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2014/09/05

今回は中橋と香川さん(仮名・34歳女性)との対談です。

中「香川さんとは同性婚制度をめぐって、かつて激論を交わした事がありましたが、それをまた再現しようと思いまして、今回はご協力をお願いしました」

香「お手柔らかにお願いします(笑)」

中「こちらこそ(笑) まず、香川さんの素性から教えて頂けますか?」

香「素性ですか?(笑) まず、セクシャルマイノリティではありません。専業主婦です。子供が二人います。夫は会社員です。ごく平凡な家庭の一般市民です」

中「ありがとうございます。さて、香川さんは、同性婚制度に反対の立場でしたね。今でも意見は変わりませんか?」

香「はい。変わりません」

中「同性婚制度に反対する理由を教えて下さい」

香「まず、子供の教育に良くないと思います。家族観が歪んでしまうと思うのです。同性婚をする人が増えたら、少子化に拍車がかかるでしょうし、極端な事を言うと、国が滅びませんか?」

中「家族観が歪んでしまうというのは、香川さんの考える家族観のことですよね。多様な家族の在り方が認められても良いのではないかと私は思いますよ。同性婚をする人が増えたとしても、それを選択するのはそもそも同性愛者の皆さんですから、少子化と結び付けるのはおかしいと思います」

香「多様な家族の在り方って何ですか?家族というのは、父親と母親と子供で構成されるものではないですか?」

中「例えば、シングルマザーやシングルファザーの家庭、ゲイカップルやビアンカップルの家庭なども家族と呼んでも良いのではないかということです」

香「そういう家庭があるのも理解はできます。でも、基本は、両親と子供で構成されるべきだと思います。その基本形を尊重する事が、法律的にも重要なはずです」

中「なぜ、基本形にこだわるのですか?」

香「様々な家族の在り方というのは、結局、無秩序な家族観につながって、家族という概念自体を破壊してしまいかねない気がします。だからこそ、基本形である両親プラス子供という形を大切にし、そういう古来からの家族観を法的にも保護する必要があるのです」

中「両親プラス子供という家族形態が基本であるということには異議はありません。でも、それ以外の家族形態との法的格差を設ける必要はあるのでしょうか?香川さんが心配している無秩序な家族観というのは、あまりにも突飛な考えではないですか?」

香「私から言わせると、ゲイカップルやビアンカップルを夫婦として認めて、法的な家族として認めろという主張の方が突飛ですよ。家族というのはやはり、子供を産み育てるという側面が大きいと思うのです。だから、両親プラス子供が基本形なわけで、子供を持つ可能性が低い人たちの集団を家族として法的に保護する意味はありますか?」

中「現在では生殖医療が発達して、ゲイカップルやビアンカップルが必ずしも子供を持てないとは限りませんよ」

香「そういう先端医療を利用すれば可能かもしれませんが、大切なのは、自然な状態で子供を持てることだと思うのです」

中「香川さんは、自然な状態で子供が持てるカップルでなければ家族と認められないというわけですか?」

香「法的な保護に値する家族には当たらないとするのが妥当だと思います」

中「その考え方だと、家族の価値は子供の有無、あるいは自然に子供を持てる可能性の有無にあるというわけですか?」

香「法的に保護する家族の価値としては、そうだと言えますね」

中「それは何故ですか?」

香「国家にとっては、次世代をきちんと産み育てていくことがとても重要だと思うのです。だからこそ、その機能を果たすべき家族は法的に保護されるべきだし、それ以外の家族は法的な保護の価値までは無いと思います」

中「まとめると、同性婚制度は、子供を産み育てる基本的な家族とはかけ離れた家族像だから、制度自体を法的に保障する必要まではないだろうということですか?」

香「はい。別に、同性カップルの存在自体を否定する気はありません。でも、法的に夫婦と認めて、家族として法的に保護するまでの必要性を感じません」

中「香川さんの言う必要性とは、国や大多数の異性愛者の人たちにとっての必要性であって、当事者の気持ちは全く無視されています。セクシャルマイノリティ当事者が同性婚制度の導入を切望しているのであれば、そこに必要性が生じるのであって、その必要性の内容について吟味すべきです」

