2013/06/17

ワーキング・ガール
【Working Girl】
1988年

『ワーキング・ガール』と『プリティ・ウーマン(1900)』が
単なる女性のシンデレラ的サクセスストーリー映画、と、ざっくりした記憶だったけれど
いやいや、メラニー・グリフィス【Melanie Griffith】が演じる主人公のテス【Tess】は
努力のヒトでした。

昼休みには話し方教室【Speach Class】、
定時後には株式講座【Emerging Marets seminar】、
そして、学歴優先で選ばれる証券マン養成コース【the entree program】を
なんとか受けたいと思うけれど、結局は夜学と秘書養成学校卒、と馬鹿にされる。
【You’ve got some night school, some secretarial time on your sheet.】

アシスタントを探しているから、と紹介されたボブは仕事を餌にデートしたいだけ。

アシスタントの話はウソね
Bob, you’re not seriously looking for a new assistant, are you?
と問い詰めると
早急に求めてはいないが、いずれ…
Not at this moment. But I’m always on the lookout for new blood.
とごまかすボブ (ちなみにここだけの登場ですが、ボブ役にケビン・スペイシーが)

そんな彼にテスは言い放つ。

=====

テス: 見損なわないで
I am hungry, but I am not that hungry.

=====

この“that”がいい。やれることは、やるわよ。
でも自分の誇りを売ってまで言いなりになるつもりはない、という威厳。

テスは女性だったけれど、本来この志に男女の差はなく、そして時代の差もなく
働く、という面での自分と社会との本質的な境界線の意識と思う。

この後更に女性上司からの裏切りを受け、そっちがそうくるなら、と戦闘体制に入り、
シリアスな内容ながらも、コメディタッチで話は進んで行く。

この時代にすでに男性上司vs女性部下から
女性上司vs女性部下の時代に入っていたのだな、と
改めてアメリカと日本の女性の働き方の時差を垣間見る。

* * *

アカデミー主題歌賞を受賞したオープニング曲も印象的で、
自由の女神とフェリーからの通勤の雑踏とその音楽の組み合わせは忘れられない。

ボストンからNYに職を探して移ると決めた時に
私もああやって将来は船で職場に通うんだ!と思っていたし、
NYはフェリーじゃないと通えない、とも思っていた。

実際Wall Streetはマンハッタンのだいぶ南に位置していて、
コニーアイランドやニュージャージー州から通う金融関連の友達もいた。

私の職場はミッドタウンで、家は近くに、が基本で選んでいたので
ほとんど歩きで通い、憧れてたフェリー通勤には縁がなかった。
それなのにあの曲を聞くと自然とNYでの仕事時代を思い出す。

いつかまたNYを訪れ、Let the River Runを聞きながら、
頑張ってた日々に思いを巡らせ、ハドソン川の風に吹かれるのもいいなぁ。

2013/06/17 10:38 | movies | No Comments
2013/05/31

最近の関東近郊のパンケーキブームはすごい。
続々と“美味しいパンケーキ”が特集される。
そして、いくつも新しいお店がオープンし、人気店には何時間待ちする人の行列が。

美味しいものは好きだけれど、さすがにそこまで待てない。

そんな中とうとう私もリコッタパンケーキが美味い、というお台場のbillsに行ってきた。
もちろん1時間待ち、でも食べると決めていたので、頑張った。

感想は、やっぱりうまい!

