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2013/04/30

ギター弾きの恋
【Sweet and Lowdown】
1999年 人生で最も体重が減った年

ウッディ・アレンの映画を好きな人はとことん好き、という友人が周りに多く、
いつも気になっていたけれど、映画館に行くチャンスがなかなかなかった。
食わず嫌いに近くて、なんか小難しそう、という思いが強かった。

それがある日突然ふらりと見に行くことになった。

アッパーウエストのリンカーンセンターの、
いわゆる日本で言う単館系を扱う映画館だったと思う。

そこを散歩していた、ということは多分セントラルパークの東側、メトロポリタン・ミュージアムから
公園を抜けててくてく歩いて来た帰り道だったのだと思う。

それとも、わざわざ調べて見にいったのか、、多分違う。

行き先はどこだったにしろ、どこかからの帰り道にたまたま映画館の前を通り、
三日月に乗ったギター弾きのポスターにつられ入ったらウッディ・アレンだった、
という具合だったと思う。

いろんな登場人物が主人公のギター弾きエミットに関してしゃべり
伝記のように進行する物語の中、更にエミットが早口でまくしたてる、という
言葉だらけの映画で、一瞬しまった、とも思う。

もちろん日本語の字幕なんてついておらず、結局何となく雰囲気だけを感じとり
最後は何だかいい映画だったな、と思って出てきた。

有名ギターリストエミットが口がきけないハッティに出会い
自分のペースを守りつつも愛情を注いで行く、そういう話。

原題のSweet and Lowdownに関しては結構解釈が難しいのだが、
映画を一通り見た後の私の中では、優しさと堕落と、ということにした。

そしてセリフひとつひとつに意味はあるだろうけれど、言葉あそび的要素が強い映画である。

その後いくつかウッディ・アレンの映画を見て、
とにかく『軽い話し言葉が好きな人なのだな』というのが思ったこと。

例えば、この映画の中盤、
エミットのマネージャー、シドが無駄遣いをやめろと忠告する場面。
なんだかんだと節約できないとしぶるエミットが思い出したように
これまた早口でまくしたてる。

=====

張り合って 100ドル札を燃やした
相手は70ドル 俺は200ドルを灰にした
バカだった

I had burned 100 dollars once, the guy ………. me ……..
He burned 50, I burned a hundred,
He burned 20, I burned another hundred
I could cut out

=====

この英語のセリフのテンポがいい。
字幕は最初からたしあげて相手が70ドル燃やし、俺が200ドル燃やした、と言ってるが
実際のセリフは、あいつが50ドル燃やしたから俺は100ドル燃やしてやった、
それでもあいつが(びびって)20ドル燃やしたが、
俺は(同じくまた)100ドル燃やしてやった!
と、得意げに言い、そしてふと気がつく。

ふむ、(俺はバカか)それこそ節約できるじゃないか!と本当の節約を決意する。

2回も燃やせば反省もする。

そういうアホらしくも切ない話と共に
俳優ショーン・ペンがおかしな口調と見事なギター弾きの手つきで進行する。

一言も声を出さないハッティ役のサマンサ・モートンの目力も印象的で
何度見ても一言もしゃべらないのに強烈な演技に感心する。

ただ、何故か私の記憶ではしゃべれないハッティが
唯一声をあげ大泣きするシーンがあるはずなのだけれど
そんなシーンは出てこず、記憶違いだったらしい。

※前回コラムに書いたのですが、この映画のDVDに英語字幕機能がついておらず、
残念ながら耳でも正確に聞き取れず、
the guy ………. me …….. の部分が未記入なことご了承ください。

11:36 | movies | No Comments
2013/02/28

ロズウェル ー星の恋人たち
【ROSWELL】
1999〜2002年

最近よく見るのは映画よりドラマの方が多い。
それもアメリカの、いわゆる海外ドラマ。

平日の帰宅が遅い仕事なので、家に帰ってから、
2時間かけ眠い目をこすり頑張って映画を見るのもいいけれど、
1時間で見れるドラマは楽ちんで、メリハリがあり気分転換にもなる。

今までに結構な数を見たんじゃないかと思う。

『アメリカに住んでいた』と言うと次から次へとドラマの名前を上げ、
オンタイムで見れるなんて羨ましい、と言われることがあるが
実はアメリカにいた頃はほとんど見ていない。

