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2010/02/10

グラディエーター
【GLADIATOR】 2000年。
20世紀最後の年。
コンピューターがクラッシュして、世の中がぐしゃぐしゃになるって噂が飛び交い
会社で片っ端からバックアップを取ったけど、結局あっけなく年明けを迎え、今や10年。
だからこそ翌年の9・11のが不意打ちのようで衝撃的だった。

リドリー・スコット監督【Ridley Scott 】が好きな友人に誘われて
42丁目のB’dwayと8AVEの間の、マンハッタンでは珍しく広い映画館で観た、と思う。
とにかくこの映画館、器も大きければ、スクリーンもでかい。一番好きだった。

この頃は良く闘う映画を観た。『戦う』じゃなくて、『闘う』だ。

若い時には多々あることで、失恋したばかりのその時期は、
どこかに生きる活力を見いださないとつぶれてしまいそうだった、からだろう。
それまでのアメリカ滞在で一番辛いと、本気でそう思っていたものだ。

闘う映画を観ていてすごく思うことは、人間って結局動物で、
動物って結局常に闘争心を持っていて、そして闘わずにはいられないのだろうってこと。

でもヒトでいる限りは、闘う相手は悪モノじゃないといけない。
映画はいつでもどこからかそんな“悪モノ”を連れて来ては“善いモノ”が倒して行く。

グラディエーターもそんなパターンの映画のひとつかもしれないけれど、何かが違った。

あまりにその“善いモノ”が、多くの人間のように無意味に憎しみを持つヒトではなくて、
ああ、獣のように、生きるに最低限の闘いをこなしているだけだからと、今更気がついた。
ただ、その闘いが、次から次へと彼に襲いかかる。望みもしない闘いが、次から次へと。

ストーリー中盤、ラッセル・クロウ【Russell Crowe】演じるマキシマス【Maximus】が
同じ奴隷となりグラディエーターとなったジュバJubaと、今生きる意味を確かめ励まし合う。
このシーンの流れる空気が唯一、獣のように誇りを持ち闘うヒトの、根底の哀しみのように思う。

ジュバは自分が先に死に、天国で家族を待つことになると言い、
マキシマスは先に逝った妻と息子がもう自分を待っていると語らう。

+++
Juba: It’s somewhere out there– / my country, my home. / My wife is preparing food. / My daughters carry water from the river. / Will I ever see tehm again? / I think no.

Maximus: Do you believe you’ll see them again when you die?

Juba: Ithink so. / But then, I will die soon. / They will not die for many years. / I’ll have to wait.

Maximus: But you would…wait.

Juba: Of course.

Maximus: You see, / my waife… and my son… / are already waiting for me.

Juba: You’ll meet them again. / But not yet. / Not yet unless–

Maximus: Not yet. / Not yet.

ジュバ:あの方向だ/おれの故郷と おれの家/妻は食事の用意/娘たちは川から水を/もう会うことは-ないだろう

マキシマス:死後の世界では?

ジュバ:たぶん/だが おれは・・・ じき死ぬ/家族が来るのを-待たねば

マキシマス:それを待つだろう?

ジュバ:もちろん

マキシマス:おれの-妻と-息子は/もう待ってる

ジュバ:また会える/いつか・・・/いつか

マキシマス:いつか・・・/いつか・・・

+++

不思議で、そして、スゴイ、と思ったのだが 『Not yet.』が『いつか・・・』と訳されているところ。
妻と息子が待っている。
でもまだだ、まだだ、(やらなくてはならないコトを達成するまでは、)まだ会えない。

ジュバにとっては死んでしまえば、家族を待つ時間は長くなるだけなのだから『まだ』死ねない。

そしてマキシマスにとっては諦めて死んでしまえば、いつでも会えるけれど
今はやらなくてはならないことがあるのだから、まだその時ではなく、
けれど家族に会えるその時が、『いつか』やって来ると信じ今を乗り越える。

闘い生きなければいけないコトと、死んでいつか家族に会い安らぎを得たいコトと
その生きているコトの辛さになんだか涙が出てくる。

この『Not yet.』=『いつか・・・』は最後のシーン、
いなくなったマキシマスにジュバが語りかけるシーンで繰り返される。

+++

Now we are free. / I will see you again. / But not yet. / Not yet.
自由を得た/また会える/いつか・・・/いつか・・・

+++

リドリー・スコット監督は、とにかく題材に関してものすごく事実を調べあげ、
ティテールを丁寧に作り作品を練り上げるのだと友人は言っていた。

2007年のアメリカン・ギャングスター【AMERICAN GANGSTER】なんかもとても丁寧な作品。
時がきたらぜひに取り上げ、書き綴りたい。

2010/02/10 03:10 | movies | 1 Comment

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