でも今回はパンケーキが主なコラムではない。

billsにまた行こう!と思ったのは、卵メニューの方。
スクランブルエッグメニューがあると聞いていたが、
ちょうどディナータイムだったのでメニューには載っておらず。
思い切って店員さんに聞いてみたら、『終日朝昼晩関係なく、定番でありますよー』と。

確かに、パンケーキに卵は欠かせないから、作れない訳がない。
久々に夕食に卵料理を食べたら、アメリカ生活を思い出した。

アメリカにいた頃、平日の残業帰りや、友達と待ち合わせておしゃべりしたり、したのが
コーヒーショップ。しかも24時間開いている。
週末レイトショーに、飲みに、踊りに行っても、最後はコーヒーショップ。

そして定番は、1 egg, any style、卵1個をお好みの焼き方で。
定番はサニーサイドアップのオーバー!【Sunny Side Up, Over】
いわゆる両面焼き、か、スクランブルエッグ。

それにトーストしたイングリッシュマフィンかベーグル、たまにカリカリベーコン、
言わなくてもついてくる皮のママ乱切りし、玉ねぎと炒め塩コショウした多量のポテト、
そしていつまでもお代りができる、マグカップの熱いコーヒー。

美味しくもまずくもできないシンプルな料理なので、
どこのコーヒーショップに行っても外れたことがない。

書いているだけで、食べたくなってきた!

日本にいる今も、仕事で遅くなると、コーヒーショップがあるといいのにと本当に思う。
ないのなら、自分で開くか、と時々真剣に思う。

コーヒーショップとは違うけれど、最近オープンした、サラベス【Sarabeth’s】、
NYにもあって、サラベス・キッチンと言っていた気がするが、
確かあそこの卵料理も美味しかったはず。エッグベネディクト、とか!

パンケーキ屋にはうまい卵料理もあると知った今、
頑張って並んで、待って、食べに行ってみようかしら。

2013/05/31 10:37 | things | No Comments
2013/05/27

魔女の宅急便
【KIKI’S DELIVERY SERVICE】
1989年

最近、劇場公開の映画で、おもしろそう、見よう!、と思えるものがない。
映画タチが面白くないのではなく、私の見る気持ち、の問題と思う。

何度か劇場に足を運ぶものの、空振りで帰る。
どうしたことか。

始まりの時間が合わない、とか、上映が終わってしまっていた、とか、
たまたま行った映画館に目当ての映画がない、とか。
とにかくなんともない理由ばかり。

特に“2時間”を劇場で過ごす時間がないわけではなく、
単に現実が日々アクシデント続きで、その出来事が物語を超えていて、
今はドラマがいらない、ってだけかもしれない。

そんな時にぼーっ、と見るならジブリ映画の『魔女の宅急便』、、、の英語版、
“KIKI’S DELIVERY SERVICE”

NYにいた頃ビデオをみつけそれをよく見てた。
ビデオは2000年に発売されていて、もちろん日本語は入っていなかったが、
今はDVDになり1枚で英語も日本語も両方見れる。

思うに日本映画の英語版を見たのはこれが始めてで、
ひょっとしたらちゃんと魔女の宅急便を見たのはこの英語版からかもしれない。

何がいい、って、魔女は16歳になったら家を出て修行の旅に出る、ってところ。
誰も知らない街で新しい人に会い、自分の生活を積み重ねていくところは
自分の18歳を思い出させる。きっと状況は違えど誰にでもある時期。

辛い時もあるけれど、それ以上に未来への希望に満ちている。
他のジブリ作品にある、人類の危機、とか、種族の、とかそんな重い話は全くなくて
ただの港町の新しい生活、個人の葛藤、なところがいい訳で。

この英語版、細かくセリフを付き合わせていくと、かなり意訳が多い。
それが聞き取りやすく、わかりやすくて、『英語が分かる』感がもらえて楽しい。

例えばキキが魔法の力をなくし飛べなくなり、
絵描きのウルスラの住む森を訪ね、夜を語り合いすごすシーン。
物語としては重要なシーンで、やはりここも英語のセリフがものすごい意訳的。
けれど、それはそれでいいセリフ。

===

魔法って 呪文を唱えるんじゃないんだ
うん、血で飛ぶんだって
魔女の血か・・・ そういうの好きよ
魔女の血、絵描きの血、パン職人の血
神さまか誰かがくれた力なんだよね
おかげで苦労もするけれど

When you fly, you relay on what is inside of you, don’t you?
Mm-hmm. We fly with our spirit.
Trusting your spirit, yes, yes, that exactly what I’m talking about.
The same spirit is what makes me paint, and makes your friend bake.
and we each need to find out own explanation, Kiki.
Sometimes it’s not easy.

