今や全盛は、インターネットからのダウンロードによる動画販売だからね」

中「なるほど。そうでしょうね。私の顧客の動画配信会社さんはここ数年でビックリするくらい成長しましたよ」

K「DVDが好きな購買層もいるので、完全にダメというわけではないけれど、将来的に良い展望はなかなか持てないね」

中「アダルトグッズはどうですか?」

K「アダルトグッズは昔より売れてますよ。最近は、そっちの方もハイテクでね(笑)昔に比べて質の良い商品がたくさんあって、バラエティーに富んでますよ」

中「そちらの方も進歩しているのですね」

K「時代の移り変わりと共に、売れる商品も変わるし、客層も幅広くなって、業界の間口自体は広がったように思いますよ。その分、競争も激しいですけどね。」

中「確かにアダルト商品を売るお店が増えているように思いますね。風俗街にある小さな商店というのは少なくなったのかもしれませんが、郊外に大型店が建ってたりしますね。でも、LGBT向けではないんでしょうね」

K「いやいや、それがそうではないんですよ。郊外の大型チェーン店なんかで、LGBT向けの商品も扱ってる所が増えてるんですよ。もちろん、専門店並みというわけではないけれど、主要ゲイビデオメーカーの作品は売っていたりするわけです」

中「へぇ~。競争相手が増えて困りますね?」

K「そうです。困ります(焦)でも、専門店としては、そういう大型店では手に入らないような、マニアックなものを取り揃えたり、グッズに関しては海外に仕入れに行ったりして、研究を重ねていますよ」

中「経営努力をされているのですね。アダルトグッズと言えども、商品開発から販売まで、様々な苦労があるわけですね」

K「商売ですからね。いたって真剣ですよ」

中「今後もLGBTの皆さんのリクエストに応えるお店として頑張って下さい」

K「ありがとうございます。がんばります」

2011/07/15

健さん(仮名・31歳)と翔太さん(仮名・27歳)は、交際して3年、同棲して1年のゲイのカップルです。

二人は関西の別々の会社で福祉関係の仕事をしていました。ある時、健さんのお母さんが介護が必要な状態になりました。最初は実家にいた妹さんが面倒を見ていましたが、その妹さんが結婚をすることになったので、健さんは実家のある九州に帰って自分で面倒をみるか、お母さんを施設に入れるか、関西でお母さんの面倒をみるか悩んでいました。健さんと翔太さんは何度も話し合って、結局、健さんの田舎である九州のとある町に一緒に引っ越すことにしました。

健さんは幼い頃に父親を亡くし、お母さんが女手一つで健さんを育てあげました。大学進学と同時に、健さんはお母さんと妹さんを残して関西へ行ったのでした。関西で就職もして、翔太さんとも出会って、平穏な生活を送っていたのでしたが、その関西生活にピリオドを打つことにしたのでした。

健さんの実家は、昔から続く農家で、広い土地に母屋と平屋建の離れがありました。健さんはそこに、お母さんの介護も兼ねて、デイサービスセンター(通所介護事業所)を開設することを決意し、スタッフとして恋人の翔太さんにも手伝ってもらうことにしたのでした。

健さんは社会福祉士として、翔太さんは介護福祉士として、高齢者福祉の現場で働いていた経験はありましたが、事業を立ち上げるのは初めてです。

そこで、レインボーサポートネットに通所介護事業の開設手続を依頼されました。

現在、介護事業などを立ち上げる際には、かなりお得な助成金や補助金が各種あります。設備投資に費用がかかる介護施設の場合、こうした助成金などを使って、少しでも初期費用を抑える必要があります。

健さんと翔太さんの場合、自己資金は2人の貯金を合わせて、150万円ほどでした。デイサービスの施設自体は、敷地内にあった平屋建ての住宅を改装して使用し、新たに手摺の設置・段差の解消・トイレの増設などを行いました。