香「そもそも家族とは何か?という意見の対立だと思いますよ。私は、家族というのは、子供を産み育てる最少構成単位だと思っています。だからこそ、法制度上の保護を受ける事ができるという見方です」

中「そうですね。家族の定義についての対立かもしれませんね。この溝は埋められないのかもしれませんが、結局のところ、法改正には国会の審議を経る必要があるので、政治的にそういう機運になり得るかという事が全てです」

香「それに当事者の皆さんが本当に同性婚制度の導入を望んでいるのかという点も知りたいですね」

中「その点には同意しますね。だからこそ、当事者の側から法改正に向けた政治的なアピールがされないと、世論に訴えるきっかけすらできませんね」

香「欧米で同性婚制度が導入されつつあるからといって、日本も同じようになるとは限らないと思います。家族観について、私と同じように考える人は多いと思いますよ」

中「そうですね。私もすぐにそういう機運の高まりは無いだろうと思っています。しかし、多様な家族の在り方について、社会はもっと寛容になるべきだと思いますし、そうすることが国益にも適うと思っています。今回はありがとうございました。またいつか続きをお願いしたいと思います(笑)」

香「またいつでも戦います(笑)」

2014/08/08

今年も暑い夏ですね。そして、雨や台風も酷い。これも異常気象と言われる現象なのでしょうか?

さて、夏のこの時期、レインボーサポートネットのメール相談では、若い世代の方々からの相談が増える時期でもあります。

夏は解放的な気分になる季節であるのか、毎年、ダイレクトに性的な事柄に関する相談が寄せられます。

昨今は、パソコンやスマホで簡単に調べたい事項の回答が得られる時代になりましたが、そうした情報が果たして正しいのか?自分自身にあてはめた時にどうなのか?という観点での質問をメール相談として寄せられるのです。

中でも多いのは、リスキーな行為(いわゆる脱法ドラッグの使用や無防備な性行為など)をしてしまった後に、自責の念や困惑、事後の影響などに関する相談です。

10代や20代前半の若い世代の、夏に経験する非日常な体験が、その後の人生の糧になるような良い体験ならばいいのですが、残念ながら危険な誘惑に乗ったことによる悪い経験であることが多いのが現状です。

自分自身でも後悔しているのならば、やってしまったことは取り返しがつきません。大切なことは過ちを繰り返さない事です。

大人への入口は、リスクの扉ではありません。

若い時は、確かに、多少の無鉄砲な振る舞いをしてしまうのかもしれません。でも、昨今の青少年への夏の誘惑は、その後の人生を不幸にしてしまう程の卑劣さを持つものが少なくありません。

情報だけが氾濫し、興味本位で安易にリスクを犯しがちな若者達に、身近にいる大人が、自分自身を大切にすることの重要性を普段から教えてあげる事が大切であると思います。

2014/06/27

ある日、レインボーサポートネットの相談所に、中学生の子を伴った母親が相談に来られました。

相談の内容は、「子供が同性愛者である事を母親にカミングアウトし、母親としてはどうして良いかわからない。子供が大人になった後、同性愛者がどのような人生を送ることになるのかを、教えてほしい」というものでした。

話を良く聞いてみると、母親としては、同性愛者が悲惨な人生を送ることを子供に教えて、改心して欲しいという意図があることがわかりました。

子供の行く末を心配する親心なのでしょうが、あまりにも短絡的で無知な決め付けです。

まだ中学生という年齢ですから、セクシュアリティを決めつけるようなことはせず、子供からのカミングアウトに対しては、包容力をもって接してあげることが重要なはずです。

この母親と子供には、様々なセクシュアリティの人たちの話をし、その分類自体を気にする必要はなく、自分を型にはめようとする必要はないのだということを説明しました。

子供なりに悩み、決断して母親にカミングアウトしたのでしょうから、まずは、それを受け入れてあげなければいけません。その上で、年齢的にまだ若いので、自分のセクシュアリティを決めつけたりせず、自分の心に素直に生きていくことの大切さを説くべきではないでしょうか。