===

血はspiritとなり、spirit makes〜で神がかり的なものが表されているが
神様自体は出てこない。

GODはやはりクリスチャンの神様になり、
結局多宗教の国だと神様は精霊になり、
それって日本の八百万の神(やおよろずの かみ)と一緒だな、と。

単一民族と言われ、それ故視野が狭いと思われがちな日本が、
結局根底に八百万の神の文化を持っていることに改めて面白さを感じる。

ちなみに英語字幕だと割と日本語のセリフに忠実。
To fly, you don’t chant a spell or something, right?
Mm-hmm. We fly with our spirit.
The witch’s spirit? Perfect! That’s what I’m talking about.
The spirit of witch. The spirit of artists.
I suppose it must be a power given by God.
Sometimes you suffer for it.

すごくテンポも良く分かりやすい英語なので
DVDを持ってる方はBGMのつもりで、一度英語で見てみるといいと思う。

2013/05/27 01:13 | movies | No Comments
2013/04/30

ギター弾きの恋
【Sweet and Lowdown】
1999年 人生で最も体重が減った年

ウッディ・アレンの映画を好きな人はとことん好き、という友人が周りに多く、
いつも気になっていたけれど、映画館に行くチャンスがなかなかなかった。
食わず嫌いに近くて、なんか小難しそう、という思いが強かった。

それがある日突然ふらりと見に行くことになった。

アッパーウエストのリンカーンセンターの、
いわゆる日本で言う単館系を扱う映画館だったと思う。

そこを散歩していた、ということは多分セントラルパークの東側、メトロポリタン・ミュージアムから
公園を抜けててくてく歩いて来た帰り道だったのだと思う。

それとも、わざわざ調べて見にいったのか、、多分違う。

行き先はどこだったにしろ、どこかからの帰り道にたまたま映画館の前を通り、
三日月に乗ったギター弾きのポスターにつられ入ったらウッディ・アレンだった、
という具合だったと思う。

いろんな登場人物が主人公のギター弾きエミットに関してしゃべり
伝記のように進行する物語の中、更にエミットが早口でまくしたてる、という
言葉だらけの映画で、一瞬しまった、とも思う。

もちろん日本語の字幕なんてついておらず、結局何となく雰囲気だけを感じとり
最後は何だかいい映画だったな、と思って出てきた。

有名ギターリストエミットが口がきけないハッティに出会い
自分のペースを守りつつも愛情を注いで行く、そういう話。

原題のSweet and Lowdownに関しては結構解釈が難しいのだが、
映画を一通り見た後の私の中では、優しさと堕落と、ということにした。

そしてセリフひとつひとつに意味はあるだろうけれど、言葉あそび的要素が強い映画である。

その後いくつかウッディ・アレンの映画を見て、
とにかく『軽い話し言葉が好きな人なのだな』というのが思ったこと。

例えば、この映画の中盤、
エミットのマネージャー、シドが無駄遣いをやめろと忠告する場面。
なんだかんだと節約できないとしぶるエミットが思い出したように
これまた早口でまくしたてる。

=====

張り合って 100ドル札を燃やした
相手は70ドル 俺は200ドルを灰にした
バカだった

I had burned 100 dollars once, the guy ………. me ……..
He burned 50, I burned a hundred,
He burned 20, I burned another hundred
I could cut out

=====

この英語のセリフのテンポがいい。
字幕は最初からたしあげて相手が70ドル燃やし、俺が200ドル燃やした、と言ってるが
実際のセリフは、あいつが50ドル燃やしたから俺は100ドル燃やしてやった、
それでもあいつが(びびって)20ドル燃やしたが、
俺は(同じくまた)100ドル燃やしてやった!
と、得意げに言い、そしてふと気がつく。