そもそも私にはテレビを見る習慣がない。

そして、毎週この時間このドラマを見る、というのが苦手だったのか、
単にドラマをよく知らなかっただけなのか、つまりは全然興味がなかった。

そんな最近『あの時オンタイムで見てたら、また何かが違ったかも』
と訳もなく思ったりするドラマに、日本に戻ってきてからよく出会う。

人生はそうそうドラマぐらいでは変わるもんでもないが
少なくとも、ドラマのテーマはその時世の中で起きていることが詰まっていたりして
今見て時代の経過を懐かしく思うことができたんじゃないかと。

ロズウェルは、2002年にアメリカでの放送が終わっている。
ちょうどその頃、日本に帰国したばかりでやることもなく、
テレビをつけたらシーズン1が始まったばかりのところだった。

ドラマが面白い、というより最初のきっかけは、
DIDOが歌うオープニング曲、Here With Me。

それがすっかりストーリーにはまり、途中からだったので結局最初から借り直し
3シーズン一気に見た。

後半になるに連れ物語はラブストーリー色が濃くなり、
誰がだれと、、と若干もういいです、状態になるが、
シーズン1あたりはすごくテンポがよく、哲学的でも、詩的でもある。

エピソード6のワンシーン。
主人公リズは自分の命を助けたことで
マックスの立場を危うくさせてしまった事を謝ると、彼が答える。

君を助けた日にー
僕の人生が始まったってそう思うよ

It feels like,
my life didn’t start yet til I told you the truth on that day.

字幕はわりとありきたりなセリフなのだけれど
オリジナルの英語のセリフにはもうちょっと気持ちが入る。

マックスがリズを助けた日に『真実』を言えたから
ずっと’truth’(ここでは彼の正体のことだけれど)を秘密にしていたそれまでが
まるで生ではなかったと感じるほど、今、人生を感じ、
そして後悔をしていない、と。

そんな感じのことを not 〜 till 〜 に感じる。

この関係が逆の時もある。
字幕が、今までが嘘のよう! と言えば
Now I start to see the real life!
のような。

自分でも訳してみようと思うと、不思議な事に
長い時間をかけた末、同じように日本語と英語では
立ち位置が真逆な表現になることが多々ある。

残念ながらこれを『どうして』と説明し切れない。
それは単なる文化の違いなのか、言語の仕組みの違いなのか
感覚的な事で、そう、としか言えない。
いつか、はっ、と悟る日が来るだろうか。

=====

このドラマでキャサリン・ハイグル【KATHERINE HEIGL】を知る。
とても印象的で力強い、と思っていたら、今ではすっかり注目の若手女優。
以前コラムに書いた 27 Dresses の彼女は
このロズウェルの時のイザベラに近いかもしれない。

2013/01/31

モンスターズ・インク
【MONSTERS, INC.】
2001年、日本に帰国することを決めた年

最近姪っ子甥っ子がひとつの場所にじっと座れる歳になり、
去年何度か一緒に映画を見に行った。

ドリームワークスアニメーションの『マダガスカル3』に
ユニバーサルスタジオの『ロラックスおじさんの秘密の種』。

もちろん普段からディズニーとかピクサーとか、アニメーション映画は見にいく。

大きな違いは子供タチとは“日本語吹き替えで見る”こと。
以前コラム『日本語吹き替え版で見るコト』でも書いたが
子供時代に見る外国映画は知らず知らずのうちに吹き替えで見ることになる。

そしていつの間にか大人になって、映画を字幕で見るようになっていて
子供向け、というより、子供も楽しめる映画であればあるほど、翻訳が大変だ!
ということに今更気が付く。

なぜなら、わー、とかきゃーとか
とにかく意味不明な言葉が次々とキャラクター達から発せられる。

そういう意味では、日頃固いおとな会話ばかりの英語に接していると、すごく楽しい。

大人になって見たハリウッド映画のアニメーションの中で
一番好きなものは!と言われれば、即答でモンスターズ・インク。
この映画も冒頭からわけのわからない会話がぽんぽんと進行する。

子供達を驚かせ、
恐怖であげる叫び声が生活エネルギーになっているモンスターたちの世界。
稼ぎ頭のサリバン【Sullivan】とその友達マイク【Mike】が今日も仲良く会社に出勤。

最近車を買ったばかりのマイキー(マイク)が車で出勤するというのを
いやいや、省エネで、と歩いてい行こうとサリバン。
車を買ったのは走る為さ、とジェスチャー交えマイクが不満げに言う。

