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2013/05/31

結婚式当日

雨女の私、当日の天気がとっても気になるところではあったが、
すばらしい秋晴れに恵まれた。

花嫁の朝は忙しい。
スケジュールの確認をして、一度きりの大舞台の気持ちで支度を整えていった。

乳がんに罹患しなければ、とっくに済ませていたはずの結婚式。
髪も抜けないうち、肌もこれまでと同じうち、
治療を始める前になんとか式だけでも!と、身内だけでとも考えていた結婚式。

しかし、結婚式があるから頑張ろう!
そう思って治療に立ち向かえないだろうか、という夫の意見もあり、
入籍から実に1年半の時間を要し、やっとこの日を迎えることができた。

夫の仕事が政治関係ということもあり、ゲストの方々の控え室が私の控え室よりも大きい
というサプライズがあったり、ホテルマンではなく、SPが出入り口にいたりと、
少々物々しい中でのスタートだった。

式は滞りなくすすみ、披露宴へ。
ゲストの方々からいただくありがたいスピーチや余興もあり
皆とても喜んでくれ、笑顔の絶えないすばらしい披露宴だった。

そうして最後、「両親への手紙」の時間になった。

本来であれば、両親へあてるものだけれど、
私は、どうしても、姉にも向けて感謝の言葉を伝えたかった。
両親と姉、三名にあてて手紙を読んだ。

このとき、31歳、決して順風満帆な人生ではなかった。
大学付属の高校に進学したのに、その大学を中途退学してしまったこと、
困らせるようなことばかりしていた若い頃だったが、
やっと今の会社に就職し、式ではすばらしいスピーチをいただける上司に巡り会い、
仕事を一生懸命することが、これまでの恩返しになると思っていたこと。

そして、結婚が決まった後に、乳がんに罹患したこと。

これは夫の列席者の中には、知らない方もいたことだったので、
言うか言うまいか、非常に悩んだ。

しかし、私の中では、その人生において一番苦しかったときにこそわかった、
家族の絆、あたたかさ、やさしさ、ありがたさ。
これを伝えなくして、何を伝えようと思い、手紙をしたためた。

抗がん剤治療中、身も心も、ボロボロになりながら続けていく中で
辛いのは自分だけだと思ってしまっていた時期があったこと。
なんだかんだ心配してるって言ったって、
治療を受けているのはこの私で私が一番つらいんだ!と
そんな風にまで、やさしく接してくれる家族に対して思ってしまったこと。

でも、そんなときに、母が
「代われるものなら代わりたい」と父に話していることを知った。

そこではじめて思った。
お母さんが乳がんになんてなったら困る!と。

私でよかったのだ。
母でもなく、姉でもなく、私でよかったのだ、と。

私が乳がんを罹患して、みんな辛い思いをしていた。
治療の辛さは本人でなければ分からない。どうして支えたらいいのか分からない。
そういう気持ちでいたそうだ。

それを知り、私は必ず元気になろうと強く思ったこと、
また、今日というこのはれの日を迎えられたことがどれだけ嬉しいことか、と・・・
涙で最後まで読めなかったら、と、司会者へコピーは渡していたが、
しっかり読み上げることができた。

父は涙をこらえ、母と姉の笑顔には、涙が見えた。
私は笑顔で読みきった。

・・・次は、お酒のこと~その後をお伝えします・・・

2013/05/31 12:00 | 未分類 | No Comments

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