ふむ、(俺はバカか)それこそ節約できるじゃないか!と本当の節約を決意する。

2回も燃やせば反省もする。

そういうアホらしくも切ない話と共に
俳優ショーン・ペンがおかしな口調と見事なギター弾きの手つきで進行する。

一言も声を出さないハッティ役のサマンサ・モートンの目力も印象的で
何度見ても一言もしゃべらないのに強烈な演技に感心する。

ただ、何故か私の記憶ではしゃべれないハッティが
唯一声をあげ大泣きするシーンがあるはずなのだけれど
そんなシーンは出てこず、記憶違いだったらしい。

※前回コラムに書いたのですが、この映画のDVDに英語字幕機能がついておらず、
残念ながら耳でも正確に聞き取れず、
the guy ………. me …….. の部分が未記入なことご了承ください。

2013/04/30 11:36 | movies | 1 Comment
2013/04/30

アメリカにいた頃もそうだが、
いくら日常生活ができるようになったからと言って、
テレビ番組や映画のセリフ一字一句聞き取れるようになる訳ではない。

11年もアメリカに住んではいたけれど、最後まで英語は不得手なもので
日常的な会話や、表現が難しくないものは問題ないが、
法律もの、アクセントが強いもの、人間関係が複雑でそれを説明されたり
コメディものや、早口でまくし立てたり、言葉遊びでストーリーが成り立つものなどは
ほとんど意味がわからなかった。

もともと日本にいた時からテレビを見る習慣がなかったこともあり、
テレビ番組を見るのは面倒で、結局は今頃初めて海外ドラマの楽しさを知る、
ということになる。

一方映画は好きだったので良く見たが、理解力の状況は変わらず、
身振りや手振り、表情、そしてその後の展開からなんとなく言っている事を想像し、
ストーリーを楽しんだ。

だからその頃見た映画を改めて日本で字幕付きでみると、
大筋はあっていて、楽しむポイントにはそうズレはないが、
ところどころ記憶と全然違っていたりする。

けれどコラムに書く時はそうもいかない。
書くからには、そして書く理由がそもそも表現の違いなのだから
“こんな感じ?!”で進行するわけにはいかない。

最初に映画を見ながら英語のセリフを耳で拾い、
日本語字幕を目で見て、面白そう、と思うと
改めて英語の字幕表示に設定し、原文を確認する。

そんな作業をしていると、アメリカのテレビの機能に
『キャプション』というのがあったことを思い出す。

調べてみると正式には“closed captioning”と呼ばれる聴覚障害者及び難聴の人への
アナログテレビの文字多重放送、といものらしい。
そして、この文字表示はテレビ側にも表示機能がついていないと見ることができない。

私たち留学生の間では、この“キャプション付きテレビ”というのが
英語の聞き取りの勉強にもなるし、テレビ番組の内容もわかるので、
すごく重宝していた。

もし、海外ドラマや映画から英語を勉強したい、と思っている人がいるならば
ぜひこの英語字幕表示をうまく活用することをおすすめする。

まずは字幕なしで見て、そして次に英語字幕で見る、というのがいいと思う。
耳で聞き取れなかった言葉を一字一句照らし合わせられ、不明な単語は調べればいいし、
何よりも音として言語を覚えることができ、どんな状況で、
どんな表情や情緒で使われるかも分かり、それが体得への近道となる。

ところで、だが、たまにだけれど英語の字幕がないDVDがある。
今コラム用に調べているウッディ・アレンの『ギター弾きの恋』が正にそれ。

いくつか違う種類のDVDが出ているのでいろいろ調べて見たが
結局英語字幕の入ったDVDは見つけられなかった。
更に、英語のシナリオがどこかに落ちていないかWEB検索してみたけれど、収穫なし。

