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2013/12/13

最近スクールにおいて色々と考えることもあり、
生徒さんと向き合ってどうしても気になることがあるので
それをトピックにいたします。
今回も叱咤激励でございます。あしからず。

私が勤務するスクールは、ネイルスクールには珍しい担任制です。
通常のスクールは自己管理が主体です。
いわばドライビングスクールのように、生徒さんがご自分で有効期間内にカリキュラムを消化していきます。
複数の講師がいる場合、そのタイミングで担当講師が異なります。
学校ではなく社会人の専門学校ですから、これは社会的には当然といえば当然ですね。

担任制では、もっと「親切」な仕組みです。
特に私が在籍する校舎は本当に親切で、まるで義務教育の学校のようなバックアップ体制です。
もちろんこれは善意によるもの。理解されている方にはそれは快適なシステムです。

しかし、悲しいかな、そこまで手をかけられ背中を支えられても自らドロップアウトする、
もしくはフェイドアウトする(結果としては同じ)生徒さんも少なからずいらっしゃいます。
そうなる予兆の方には、担任である私とスタッフでお話や説得を続けます。

ドロップアウトの理由はもちろん様々で、一概にその方の意志の強弱を問われるべきではありません。
そうではなく、あきらかに自分の弱さを乗り越えられずやめてしまう場合があり、本当に残念なのです。

私は開講時のオリエンテーションで必ず伝えることがあります。
それは、辞めたくなったら今の気持ちを思い出して欲しい、ということです。
今の気持ちとは、新しいお勉強に取り込もうとするフレッシュな気持ちはもちろんのこと、
入学を決めるまでにあったであろう様々な支援です。
高額の費用、家族の理解と応援です。
そして理想や夢を描いた自分の気持ちと計画。
それを絶対に忘れないこと、そして始めたお勉強は必ず修了させることをお願いします。
あの時頷いて話を聞いてくれていた姿を私は覚えているから、余計悲しくなります。

プロになることが夢なら、その手前にあるのは検定試験合格などの目標であり、
その目標の前にある課題はスクールにおける勉強です。
この道筋を忘れさえしなければ、きっと夢は叶います。
かかる時間や苦労は人それぞれ、それは自分を知り、向き合う良い機会でもあるわけです。
夢がかなったとき、きっとすでに次の課題や目標、さらなる夢も現れているかもしれません。
そしてどこかでやっぱり辞めたくなるかもしれません。
その時も、決心した時の自分と向きあうことで取るべき行動やあるべき思考がわかると思います。

辞めるのは一瞬です。簡単に辞められます。
でも、その「辞める」に納得していなければそれはゴールではなく
ただのドロップアウト、脱落です。
何よりその惨めさや後ろめたさは自分がよくわかっていることでしょう。

ネイルの勉強だけを日々やっていることは確かに難しいです。
お仕事や家事、その他の用事もあります。
自分流でいいので、どこかで折り合いをつけないと、両立させるのは厳しくなるでしょう。
それすら考える思考を停止して、逃げ続ける先に待っているのは恐らく「ドロップアウト」です。

まさに自分と向き合い、時には戦うことになるわけです。
もし、本当に自分には向いていないとか面白みをちっとも見出せないということで
納得されているのであればこちらもしつこく止めません。
そういうことだってもちろんあります。
そうなのか、そうじゃないかはご本人と話していれば長い経験から大抵わかるものです。
そうではなく、なんか面倒くさい、思ったよりトントン拍子で上達しない、
勉強もしなくちゃ、と思うけど他のことを優先すると結局出来ない、
余計考えることも嫌になってくる…というような状況であればこれは実は踏ん張りどころであるサインです。

ネイルのお勉強でこの機会を与えられていることは、
実は長い人生においての良いギフトだと思いませんか?

偉そうにお説教する私も、同じような失敗と挫折を経験したからわかります。
若気の至りのように、浅はかな発想や行動で他人はもちろん自分にも迷惑をかけたり
がっかりさせたりしてきました。
今はネイルの話をしていますが、これはあくまで「例」です。
なんの例かというと、困難を乗り越えたり成長する過程に対しての姿勢の例です。
だからこそ、その予兆を見せている生徒さんを放っておけずお説教しちゃいます。

それでも、最後に決めるのはいつでもその方ご自身。
もしネイルから離れてしまっても、いつかこうしたことに何か他の「例」で気づいていただけたらそれはそれでいいかな、と思ったりもします。

辞めてしまって、出席簿のお名前が線で消されたりするのを見るたび
そんな想いを遠いその方にはせます。

ネイルがライフワークになった私は、
出来るだけ多くの生徒さんが自分の可能性を輝かせていただきたいといつも祈っています。

2013/08/08

つい先日、生徒さん達がお食事会を開いてくれました。
幹事の方が声をかけ、元・生徒さんも現・生徒さんも混ざっていらしてくれました。

こういう機会はたびたびあるのですが
本当に嬉しいもので、私も本当に楽しみです。

普段の上下関係が少し外れ、みなさんの本音トークを聞くこともできるし
何より世代や過ごしている環境の違う方々のお話は興味深く新鮮です。

そんな中でまたまた新しく気持ちを引き締める発見がありました。

ある生徒さんが「先生、ぶっちゃけで聞いていいですか?」と。
大歓迎で聞くと、
授業中に近寄ってその技術を見ていて、何も言わず立ち去るのはどういう意味なのか?と。
それを聞いた他数人の方も「あ、それ私も知りたい!」となりました。

