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2011/12/30

2011年最後のレインボーノートとなりました。今年もお読み頂いて誠にありがとうございました。

今年、読者の皆さんにはどのような1年となったのでしょうか?

今年は何といってもやはり、東日本大震災の記憶が大きく残りました。未だに深く残る震災の傷跡は、2011年という年を当分の間忘れられない年にしてしまいました。

「絆」という言葉が、2011年のテーマのように使われてきましたが、人の命が儚いものであるという事をあらためて実感することになった今年は、人と人との絆の大切さを否応なしに実感させられました。

レインボーサポートネットには、震災後から、同性のパートナーとの関係をより強固にするために、パートナーシップ契約の作成のご相談や遺言書作成のご相談、成年後見制度利用に関するご相談など、万が一の事態やいずれは訪れる「死」を想定した手続についての問い合わせが多くありました。

LGBTの方の中には、人との「絆」をわざと断っているような方も多くいらっしゃいます。それは、LGBTであることの「生きにくさ」を人間関係の中に持ち込むことを避けているためだと思われます。

そうした人が、今回の震災をきっかけとして、人と人とのつながりや絆に関して、考え方を変えたというケースがみられるのです。

中には、このお正月に、久しぶりに実家に帰って、セクシャリティについてカミングアウトして家族の理解を求めるという相談者もおられました。たとえ理解が得られなくても、ありのままの自分を、せめて家族には知らせてあげたいというのです。

絆の大切さを実感するという事は、ある意味、自分自身とその周囲の人との関係性を見つめ直すということでもあるのです。

「人は1人では生きてはいけない」と言いますが、それは、物理的・経済的な観点のものではなく、精神的・環境的な観点からの格言でしょう。

何につけても便利なこの時代、何でも割り切って、自分の思うままに生きていくことも可能ではありますが、そういう自分本位の生き方だけでは得ることのできないものの正体が、「絆」の中に隠されているのかもしれません。

2012年は、あらゆる人々が、自分を取り巻く数々の絆をより強固なものにして、あらゆるマイノリティに対して、どこかの絆でつながっているような社会へと発展していくことを願うばかりです。

どうぞ、良い年をお迎え下さい。来年もレインボーノートをよろしくお願い申し上げます。

2011/01/28

冬のこの時期、例年ならばレインボーサポートネットは比較的暇な時期なのですが、今年はなぜか昨年末から「パートナーシップ契約」の契約書作成依頼が相次いでいます。

パートナーシップ契約というのは、同性婚が認められていない我が国で、同性カップルが結婚と同じような法的関係構築のために結ぶ契約で、財産管理や療養看護、家事・家計分担の他、貞操義務などを盛り込んで、カップル毎の事情を考慮した形で契約します。

男女のカップルであれば、結婚という制度を利用しただけで当然に発生する権利や義務を、契約という私的自治の中で構築しようというものです。

但し、夫婦特有の義務であるもの、例えば貞操義務などが、契約に盛り込まれていたとして、それに反した場合に、裁判所が一種の債務不履行を認めるかどうかは定かではありません。

それ故、完全に男女の夫婦と同様の法的関係を構築するのは、まだまだハードルが高いのが現状です。

遺産の相続権に関しては、パートナーシップ契約と同時に遺言書を作成することにより、ある程度の遺産を承継できるようにすることが可能です。

同性カップルから見る『結婚』というものは、「愛し合う二人が永遠の愛を誓い、人生の伴侶として共に人生を歩んでいくこと」と真剣に考えているように思えます。

ある一定の関係性の昇華がないと、わざわざパートナーシップ契約までしようということにはならないからなのかもしれません。

男女のカップルにとって結婚というのは、『家庭』を作る最初の作業と言えるでしょう。夫婦になり、子供を作る。そして、『家(家庭)』になる。その共同作業者が夫と妻という役割。最初は愛情に満ちた男女の関係であっても、長年連れ添うことで、生活のため、生きるための間柄だけに変化することもしばしばあるようです。でも、結婚という制度にある程度縛られているがために離婚はしない。そういう冷めたご夫婦も世の中には多いのではないでしょうか?

もちろん、そんな冷めた関係の夫婦ばかりではありません。長年連れ添ってもラブラブなご夫婦も当然おられるでしょう。子供がいなくても、夫婦で温かい家庭を築いておられる皆さんもおられると思います。

結婚に関する考え方は人それぞれでしょう。ただ、正解は「愛し合う二人が永遠の愛を誓い、人生の伴侶として共に人生を歩んでいくこと」であって欲しいと思います。

同性カップルで、パートナーシップ契約を結ぶカップルは、この点を本当によく考えています。相手に対する愛情を何とか形にあるものにしたいという真摯な気持ちが、パートナーシップ契約という形に向かうのです。法的に自分たちの関係性をきちんと定めておきたいと考えるまでには、それなりの時間と熟成した関係性が求められます。そういう段階をクリアーして、パートナーシップ契約のステージに進んでいるように思えます。