なので耳で聞き取り、日本語吹替を聞き情報を補い組み立てることに。
それほど重要ではない箇所とは思うが、もし、と思うと確実にはしたいところ。
果たして仕上げることができるのか、、かなり心配です。

2013/04/30 02:25 | things | No Comments
2013/03/31

私事ながら先日、junkStageアワード2012で賞をいただいた。
新しいライターさんが次々と受賞される中、光栄にも2度目の受賞。
正直予想をしていなかったのでとても驚いた。

2010年のアワードではスタッフ特別賞をいただき『初心』を思い出した。
今回の受賞では、『継続』ということを思う。

私の更新は決して多くない。
コラムを開始した当初、タイトル通りに毎回映画のことを書きたい、と思ったけれど、
書き始めてすぐに、次々と書いて行ったら、
私の映画の倉庫はすぐに空っぽになってしまうと気がついた。

何とない映画の感想は書けるけれど、
意味のあると感じる言葉を含めた映画に出会うことは少なく、
更にそれを自分の身体の一部として書きモノにするスピードが
思うより時間がかかると分かった。

面倒であるけれど、自分の納得いくペースなのだから付き合うしかない。

それからは映画のことと、昔アメリカで生活したことを織り交ぜて書くことにした。
意外にそのペースが自分に合い、更に昔の生活を思い出すことで
以前見た映画の記憶が呼び覚まされ、思い出と共に次の映画へ繋がったり、と
今日ここまで続けることができた、と思う。

月1回の更新もままならない時期もあり、
それでも励ましここにいる場所を作ってくれたJunkStageスタッフの方に感謝したい。

先日、ひょんなところで村上春樹訳マーク・ストランドの言葉に再会した。

In a field
I am the absence of field
…………. 野原の中で僕の分だけ野原が欠けている。
This is always the case
…………. いつだってそうなんだ。
Wherever I am
I am what is missing.
…………. どこにいても僕はその欠けた部分

(Keeping Things Whole (物事を崩さぬために) 全文こちら)

『I am what is missing.』
欠けている、といことは自分の居場所があるということ。

そしてその居場所はずっと、という継続の賜物であり
不思議なコトに ‘継続’ と ‘同じ’ はイコールではない。

keep going、とよく言うけれど
変化をし続け、前へ前へと進むからこそ継続が生まれる。

自分が『欠けたもの』になれるよう、
少しばかりの誰かが読むのを楽しみにしてくれるよう、
引き続き色々な映画を自分の感じる言葉で書き綴っていきたいと思う。

2013/03/31 08:50 | firstStep, things | No Comments
2013/03/26

たまにホテルに泊まると思い出す出来事がある。

日本に帰国して3年だったか、5年だったか、
とにかくまだグリーンカード(GC)を持っていて、
何年かに一度『長期国外滞在届け』の手続きにアメリカに通っていた頃。

つまり、GCを持っているのに何が理由でアメリカ国外にいるのさ?
という問いに、私の場合は ‘ちょっと日本の職歴を積みたくてね’ という申請で
GCを失うことなく日本に長期滞在ができる、という手続き。

以前コラム 『good luck』にも書いたが、
手続き自体は難しいものではないが、通るか通らないかは最後まで分からない、
非常に手厳しいモノでもある。

さて、どこにいても同じだが、住んでいる街のホテルに泊まる、という機会は少ない。
家があるのに高い宿泊費を払って休暇をすごす、かなり贅沢である。

NYで泊まることがあるならば、あそこにしよう、と決めてたホテルがあった。
住んでいた西54丁目から少し北に上がったリンカーンセンター付近にあるHUDSON。
看板もなく一度も中に入ったこともないのに、散歩で前を通るたびに気になっていた。

初めてNYに戻ってきた時は迷わずそのホテルを予約。
部屋の感じもホテルの中庭も思った通りで、スッキリと無駄のないでも清潔感のある、
ヨーロッパを思わせるおしゃれなホテルだった。