状況として説明すると、
複数の生徒さんが技術をしている授業中、私はウロウロとその様子を近寄って見回っているのです。
もちろん注意すべきは注意したり、褒めるべきは褒めたりしながらです。
その際チェックした方全員に声かけするということはありません。
ある程度見て次の方のもとへ移動したりします。

その状況を、その生徒さんは「スルーされた…」と感じたことがあるそうです。
そしてその「スルー」は良い意味ではなく、
下手くそな技術を見て呆れたに違いない、と思ったりするそうです。

これには正直私も驚きました。
スルーしたのは、多くの場合は特に注意すべきことのないきちんとした技術である時です。
私の気持ち的には「よしよし」です。

かたや注意が必要な技術も見つけます。
その際は大抵その場で声をかけるのですが、
たまに声かけを後回しとすることがあります。
この場合のスルーは、注意すべきタイミングを待っているためです。
より理解を得られるタイミングというものがありますし、
もしくはベストな指導の言葉を考えている最中ということもあります。
ひとまず保留として、他の生徒さんの技術を見に移動するわけです。
気持ち的には「う~ん、なんて説明しようかな…」です。

そして、間違う生徒さんに対して
呆れて無視をするということは決してありません。
というか、気になってしまってむしろ出来ません(笑)。

驚きながらも、こういった釈明をしたところ、
生徒さん達は安心したり逆に感激したりしてくれた様子で一安心しました。

あらためて見る側と見られる側のギャップを感じた出来事でした。
お互い「そう思われていたのか」という軽いショックもあり、
これまた良い刺激です。
その生徒さんがしょんぼりしている様子が目に浮かぶようで
申し訳ない気持ちにもなりました。

教室の中だけでは決して気づくことのないことも
こうしたお食事会の場に招いていただいたことで気づき、今後指導の参考になりました。
一人だけでない生徒さんが共通して思い煩っていたということに、
呆れているように見えたらしい自分の行動に、
思いもよらなかったとはいえ反省しきりです。

気をつけているつもりでも、やはり難しいなと思いつつ
この与えられた機会に感謝です。

2013/04/18

プロのネイリストになりたいと決意したら、
なるべく最短で、出来るだけ確かな技術を身につけていきたいと思われるでしょう。
今回は、ネイルスクールの選び方についてお話します。

ネイル雑誌を見れば、サロンガイドとともにスクールガイドの多さが目を引きます。
「講師はJNA認定講師!」とか
「初心者でも安心!」とか
「万全のフォローアップ体制!」とか
どこもアピール満載です。

ネイル業界の情報に長けているならともかく、
スクール選びをしよう、と思っている方のほとんどは何を基準にしたら良いかわからないと思います。

まずチェックすべきは、
講師が全員(ここ重要)JNAの認定講師であるかどうかです。
ネイル業界の中枢であるJNA(日本ネイリスト協会)では、認定講師制度を設けていて
ほとんどの運営活動をその認定講師達が担っています。
検定試験の試験官の委託を現在受けているのもJNAです。
技術や知識を有している講師からレクチャーを受けるべきです。

全員がそうであるということも重要です。
いわゆる看板講師だけを立てておいて、実際の授業は認定講師ではなかった、ということもあります。
それがすべてダメではありませんが、よほどスクールの体制がしっかり出来ていないと
同等の指導が出来るか不安が残るところです。

次に、カリキュラムの確認をします。
何事にも順序があるとおり、教える順序をスクール側が把握し管理できているか気になるところです。
職人的な要素がある技術ゆえ、「見て盗め」のようなスタンスがあることも。
ある程度のレベルならそれも有効ですが、一から始める初心者では厳しいものがあるでしょう。
難しい技術と現状把握が出来ない不安により、モチベーションが下がる可能性があります。
「初心者から育てる」という意識をスクールや講師がどこまで理解できているかが問われる部分でもあります。
無駄に時間ばかりかかってしまうことのないように、
近い目標を生徒さんが目指すことが出来るように導くのも講師の役目ですから
それがカリキュラム管理として表れると思います。
また、多くのスクールではそういった混乱を避けるためにも対象を分けていることがほとんどです。
一から教わるコース、すでにプロの方を対象とした単発コース、といった具合です。

そして案外見過ごされるのが教材です。
初心者には、たくさんの道具材料を渡されても何に使うのかさっぱりわからないし、
他との比較などとても出来ません。
その教材が果たしてどの位のレベルなのか確認する術がありません。
安価で粗悪なとりあえずの物を与えられ、すぐに実費で買い換えるといった残念な展開もまだあるようです。
不安を感じたら、次のように聞いてみることをお勧めします。
「この教材はプロになっても同じ物を使えますか?」
特に、キューティクルニッパー(甘皮の処理に使う)はとても大切な道具の代表です。
品質に差が非常にあるので、ある程度の高品質の物をしっかり使う癖を最初につけるべきだと私は考えています。
この質問をした時の反応で、その講師やスクールの態勢がわかると私は思っています。

以上が必ず確認して欲しい最低限の項目です。

あとは、講師やスクールの雰囲気などをチェックしましょう。
説明会での印象のほか、出来ればレッスン見学もさせてもらえると良いです。

私の独断と偏見になるかもしれませんが、
会った講師が、やけに横柄だったり、質問されることを嫌がったり、
自分の自慢話ばかりだったり、というようであればあまりお勧めしません。
レッスンが始まってもいえることですが、
自分の技術以外は認めないというスタンスの講師も厄介なものです。
(あきらかに正しくハイレベルでその自信からくる場合は別)
NGとOKの根拠をきちんと説明できる講師なら信頼できるのではないでしょうか。
なぜなら、ハイレベルな技術者ほど常に探究心を持ち進化しているからです。
試行錯誤した経験も豊富なので、様々なパターンに対して比較が出来ています。
技術において、根拠や経験に基づいてのアドバイスはとても貴重なのです。