同性カップルが憧れる『結婚』という制度の価値を、ヘテロセクシャル(異性愛)の人々に、あらためて知って欲しいと思います。

※ごあいさつ※

この度、JunkStageアワード2010の大賞を受賞しました。隔週金曜日更新というのが、自分の生活の一部として身に沁みこんでいる今日この頃ですが、長く続ければ続けるほど、内容がマンネリ化してしまうのではないか?独善的な記事になりすぎていないか?など書き終えた後には自問自答しております。そんな中でこのような賞を頂き、心から嬉しく思っております。ただひたすらに読者の皆様に感謝申し上げます。今後とも「レインボーノート」をよろしくお願い申し上げます。

追伸:「レインボーノート」の意味ですが、レインボーはLGBTのシンボルカラーであり、ノートは事件簿の意味で使っています。直訳すると「虹色事件簿」ですね。ドラマ化する時は、このタイトルでお願いします(笑) 私が遭遇する事件、今年も色々ありそうです。。

2010/12/31

図らずも大晦日の記事となりました。お読み頂いたことを心から感謝申し上げます。来年もよろしくお願い申し上げます。

今年1年のレインボーサポートネットを振り返ってみますと、今年も様々な方々との出会いがありました。

『真実は小説より奇なり』 まさに世の中、色々な人がいて、自分の知らない世界があちらこちらにあるのだなぁとあらためて実感した1年でした。

どのご相談でも全く同じ内容というものは一つも無く、人それぞれに生きている環境や条件が異なっている中で、いかに自分らしく生きていくかを模索している人々に、適切なアドバイスができるように、日々研鑽していかなければならないと自戒を込めて考えています。

私がこのレインボーノートを通して読者の皆様に最も言いたいことは、LGBT当事者は、皆さんのすぐ近くに、身近に、必ず存在しているということです。普段はLGBTであるということを他人に知られないように生活している人がほとんどなので、LGBTの隣人を具体的に認識するのは困難かもしれません。でも、あなたの家族・友人などにもLGBT当事者が存在する確率は必ずあるということは事実なのです。

レインボーノートに書いている様々な事件や対談の内容は、そうした、どこにでもいるLGBT当事者のほんの一部の出来事に過ぎません。でも、そうした生の声やエピソードを紹介することによって、少しでもリアルにLGBTの存在を感じ取って頂ければ、セクシャルマイノリティと非セクシャルマイノリティの橋渡しが出来るのではないかと思っています。

まずは『知ること』が大切です。そして、正しく知ること。正確な情報を提供し続けていくことが、このレインボーノートが果たすべき最大の役割なのではないかと思います。

LGBTというと、テレビに出てくる非常に個性的な面々を想像されてしまうと思いますが、どうもああいうイメージが固定化されることは、多くのLGBT当事者にとっては迷惑な話のようです。彼(彼女)らは、ショービジネスの世界の人だったり、殊更LGBTらしさを誇張することを生業としている人たちです。それ自体が悪いわけでは決してありませんが、LGBT全体から見ると少数派と言ってもいいでしょう。

彼(彼女)らのおかげで、LGBTの存在は社会に大きくアピール出来ています。しかし、LGBTに対する正しい理解という点では、むしろマイナス効果も大きいと言わざるを得ません。

マスコミにおけるある種のLGBTショービジネスブームは、来年も続くのでしょうか?というより、既にある程度のLGBT枠が確保されてあって、そこに次々にニュースターのLGBTを鎮座させていくという戦略なのかもしれません。そのポジションは、単なる『笑い物』の指定席ではないと信じたいものです。

来年はLGBT当事者とその関係者にとってどういう1年になるでしょうか?

LGBT市場に参入しようとしている一般企業にとってどういう1年になるでしょうか?

政治の世界で、LGBTに対する新たなアクションが起こるでしょうか?

引き続き、LGBT業界のウオッチングを続けていきたいと思います。

どうぞ、良いお年をお迎え下さい。

2010/11/05

2008年11月に、レインボーノート第1回目の記事「はじめまして。行政書士・中橋優です」を掲載してから、2周年を迎えました。

隔週金曜日の連載を続けて2年、読者の皆様に心からお礼を申し上げます。

レインボーノートの掲載を始めて以降も、様々なLGBT当事者やその関係者との出会いがありました。

中にはレインボーノートの記事を読んだことがきっかけで、レインボーサポートネットにご相談を寄せられた方もおられました。

レインボーノートは、『当たり前に存在するごく普通のLGBTの皆さんとの出来事』を書くことによって、より多くの皆さんに、LGBTのことを正確に知って頂こうと思い、連載を始めました。

振り返って記事を読んでみると、ごく普通のLGBT当事者の方ではないパターンの記事も多く、ややセンセーショナルに記事を書こうとした形跡も見受けられました(焦)

ただ、そうしたセンセーショナルな出来事は、私の記憶の中に深く刻まれた事実であり、やはりそうした出来事を記事にすることで、読者の皆さんの共感を求めた部分もあるのかなぁと思いました。