ホテルに到着してチェックインした後、部屋に上がるエレベーターで
ゲイのカップルと乗り合わせる。
一人は背が高く、もう一人が背が低く、そして明らかなオネエ英語での会話。

背の低い彼がふっと私に視線を送り、言った。

その鞄、素敵ねぇ。

びっくりするものの、ちょっとこだわりあって手に入れた鞄だっただけに
なんだ嬉しくて、ありがとうを言って、エレベーターを降りた。

あんな密室で、あの距離で、明らかに見た目が外国人の私にその言葉を投げるとは。

久しぶりのアメリカ、ああ、こういう国だった、と再確認。

今でもホテルのエレベーターに乗ると、
あの時の出来事を思い出す。

2013/03/26 09:55 | things | No Comments
2013/02/28

ロズウェル ー星の恋人たち
【ROSWELL】
1999〜2002年

最近よく見るのは映画よりドラマの方が多い。
それもアメリカの、いわゆる海外ドラマ。

平日の帰宅が遅い仕事なので、家に帰ってから、
2時間かけ眠い目をこすり頑張って映画を見るのもいいけれど、
1時間で見れるドラマは楽ちんで、メリハリがあり気分転換にもなる。

今までに結構な数を見たんじゃないかと思う。

『アメリカに住んでいた』と言うと次から次へとドラマの名前を上げ、
オンタイムで見れるなんて羨ましい、と言われることがあるが
実はアメリカにいた頃はほとんど見ていない。

そもそも私にはテレビを見る習慣がない。

そして、毎週この時間このドラマを見る、というのが苦手だったのか、
単にドラマをよく知らなかっただけなのか、つまりは全然興味がなかった。

そんな最近『あの時オンタイムで見てたら、また何かが違ったかも』
と訳もなく思ったりするドラマに、日本に戻ってきてからよく出会う。

人生はそうそうドラマぐらいでは変わるもんでもないが
少なくとも、ドラマのテーマはその時世の中で起きていることが詰まっていたりして
今見て時代の経過を懐かしく思うことができたんじゃないかと。

ロズウェルは、2002年にアメリカでの放送が終わっている。
ちょうどその頃、日本に帰国したばかりでやることもなく、
テレビをつけたらシーズン1が始まったばかりのところだった。

ドラマが面白い、というより最初のきっかけは、
DIDOが歌うオープニング曲、Here With Me。

それがすっかりストーリーにはまり、途中からだったので結局最初から借り直し
3シーズン一気に見た。

後半になるに連れ物語はラブストーリー色が濃くなり、
誰がだれと、、と若干もういいです、状態になるが、
シーズン1あたりはすごくテンポがよく、哲学的でも、詩的でもある。

エピソード6のワンシーン。
主人公リズは自分の命を助けたことで
マックスの立場を危うくさせてしまった事を謝ると、彼が答える。

君を助けた日にー
僕の人生が始まったってそう思うよ

It feels like,
my life didn’t start yet til I told you the truth on that day.

字幕はわりとありきたりなセリフなのだけれど
オリジナルの英語のセリフにはもうちょっと気持ちが入る。

マックスがリズを助けた日に『真実』を言えたから
ずっと’truth’(ここでは彼の正体のことだけれど)を秘密にしていたそれまでが
まるで生ではなかったと感じるほど、今、人生を感じ、
そして後悔をしていない、と。

そんな感じのことを not 〜 till 〜 に感じる。

この関係が逆の時もある。
字幕が、今までが嘘のよう! と言えば
Now I start to see the real life!
のような。

自分でも訳してみようと思うと、不思議な事に
長い時間をかけた末、同じように日本語と英語では
立ち位置が真逆な表現になることが多々ある。

残念ながらこれを『どうして』と説明し切れない。
それは単なる文化の違いなのか、言語の仕組みの違いなのか
感覚的な事で、そう、としか言えない。
いつか、はっ、と悟る日が来るだろうか。