LGBT当事者の皆さんのお話を伺うと、小学生とかそれ以前から、恋愛対象や性的興味が同性に向いていたという方が多いのも事実です。

ということは、この子供も、大人になったらやはり同性愛者になるかもしれません。

しかし、まだまだ精神的に未熟な年齢の時に、自分自身を型にはめるような意識を植え付けることは、自我の形成に悪い影響を与える気がしてなりません。

特に母親の愛というのは、どこまでも寛容な包容力であるべきです。

実は、この相談は今から約5年ほど前のものです。先日、この母親からお手紙を頂きました。

当時中学生だった子は、大学生になったそうで、先日、異性の恋人を母親に紹介したそうです。

「もし、あの時、子供のセクシュアリティを決めつけるような対応をしていたら、子供はその型にはまってしまい、かえって、自由な心をを奪われていたかもしれません」とのことでした。

もちろん、異性の恋人を連れて来たからといって、セクシュアルマイノリティでないとは限りません。

この母親は安堵の気持ちでお手紙を寄せられたのだと思いますが、この先も寛容な包容力を持ち続けて欲しいと思います。

2014/01/24

セクシャルマイノリティの皆さんが、LGBTとして生きていくことの困難さを実感するのは、義務教育~高校時代であると言われています。

この時期は、幼年期から急激に心身共に成長する時期であり、『学校』を舞台とした子供社会にドップリとハマる時期でもあります。

友人関係や先輩後輩の関係、教師との関係等の本格的な人間関係を体感で学ぶ重要な時期です。

そして、この時期に、自分のセクシャリティを自認する人が多いのも特徴です。

「自分が人と違う」と、自分自身と周りの友達との性自認の違いを認識し、そこで生じる様々な葛藤や焦燥を経験し、人生や社会の壁を実感することが多いのです。

当事者がどのような実感を抱いたかを、実体験から読み解き、全セクシャリティの子供たちがより良い教育を享受するためにも、実際のデータの収集が欠かせません。

各地の研究者が、こうした分野について研究し、教育現場に生かすことのできるノウハウの構築を実行してくれれば、そのノウハウを用いて、現場の教師の皆さんに適切な指導を実行して頂けるのではないかと思います。

なお、現在、下記のHPで、LGBT当事者の皆さんの学校生活に関するアンケート調査を行っております。貴重なデータの収集にご協力頂ける方は、よろしくお願い申し上げます。

http://start.cubequery.jp/ans-015002c3

2013/05/17

昨年、ある町の家庭教育学級で「第三の性教育」と題して、小中学校に通う子供を持つ保護者の皆さんを対象に講演を行いました。

第三の性というと、いわゆる半陰陽や両性具有を指す場合もありますが、私の言う第三の性教育は、セクシャリティに関する教育ということを意味します。

LGBTの区別や特徴、子供のLGBT当事者が抱える悩みを実例を紹介しながらお話しました。

講演から約1年経った先日、講演を聞いて下さった保護者の方から、児童・生徒のセクシャリティの問題に対して、より一層理解を深めるために、勉強会を作り、その成果発表を行ったという知らせを頂きました。

子供がセクシャリティに関する悩みを抱えている時、家族がその悩みを理解してあげることは、その後の人生を左右するほど重要なことです。

悩みを打ち明けられたら、その話を遮ったり、既成概念を押し付けるようなアドバイスをしたりせず、一緒に時間をかけて考えていこうという姿勢が必要です。

LGBT当事者には、家族関係が良好でないという方が多く見受けられます。

家族がセクシャルマイノリティに対する正しい理解と対応を身につけてくれていれば、少なくとも家族の中で孤立するようなことはないでしょう。

今回の家庭教育学級の受講者の皆さんのように、自発的にLGBT当事者への理解を深めようとする動きが、他の保護者の皆さんにも広がることを祈るばかりです。

子供の最大の拠り所は『家庭』であるはずです。その家庭内で、自分の居場所を失うことほど悲しいことはありません。

LGBT当事者の多くは、10歳未満の年齢で、既に自分自身がセクシャルマイノリティであるということを自認していたと言います。

子供のいる家庭の多くは、自分の家庭には無関係だと思い込んでいるのが現状でしょうが、それは大変危険です。

知らず知らずのうちに、我が子に家庭内での疎外感を感じさせないようにするためにも、第三の性教育を全ての家庭で実践して欲しいと願っています。