また、作業の過程もしっかり見ていてくれることも大切な要素です。
仕上がった結果だけをチェックして、
「ココがダメだよね」「ココはこうなっているといいね」というアドバイスのみでは
改善は期待できません。
生徒さんだって、それは私も気づいているんだけど…ということになります。
なぜそうなってしまうのか、の原因や理由に気づき軌道修正させるのが指導です。
無意識にしていたちょっとした仕草がいけなかった、ということも技術にはよくあります。

この記事はあくまで、講師をしている私の見解です。
自分自身を振り返って反省する意味も含めまとめてみました。
これからスクールを探そうと計画されいる方、
今のスクールに疑問や不安を感じている方の少しでもお力になれたら嬉しいです。

2013/03/21

4月の中旬に、半年に一度(3級は年に4回)のネイリスト技能検定試験が行なわれます。
受験される方々はラストスパートに入る時期かと思います。

合格を目指して頑張っているわけですから、
ぜひ一人でも多くの合格者が出るよう私達も望んでいます。

それでも、
頑張ってきたつもり、たくさん練習もしたつもり、
なのに受からないのはどうして?という悔しい思いをする方が多いのが現実です。

頑張って練習したのは、会場内にいる誰もが同じです。
では何が違うのでしょう?

試験前になると数多く聞かれる疑問や嘆きに、今回は私なりのお答えをしようと思います。
少しでも悩んでいる方のお役にたてたら嬉しいです。

ネイル試験の練習では、規定の時間内に終わらせるべくタイムトライアルをします。
これはとても大切なことです。
一定の時間内に一定の技術を行う試験ですから当然の練習です。

でも実は、この練習時の目標がすり替わってしまっている場合が少なくないのです。

「時間内に終わること」が目標になっていませんか?

試験は、かなりタイトな時間設定です。
練習では一度もタイムに入らず本番を迎える、といった場合も少なくないようです。
なんとか時間に入りさえすれば!と思った時点で、試験合格の目標が変わっています。

かつて受験されて失敗されている方は、試験が終わった直後のご自分を思い返してみてください。
心の中の第一声は何でしたか?
「ぎりぎり終わった!間に合った!」でしょうか?
ご自分の作り上げた作品を見直す余裕なんてなかったでしょうか?
もし、当てはまるようなら
練習時の意識が間違っていた可能性があります。

なぜなら試験は、規定時間内に終わることは当然の前提だからです。
終わらなければタイムオーバーで失格です。
時間に入ってから、やっと審査対象になるということです。

審査対象になってからこそが試験の作品。
その作品には、さらにクリアすべき基準が山ほどあります。
それクリアしての合格です。

ましてや、極度の緊張を強いられる本番です。
意に反して手の振るえは治まらないことが多いでしょう。
頭が真っ白になってしまう、ということも少なくないでしょう。
そんな中でも手先に神経を集中させ技術をしなければなりません。

いつもの実力以上が発揮されることは稀なのです。
試験当日に奇跡は起こりません。

タイムトライアルの練習は、時間内に収まるテンポを確認する作業です。
それが掴めたら、今度はその中で技術の完成度をいかに合格ラインに近づけるかです。
この練習こそが、本来の目的です。

本番では一人の受験生さんの作品を複数人で審査します。
ですから、誰が見ても合格ラインということが求められます。
練習や模擬試験で、自分やモデルさん、一人の先生が「大丈夫」と思ったところで
それが通用するかはわからないのです。

受験を決めたら、練習目標の計画を立てるべきです。
時間に余裕のあるうちは、一つ一つの技術を確実なものにしていくピンポイント練習。
次に課題をすべて通してみる流れの練習。
そして2ヶ月前くらいからタイムトライアルを混ぜてみます。
さらにこの時期、まさにラストスパートの1ヶ月前からは
タイムトライアルでの完成度アップを目標にしましょう。
どうしてもつまづく弱点が出てきます。そこはピンポイントの練習を混ぜます。
会場での緊張を最小限に抑えるため、模擬試験をたくさんしてください。

100%の準備と完成度で臨んだのでは、落ちてしまう可能性がまだ半分あります。
120%、150%と、レベルを上げれば上げるほど、合格は近づくと思ってください。
1分でも30秒でもいいので、終わった後に自分の作品がいつも通りかどうかの見直しをする余裕を持ってください。
このレベルになっていれば、落ち着いて試験当日を迎えることが出来るでしょう。

応援してます!

2013/03/07

今回は、ずばり「ネイリストに向いていない要素」がトピックです。

何様?!というお叱りを受けるのは承知のうえ、
あくまで微力ながらもいち講師として活動している身で
いちプロネイリストとしても今現在感じていることを書こうと思います。

何事も向き不向きや得て不得手は着手してわかるもの。
仕方ないとはいえ、趣味でなく仕事としてその可能性を探っている場合は
指導するこちらも悩みどころです。

これまでたくさんのクラスを担当し、たくさんの生徒さんを見てきました。
みなさん、ネイリストとして一人前になるべく頑張っている方ばかりです。
しかし中には、残念ながら向いていないのでは、と思ってしまう方もたまにいます。
そんな方には共通点らしきものがあるようです。
私の講師という立場上と、
いち個人が勝手に他者の方向性をジャッジすることは好ましいことではないのですが
現実そういうことももちろんあります。

