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2012/04/11


先日、作家活動のベースとしているロッテルダムにて、ある「嗅覚のアート」に関するイベントにて、プレゼンテーションをしてきました。

展示したのは、OLFACTOSCAPE という2010年の作品。布で作られた直径3mの空間で、「空間における匂いのコンポジション」をテーマにしています。タイトルの” OLFACTOSCAPE” は、OLFACTO = 嗅覚SCAPE = あるシーン、この2つの単語で作った造語です。

今回は、サブテーマとして、 deconstructing Chanel No. 5 を掲げました。直訳すると「シャネル5番の分解」

円筒状のカーテンに、シャネル5番の重要コンポーネントを別々にぐるっとスプレーします。理論的に推論すれば、真ん中に立ったときに、「シャネル5番」のトータルな匂いが嗅げるはず。そして、カーテン沿いに歩けば単独の匂いが嗅げるはずです。音楽に例えれば、トータルな匂いが「ハーモニー」で、それを構成する単独の匂いが「トーン」です。そんなズーム・イン/アウト的な嗅覚体験を観客に楽しんでもらう、というインスタレーションです。

その詳しい内容は、すみませんが私の作家活動ブログの方をご覧ください。

http://witch-lab.blogspot.jp/2012/03/olfactoscape-deconstructing-chanel-no-5.html

どこの世界でもそうですが、この世界にも競争があります。西洋人はエゴ丸出しになり、いかに多くマイクを握って発言するか、・・・みたいな競争も始まります。発言しないと、存在しないことになってしまう文化ですから。遠慮とか謙虚とかいう言葉は、彼らの辞書には存在しません (笑)

しかし私は長年のヨーロッパ生活から学んだことですが、それは日本人のネイチャーとして、不可能とはいわないけど、かなり無理があると最初から諦めています。特にヨーロピアンがマジョリティなこういうイベントでは・・・。言葉の問題もありますが、根本的なアティテュードの問題です。

でも、それが悪いわけではありません。いかに中身で勝負できるか、いかに言葉で説明せずに理解してもらうことができるか、いかに作品自体に語らせることができるか、そういう方向にベクトルを向ければいいのです。結果、ストイックになり、作品にも強い芯が通ります。

今回のプレゼンテーションは、明らかにそのベクトルが産み出した結晶といえます。

イベントでは明らかに、私の作品が人気でした。体験するための長い列ができたほどです。あとから友人から聞いたところによると、プレゼンしている私の姿もチャーミングだったとか(笑)。そうでした・・・日本人女性はなぜかありがたいことに、どんなことをしようと、チャーミングに見えるんです。西洋人との比較の問題ですが・・・。だから、カッコ良く見せたり、賢こぶったり、雄弁になったりするのは、得ではありません。変に「私が、私が、」としゃしゃり出るより、沈黙を選んだ方が、みんな勝手に「なんかエキセントリックでチャーミング(魅力的)かも」と解釈してくれる(笑)。それに前に出て行こうとするとなにしろ疲れます。そんなに若くもないし、体力もついてきません。これを学ぶのに10年かかりました。

イベントに先立ってオーガナイザーがインタビューをビデオにまとめてくれたのですが、「これほどシンプルに意図を説明してくれたアーティストはあまりいないよ」と評価されました。みんな、言葉で説明しようと必死になるため、いろいろな訂正が入って、編集が大変なのだとか。(笑)

そもそも、アートって、言葉にならない部分を表現して、直感的に感じてもらうもの。それなのに言葉を使って説明しないといけないないなんて、おかしいなあ・・・ と、オランダに移住して間もない頃は思っていました。だって、英語やオランダ語で説明を求められるのは、苦痛でしたから。「んもう、わかってよ!」とどれだけ思ったか。(そんなことが重なり、結果的に「もっとも直感的で本能的な感覚」である嗅覚への表現にいってしまったのかしら・・・。)

今回は作品が雄弁に語ってくれました。評判が評判を呼び、オランダの全国紙に掲載されるわ、リトアニアの雑誌に掲載されるわで、大満足です。

そういえば、「日本での展示はないのですか」とよく聞かれるのですが、日本はリスクの高い実験的なアートはあまり好まないお国柄ですので、嗅覚のアートなんて認められるのは、5年とか10年とか先、ヨーロッパやアメリカでもう使い古された頃の話かもしれませんね。残念ながら。(笑)

2012/04/11 02:44 | アート=生き方, オランダ | 1 Comment

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