また、スタッフとして看護師資格を持つ人を雇い入れ、デイサービスを提供できる環境を整え、九州に移り住んでから4ヵ月後に開設にこぎ着けることができました。

幸い、地域的にデイサービスの事業所が不足していたこともあり、早々に定員に達し、現在は、福祉用具のレンタルや、訪問介護分野にも進出しようとしています。

健さんと翔太さんは、私生活でも仕事でも二人三脚で頑張っています。そして、お母さんの介護をしながら、地域のお年寄りの福祉にも貢献しています。関西から九州の田舎に戻るという決断はとても勇気が必要なことだったと思いますが、「誰かの役に立ちたい!」という気持ちと、「自分がやらなければならない!」という使命感が二人を後押ししたのでしょう。

需要の高い高齢者福祉という分野で起業したということもあるでしょうが、事業の成功のカギは、まずは経営者のモチベーションにあると言っても過言ではないでしょう。健さんと翔太さんが、福祉起業家として益々成功することを願っています。

2011/02/25

丸さん(仮名・68歳)は、芸能関係の事務所や飲食店を経営する『ヤリ手』の社長さんです。

丸さんは、30代で大手広告代理店を脱サラして起業し、最初は小さなゲイバーをマスターとして切り盛りしていましたが、お店をショーパブ化することで事業に成功し、複数の店舗を持つようになったほか、芸能関係の事務所の経営など、多角的な経営を成功させてきました。
そんな丸さんは、気が付けばもう60歳代後半の年齢。まだまだ現役といきたいところですが、趣味の海外旅行が億劫になるほど、体力が低下してしまいました。

丸さんが自分の体の異変に気がついて病院へ行った時には、既に病は生命の危険領域まで進行していました。
丸さんは、腎臓の移植を受けなければならない体となり、現在は人工透析を受けています。
「自分勝手に生きてきたからなぁ」と丸さん。後悔はしていないそうですが、心配事は尽きません。

「会社やお店をどうしよう…」

丸さんの不安は、自分のこれからの体のことではなくて、軌道に乗せた自分の事業のことでした。
ゲイである丸さんは独身。子供はいません。残念なことに、ここ数年は、恋人もいないとのこと。
親族は、弟と妹がおり、それぞれ家庭をもっているとのことでした。
法律的には、このまま丸さんが亡くなった場合には、親族である丸さんの弟と妹さんが、丸さんの財産を相続することになります。
しかし、丸さんは、もう何十年も、弟や妹と音信不通だというのです。

「自分が死んだら、弟や妹に、兄として、少しばかりの財産は分けてあげたい。だけど、会社の経営まで引き継がせる気は無く(向こうもその気はないだろうが…と丸さん談)、どうしたらいいのかわからない」

推定相続人(現段階で法律上相続する権利があると推測される人)が兄弟姉妹しかいない場合には、遺言書を作成することで、任意の人に全ての財産を相続させることが可能です。
ただ、丸さんには、現段階で相続させたい(遺贈したい)恋人・パートナーは居ません。
それに、今すぐに会社やお店をたたんでしまうと、従業員や取引先、お客様に迷惑がかかるので、それもできないというのです。

こうなるともう、一つしか方法がありません。それは、誰かに経営権を買ってもらうということです。

そこで、我々は、丸さんの事業の買い受け先を探しました。
事業を手広くやっていた丸さんの全ての経営権を買い取ることのできる企業や個人は、なかなか見つかりません。
そこで、分割できるように事業体系を見直し、バラバラに買い取ってもらえるようにすると、各方面から声がかかりました。
少し時間はかかりましたが、丸さんは自分の事業を、満足のいく価格で売却することができました。

丸さんは、そのお金で、今は大好きな海外で療養生活を送っています。
おそらく、その国で最期を迎えることになるでしょう。それが、丸さんの望みでもあります。

どんなに発展家の人でも、いずれは手広く広げた物を、たたむか手放すかをしなければなりません。
死後の世界にまでそれを持っていくことは不可能だからです。
命に終わりがある限り、命で保ってきたあらゆる物事は終了します。
丸さんは、自分自身で最後の身辺整理を終わらせました。しかし、中には手付かずで亡くなる人も居ます。
丸さんのような事業家が、事業の承継を考えずに、放ったらかしにして亡くなったらどうなるでしょう?
困るのは、親族・従業員・取引先・お客様でしょう。