私なりに共通していると思われる特徴を箇条書きにしてみます。

・整理整頓が苦手
・時間にルーズ
・負けず嫌いではない
・極端に失敗を恐れる
・聞き上手でない

あれ?と思われた方もいるかもしれません。
ここには「不器用」という条件がありません。
ネイリストは手先を使う細かい仕事、
器用じゃないとかセンスがないとかが致命的なのでは?と考えるかもしれませんね。
実は案外にこれは努力と経験次第でクリア出来る点なのです。
もちろん、器用でセンスがあるにこしたことはないのですが。

上に挙げた特徴は、ネイリストという分野に限らずといった印象かと思います。
社会人としての常識に当てはまる特徴が多いのです。

ネイルは、たくさんの細かい道具や材料を使いこなし、
限られた時間内で手際良く行う仕事なので合理性を求められます。
ですから、物事に限らず思考回路にも影響する整理整頓の発想はとても大切です。
整理整頓が出来るということは、衛生管理も出来るということにつながります。
こちらもとても大事なことです。

時間を守らない、や、聞き上手でない、というのは
何かを習得しようという姿勢に関係します。
時間においては言うまでもなく、
人の話を要領良く聞くことが出来るのは、接客業において必須条件です。
ネイリストは特に長時間の作業をお客様と向き合って行ないます。
作業に集中しながらも、耳ではお客様の話を聞いて会話をする「聞き上手・相槌上手」であるべきです。

負けず嫌いではない、というのも技術職には必要な要素だと思います。
向上心を保ち続けるには、自分のレベルに満足をしないという負けず嫌いな性質が好影響を及ぼします。
時にはこれが自分自身を苦しめることにもなるのですが、
ステップアップするためには程よく負けず嫌いであるべきなのです。

最近、特に感じる良くない兆候は「極端に失敗を恐れる」方が多いということです。
たくさんの情報を仕入れることが出来る現在では、
とかく頭でっかちになりがちだからでしょうか。
経験する前から、起こるかもしれない失敗を悉く避けるようにしようという質問を多く受けます。
ある程度は予防や知識として必要でもあります。
しかし、時に想定してもキリがないようなことまでも想像して心配している方が少なくありません。

それから、「先生みたいに出来るようになるコツは?」という質問。
もしそれが講義としてレクチャー可能なら、
私達の長いこれまでの経験は何だったのかと、返したくなったりもします。

技術が身に付くには段階があります。

情報として習い、実践し、
失敗を繰り返してコツをつかんでいく。

こういう失敗に気をつけて、と情報として習ったとしても
体験するまでは実感しないのが普通です。
すべての失敗がケースとして取り上げられ予防されるなんてことは不可能です。
下手と思われたくない、恥ずかしい、という感情を持つことも普通ですが
そこに囚われ過ぎると頭の理解が手に伝わりません。

私がスクーリングで常に伝えているのは、
「プロを目指して習う立場」であるという意味を忘れないでください、ということです。整理整頓の必要性、時間厳守などはもちろん細かく注意します。
プロとしての厳しい条件を意識してもらいます。
ノートを取る習慣をつけ「話を聞く」姿勢を身に着けてもらいます。
そして何より、失敗を前提に今の自分の実力をさらけ出すように伝えます。
弱点を見つけ指摘と軌道修正するのが講師の役目だからです。

こうして向かないというマイナス条件が徐々に減り、
驚くほど上達する方も少なくありません。
もともとマイナス条件が少ない方もさらに意識を高めてくれることもあります。
どんな生徒さんも必ず一度は「向いていないかも」と不安に思われます。
そんな時こそ、逆に自分を見直すチャンスなのです。

更に「向いていない」を「向いている」へのシフトに拍車をかける条件があります。
それは、
自己投資を惜しまないこと
です。

ネイルに限らず、何かを習おうと思えば費用がかかります。
それは消耗品であったりレッスン代であったりと様々です。
ましてや将来それで収入を得ようと考えているならば、なおさらです。
技術職なら使う道具も良質(イコール高価であることが多い)な物を選ぶべきと気づくでしょう。
「お金がかかりますね」と生徒さんにため息をつかれることも多々ありますが、
必ずそれを取り返しましょう、と伝えています。
取り返せると経験から知っているからです。

実は私も、向いていない条件をたくさん持っている生徒でした。
予想以上にかかる費用に閉口していました。
でも、ようやくこうしてそれを振り返る立場になることが出来ました。

もしかすると、一番の向いていない条件は「あきらめが早いこと」かもしれません。
逆に、一番の向いている条件は「あきらめないこと」だと信じています。

2012/07/12

スクールには様々な年齢層の方がいます。
でも、主体はやはり20代です。

色んな方のお話はそれぞれ楽しく、興味深いのですが、
特に20代あたりの生徒さんの話を聞いていると本当に楽しくなります。
自分にもこんな時代があったんだな…とつくづく懐かしいような。
時代は変われど関心事の種類はあまり変わらないようです。

先生、どうしたら太らないようにできますか?
どうやって彼氏を作ったらいいと思います?

