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2014/03/21

今回は中橋とFTMの「コウキ」さん(仮名・30歳)との対談です。

中「コウキさんは、私の仕事と少し隣接している士業の先生ですね」

コ「先生だなんて、まだまだです。資格は取りましたが、先輩の事務所で修行中の身ですから」

中「将来は独立ですか?」

コ「えっ、いやそれはどうでしょう(焦) 今はとにかく仕事を覚えるのが精一杯なんで」

中「どういうお仕事か説明してもらえますか? 私はわかっていますが、対談の記事を書きますので(笑)」

コ「はい(笑) 土地家屋調査士といって、不動産の測量をして、表示の登記をする仕事です。外にいる事が多いので、日焼けに困ります(笑)」

中「つまり、不動産の大きさや種類などの状況を登記簿に記載するために必要な測量や図面の作成をするお仕事ということですね」

コ「そうです。わかりやすく説明するのって難しいですね」

中「確かに外にいる事が多いお仕事でしょうが、図面を作成したり、申請書を作成するのは屋内ですよね?」

コ「はい。でも、私は専ら現場で修行中です。作業着が心地よいと感じる今日この頃です」

中「コウキさんは、FTM、つまり、肉体的性別は女性だが、心は男性というわけですね。見た目は、イケメンですから、FTMだと気付かれないことも多いのではないですか?」

コ「はい。これだけゴツイと気付かれないですね。同じFTMの友達からは、偽物扱いされます。まぁ、いいのですけど(爆)」

中「仕事上では、FTMであることの支障はありませんか?」

コ「名前がですね~『〇子』なんですよ。よりによって。だから、身分証明的な部分で困ります。早く手続きをして改名したいです」

中「う~ん、そのイカツサ、、いやイケメンぶりで、〇子は有り得ないですねぇ」

コ「でしょう。こういう仕事だと、戸籍上の名前で仕事をしないといけないので、将来的に独立して事務所を開設する際には、改名できていればいいのですが」

中「コウキさんは、性別変更手続まで考えておられますか?」

コ「はい。今はまだ時間が無くて無理ですが、仕事にある程度の自信が持てて、自分の時間を多く取れるようになったら、手術を受けたいと思っています」

中「ためらいはありませんか?」

コ「ありません。むしろ待ち遠しいです!」

中「意思は固いようですね。でも、今は仕事最優先ですか?」

コ「はい。まだ修行中ですから。一人前になるまで頑張ります!」

中「応援していますよ。これからもがんばって下さいね。今日はありがとうございました」

コ「ありがとうございました」

2013/08/09

今回は、中橋とゲイのお子さんをお持ちの花田さん(仮名)との対談です。

中「息子さんからゲイであるとカミングアウトされた時の心境をお聞かせ下さい」

花「息子の成人式の日の朝でしてね。最初は冗談かと思って、夫と軽く笑い飛ばしてみたのですが、息子は大まじめに告白していたんですね。それで、よくよく話を聞くと、本人は前々からこの日に告白しようと心に決めていたようで、その真剣さに安易な返事が出来なくなって私たち親としては黙り込んでしまいました。当の本人は、告白するとスッキリしたようで、その日は成人式の後にお友達と遊びに行って帰りは遅かったですね」

中「ご両親としては、直ちに現実に直面するのは難しかったわけですね?」

花「それが現実かどうかも分からないというか、そもそも同性を好きになるってどういうことかと理解ができませんでした」

中「ご両親はその後にどう対処しましたか?」

花「夫婦で話し合ったのは、とにかく息子は息子であって、彼の人生が幸せであることを願う気持ちに違いはなく、まだ若いことですし、あまり深刻に考えるのは止めようと決めました」