With the honk-honk and the vroom-vroom
道をブッブー ブルルンと

vroom-vroomはそのままブルルンなのに、
honk-honkとクラクションを鳴らす音は字幕にはない、
と思ったが、ああ、フォンフォンじゃなくて日本語はブッブーね!と。

合間に通りがかるモンスターがくしゃみと一緒に火を吹いて、
目の前に広げた読みかけの新聞が燃えてしまう。

Ah, nuts.
やれやれ

“nuts”、これはとにかくナッツのように細々としたものがばらまかれて
どうにもこうにも面倒、みたいな時に良く使う。
確かに“やれやれ”だ。

歩き続けるサリバンとマイキー、途中で八百屋の兄さんと陽気に挨拶。

Tony, Ba-da-bing!
Pow, pow, pow, pow, pow!

マイキーが打ち真似をしながら発するこのセリフ、
訳されてないし。

Ba-da-bingは辞書を引いてもなかなか出てこないが、
じゃじゃーんとか、そんな意味らしい。
ドラマ“ソプラノス”のお店の名前しか思いつかなかった。

Pow, pow, pow, pow, powはジェスチャーから想像するに、
パン、パン、という軽い銃声の音。

そしてこの会話シーンは、八百屋のあんちゃんの投げる野菜と
これまた通りがかりの液体モンスターのセリフで締めくくられる。

Hey! On the house!
おごりだ

とあんちゃん。

そこを液体状のモンスターがうっかり排水溝の網の目の上を横切る。
当然液体だから網の間からざばざばっと体が排水溝へと落ちていく。

ただし網目より大きかった目玉と入れ歯は上に残り、
その残ったパーツがため息混じりにつぶやく。

Oh, great
参ったな

この短いシーンだけでも意訳がもりだくさん!

これは吹き替えで見た方が落ち着いて楽しめるかも、と改めて思ったが、
音が楽しいのでやっぱり頑張って英語で見ようかと。

11:09 | movies | No Comments
2013/01/21

最近映画館へ見に行く映画の自分の選択が、
振り返るとあまりに何も残ってないものばかりで唖然とする。

一昨年の年末に『2011年の映画館』のコラムを書いた時は
もう少しマシだったように思う。

ジョン・カーター【John Carter】
期待してなかっただけに割と好きでした。
さすがディズニー、良質。ぱっと華やかではなかったけれど話が上手にできてた。

タイタンの逆襲【Wrath of The Titans】
前作があまりに良くなかったのをすっかり忘れて見てしまう。
これは久々の“しまった”でした。このあたりから迷走。

バトルシップ【Battleship】
歌手リアーナが出演していて、おぉ、と思ったものの、まあ普通でした。
CGは見事だったけど、話にもう少し重みが欲しかった。

幸せの教室【Larry Crowne】
トム・ハンクスとジュリア・ロバーツ、という組み合わせですでに不安感があった。
中年男性の第2の人生として大学に通いスキルアップする、という題材がすごく良いのに
何故か恋愛話で終わらせ、しかもおさまりが悪かったのは、役者の組み合わせだと思う。

ダーク・シャドウ【Dark Shadows】
いつも通りクレージーで楽しかったけれど
ティム・バートンとジョニー・ディップのコンビの限界を感じてきたなぁ。

メン・イン・ブラック3【Men in Black III】
これはもう、安定感ある展開。シリーズ3でも飽きさせない動きと
意外なストーリーの展開も。

そして友よ、静かに死ね【LES LYONNAIS/A GANG STORY】
フランス映画。ふらりと見ただけなのに、役者の日本来日舞台挨拶に遭遇。
仁義、なストーリーに安定感と共感。

アーティスト【Artist】
2012年で観た映画ナンバーワン。無声、白黒、なのに新しい。
コラムも書きました。

ワンデイ【One Day】
ラブストーリーとしてはありきたりだけれど、
アン・ハサウェイの女優としての着々とした成長を感じる映画。

スノーホワイト【SNOW WHITE AND THE HUNTSMAN】
コラムにも書きましたが、とにかくシャーリーズ・セロンがうまい!
主演のクリステンの演技にもっと幅があれば傑作になっていたのにと、残念。

アメイジング・スパイダーマン【THE AMAZING SPIDER-MAN】
今までの3部作が全くなかったかのような新シリーズ。でもありだと思うな。
トビー・マグワイアとはまた違う味があって、今っぽい面白さで。

崖っぷちの男【MAN ON A LEDGE】
発想は良かったけれど、もう少しひねりが欲しかった。

マダガスカル3【MADAGASCAR 3: EUROPE’S MOST WANTED】
久々に、というより初めてキッズ映画をキッズと一緒に日本語吹き替え版で観たけれど、
意外に楽しめるもの。見方が変わりそう!