こんな質問をよくされます。
世代を超えての関心事といえなくもないですが、
若く独身の身であるお嬢さん達の頭を占めている割合は相当なもののようです。

妹と呼ぶには離れすぎた年齢の彼女達、
私から見ればそれだけで初々しく可愛らしいのですが
同年代に(無理やり頑張って)目線を移して答えようとしてみます。
が!
かなり至難の業。
人間は忘れる生き物です。

「彼女はいますか?って聞いてみれば?」
とか。
「自分だったらその誘い方、どう思ってしてるんだと思う?」
とか。

それが分かれば簡単なんだけど、というなんとも外から的なアドバイスしか出てきません。
太らない秘訣なんて私が知りたいくらいです。

自分はどうだったかな…。
やはり人間は忘れる生き物。
出来事は鮮明に思い返せても、その答えになるような発想は思い浮かびもしません。
偉そうなアドバイスを出来るほどの経験もないので
失敗談を披露しているだけで終わってしまいます。

そんなやり取りや、うまくいきそうな進展報告を聞くと
こちらもなんだかドキドキして楽しくなります。
これ、この感覚、きっと思い切り蚊帳の外な人の感想です。
自分がこんな立場になったとは。
微笑ましくもあり若干淋しくもあり。

年齢や経験を重ねるって、美食と似ていると思っています。
舌が肥えてくると世の中の美味しいものはどんどん減っていきます。
もちろん追いつくほどには程遠いのですが
自分を取り巻く環境を世の中とするならば、という範囲のお話です。
昔は美味しいと食べていたあれもこれも、
これとそれには敵わないななんて少し物足りなくなります。
当たり前になった途端、未知が既知になった途端、
それは感動やドキドキの色を失い始めます。

知らないことがあるって素晴らしい。
感動があちこちに転がっているということなのですから。

歳をとって始めた手習いははまる、ということを聞いたことがあります。
簡単にはゴールが見えない経験の面白さと尊さは、
それが少なくなった身の上だからこそ切実に実感するのかもしれません。

私にとってのネイルも然り。
ネイルを通じて、こんな風に新しいコミュニケーションや挑戦をさせてもらえることも
思いがけない素敵な副産物です。
スクールの場は、私にとって刺激に満ち溢れた場所なのです。

2012/05/03

今回は、私の未熟さを露呈する暴露話をしたいと思います。
恥ずかしいし、自分一人だけでなく関わった方々もあることなので
なかなかお話できることではありません。
ただ、時効かな、という厚かましい気持ちも最近あったりして、
あと記事で残すことで戒めにもなるかな、なんて思いまして。
暴露話といえどあまり具体的かつ面白おかしいような内容ではないのですが、いざ。

意外に思われるかもしれませんが、ネイル講師に必ずしも講師資格は要りません(最近はその傾向も変わってきてます)。
現場経験のある者が優先となる傾向があり、資格がなくても経験年数が長い経歴で採用されることもあります。
事実私自身もそうして雇われた経験があります。
私の場合は、お世話になった方の推薦ということもありました。
基礎を教えるクラスの担当だったこともあり、資格がないこともさほど問題ありませんでした。

ある程度の経験と技術レベルに達しているとの自負があったので、この際に他のネイリストと技術を比べるという発想もありませんでした。
そんな中の講師業。アシスタントや代理を長くしていたこともあり授業の進め方などにも不安はありませんでした。
スタッフからも生徒さんからも、呼ばれる敬称は「せんせい(先生)」です。
基礎クラスということは、生徒さんは当然これから基礎を学ぶネイルに関してはいわば素人さんです。
少しは手慣れたネイリストの技術は感心するものばかりで当然です。
自分ではそれなりに勉強してきて、当時も勉強し続けていると思っていました。
そこにこの状況、恐縮する気持ちが強かったものの、しばらくすると慣れてしまいます
「私はまあ上手なネイリストなんだ。なにしろ講師だし」と。

振り返るとこれが罠の張られた分岐点だったのです。
名づけて「せんせい(先生)の罠」です。

技術の上手い下手を判断してくれる機会は、独立したフリーのプロになるとなかなかありません。
いえ、実はあるのですが(大会に出て順位を付けてもらうなど)それを意識することが少なくなるといいますか。
あえてする必要もないと思ってしまいます。
プロでもサロンワークで上司のいる場合は別です。
大抵のサロンでは定期的な技術チェックが行われますし、大会に出ることを推奨する環境も存在します。
しかしフリーということは一人であることが多いので、そういった仲間がいる環境ではないのです。

お客さんははっきり「あなた下手よね」とは言いませんし、
技術を比べることの出来る同僚だっていません。
スクールは卒業しているのでダメだししてくれる先生のような存在もいません。
ましてや職場では「せんせい」なので正しいと思われていることがいつのまにか前提になります。
それに胡坐をかいてしまうと(意図せずにせよ)裸の王様になり下がるのもすぐです。

いくら素人に近い生徒さんでも、そのうち疑問を持ちます。
それは多分、技術うんぬんというよりは本物かどうかという単純な疑問だと思います。
習う側は常に自分の得た知識なり技術なりを同士で比べます。
情報交換も行われるでしょう。そこでは講師側の技量も問われ始めます。
あまりにも酷くギャップのある場合は、スクールのスタッフに相談することもあるのでむしろ発露しやすいです。
そうなればいずれにせよの対処を求められることになるので、これはこれで解決に向くでしょう。
しかしそれすらも今ひとつ起こりえない場合、こちらこそが問題になるのです。

講師自身が自ら気づくかどうか。
さらには、
気付いた(気付いていた)のに気付かない振りをしてたことと向き合うかどうか。

ここで罠は分岐に変わります。

私もこの分岐を経て今現在に至ります。

一度教える側になってしまうと、なかなかこの現実に真っ向から向き合うのは厳しいです。
自分の技術をいったん否定するところまで落とすからです。
関係ないと思っていた、高いレベルの世界に目を向け足を踏み入れる覚悟を問われます。ネイルの場合、その高みとはもはやストイックな「職人」のような世界です。
キレイとか早いとか、そんなレベルではない価値観が存在する世界です。
資格試験はその始まりにしか過ぎず、そこからもこの分岐で進んだ道は続いていきます。
大小の様々な分岐があり、どこがゴールなのかは誰にもわかりません。
自分がゴールと決めたらそこがゴールになります。
しかしゴールは成長の終わりをも意味します。

