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2007/07/31

「桃生の本棚」は毎月第5週に、桃生が好きな本の話をするコーナーです。
第一回目のテーマは「リリシズム」。
辞書的な意味はさておいて、「キュンと来て、ちょっと淋しい」が
桃生辞書でのリリシズム。
今回は以下の作品を選んで見ました。

■「金の輪」小川未明 著
■「佇むひと」筒井康隆 著

小川未明はリリカルな作品が多くて読むたびに胸がキュンキュン
するのですが、そのなかでもこれは別格。
ものすごく短い(何しろ文庫版では3ページしかない)お話ですが、
ひとりの少年が死に向かう一瞬のひかりの美しさ、そのぽっかりとした
虚空のあかるさが衝撃を与える名作です。
誰もいないどこまでも続く野原へ少年が駆けていく。
そこは、不純物がいっさい入らない世界なのです。
絵本のような語り口で描かれるこのおはなしは、追いかけて行けない
世界を覗いてしまったような衝撃の後に、じわっと淋しさが広がります。

筒井康隆のリリカル短編のなかでも、確実に5本の指には入りましょう。
「佇むひと」は初期の作品でありながら、現在の彼の作品に少ない
良質の叙情性が漂う名作です。
(余談ですが、かなり創作漢字が頻出する作品。この一作のために、
出版社の人は活字を造ったんだろうとその苦労を偲ぶのも一興です。)
人間性の抑圧された世界を描いて批判性も高いお話ですが、
禁じられながらもかつての妻が崩壊していく姿を見つめる主人公に
胸キュンゲージは上がりっぱなしです。
どうにもならない切なさ諦めがほろにがく漂う、大人のための短編です。

どちらの作品も文庫化されていますので、リリシズムに浸りたいひとは
是非ご一読をおススメします。

11:19 | ◎Art | No Comments
2007/05/21

「JUNK STAGE」をお読みの皆様、はじめまして。
このたびこちらで小説を書かせていただくことになりました、
桃生苑子(ももうそのこ)と申します。

さて、何からおはなししたものやら判りませんので、
まずは簡単に自己紹介。
私は「桃色ノート。」で小説や短歌を書いております。
好きな色は桃色、好きな言葉は粋、好きな天気は曇り空。
すきな作家はいつもいっぱい。
大体そんな人間です。

ここでは、ブログで読める、みじかいお話を月に2本書いていきます。
折角面白いことが出来る場所にみなさんと来れたのですから、
がんばって面白いお話を書いていきたいなぁ。

東京は不思議な街です。
似たような歳の、似たような人がまったく違っていることや、
まったく似ても似つかない人たちが仲良しだったり、
そんな不思議をいつも感じてきました。

だから、ここで書くお話もそんな二人のおはなしです。
「彼」に似たあなたがいて、このおはなしを読んでいる。
「彼女」に似たあなたがいて、このおはなしを読んでいる。

「彼」と「彼女」はめでたく恋に落ちるかも知れませんし、
もしかしたら出会わないかもしれません。
「彼」はあなたであってあなたではなく、
「彼女」もあなたであってあなたではない。
けれど、どこか似ている部分があったら、面白いなと思います。

月に二回、今読んでくれているあなたに向けて、
このおはなしをしていきたいと思っています。
あなたが会いに来てくれたらいいな、と思いながら、
わたしもおはなしをしたいと思います。

どうか、よろしくお願いします。

12:06 | ◎Art | No Comments