プロメテウス【PROMETHEUS】
前半が良い感じだったのに、後半すっかりエイリアンに。
ルーツは感じさせても、話はちゃんと組み立てて欲しかったなぁ。
着眼点がいいだけに残念。

ダークナイト ライジング【THE DARK KNIGHT RISES】
クリストファー・ノーランのバットマン。美しい映像、綺麗だった。
いろんな演出が派手すぎでもっとアンダーグラウンド的なバットマンが好きですが、
これはこれで。

ロラックスおじさんの秘密の種【DR. SEUSS’ THE LORAX】
これも吹き替え版で。まあまあでしたが子供達は楽しんだよう。

リンカーン/秘密の書【ABRAHAM LINCOLN: VAMPIRE HUNTER】
リンカーンとヴァンパイアという接点になんの脈絡もなく、
果たしてリンカーンである必要があったのか?
映像的なエンターテイメント性は抜群でした。

砂漠でサーモン・フィッシング【SALMON FISHING IN THE YEMEN】
アーティストに次ぐ今年のいい映画!
馬鹿馬鹿しさの中にある真実。イギリス映画っぽいです。

カラスの親指
なかなか面白かった、が最後のどんでんからがちょっと長かった。
阿部 寛が日本映画界の役所広司や中井貴一的なポジションに
近づきつつあるのかなと思う。

シルク・ドゥ・ソレイユ 彼方からの物語【CIRQUE DU SOLEIL: WORLDS AWAY】
実際のシルク・ドゥ・ソレイユが見たくなった。
映像ならではの美しさもありつつ、映像では見せ切れない部分もあるのだろうけれど、
芸術とはこういうものかと、ぼんやり思う。

さて、こう並べてみると、そんな悪くなかったのでは?
とは思うものの、コラムに書きたくなるほど良質、という意味では
やはりパンチに欠ける一年でした。

若干『何も考えなくても“楽しく”観れる』映画に偏りすぎたなぁ、と。
今年は少し頑張って、ストレス解消だけじゃない映画も数多く見ねば、と。

2012/12/31

めぐり逢えたら
【Sleepless in Seattle】
1993年

メグ・ライアンとトム・ハンクスと言えば
文字通り一世をフウビした王道ラブ・コメのコンビ。

でも調べると実際に共演しているのはこの『めぐり逢えたら』と
以前コラムに書いた『ユー・ガット・メール(1998)』、
それと私も見たことないが邦題が「ジョー、満月の島へ行く(1990)」の3本。

不思議なことに私の頭の中ではかなり多数の作品で共演してることになっている。

しばらく見ていなかったので忘れていたけれど、
この『めぐり逢えたら』のそもそものストーリーの始まりは、
奥さんを病で亡くした父親サムを心配した息子ジョナが、父親には新しい奥さんが必要、
(つまりは自分にとっては新しい母親になるわけで)
と、精神科ドクターがナビゲートするラジオ番組に電話する。

不思議なことだ。ジョナにとっても実の母親を亡くしたことになり、
父親と同じくらいに母親を失ったことは辛いはず。

それを打ち消すほどに父親の状態を心配したのだろう。

心配して気遣う周りの人から解放されようと思ったのか
主人公サムは妻との思い出の土地シカゴを離れシアトルへ引っ越しを決意する。
旅立ちの日に『そのうち きっと すてきな女性に出会うわ』という友人の女性に
サムは自嘲気味に相打ちを打ちつつ、結局は妻の代わりはいない、と言う。

それどころが原文だと、そんな出会いは金輪際2度目なんてないんだ、と
出会いの可能性すら否定してしまっている。

そうだな 前向きに生きよう
ハートを入れ替えりゃ いいのさ
(女性とその夫が慌てる)
分かってる 代わりは いない

Right… right. Move on. Right. That’s what I’m gonna do.
And then in a few months, boom, I’ll be fine. I’ll just grow a new heart.
(Woman: Sam I’m sorry.)
(Her husband: She didn’t mean that.)
I know, I know. Look, it just doesn’t happen twice.