切磋琢磨、日々研鑽、こんな言葉を実感として味わう日々の連続です。

私の場合、すべては講師としての技量を高め保つためです。
なぜなら、自らの限界を突破しようと足掻くうちに吸収していくものは多く、引き出しが増える分教えられることも増えていくからです。
失敗を経験することは、失敗したら乗り越える攻略法も身に付いているわけで、
まだまだ失敗することの多い生徒さんの目線を捉えることも出来ると思うからです。

技術を高めていくことで、自分自身にも自信がつきます。
(自信を無くすことも繰り返すわけですが)
自信のあるレクチャーは、伝わります。
一番嬉しいことは、生徒さんの技術レベルが上がることです。
ある方から言われた、「生徒は自分を映す鏡」という言葉を嬉しく実感するときです。

教えることは自分が教わること。
私は覚悟を決めて以来、本当に実感してきたことです。
「せんせい」の敬称は、習慣として耳に慣れたと思いますが、
本当の意味での先生になるためにまだまだ勉強中であると思えるようになったのもそれからです。

「せんせい(先生)の罠」に陥ったあの頃、
いま振り返れば辛いこともたくさんあったけれど、
あの罠がなければ今の私もなかったんだな、と感謝のような気持ちも湧いています。

嬉しく楽しいことが多いなか、辛く厳しく悲しいこともあります。
それに立ち向かうのも必要な講師力。
選んだこの道がかけがえのないものだと思えるからこそ、
どこまでこの力をつけることが出来るのかまだまだ頑張るつもりです。

2012/03/22

今回は、スクールに通う生徒さんのお話をしようと思います。

私が講師を務めるのは、社会人向けの各種資格取得を得意とする大手スクールのネイルコースです。
一般的なネイルスクールはネイルサロン直営や関連という形が多いので、私のスクールのような形は特殊といえば特殊かもしれません。
転職や資格仕事、というキーワードにマッチするためか受講される生徒さんも一般のネイルスクールより幅が広いように感じます。

年齢的なものももちろん、経歴や職歴、環境なども本当に様々です。
以前にご紹介した「親子ネイリスト」のような方もいらっしゃいます。

ネイルサロン通いをされていて「ネイル大好き!極めたい!仕事にしたい!!」というきっかけより、「ネイリストって仕事としてどうなんだろ?」という方が多くいます。

そんなせいかどうか、個人のキャラクターも個性豊かで刺激的、同種に偏らず様々な方々がクラスメイトとして集うので見ていて面白いこともたくさんあります。
これからお話するエピソードは、プライバシーを考慮して事実をベースに若干のアレンジも加えます(が、かなり事実に近いです)。

初日の自己紹介、みなさん緊張しています。
お名前と軽い自己紹介をしてもらうのですが、ある時「元・キャビンアテンド」という方がいました。
お化粧もばっちり、姿勢がもの凄く良くて、終始口角を上げ気味にして「良いお顔」でいらっしゃいます。足も常に斜めに組んでいたり、立っても片足が半歩前です。
それなりの場所でないと、案外にもこうした完成度の高い雰囲気って浮くものみたいです。
別に何もしていないのに、彼女は明らかに「異種」でした。
私の経験上、第一印象で何かしら「ん?」と引っかかる場合は、その後も色々な意味で悩みの種になったりということが多いものです。

彼女の番がきて、ハキハキしたアナウンサーを意識したような明るい声でご挨拶を始めました。
「わたくし、元はCAでございました。ネイルは女性の嗜み、これから皆さんとともに頑張ってお勉強いたしたいと思っております」
関係ないかもしれませんが、うちの学校は千葉にあります。
このキャラは場所柄やや珍しいような…。銀座校とかならしっくりくるかもしれません。その後も他の方の自己紹介をにこやかに相槌を挿みながら聞いていた彼女。
私よりぜんぜん先生っぽいです。すごく疲れそうで心配です。
もしかして今回のクラスはこの人が「要注意生徒さん」かな…なんてうっすら思いました。
そしていよいよ初回の授業開始。
初めての授業では、まず道具や材料の説明と確認、座学ではネイルの歴史を学びます。
スタートから約15分、ガターンという音がしました。
驚いて見ると彼女が椅子から落ちちゃってます。
慌てて近寄ると「具合が悪い。。。」と。とにかくスタッフを呼び、空いてる教室に椅子を並べて横になってもらいました。
心配で様子を見に行くと目を開けていたので、大丈夫?と話しかけました。
「先生、すみません、わたくし時々こうなってしまうんです」と。
落ち着いたところで今日のところは帰宅することになりました。
そして彼女はそれから二度と現われませんでした。
後のスタッフの説明では、実は他の校舎にも一度通ったことがあるそうで、そのときもほぼ同じような状況で初日で帰ってしまったのだとか。
しばらくして本人から「もう一度通いたい、でも違う校舎で」との連絡があり今回に至ったそうで、
なぜ違う校舎なのか、なぜ初日に具合が悪くなってしまうのかよくわからないままなのだとか。
特に持病(緊張による発作とか)があるという話でもないらしく、またいつも元・CAであることを常に必要以上に強調する意味もよくわからず。
その後彼女がどうしているかは知りませんが、謎多き女性として記憶に残っています。
うーん、今も不思議。そしてやっぱり少し心配。