レインボーノートの読者の方の中には、LGBT当事者の方もそうでない方もおられると思います。

常に私の主観と経験談で構成しているレインボーノートですが、全ての記事が全ての人に共感してもらえるわけではないと思っています。

必ずしも、LGBT寄りではなく、かと言って、ヘテロセクシャル寄りではなく、決して中立を目指しているわけでもなく、私自身の考えを発信して、それをネタに読者の皆様で賛否両論考えて頂ければ幸いです。

一番気をつけていることは、社会に対して大きな声を上げることのできない普通に生きている大多数のLGBT当事者の方の様々な声を代弁したいということです。

行政書士業務を通じて、日常的にLGBTの皆さんと接するようになり、それぞれのお客様の生き方に触れ、特に遺言や相続といった人生の『終活』をサポートする業務では、そこで生じる様々な人生模様を目の当たりにして、LGBTもその関係者も全ての人が、自分らしく幸せに生きることのできる社会が実現する日が早く到来して欲しいと切に願うようになりました。

セクシャルマイノリティに限らず、あらゆるマイノリティ(少数派)に優しい社会は、きっと大多数の人々が暮らしやすい社会でもあると思います。

この2年だけでも、LGBTに関する世界的・国内的な社会情勢は大きく変化しました。

アメリカでは、先日行われた国勢調査で、初めて、同性パートナーの存在を想定したような項目が設けられ、日本では同様の配慮について、参議院の決算委員会で質疑も行われました。

行政機関各部で「LGBTの存在を公的に認知する」という取り組みがようやく始まろうとしています。

行政書士として、行政手続や権利義務に関する手続において、こうした取り組みについて、LGBT当事者の皆さんと共に注視していこうと思います。

毎回、記事のネタが切れるのではないかと不安に陥ることもありますが、人間模様を描く記事に終わりはないということに、いつも気付かされます。

今後とも、レインボーノートをよろしくお願いします。

2008/11/07

はじめまして。
行政書士という仕事を通じて日々LGBTの皆さんと接している中橋優と申します。
この度、ご縁があって記事を書かせて頂くことになりました。
私が体験してきたLGBT当事者の皆さんとの様々な出来事を題材にして記事を書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。

LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったものです。
こうした性的少数者の方々に関する様々な行政手続や法的手続の相談、時にはよろず相談まで承っております。
私がこの世界に足を踏み入れたきっかけは、数年前に遡ります。
友人に、結婚について相談にのって欲しい人がいるのでお願いしたいとの連絡をもらい、指定されたファミレスに行くと、友人とA子さんとB子さんが待っていました。
しばらく雑談などした後、おもむろにA子さんが「私たち、結婚したいんです」と切り出しました。
私は「そうですか。おめでとうございます。お2人ともですか?」と、今思えばトンチンカンな返事をしてしまいましたが、その時は、その2人の女性がそれぞれに結婚を控えていると勘違いしたからでした。
少し困ったような表情をしている2人の女性を見かねて、私の友人が「結婚するのはこの2人だよ」と言いました。
「え?・・・ということはつまり、、その、あの、、」私が言葉に詰まっていると、B子さんが「ビアンなんです」と私に言いました。
そう、これが私にとって初めてのレズビアンの方との出会いでした。
A子さんとB子さんは結婚をしたいので、その手続きについて行政書士である私に相談されたのでした。
もちろん我が国では同性婚は認められていません。婚姻と同じような法的効果を持つ手続きは養子縁組ということになります。あくまで婚姻ではなく、法律上の親子になる意思をもってする手続きが養子縁組です。同じ戸籍に入る事になるので、そういった意味では『入籍』ですね。
A子さんとB子さんに、養子縁組により生じる法的な効果やメリット・デメリットを説明してその日の相談は終わりました。後日、2人は養子縁組をして入籍されました。
この件をきっかけに、A子さんとB子さんが通っていたビアンバーの友人たちの相談も受ける様になり、紹介、紹介の繰り返しで、ゲイの皆さんの相談も受けたり、ゲイビデオ会社の起業手続からLGBT関連企業の許認可手続、経営コンサル、顧問などをするに至りました。この間、本当にあっという間でした。
この後、こうしたLGBTの皆さんの様々なご相談にもっと幅広く、そして機動的に対応するために、仲間の行政書士3名と『レインボーサポートネット』を結成し、LGBTの皆さんの法務支援・行政手続支援を行っています。
昨年、レインボーサポートネットの活動がマスコミの目に止まり、新聞などで取り上げられ、全国から多くのご相談や講演のご依頼を頂くようになりました。
今日に至り思うことは、LGBT当事者の方は全国どこにでも居て、どんな職業でもどんな集団にもほぼ確実に存在するということです。
そして、見た目でLGBT当事者だと分かってしまう人は実は少数で、大多数の人は他人に気づかれずに自分のセクシュアリティの秘密を保っています。
ごくごく当たり前の日常に、あなたのすぐ側に、LGBT当事者は存在します。
それは何ら特別なことではありません。セクシュアリティにおいてのみ少数派なだけであって、もしかするとあなたの良き友人であったり、溺愛する息子・娘だったりするのです。
これから私は、そうした当たり前に存在するごく普通のLGBTの皆さんとの出来事を記していきたいと思います。

08:54 | 御挨拶 | 1 Comment