=====

このドラマでキャサリン・ハイグル【KATHERINE HEIGL】を知る。
とても印象的で力強い、と思っていたら、今ではすっかり注目の若手女優。
以前コラムに書いた 27 Dresses の彼女は
このロズウェルの時のイザベラに近いかもしれない。

2013/02/28 02:46 | movies, things | No Comments
2013/02/25

先日家族で上海に駐在する親戚を訪ねた。今回で2度目の訪問。
1度目は“上海”という土地も“中国”に入国することも初めてで、
とりあえず言われるがままに観光をし、ごはんを食べ帰ってきた。

2度目の今回は、少しまわりのことを見る余裕があり
改めて海外で外国人として暮らすことの注意深さ、を思い出す。

例えば、守衛付きのマンションに住んでいる、
とか
あまり目立つような服装をしない、
とか
常にスリには気を付けバッグはチャック部分を内側で前に肩がけ
とか
道端でお財布を開けない
とか、
細かなことだけれど重要で、書き上げたらキリがない。

タクシーに乗れば、日本語で会話していても
端々に走っているエリアの名前を中国語で挟み込む。
ちゃんと自分がどこにいるか知っている、とアピールするわけだ。

更に幼稚園と小学1年生がいる家族だったので、
子供立ちは“さらわれないよう”母親から常に注意を受ける。

外を歩くときはスリにも気を付け誘拐に気を付け、襲われることないよう
テンションを張り続ける。

アメリカで生活していた頃の緊張感を思い出した。

大学時代にボストンにいた頃、ひったくりにあったことがある。
確か3年生の冬だったと思う。

自分の人生の中でも10本の指に入る出来事なので
その内コラムに書きたいなと思っているが、
とにかく幸いだったのは、けがもせず何も盗られなかったこと。

けれどそのひったくりタチは捕まることもなく逃げて行き
だからその後がとても怖かったことも覚えている。

相手が自分を覚えているんじゃないか、
でも私は相手を見てもきっと分からない。
瞬時の事でましてや在米年数も浅く、外国人の顔はみんな同じに見える頃。

だからすぐ、髪を切って髪型を変えた。
その時来ていたジャケットやズボンは、しばらく着なかった。
向こうに見つけられないように。

そして、後から考えれば考えるほど、ひったくりは明らかに待ち伏せだった。

だからNYに引っ越し就職し、会社に歩いて通うことになった時、
通勤経路をよく変えていた。

一度狙われたら襲われることは避けられない。
日常パターンがあると襲いやすくなるから狙われる。

日本に帰って来て10年ほどたった今、
あれは妄想を掻き立てすぎで、注意深すぎだったんじゃないかと思ったりもする。

けれど今回上海を訪れその家族を見た時に
土地勘のない外国人はやっぱり狙われやすいものなのだな、と。

もちろん日本だからと言って安全、ということではなく、
やはり生活パターンが分かると、悪事を働く人にとっては
計画が立てやすく、リスクヘッジがしやすくなる、ということはきっと同じ。

けれど、外国人でいる限りまず目立つことが避けられず、
日本人の場合は明らかにその土地より豊かな生活力があることが多く
普通に生活しているだけなのに、それが見えてしまう。

盗まれるものが何もなくても、日本人は全て裕福、と思っている
ステレオタイプな外国人タチが、日本人、というだけで襲う事だってある。
盗むものがなければ、その変わりとして命が怪しくなる。

ふと思ったが、日本に在住している外国人たちは、
同じような緊張感を持って生活しているのだろうか。

===

おもしろかったのは、一番下のちびっこが
最初の夜に歯磨きをする時に得意そうに教えてくれた。

歯を磨いて口をゆすぐ時は、
まずコップに飲料水タンクからの水を入れ、それに歯ブラシを入れてかき混ぜるんだよ
それかから水で口をゆすぐのも飲料水で!

