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2012/05/22

セント・オブ・ウーマン
【SCENT OF A WOMAN】1992年
アメリカの生活に慣れ、少しいろんなコトに目を向ける余裕ができた頃

多分この映画からアル・パチーノに注目したのだと思う。
なにしろ、あの名作と言われるゴッドファーザー【THE GODFATHER】を
実はちゃんと見たことがなくて、95年のヒート【Heat】や
97年のフェイク【DONNIE BRASCO】の時にはすっかり好きな俳優になっていたから。

だから私の中でアル・パチーノは最初から“おじさん”で、
“美男子”と言われる彼をあまり知らない。

奨学金をもらい高校に通うクリス・オドネル【Chris O’Donnell】演じる
チャーリー【Charlie】が、感謝祭【Thanksgiving Holliday】のアルバイトとして
家族の旅行中に家に残された目の見えない退役軍人のフランク【Frank】の
面倒を見ることになり、そこから話が始まる。

二人が会う最初のシーン以前にフランクが目が見えないという情報が全く出てこないが、
アル・パチーノの一挙一動があっという間にそれを伝える。

不自然な窓からの陽ざしの中に座り、酒のボトルをさぐる手の動き、
全く瞬きのなく大きく見開く目、威喝するような声、と、とにかく気迫がすさまじく、
この映画はこのシーンだけ見ればそれが全て、と思うぐらいに描写が美しく力強い。

=====

チャーリー: サー?
中佐: “サー”はよせ
チャーリー: すみません ミスター・・・ サー・・・
中佐: とんでもないバカが現れたぞ
チャーリー: すみません ミスター その・・・ 中尉殿(リューテナンド)

中佐: 中佐だ(リューテナンド・カーネル) 軍役に26年に4階級の降格は初めてだ
入れ バカ者 近寄って 顔を見せろ
肌はどうだ
チャーリー: 肌ですか サー?

中佐: 分からん奴だな
“フランク”か“ミスター・スレード”でなきゃー “大佐(カーネル)”と呼ぶがいい
チャーリー: はい、大佐

中佐: チャールズ・シムズ 高校3年 学費援助を?
チャーリー: そうです
中佐: デタラメ申請じゃないのか?
おやじはカー・テレフォンのセールス お袋はウェイトレスで 今はカメラ屋の店員

どうした 死んじまったか?
チャーリー: ここにいます
中佐: 肉体は そこにある 頭に脳ミソはあるのか?

Charlie: Sir?
Frank: Don’t call me sir!
Charlie: I – I’m sorry. I mean mister, sir.
Frank: Uh-oh, we got a moron here, is that it?
Charlie: No, mister — Uh, that is — Uh, Lietenant. Yes, sir, Lieu–

Frank: Lieutenant Colonel.
26 years on the line, nobody ever busted me Four grades before.
Get in here, you idiot!
Come a little closer. I wanna get a better look at ya. How’s your skin, son?
Charlie: My skin, sir?

Frank: Oh, for Christ’s sake.
Charlie: I’m sorry, I don–
Frank: Just call me Frank. Call me Mr. Slade.
Call me Colonel, if you must. Just don’t Call me sir.
Charlie: All right, Colonel.

Frank: Simms, Charies. A senior. You on student aid, Simms?
Charlie: Uh, yes, I am.
Frank: For “student aid” read ” crook.”
Your father peddles car telephones at a 300% markup.
Your mother works on heavy commission in a camera store.
Graduated to it from espresso machines. Hah-hah.

What are you, dying of some wasting disease?
Charlie: No, I’m right– I’m right here.
Frank: I know exactly where your body is.
What I’m looking for is some indication of a brain.

=====

盲目なのに、”Come a little closer. I wanna get a better look at ya.”
よく見たいから近寄れと言い、あまりの勢いに黙り込むと、死んじまったのかと聞く。
慌てて、”目の見えない人“に答えるべく、『います』とまともに返答するチャーリーに
”I know exactly where your body is.
What I’m looking for is some indication of a brain.”
(いるってことは)そんなことは分かってる、
その中に脳みそが詰まっているのかって、聞いてるんだ、とやり返す。

こういう人に“cynical”という言葉がぴったりである。
けれどその辛口の中にユーモアもあっておもしろい。

“26 years on the line, nobody ever busted me Four grades before”
“Get in here, you idiot!”
軍に詳しくないが、想像するにLieutenant ColonelはLieutenantより階級が上で
うっかりColonelを忘れたチャーリーに追い打ちをかける。
軍での26年間、誰ひとりとして間違える奴はいなかった、
本当に大バカものだよ、お前は。

って、なんだか可愛くてしょうがありません、という風にも聞こえる。
つまりFrankは、人に文句を言いながら話すのが好きなのである。なんて面倒な!

Frankの言い切りぶりはずっとこの調子で、
けれどアル・パチーノの頬の動き、鼻の動き、顔全体から
目が見えない変わりに瞬時に様々な方法で情報を得ているのが分かる。
少しばかりは大げさなのだろうが、きっと目が見えないというのは
そういうことなのだろうと、思う。

+++++

悪友役の子役が何となく見たことあるな、と思ったら、カポーティ【CAPOTE】2005年の
フィリップ・シーモア・ホフマン【Philip Seymour Hoffman】だった。
しかも、最近DVDで見て良かった、“その土曜日、7時58分”
【BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU’RE DEAD】2007年の兄役だったりと
割と好きな俳優さん。なるほど。

2012/05/22 01:50 | movies | 1 Comment

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