そしてジョナが心配するにはもっと深刻な訳があり
サムの傷心はもっと内面深いものである。

ラジオ番組での会話で、ドクターが『夜は寝ているのか』とサムに聞く。
すると息子が割り込み『全然寝てない』と即答する。
何でそんなことを知っているのか?と聞くサムに、
字幕では『分かるさ』と息子が答えるが
原文にはその“なぜ”がちゃんと言及されている。

ジョナ: 全然寝てない
サム: なぜかそれを?
ジョナ: 分かるさ

Johna: He doesn’t sleep at all.
Sam: How do you know that?
Johna: I live here, Dad.

分かるさ、だって同じ家に住んでるんだよ、父さん、と。

この会話はドクターに電話口に呼び出されたサムと
同じ家にいながら、直接話しができないからと、
子機で同じくラジオ番組に参加するジョナ、という具合に行われる。

それほどデリケートな話で、それほどジョナにとっては深刻で
そして同じ家に住みながらサムにはそれが見えていなかった、ということ。

子供にとっての親とは、を感じる重みのある一節である。

ちなみに原題の『Sleepless in Seattle』はこの一節から、
サムのラジオ上で付けられたニックネーム。
和訳だと“シアトルの眠れぬ男性”としているが、英語に男とも女とも言っていないのが、
サムとジョナのそしてラジオ視聴者の皆の共有する気持ちっぽくて尚更いい。

11:58 | movies | No Comments
2012/11/23

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
【Extremely Loud and Incredibly Close】
2011年

その題名とポスタービジュアルだけで『見たい』と思い、劇場では見れず
あらすじも見ないまま9.11のコトとは知らずDVDで見た。

以前、2011年3月の 東北地方太平洋沖地震 についてのコラムを書いた時に
思い出し少し綴ったが
9.11の時私がなによりも衝撃を受けたことが映像化されていた。

自分の身近な友人、家族がそこに含まれていなかった故、
理屈でこれはとても酷いことなんだ、分からないけど胸が痛む。。。
その理由を改めて感じた。

テレビでは木の葉のようにWTCから落ちる人たちの映像が流れ….
教会には敷地の外のフェンスにまで行方不明者を探すメモが覆いつくしていた….

あの木の葉のような点には生命が溢れているんじゃないのか?
その家族たちが今、わずかな希望を持ち貼り続ける探し人のちらしには
諦めなくてはいけない状況との葛藤と悲しみなんじゃないのか?

そしてその当事者同士の会話はそれまでになかった9.11という出来事で
今も尚つながっている

私には見えなかった当事者の気持ち、
理解しようとしてもすぐにはできない気持ちが
主人公の少年の葛藤を通じて丁寧に描かれている。

ストーリー後半、かなり話が局面に達するのでネタバレを避け
部分的に簡略化して、抜粋する。

少年は以前一度訪れたブラック夫人【Mrs.Black】に連絡し会いに行くと、
車で出掛けようと言われる。
『知らない人の車には乗っちゃいけないんだ』と少年が答えると
『私たちは知り合いよ』とブラック夫人は答える。
確かに一度会っている以上、全く知らない人ではない。

その『知り合いよ』に該当する言葉として
not ‘entirely’ strangers という表現が使われている。

=====
Oskar: It’s Oskar Schell! I’m here!
Mrs. Black: Oskar, you’ve grown. Let’s go.
Oskar: Where are we going? I don’t take rides from strangers.
Mrs. Black: That’s a good rule, but we’re not entirely strangers. Get in.

オスカー: オスカーだよ 着いた!
ブラック夫人: オスカー 大きくなって… 行きましょう
オスカー: どこへ? 知らない人の車には乗らないよ
ブラック夫人: 賢明だけど私たちは知り合いでしょ 乗って
=====

全くの他人【entirely strangers】をnotで否定することで
知り合い、という意味になっているが
このentirelyという単語、どこまでを全体かと定義するならば
その範囲は無限極まりない。

家族なんだから
友達なんだから
ご近所なんだから
同じ状況を分かち合う境遇ならば
同じ近隣に住んでいれば
同じ町にいるんだったら
同じ国民じゃないの、
同じ人間同士、
そして同じ地球上の生物ならば、と繋がっていく。

