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2010/07/09

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
【GOOD WILL HUNTING】1997年

言わずと知れた、マット・デイモン【Matt Damon】とベン・アフレック【Ben Affleck】の出世作。
舞台がボストンだったこともあり、オープンカフェや、レンガ造りの建物などの
たった4年住んでいただけのアメリカで故郷とも呼べるその街並みを、懐かしく思いながら見た。

ハーバードやMITなんてほどの大層な大学に通っていたわけではないけれど
ミニー・ドライヴァー【Minnie Driver】演じる女学生スカイラー【Skylar】とのデートシーンに
出てくる風景は、ほとんどがカナダのTrontoで撮影されているらしいものの、
やっぱり雰囲気はボストンで、大学時代を思い出させる。

正直言うと、それほどマット・デイモンをすごい役者と思っていない。
むしろ私の印象は、感情がなく、いつでも平ったい顔をしていて
例えばキアヌ・リーブスのように、~彼と同じ分類と言うことだが~、目立った『特徴』がなく、
イタコのように監督や脚本家の作る 『役』 が降りる役者、と言うイメージ。
(監督がいいと、すごくいい役をする、っていう点がプロ、と思っている)

ただ作品自体の話が良ければおもしろいけれど、
役者である彼からのメッセージを感じた経験はないに等しい。
だからこの映画も特別気にしてはいなかったけれど、ふと思いたって何年ぶりかに見て、
あまりに丁寧で完成度の高さに驚き、何よりマット・デイモンの『感情』がそこにあり再び驚いた。

ボストン南部のスラム街に住むウィル・ハンティング【Will Hunting】、
親のいない孤児で、幼い頃義父に虐待され、警察沙汰前科も数多くあり、誰にも心を開かない。
毎朝迎えに来る親友チャッキー【Chuckie Sullivan】と掃除や土木現場でその日限りの賃金を得、
一日の終わりにはバーに行って飲み明かす。そんな生活の繰り返し。

お金がないのに、なんで酒は飲むんだろう?
酒を飲まずにお金を貯めれば何かしらもっと 『良い』 暮らしができるであろうに。
浅はかにも私はそう思う。簡単なことだけれど、『教養の有無』 による貧富の差のしくみ。

けれど、根本的で精神的なこともある。
誰にでも経験があるように、お金を貯めることだけでは満足は生まれない。
必要栄養素以上のゴハンを食べ、酒を飲み、生きていくのに絶対ではない買い物をする。
そのバランスは半永久的で、近年支出が多くなるヒト達が増えているものの
人間はそのバランスの中で、物理的法則で言えば、減らない増えない何かをまわし続けている。

ひょっとしたら地球が回っているから、全てもまわり続けていかなくてはならず、
羽ばたき続けて飛ぶ鳥が、動きを止めてしまえば落ちるように
その生活の営みを止めてしまったら、世界はどこかに落ちてしまうのかもしれない。

知識を得ると、そのバランスのフィールドが広くなり、バランスを取るべきアイテムが増える。
そして増えたバランスをコントロールするのに更に知識が必要になる。

ウィルは明確に『学校に行く』とういう形で知識を得たわけではなく、
まわりはそれを天才と呼び、彼はその使い道を知らない。

そしてそんな彼の次ステップへのヒト押しをする親友チャッキー。
本当の賢者、バランスの良い人物は彼であろう。

***
C: 親友だからハッキリ言おう 20年たってお前がここに住んでいたら
  おれはお前をぶっ殺してやる。脅しじゃない、本気だ

W: 何の話だ?

C: お前はおれたちと違う

W: またそれか?おれは自分の好きに生きる

C: 待てよ、お前は自分を許せても、おれは許せない
  おれは50になって工事現場で働いていてもいい
  だがお前は宝くじの当たり券を持っていて、それを現金化する勇気がないんだ
  お前以外の皆はその券を欲しいと思ってる それをムダにするなんて、おれは許せない

W: ムダだとなぜ分かる

C: おれはこう思っている
  毎日お前を迎えに行き、酒を飲んでバカ話 それも楽しい
  だが一番のスリルは車を降りてお前んちの玄関に行く10秒間
  ノックしてもお前は出て来ない 何の挨拶もなくお前は消えてる そうなればいい

***
C: Look, you’re my best friend, so don’t take this the wrong way.
  In twenty years, if you’re still livin’ here, comin’ over to my house to
  watch the Patriots games, still workin’ construction, I’ll fuckin’ kill you.
  That’s not a threat. Now, that’s a fact. I’ll fuckin’ kill you.

W: What the fuck are you talkin’ about?

C: Look. You got somethin’ none of us–

W: Oh come on..Wh–Why is it always this, I mean,
  I fuckin’ owe it to myself to do this..why if I don’t want to.

C: All right. No. No no. Fuck you. You don’t owe it to yourself.
  You owe it to me. Cus’ tomorrow I’m gonna wake up and I’ll be fifty.
  And I’ll still be doin’ this shit. And that’s all right, that’s fine.
  I mean, you’re sitting on a winnin’ lottery ticket.
  And you’re too much of a pussy to cash it in. And that’s bullshit.
  Cus’ I’d do fuckin’ anything to have what you got.
  So would any of these fuckin’ guys.
  it’d be an insult to us if you’re still here in twenty years.
  Hanging around here is a fuckin’ waste of your time.

W: You don’t know that.

C: I don’t?

W: No. You don’t know that.

C: Oh I don’t know that. Let me tell you what I do know.
  Every day I come by your house and I pick you up.
  And we go out, we have a few drinks, and a few laughs, and it’s great.
  But you know what the best part of my day is?
  It’s for about ten seconds from when I pull up to the curb to when I get to your door.
  Because I think maybe I’ll get up there and I’ll knock on the door and
  you won’t be there. No goodbye, no see you later, no nothin’. Just left.
  I don’t know much, but I know that.

***

ウィルが今していることがムダだと断言できない。
Oh I don’t know that.
でもチャッキーだけが感じ、知っていることがある。
Let me tell you what I do know.
詳しい理由なんて説明できなくて、でも彼はただ知っているだけ。
I don’t know much, but I know that.

無茶苦茶な論理で、全く説得にもなっていないけれど、
単に自分が叶えられない夢を託す、とかいう理由ではなく
親友として行き先を見失ったウィルに行くべき道が自分とは違うことを伝える。

多分、それだけは伝わったのだろう。

マット・デイモンがいいとか、ベン・アフレックがいいとか、そういう単的ではなく
相互がうまく絡み合った、良い作品と改めて思う。

ちなみに、ランボー教授【Prof. Gerald Lambeau 】役のステラン・スカルスガルド
【Stellan Skarsgård】はパイレーツ・オブ・カリビアンシリーズの“靴紐のビル”ビル・ターナー。
ロビン・ウィリアムズ【Robin Williams】も素晴らしいけれど、
スカルスガルドの知識への情熱と天才への脅威のはざまの人間らしい葛藤ぶりが素晴らしい。

2010/07/09 01:59 | movies | 2 Comments

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