中「深刻というのはつまり、息子さんがゲイであること自体が深刻な事態であるということですか?」

花「はい。息子の人生にとってプラスになることだとは思いませんでしたから、当時は」

中「つまり、ご両親の間で、息子さんがゲイであると受け入れることに大きな抵抗感があったわけですね」

花「そうですね。息子自身にもまだ決めつけて欲しくない気持ちがありました。う~ん、今でもあるかもしれないです」

中「カミングアウトをされてから、息子さんに対する接し方が何か変わりましたか?」

花「変わらないように努めました。でも、息子から見ると無理していたように見えていたようですね」

中「そう息子さんに言われた?」

花「はい(苦笑) 息子は同性愛を告白してからは、私たち親を気遣いながら、無理しなくていいから、本当はどういう息子であって欲しかったとか、そういうことをぶつけてくれていいと言うんです。でも、そんな風に息子に接することは私たち夫婦にはできませんでした」

中「優しい親御さんですね。でも、そのフラストレーションはなかったのですか?つまり、息子さんがゲイでなければよかったのにとか、そういう願いを思うことは?」

花「それは思いますよ。今でも。でも、息子も、好きでそういう道を選んでいるわけじゃなくて、自然な感情がそういう方向に行くのであれば、もう仕方が無いと思うしかなくて」

中「とても理解があるご夫婦に思えますが、ゲイやLGBTについて何か学ばれたのですか?」

花「息子に告白されたから、図書館やインターネットで夫婦で調べてました」

中「勉強熱心ですね。素晴らしい」

花「いえいえ、とんでもない。最初は、息子の同性愛を何とか治すことができないかと思って調べていたのですよ」

中「治すことができそうですか?」

花「できないんですね。そう、病気じゃないし、そもそも治すという考え方自体が間違っていたのですね。そういうことに気付いてから、ようやく息子と真剣に向き合えるようになったのかもしれません。ケンカとか一方的な押し付けじゃなくて、親としては親としての人生論というか指導的な物言いではあるけれども、息子とたくさん議論をしました。今でもそうです」

中「親として苦しんだのですね」

花「本人に比べたら大したことないと思います。本人はこれからの人生の中で、苦しいことも沢山あると思います」

中「今、息子さんとの関係はどうですか?」

花「普段は特に何も変わりません。でも、息子の将来の話とか、息子と同世代の親戚が結婚するとかいう話になると、ちょっと未だに息子に対する遠慮の様な気持が起りますね」

中「息子さんに結婚話を聞かせるのは悪いと思うからですか?」

花「私たち親が息子の結婚を望んでいると思われると、彼にとってストレスなんじゃないかと…」

中「結婚を望んでいるの?」

花「正直、息子がある日を境に同性愛を止めてくれて、女性と結婚して家庭を築くと言ってくれたら、嬉しいと思います」

中「親としてはそれが本心でしょうね」

花「はい。でも、無理なのはわかっています。息子が彼の生き方で幸せになれるように願っています」

中「息子さんが彼氏をご実家に連れてきたそうですね?」

花「はい(笑) もう一人息子が出来たような気分でいます。いい子だったので、その点はホッとしていますが、彼らの世界のことは彼らにしか分からないことがたくさんあって、そこは親としても立ち入らないようにしています。息子ももう大人ですから、自分の責任で自分の人生を切り開いていって欲しいと願うだけです」

中「今回、ご希望により詳細な家族構成は伏せていますが、他のご家族はご両親と同じような理解のされ方をしているのですか?」

花「今ではもう家族全員が事情を知っていますが、未だに理解が悪いというか受け入れられない者もいます。でも、受け入れること強要すべきではないとも思いますから、家族内不統一も仕方が無いと思います」

中「また、数年したらお話しをお聞きしたいですね。ご家族のお幸せを心からお祈り致します」

花「ありがとうございます。機会がありましたらまた」

2013/07/26

LGBTの皆さんから、終活に関する相談をお受けすることも増えてきました。

その中で、自分自身の遺骨の納骨について、どのようにすれば良いのか全くわからないという相談が時折寄せられます。

自分の死後の供養について、後の世代に託すことができないという事情を持つLGBTの皆さんは多くおられます。

そうした場合、いわゆる永代供養の手配をして、墓や納骨堂に納骨することになります。

つまり、生前の元気なうちに自分の納骨場所を確保する必要があるということです。

なお、永代供養を行う場合には、契約内容についてよく確認をすることが必要です。例えば、納骨堂の個人用スペースに33年間は収容されるが、それ以降は共同供養塔に移されて永代供養される場合などがあります。果たして、未来永劫、特定の場所で供養してもらう事が出来るのかどうか、きちんと契約内容を理解しておくことが必要でしょう。