このシーンで、知り合いなんだから、と言うなら
何もentirelyなんて大げさな言葉じゃなくても
We’re not stranger now.
など、もっとシンプルで良かったのではと思う。

深読みすぎるかもしれないが
だからこそここで entirely と言った
同じ9.11の当事者じゃないの、というメッセージ、
そして、同じ人として世界の人々に9.11をどう受け止めて欲しいのか
というメッセージを感じる。

***

そしてブラック夫人が、確固たる感じで
『全くの他人じゃない』と言うにはもう一つの理由があるのだが、
それはぜひ映画で見て欲しい。

07:24 | movies | No Comments
2012/10/31

コラムに書く映画は、基本映画館で見て、良かったのでDVDで何度も見る、
またはレンタルDVDして、あまりに良くて購入し、これまた何度も見る、
そういう大好きな映画タチ。

更にその映画が好きな理由が、監督だったり、
そのストーリーの中にいる“ある”役者が演じる“人物像”に胸打たれて、
と掛け合わせだったりする。

そしてDVDでみれば異なるが、その映画がいつ頃作られたのか、というのも
自分の人生のタイムラインと照らし合わせると面白い。

そんな理由から、コラムリストを製作年順に作成してみた。
気がついたら更新していこう。

=====

2011_コンテイジョン【Contagion】_スティーヴン・ソダーバーグ【Steven Soderbergh】

2010_トイレット_もたいまさこ

2009_マイケル・ジャクソン THIS IS IT【THIS IS IT】_マイケル・ジャクソン【Michael Jackson】

2008_幸せになるための27のドレス【27 Dresses】_キャサリン・ハイグル【KATHERINE HEIGL1】

2008_ハンコック【HANCOCK】_ウィル・スミス【Will Smith】

2007_ライラの冒険 黄金の羅針盤【THE GOLDEN COMPASS】

2007_アイム・ノット・ゼア【I’M NOT THERE】_ボブ・ディラン【Bob Dylan】

2007_ブレイブ ワン【THE BRAVE ONE】_ジョディーフォスター【Jodie Foster】

2006_レディ・イン・ザ・ウォーター【LADY IN THE WATER】】_ナイト・シャマラン【M. Night Shyamalan 】

2006_ペネロピ【PENELOPE】_クリスティーナ・リッチ【Christina Ricci】

2006_タロットカード殺人事件【SCOOP】

2001_バニラ・スカイ【VANILLA SKY】_アレハンドロ・アメナーバル【Alejandro Amenabar】

2001_アザーズ【the Others】_ニコール・キッドマン【Nicole Kidman】

2000_グラディエーター【GLADIATOR】_リドリー・スコット監督【Ridley Scott 】

2000_メメント【MEMENT】_クリストファー・ノーラン【Christopher Nolan】

2000_エリン・ブロコビッチ【ERIN BROCKOVICH】_ジュリア・ロバーツ【Julia Roberts】

1999_サイダーハウス・ルール【THE CIDER HOUSE RULES】_トビー・マグワイア【Tobey Maguire】

1998_ユー・ガット・メール【YOU’VE GOT MAIL】_メグ・ライアン【Meg Ryan】&トム・ハンクス【Tom Hanks】

1997_ボルケーノ【VOLCANO】_トミリー・ジョーンズ【Tommy Lee Jones】

1997_グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち【GOOD WILL HUNTING】_マット・デイモン【Matt Damon&ベン・アフレック【Ben Affleck】

1996_素晴らしき日【ONE FINE DAY】_ミシェル・ファイファー 【Michelle Pfeiffer】&ジョージ・クルーニー【George Clooney】

1996_ザ・エージェント【JERRY MAGUIRE】_トム・クルーズ【Tom Cruise】

1995_ユージュアル・サスペクツ【the Usual Suspects】

1995_クルーレス【CLUELESS】_アリシア・シルヴァーストーン【Alicia Silverstone】

1995_アウトブレイク【OUTBREAK】】_ダスティン・ホフマン【Dustin Hoffman】

1995_マディソン郡の橋【The Bridges of Madison County】_クリント・イーストウッド【Clint Eastwood】

1993_ボビー・フィッシャーを探して【SEARCHING FOR BOBBY FISCHER】

1993_ザ・シークレット・サービス【IN THE LINE OF FIRE】_クリント・イーストウッド【Clint Eastwood】

1992_セント・オブ・ウーマン【SCENT OF A WOMAN】_アル・パチーノ【Al Pacino】

1985_セント・エルモス・ファイアー【ST. ELMO’S FIRE】

1982_E.T.【E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL】_スティーヴン・スピルバーグ【Steven Allan Spielberg】