お次のお話。
検定試験にはアートの課題があります。
その都度テーマは与えられて、今春に控えている試験の場合だと「バタフライ(蝶々)」ですし、前回は「スイーツ」でした。
ある時の試験、お題は「海の生き物」。
決められた時間内にバランスよく手際よく見栄え良く描こうとすると、だいたいパターンは決まります。
イルカ、ニモ(クマノミ)、海亀。
このあたりが人気でみなさん頑張って描いていました。
いつもニコニコしていて可愛らしい、でもその若さゆえだけではない天然ぶりがやや心配だった生徒さんがいました。
彼女は最初イルカを描いてきました。
なんか違和感を感じる…と思って観察すると、イルカのほっぺ(が実際はあるかどうか)にピンクの丸いチークを描き入れているのです。
子供向けのアニメならいいのかもしれませんが、試験ではないほうがよさそうです。
「イルカにチークはいらなくない?」と言うと、
「えっ!?」と、もの凄く意外だったというような反応が。
試験だからね、と諭し描き直しを指示しました。
数分後、出来ました、と可愛い声がしたので見に行くとまったく同じチーク仕上げ。
だからなんでチーク描いちゃうの?いらないでしょ、と強めに聞くと、
少し口を尖らせて
「じゃあ、センセ、亀にしてもいい?」と聞きます。
いいけど…。
それから嬉々として描き始めた彼女。出来ました!で呼ばれると。

もうおわかりですね。

海亀のほっぺにもしっかり丸いチークが。
長いため息をつきたいのを我慢して、描き直しを伝えると
「え~、じゃ、今度はニモにする」と。
どうぞどうぞ。
そして、また同じ展開です。

たぶん普通だったら、からかわれてるのかと思いますが、彼女はいたって真剣なのです(それが天然)。

あのさ…、と私が言うと、周囲の黙々と作業していた他の生徒さんも流れを読みクスッと笑い出します。
「えーっ、ダメですか?」と上目遣いで聞いてくる彼女。
「てか、なんでいつもチークを絶対描いちゃうの?」
「えー…、だってこっちの方が可愛いから」と。
ま、「アート」なのでその発想はありっちゃありなんですけど。
結構真剣な試験なので、かたく合格を目指すならやっぱり「なし」です。
早口でまくし立てたい気持ちを抑え、ゆっくりした口調で諭しました。
結果、口を尖らせ納得いかないオーラ満々で普通にイルカを描き上げてくれましたが、
果たして本番ではどうだったか…。
試験後は会っていないので今も時々気になります。

後は、練習に付き合ってモデルになってくれているお母さんと喧嘩を始めちゃうとか。
モデルさんって、素人とはいえ慣れてくると割りと目が肥えるらしく
生徒さんより冷静に評価が出来たりするんですね。
身内なのでなおさらのようで、
「違う、先生はこうしていた」とか「もっとそーっとやっていた」とか
聞いているこちらも、わが意を得たりのような的確なアドバイスをズバッとしています。
すると生徒さんが怒っちゃうんです。
「うるさい!」とか「わかってるよ!」とか。
するとお母さんも負けていなく
「だからアンタのやり方は違うってば!」とか。
親子喧嘩勃発です。宿題やったの?今やろうとしたのに!みたいな。
そんな時、身内の争いには下手に口を出さない方が良いので、
しばらくは聞こえないふりで静観しますが、
ボルテージが上がりそうなら間に入ります。
やれやれですが、それだけ皆さん真剣ってことで微笑ましくもあります。

色んな方と接することで、私も楽しかったり刺激を受けたりしています。
またコミュニケーションのお勉強にもなりますし。
なにより、この仕事をしていなければ接することのなかったであろう年齢層や
経歴をお持ちの方々にお会いできるのは本当に嬉しいことなんです。

2012/02/12

ネイルの世界には、通常のサロンワークのほかに検定試験やコンテストが多くあります。

お客様にネイルサービスをおこなうサロンワークは、ネイリストの仕事のメインをしめますが
その技術や情報を常に最新かつ高いものに保つためには、そういった試験やコンテストが不可欠だと思います。
自分の技術を客観的に評価してもらうことは、我流になりがちな「腕」や「目」を鍛えるためにもっとも効果的です。

今回からはそんな試験やコンテストのお話をご紹介していこうかと思いますが、
まずは柔らかくネイルアートのお話です。

以前にネイルアートをしてみましょう!編でお伝えしたのは、実践的なアートです。
通常サロンでサービスするアートのベースでもあります。
しかし、ネイルアートにはコンテスト用のものも存在するのです。
コンテストですから、技を競うわけで、実用性は必ずしも必要ありません(むしろ不要)。
ネイルの技術を総動員してあらゆる用具材料を使い、
「こんなことも出来ちゃいます!」的な、まさしくアートを競うのです。
アートを施す土台は、ネイルチップ。
爪に実際に貼り付けることが出来るチップです。
コンテストアートでは、チップだけを飾り立てるタイプのものと、実際にモデルさんの爪に最終的には装着しメイク・コスチュームともにトータルで仕上げるものとあります。
ネットのキーワードに「ネイル アートチップ コンテスト」で検索してみてください。きっとたくさんの実際の画像が見られると思います。

ちょうど先週に私が講師を務める学校でチップコンテスト(前者タイプ)があったので、どんなものか写真をご紹介します。

ああ、恥ずかしい。
…これはもちろん私の作品。共通のお題であるテーマは「春のいぶき」。
実は私はアートが一番苦手。
こうしてご紹介するのはとてつもなくお恥ずかしい限りなのですが
普段あまり目にすることのない読者の方もいらっしゃると思いますので
勇気を振り絞りました。はい。
ご同業の方が見てらっしゃるかもしれないと考えると怖すぎて仕方ないのですが。