お墓や納骨堂の他に、近年は新しい納骨方法が話題になっています。

①樹木葬:特定の樹木やモニュメントのそばに、墓標を設けずに遺骨を埋設するものです。細かい区画に分かれていますが、傍には他人の遺骨が収納されるので、見ず知らずの人と一緒に眠るイメージです。同じお墓に入るという意味で、生前に「墓友」として交流するケースもあるとか。

②散骨:遺骨の一部を細かく粉砕した上で、自然界に撒くものです。量的に、ごく少量に限られるので、納骨の補助的手段として用いるべきでしょう。なお、散骨する量が多かったり、散骨したものの上に土を被せると違法になります。

③手元供養:遺骨の一部を粉砕して、宝飾性のある物の中に収納して持ち運ぶ(例えば、ペンダントや指輪など)ことや、宝飾性のある置物の中に遺骨を入れて自宅に保管すること、遺骨自体を加工してアクセサリーにすることなどです。大切な恋人・パートナーと死後も一緒にいることができるといった理由で、この方法を選択する方もおられます。

自分の遺骨を、誰が引き取ってくれて、どのように納骨してくれるのかということを、いつまでも?マークにしておくことは、LGBTの皆さんにとっては、解決しない気がかりをいつまでも抱え込むことになります。

もしかすると、必要な「その時」が来るまで、死後の供養の事など全く考えないのかもしれません。

しかし、それでは、将来的に誰かに迷惑をかけたり、本人の望まないような供養になってしまう可能性が増してしまいます。

もうすぐお盆のこの時期、ご自分の年齢にかかわらず、自分のお葬式のあり方やその後の供養について考えてみてはどうでしょうか?

共に人生を歩んでいくことを誓い合ったパートナーがいる方は、二人でじっくり話し合ってみて下さい。それは、遺されたパートナーの負担を減らしてあげることにもつながるからです。

2010/11/05

2008年11月に、レインボーノート第1回目の記事「はじめまして。行政書士・中橋優です」を掲載してから、2周年を迎えました。

隔週金曜日の連載を続けて2年、読者の皆様に心からお礼を申し上げます。

レインボーノートの掲載を始めて以降も、様々なLGBT当事者やその関係者との出会いがありました。

中にはレインボーノートの記事を読んだことがきっかけで、レインボーサポートネットにご相談を寄せられた方もおられました。

レインボーノートは、『当たり前に存在するごく普通のLGBTの皆さんとの出来事』を書くことによって、より多くの皆さんに、LGBTのことを正確に知って頂こうと思い、連載を始めました。

振り返って記事を読んでみると、ごく普通のLGBT当事者の方ではないパターンの記事も多く、ややセンセーショナルに記事を書こうとした形跡も見受けられました(焦)

ただ、そうしたセンセーショナルな出来事は、私の記憶の中に深く刻まれた事実であり、やはりそうした出来事を記事にすることで、読者の皆さんの共感を求めた部分もあるのかなぁと思いました。

レインボーノートの読者の方の中には、LGBT当事者の方もそうでない方もおられると思います。

常に私の主観と経験談で構成しているレインボーノートですが、全ての記事が全ての人に共感してもらえるわけではないと思っています。

必ずしも、LGBT寄りではなく、かと言って、ヘテロセクシャル寄りではなく、決して中立を目指しているわけでもなく、私自身の考えを発信して、それをネタに読者の皆様で賛否両論考えて頂ければ幸いです。