1982_トッツィー【tootsie】_ダスティン・ホフマン【Dustin Hoffman】

1982_トロン【TRON】

1952_雨に唄えば【SINGIN’ IN THE RAIN】

2012/09/30

幸せになるための27のドレス
【27 Dresses】2008年

主演のキャサリン・ハイグル【KATHERINE HEIGL1】は
TVドラマの『ロズウェル【Rosewell】』で知った。
アクセントなのか声が特徴的で英語が聞きやすく、
割りと好きな話し方だったので印象に残っていた。

その後、見たことはないが人気TVシリーズの
『グレイズ・アナトミー【Grey’s Anatomy】にレギュラー出演。
最近メジャーな映画にも出てきたな、と思ったら今ではすっかり有名女優。

英語版のプロフィールでは、子供時代は百貨店Searsのカタログモデルをしていて、
一時はホラー映画の死人もやり、そして今やハリウッドスター、という具合。
なかなかたたき上げのキャリアを進んできていて、
それが愛らしくも人間味ある演技になっているのかもしれない。

キャサリン演じるジェーンは、自分がいい人だと信じ一生懸命やってきたことが
結局それは自分勝手な偽善にすぎなくて、妹との確執をきっかけに
次々と覆っていたものが剥がれていく。
その様子はコミカルで痛くて、でも心が砕ける感じが伝わってきて感動する。

ストーリーは平凡だけど、主演がキャサリンだからこその仕上がりと思う。
単なるラブコメだけれど、すごく好きな映画。

欧米の結婚式には『ブライズメイド【bridesmaid】』という習慣があって
結婚式に花嫁の介添人として女姉妹や仲の良い女友達が式に付き添う。
ブライズメイドは皆で衣装を揃え式に出席する。

映画の冒頭、ジェーンがそのブライズメイトのドレスが
27も揃うことになった由来が語られる。

彼女がずっと子供の頃、従姉妹の結婚式で破れたドレスを繕ってあげると
花嫁から感謝され、光栄にもベールを持ってウェディングロードを歩くことになる。
その瞬間から結婚式という人の最も幸せな瞬間に立ち会うことに魅せられる。

=====

ありがとう ジェーン
一生 恩に着るわ

その瞬間から私は
結婚式というものに魅せられた

Thank you so much, sweetie.
You saved the day.

And that was the moment.
That’s when I fell in love with weddings.

=====

お礼を言う時の『You Saved 〜』はよく使う。そしてすごく好きな表現。

ただ、ありがとう、とか、助かった、と言われるだけじゃなく
自分がその人の人生にほんのちょっとでも触れた感じがする。

そういう風に感謝される時は、相手が本当に大変だったんだな、
そんな時にタイミング良く居合わせ、何かができたんだ、と実感する。
そういう縁を感じると、一人で生きているのではないのね、と思い
自分も人に感謝する時は、うまく伝えたいと思う。

そんな一言が自分の、そして誰かの明日を作るように思う。

12:34 | movies | 1 Comment
2012/07/26

スノーホワイト【Snow White & Huntsman】を見てきた。

圧倒的にシャーリーズ・セロン【CharLize Theron】が上手い!
というか、すごい! というコトや
何故邦題に『Huntsman』を入れなかったのか、などという感想もあったけど、
映像とその空気感はとてもとても美しかった。

*****

物語のワンシーンに、新女王の戴冠式のシーンがある。

女王はひざまずき、司祭が王冠を頭にのせる。
そして宣言する。

“Now we crown you, Queen of 〜.”
今ここに●●を女王とする

※いつものごとくですが、劇場で耳で覚えているので、若干違うかもしれません。

“crown”は名詞だとまさに『王冠』を意味するけれど
動詞としても『王冠をかぶせる』つまり、文字通り王の冠なのだから
crownする、ということは、王と定めるということ、となる。