気を取り直して。

チップは片手5本分。
長さは自由ですが、こうして有り得ない位の長さのチップを使うことも多いです。
マニキュアでベースカラーを塗り、その上にアートをしてあります。
イラストはアクリル絵の具を使い筆で描いてます。
上部のモコモコした部分は人工爪に使うアクリルです。エンボスアートという技法です。
蝶々も同じくアクリルで作り紋様は絵の具で描きました。こちらは3D(スリーディー)アートと呼ばれる技法。
このように複数のアート技法を混ぜることをミックスメディアアートと呼びます。
検定試験の内容にも含まれる技術です。

この写真のようなアートはとても単純なものです。
実際の大きなコンテストになると格段の差でお話にもなりません。
受講生さんへのいわゆるお手本見本なのと、校内コンテストなのでわかりやすく基本的なものです。
(とはいえ、繰り返しますが私のアート力量はこんな程度です…)

さて、アートに関してよく聞くことで、
「私はセンスがないんです」とか「絵が下手なので向きませんよね?」といった不安の声があります。
これからネイルをお勉強しようと考えてる方がまず口にされることなんですが、
これははっきりお答えできます。

まったく関係ありません。

センスや絵の上手い下手は確かに差が出る部分でありますが、
ある程度のアートは「慣れ」なんです。
配置のバランスや描き方は慣れれば、サロンワークではほぼ通用する程度のアートが出来るようになります。
ド下手な私が言うのですからきっと説得力があるのでは、と思ってます。
そこから先、たとえば本格的なコンテストに臨むなどのレベルにはセンスを磨き技法の向上が必要になります。
センスの磨き方(アートの発想など)は、とにかく色々な作品を見ることのようです。
実際の絵画や食器類からヒントを得るというネイルアーティストも多くいます。
服の柄や包装紙など、身の回りにもヒントはたくさん溢れています。

やはり細かいことが得意なネイリスト達は、細かい所にも目が行くのかもしれませんね。

2012/01/21

私が講師を務めるネイルスクールは、幅広い年齢層の受講生さんが多いことが特長です。20代の方が中心ではありますが、私が担当したなかで、上は62歳、下は18歳。
6人~8人の一クラスに様々な方がクラスメイトとしていらっしゃいます。
当校はネイルスクールには珍しい担任制クラスです。
入学すると毎週同じ曜日同じ時間に、平均1年半ほど一緒に過ごされます。

みなさん「ネイリストになりたい」という共通の希望を胸に入学されるのですが、
その理由はさまざまです。
以前にお話したシェアリングによってもそれ以外のタイミングでも、
徐々に学校と講師の私に慣れてきた生徒さんから色々な打ち明け話を聞きました。
今回はその中でも印象深かったお話をご紹介します。

Aさんは、40歳を過ぎてのお勉強開始でした。
そのお若い様子からそうは見えないのですが、すでに成人したお嬢さんのお母様です。
当初は「子育てがひと段落したので」とおっしゃっていましたが、
後日「実は…」と打ち明けてくださいました。

お年頃のお嬢さんとは、徐々に話も合わなくなり会話も少なくなっていったそうです。
そのうちお家も空けがちで友人宅に泊まる日が続き、母親であるAさんは寂しさとともにどう関係を修復したら良いかわからず途方に暮れていたそうです。
自由になる時間が増えたこともあり、なにか今までしなかったことをしてみようと習い事を検討していたところ、ふと思いついたことがありました。

そういえば、娘はネイルを好きでよくやっているな…。

ネイルは自分も興味があるし、何より少しでも娘さんとの接点を掴めれば、
という気持ちでネイルのお勉強に白羽の矢を立てたのでした。
実際に始めてみると想像以上に奥深く可能性も幅広いネイルにすぐに夢中になりました。

ネイルのお勉強には練習に手を貸してくれる方(モデルさんと呼びます)の存在が必須です。
お嬢さんにお話してみたところ、意外にもすんなりモデルを承諾して付き合ってくれたそうです。
最初はぎこちない雰囲気がなくもなかったのですが、そのうち感性も鋭いお嬢さんも熱心に練習に付き合ってくれるようになりました。
何よりこれをきっかけにして以前のようにご家庭にもお嬢さんの姿があるようになったそうです。

お母様であるAさんの熱心な様子に触発され、お嬢さんもネイルにさらに興味を抱くようになります。
そして数ヵ月後、スクールに入学したお嬢さんの名前がありました。
お互いが手を貸し合い、勉強に関する情報を共有したりするいわば「ネイル友」にもなったのです。
私に、Aさんの練習を冷静に分析しダメだしを語るお嬢さんの様子は、なんとも微笑ましく羨ましくなってしまうほどでした。

Aさんは現在、立派なネイリストとしてご活躍されています。
ネイルをきっかけに他方面での出会いが増え、趣味を超えたネイル以外の専門分野もお持ちです。
お嬢さんはネイルのお勉強を続けつつ、ご結婚、ご出産されお若く可愛らしいお母さんになりました。
主婦であり子育てを終えた母親であり、
今ではお若いおばあちゃまで、
ネイリストでもあるAさんはお会いするたびキラキラとされている素敵な女性です。
「本当になんてことはないただの主婦だった」と、かつてのご自分を笑って振り返られる充実した日々を過ごされています。

同じ女性として先輩でもあるAさんとの出会いは私にとっても貴重なものです。
ネイルこそは私がご指導させていただきましたが、色々なことをAさんから学んだと思っています。

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