大きく広げた自分のフィールドを、きれいにたたみ、中のものをきちんと整理・処分することまで出来て、事業家の一生は本当に終わりを迎えることができるのです。

2010/11/19

最近、最初からLGBTマーケットをターゲットにして起業しようとする起業家の方々からのご相談が増えてきました。

LGBTマーケットの市場規模が酒類販売に匹敵する6兆円超と言われて久しいですが、ようやくこの分野に注目が集まり始めたような気がします。

しかし残念なことに、LGBTに対する知識や理解が乏しく、需要をきちんと把握しきれていないのに、ただ良質な顧客層としてだけ認識し、まず、商品やサービスの開発を急ごうとするパターンも散見されます。

LGBTマーケットにアプローチしていく担当者やその上司たる責任者はもちろん、企業全体としてダイバーシティの理念をよく理解し実行し、LGBTについての正確な知識と理解、必要な接遇訓練を経て、はじめてスタートラインに立てるということが、なかなか理解してもらえない現実があります。

LGBTの当事者は、普段、普通に消費生活を送っています。その生活の中で、ヘテロセクシャルと同様に、商品を購入し、サービスを享受し、一般的な経済活動に当然に参加しています。

その彼らに振り向いてもらえるだけの商品やサービスの開発は、彼らの需要と消費行動、前提となるポリシーや生活環境を把握し分析してからでないと始まらないのです。

「ゲイの人向けに、ちょっとマッチョな男性の露出度の多い広告を出したら売れますかね?」とか、「女性同士のキスシーンで看板を作るといいですかね?」と、いきなり聞かれても困ります。

確かにそれは目を引くでしょうし、話題性はあるでしょう。

でも、その商品やサービスが一時的に売れたとしても、継続してお客様の心をつかむためには、適切な接遇が欠かせないのです。

LGBTというのは、セクシャリティによる区別ですから、そこのセクシャルな要素だけを取り出して考えようという発想は理解できます。

しかしだからといって、視覚的にLGBTの本能に訴えればいいじゃないか、という安易な考え方は浅はかでしょう。

LGBTの他、あらゆるマイノリティをも受け入れようとするのが、ダイバーシティの基本的な考え方のはずです。

LGBTマーケットの魅力が煽られることで、目先の利益だけを考えて、LGBTを食い物にするような発想で市場参入を図る人々がいることは非常に残念です。

きちんと社会貢献できる企業、マイノリティにも喜んでもらえる商品やサービスを開発したいと真剣に取り組める企業に、この魅力ある市場に参入して頂きたいと思うのです。

私がコンサルタントとして取り組んでいるプロジェクトの中には、担当者は非常にLGBTに対する知見が深いのに、責任者たる上司が真逆であるというケースがよくあります。こういう場合、担当者が非常に苦労しています。スタッフの足並みが揃わない元凶でもあり、何よりも未知のLGBTマーケットに乗り込んでいく精神力を減退させてしまいます。

組織としての考え方と、現場の担当者の考え方が一致することは、実は非常に難しいことなのだと思い知らされることが多々あります。

一番の理想は、経営トップがダイバーシティの理念に真に共感し実践していることでしょう。

LGBTマーケットで自由自在に立ちまわれる企業となるには、企業全体の取り組みが必要であるということです。

板挟みに合っている担当者達を見ると、本当にかわいそうでなりません。

この状況が、日本でのLGBTマーケット活況の『生みの苦しみ』であることを願っています。

あらゆるマイノリティが暮らしやすい世界は、大多数の人々にとっても平和で安全な世の中のはずです。

日本が中身の伴った社会発展を遂げ、個々の国民皆が心の平穏を分かち合える世の中になって欲しいものです。

マイノリティを通して見る我が国の社会構造は、まだまだ歪で尖った部分がたくさんあるように思えます。

それを丸く滑らかにするには、政治の力が必要なのは言うまでもありません。少しずつでも確実に正しい政治力が発揮されていることを期待します。

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