名詞が先か、動詞が先か。
語源がラテン語の corona になっている。

勝手な想像だが、
ガスで太陽の周りにできるデコボコした光の輪をモチーフに
“冠” という、丸くつながって、凹凸のある造形物がつくられる。

その冠が、様々に装飾され美しさを極め始めると、
いつしか人が敬う貴人に捧げられようになり、
それが年月と共に冠を頭にのせる人々が王族となる。

王を王とするのが人ではなく、冠が王を選んでいる、
ともとれる表現に、英語らしい言い回しだなと、そう思う。

しかし冠が王の象徴としていくつもの世代に引き継がれると
その歴史から冠は王冠となり、今や、王冠を手に入れるものが王となる。

最初はただの輪っかだったのだろうに、
無機質なものが感情あるヒトの意識の象徴になる過程は
一体どこがきっかけだったのだろうかと考えると、本当に不思議だ。

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劇中の海辺のシーンは友人が住むイギリスウェールズ【Welsh】で撮影された、
と、後から知り、それならば一度は訪ねて見たいな、と思う。
いつか訪れる地のリストをそろそろ作るべきだろうか。

03:46 | movies | 1 Comment
2012/06/30

アーティスト
【The Artist】2011年

話題になっていて少し気になっていたけれど、
近年、映画は気晴らしで、難しいことを考えたくない時に見る、コトが多く
モノクロのポスターとその昔風の雰囲気からなんとなく
『めんどくさそう』と、しばらくタイミングを逃した感じだった。

ところが、仕事で一緒となった映像カメラマンの方が
『いいよー、ぜひ見たらいい』と言うものだから、
よし!と思ったものの最寄りの映画館ではその日が最終日。
結局見たい気持ちがあれど撮影でヘトヘト、やむをえず見送りとなっていた。

それから1ヶ月のついこの間、まだいくつかの映画館で上映をしていることを知り
よし!今度こそはと行ってきた。

素敵でした。

サイレントからトーキーと呼ばれる音のある映画へ移り変わる時代を
サイレントムービーで描いた映画。

見始める前には、セリフがなくて、画面の字を読んで、
確かに昔はそれで楽しかっただろうけど
果たして今のこの時代で、映画一本分間がもつのかなんて半信半疑だった。

そんなことは全く心配なく、あっと言う間に見終えた。

音もない、色もない、故、シーンひとつひとつが吟味され意味を持ち
結果完成度がすごく高いものになったのだろう。

そして英語のハナシ。
今回は劇場だったので、メモを取れるわけも巻き戻せるわけでもなく
ぱっ、と通り過ぎた、私の記憶からのセリフなので、少し違うかもしれないが
感じたコトを。

サイレントのスター俳優ジョージが、トーキーの登場で
その座を追われ、酒浸りになり文字通り落ちぶれていく。
方や、デビュー時にジョージに後押しされ、
トーキーの流れに乗ってスターとなった女優ペピー。

彼女は昔の恩を返そうと影ながらジョージを見守り、
ついにはトーキーへの出演を段取る。

もちろんジョージはそんなオファーにはのらないと断る。
誰がサイレントの俳優の声なんかをききたがるんだと。
その通りであるがそうも言ってられる訳がない。

その昔はジョージの運転手で、今はペピーに仕えるクリフトンが言う。

Be aware of your pride.
誇りを捨てなさい

日本語ではよく、誇りを捨てろ、という言葉が出てくる。
おごり高ぶるな、いらぬ誇りはヒトの判断を曇らせる、というのが真意であって
実際は誇りを捨てることをすすめているわけではない。
そもそも誇りを捨てて選択することに何の意味が残されているのだろうかと思う。

でもこの映画に限らず、どうして、誇りを『捨てる』と、
さも、丸ごと捨ててしまえというコトバになるのかいつも不思議に思う。

英語のセリフの Be aware は、直訳は『気がつけ』、意訳であれば『注意しろ』となり
pride には、too muchとか、more than enoughとか余計なコトバもつかず
ただ、あなたの(持つ)プライドに注意なさい、
と、捨てろ、ともどうしろとも言っておらず、
つまりはプライドの持ち方を今一度考え直せと。

そこには“捨てる”という一線を飛び越えたコトバは生じていない。

わびさびの良さから、
言葉にすることの大事さを重視するようになってきている今の日本、
どれだけ『誇りを捨てろ』というコトバから
芯となる誇りは持ち続け、いらぬプライドは捨てろとというその真意が伝わるのか、
という不安を持っているのは私だけだろうか。

10:48 | movies, things | 1 Comment

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