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2012/04/30

ウィッグを作成したときに、残っていた髪をバリカンで剃り上げてから1年と1ヶ月。
勇気を出して、まばらに生えた髪を切りそろえに出かけた。

美容院の重たいドアを開けると、明るい店内がまぶしく感じた。
それは店内がガラス張りだったからだけではない。
なにかこう、気恥ずかしいような、ちょっと気後れしてしまうような気持ち。
個室に通される前に、髪を触られてしまったらどうしよう。
そんな不安な気持ちもあったかもしれない。
真っ直ぐにスタッフの目を見ることができなかった。

「○時に予約したメグミです・・・個室でお願いしたのですが・・・」

すぐに部屋へ通された私は、心底ほっとした。

椅子に腰掛け、名前や住所など、カウンセリングシートなるものを書き、
お茶を用意してくれたスタッフへとそれを渡した。
しばらくお待ちください、と言われてからの時間が長く感じた。

なんて切り出そう。
前の晩、ずっと考えていたけれど、答えは出なかった。

ほどなくして、担当者が現れた。
希望通り、女性の美容師さん。

「今日はどのようにしましょうか?」

鏡越しに笑顔で話しかけられた私は、突然ワっと泣き出してしまった。

驚いている彼女をよそに、ひとしきり涙を流してから、
小さな声で
「髪を切ってもらいたい」
そう言って、ウィッグに手をかけた。

治療で髪がすべて抜けてしまったこと。
半年くらい前から髪が生えはじめ、ようやくここまで伸びてきたけれど、
美容院へ足を運ぶ勇気がなかったこと。
来てはみたものの、まだ、女性の髪形として成り立たないようだったら、
今日はヘッドスパだけして、またウィッグで帰るのもやむなしと考えていること。

ここまで話すと美容師さんは言った。
「とても似合っていたから気がつきませんでした、ステキなウィッグですね!」

嬉しかった。
きっとそれしか言えない状況には違いなかったのだろうけれど、
手持ちの中で一番気に入っているウィッグをつけてきてよかったと思った。

一年ぶりの美容室でのシャンプーは気持ちのよいものだった。
髪を洗い流し、鏡の前にいる猿みたいな、ひよこみたいな髪型の私。
キレイな毛が生えてきていると褒められ、また嬉しかった。
ただ、ストレートだった私の髪は、そこにはなかった。
天然パーマのごとく、クリンクリンの髪が生えてきていたのだった。
ちゃんと切りそろえてもらっても、それは変わらなかった。

病院で聞いたことがあった。
新しく生えてくる髪の毛質は、前とは変わることもある、と。
まさにその状態。
でも、文句は言えなかった。
だって、こうしてまた生えてきてくれたのだから。

髪が抜け、お風呂場で発狂したのは、つい一年前。
つらい治療、手術を乗り越えてた私の身体はちゃんと、命を感じていた。

これからはウィッグのことを気にせず街を歩ける。
風が強く吹いたって、電車で座ってたって、気にしなくていいのだ。

ワックスをもみこんでもらい、ベリーショートでパーマがかかってるみたいだなんて、
なんだか突然オシャレな人になった気分。
そうだ、大きなピアスを買おう!
夫には友人と買い物に行って来ると言い、出かけた。
もしも、美容院へ行くまでに、弱気になって切れなかった場合のことを考えて。
きっと驚くだろうな!

かくして私は脱ウィッグに成功し、めでたく自毛デビューを果たした。

・・・次は、結婚式の準備~その後をお伝えします・・・

2012/04/30 01:35 | 未分類 | No Comments

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