なるほど、怖いのは外での出来事だけじゃない。
少なくともアメリカでは、蛇口の水でも大丈夫だったけど
中国では慣れるまでは歯ブラシさえも水道水で洗わない方がいいらしい。

2013/02/25 05:30 | things | No Comments
2013/01/31

モンスターズ・インク
【MONSTERS, INC.】
2001年、日本に帰国することを決めた年

最近姪っ子甥っ子がひとつの場所にじっと座れる歳になり、
去年何度か一緒に映画を見に行った。

ドリームワークスアニメーションの『マダガスカル3』に
ユニバーサルスタジオの『ロラックスおじさんの秘密の種』。

もちろん普段からディズニーとかピクサーとか、アニメーション映画は見にいく。

大きな違いは子供タチとは“日本語吹き替えで見る”こと。
以前コラム『日本語吹き替え版で見るコト』でも書いたが
子供時代に見る外国映画は知らず知らずのうちに吹き替えで見ることになる。

そしていつの間にか大人になって、映画を字幕で見るようになっていて
子供向け、というより、子供も楽しめる映画であればあるほど、翻訳が大変だ!
ということに今更気が付く。

なぜなら、わー、とかきゃーとか
とにかく意味不明な言葉が次々とキャラクター達から発せられる。

そういう意味では、日頃固いおとな会話ばかりの英語に接していると、すごく楽しい。

大人になって見たハリウッド映画のアニメーションの中で
一番好きなものは!と言われれば、即答でモンスターズ・インク。
この映画も冒頭からわけのわからない会話がぽんぽんと進行する。

子供達を驚かせ、
恐怖であげる叫び声が生活エネルギーになっているモンスターたちの世界。
稼ぎ頭のサリバン【Sullivan】とその友達マイク【Mike】が今日も仲良く会社に出勤。

最近車を買ったばかりのマイキー(マイク)が車で出勤するというのを
いやいや、省エネで、と歩いてい行こうとサリバン。
車を買ったのは走る為さ、とジェスチャー交えマイクが不満げに言う。

With the honk-honk and the vroom-vroom
道をブッブー ブルルンと

vroom-vroomはそのままブルルンなのに、
honk-honkとクラクションを鳴らす音は字幕にはない、
と思ったが、ああ、フォンフォンじゃなくて日本語はブッブーね!と。

合間に通りがかるモンスターがくしゃみと一緒に火を吹いて、
目の前に広げた読みかけの新聞が燃えてしまう。

Ah, nuts.
やれやれ

“nuts”、これはとにかくナッツのように細々としたものがばらまかれて
どうにもこうにも面倒、みたいな時に良く使う。
確かに“やれやれ”だ。

歩き続けるサリバンとマイキー、途中で八百屋の兄さんと陽気に挨拶。

Tony, Ba-da-bing!
Pow, pow, pow, pow, pow!

マイキーが打ち真似をしながら発するこのセリフ、
訳されてないし。

Ba-da-bingは辞書を引いてもなかなか出てこないが、
じゃじゃーんとか、そんな意味らしい。
ドラマ“ソプラノス”のお店の名前しか思いつかなかった。

Pow, pow, pow, pow, powはジェスチャーから想像するに、
パン、パン、という軽い銃声の音。

そしてこの会話シーンは、八百屋のあんちゃんの投げる野菜と
これまた通りがかりの液体モンスターのセリフで締めくくられる。

Hey! On the house!
おごりだ

とあんちゃん。

そこを液体状のモンスターがうっかり排水溝の網の目の上を横切る。
当然液体だから網の間からざばざばっと体が排水溝へと落ちていく。

ただし網目より大きかった目玉と入れ歯は上に残り、
その残ったパーツがため息混じりにつぶやく。

Oh, great
参ったな

この短いシーンだけでも意訳がもりだくさん!

これは吹き替えで見た方が落ち着いて楽しめるかも、と改めて思ったが、
音が楽しいのでやっぱり頑張って英語で見ようかと。

2013/01/31 11:09 | movies | 1 Comment

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