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再生医療という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
トカゲのしっぽのように失われた手足や臓器が再生できればいいなあ、と思う人は多いでしょう。聞いたことがあってもまだ研究段階なのだろうと、自分には関係ないことと感じている人も多いとは思いますが、実はもう医療現場に入ってきているのです。
例えば、角膜。角膜が使い物にならなくなったとき、多くは角膜移植を考慮しますが、ドナーの不足や拒絶反応の問題があります。ところが、健康な方の角膜の淵や口腔粘膜を使って角膜を人工的に作って薬剤等でにごってしまった角膜と取り替えるという技術がわが国で開発されました。
また、足の血管が詰まって強い痛みで歩行が困難になる病気として足の血管の動脈硬化症やバージャー病といった病気があります。こういう患者さんに対して血管になる幹細胞を注入します。1例を御紹介しますと、移植前は親指に潰瘍ができていましたが、移植12週後には、きれいに回復しました。これらはまだ研究段階ですが、そのうち主流の治療になるでしょう。
ところで、この再生医療には幹細胞といって、すべての組織のもとになる細胞がよく使われます。多くは、骨髄細胞、臍帯血、静脈血から採取することが多いのですが、なんと脂肪細胞に多く含まれているらしいのです。しかも、骨髄や臍帯血は多くは取れないので、培養する必要があるらしいのですが、脂肪細胞にある幹細胞は密度が高く、培養の必要がないらしいのです。培養という人為的操作が入らないため、事故や副作用の可能性が少なくなるわけです。
まずは、美容整形でやるように脂肪を吸引します。そして、脂肪細胞由来の幹細胞を分離します。それを組織や血管に注入するのですが、(場合によってはシートに植えます。)目的となる細胞が増えて、再生するというわけです。
例えば、乳がん手術後の乳房再建や乳癌の部分切除の跡を目立たなくするのに使われます。これは従来も自分の脂肪や筋肉で作っていたのですが、なかなか生着しにくいという欠点がありました。ところが、脂肪細胞由来幹細胞を使うと組織に血管新生があって、元来の乳房再建のように脂肪が吸収されず保ち続けるという利点があるのです。乳癌手術後ばかりでなく、豊胸手術にも使われているようで、なるほどシリコンよりよさそうですね。
そして心筋梗塞や狭心症。冠動脈という心臓を栄養する血管が詰まって起こる病気なのだけれど、冠動脈に注入すると、血管新生が起こるだけでなく、心筋細胞のダメージも最小で防げるらしいのです。
7歳の女の子で怪我のため、頭蓋骨が取れて脳が一部むき出しで、ヘルメットを使って保護しなければならなくなった子にフィブリンシートに脂肪細胞由来幹細胞を植えて、脳を覆うとなんと3ヵ月後には欠けた頭蓋骨が再生したそうです。
子宮ガンの放射線治療の副作用で仙骨がむき出しになった90歳のおばあさんでいままで様々な治療をやっても改善しなかったのに、この脂肪細胞由来幹細胞を移植すると、組織が盛り上がって状態が改善されたようでした。
その他に、尿失禁の治療や足壊疽の起こりかかりにも応用されています。
90歳のおばあさんにも効果があったこの療法だが、やはり若い人の方が幹細胞の増殖率が高いそうです。ということで、将来は脂肪細胞バンクを作って若い頃とっておいて、年をとって病気が出てきたときに利用しようという案も出ているのですね。商魂たくましいねえ。
脂肪だったらいっぱいあるさ、
と開き直った方もいらっしゃるでしょう。
ところが皮下脂肪由来のものは上記のとおり再生医療でご活躍中ですが、いわゆる「メタボ」の方に多い内臓脂肪だと利用できないそうです。皮下脂肪は役に立つが、内臓脂肪は百害あって一利なしでした。ダイエットに励みましょう。
* この記事は昨日の講演会の内容をまとめたものです。資料が配られなかったので、記憶とメモだけで書きました。不備があったらごめんなさいね。