一番気をつけていることは、社会に対して大きな声を上げることのできない普通に生きている大多数のLGBT当事者の方の様々な声を代弁したいということです。

行政書士業務を通じて、日常的にLGBTの皆さんと接するようになり、それぞれのお客様の生き方に触れ、特に遺言や相続といった人生の『終活』をサポートする業務では、そこで生じる様々な人生模様を目の当たりにして、LGBTもその関係者も全ての人が、自分らしく幸せに生きることのできる社会が実現する日が早く到来して欲しいと切に願うようになりました。

セクシャルマイノリティに限らず、あらゆるマイノリティ(少数派)に優しい社会は、きっと大多数の人々が暮らしやすい社会でもあると思います。

この2年だけでも、LGBTに関する世界的・国内的な社会情勢は大きく変化しました。

アメリカでは、先日行われた国勢調査で、初めて、同性パートナーの存在を想定したような項目が設けられ、日本では同様の配慮について、参議院の決算委員会で質疑も行われました。

行政機関各部で「LGBTの存在を公的に認知する」という取り組みがようやく始まろうとしています。

行政書士として、行政手続や権利義務に関する手続において、こうした取り組みについて、LGBT当事者の皆さんと共に注視していこうと思います。

毎回、記事のネタが切れるのではないかと不安に陥ることもありますが、人間模様を描く記事に終わりはないということに、いつも気付かされます。

今後とも、レインボーノートをよろしくお願いします。

2010/04/09

今日は少し硬いテーマです。

まず、『成年後見制度』というのをご存知でしょうか?

これは、心身に障害を負ったために、判断能力が不十分になり、自分自身で財産管理や契約などの行為をできなくなった人を保護し支援する制度です。

具体的には、認知症や植物状態などに陥った場合に、しかるべき人に自分の財産管理などの法律行為を委ねるものです。この「しかるべき人」とは、成年後見人・保佐人・補助人などと呼ばれます。

成年後見制度には、二つのものがあります。一つは、法定後見制度です。これは、既に判断能力が失われた人に対して行われる後見です。

そして、もう一つが今日のテーマである「任意後見制度」です。

任意後見制度は、本人の判断能力が十分にあるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、予め自分の指定する人に、療養看護や財産管理に関する事務について代理する権限を与える契約を結んでおく制度です。

本人が実際に判断能力が低下した場合には、自分が指定した人が任意後見人となって、予め結んだ契約の内容に従って後見事務を行います。

元気なうちに任意後見契約を結ぶことで、自分の万が一の際にどうして欲しいかを予め意思表明できるというメリットと、実際にそれを自分の指定した人に行ってもらえるというメリットがあります。

この任意後見制度、実は、LGBTにすごく向いているのです。

歳をとって判断能力が鈍ったり、不慮の事故で植物状態に陥ったり、そういう時は多くのケースで親族が本人のためにあれこれと手続きをするのが一般的でしょう。法定後見の申し立てを親族が行う場合も増えてきました。

しかし、LGBTの場合、親族との関係が必ずしも良好ではなく、残念なことに絶縁状態にある方も多くおられます。

加えて、知られたくない秘密やパートナーに財産を残しておきたい場合など、個人的事情が非常に複雑なケースがよく見受けられます。

こうした方は、任意後見制度を利用して、予め自分の信頼できる友人や、永遠の愛を誓い合ったパートナー、私のような専門士業職と任意後見契約を結ぶことにより、万が一の際に様々な手続きをスムーズに行うことができ、自分の希望に即した財産管理や療養看護が行われます。

任意後見制度は、『親の面倒は子供がみる』という概念では対応できない状況にあるすべての人に対して有効な制度です。

誰しも考えたくない「万が一の時」に備えてのものですが、超高齢化社会といわれる今日において、その需要は日増しに高まっています。

自分の判断能力が十分なうちから、老後のこと・万が一のことを真剣に考えてみてはどうでしょうか?

LGBTの方の場合、大切なパートナーに自分の万が一の場合の対応を、法的に委ねることのできる画期的な制度でもあるのです。