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2013/05/25

東京と地方の両方に拠点を持つ。3.11以降、そういうライフスタイルを求めて動き出した若者や子育て世代は多いと聞きます。実際にわたしの周りでもそんな人たちがたくさんいます。

中にはマレーシアに子連れ移住!なんていうツワモノもおります。彼女のこの記事を読んで、私も変化生活の良さをシェアしてみたいと思いました。

わたしは二年ほど前から、二拠点生活です。オランダと日本。地球のほぼ裏側同士です。

聞こえはカッコいいですが、そうしたいと思っていたわけではなく、最初は「仕方なく」でした。まず日本からオランダに移住したのは2000年あたりでしたが、ようやくオランダに根ざすことができたな〜と思ったときには、ひどい牧草花粉症でした。毎年ひどくなってたんですね。蓄膿症や喘息など次々と併発し、しまいには生きるエネルギーそのものが無くなってきて、普通に生活できない、ほぼ寝たきりな状態になっていたのが2010〜2011年あたり。

日本やアジア圏にはあまりない花粉ですが、ヨーロッパ大陸にはどこにでも(トルコにさえも)元気に生えている、雑草の花粉です。飛散期間は1年の半分。高タンパク質で、粒子も大きいので、スギやヒノキの比較にならないくらい作用も強いのだそうです。なんとオランダはこの牧草ビジネスの中心地! わざわざ種を撒いてるらしいので、たまったものではありません。逃げ場は日本にしかない。

そこで医者の勧めもあり、家族を置いて日本の実家に帰ってしまいました。しかし、その甲斐ありました。昨年末くらいに蓄膿も喘息も回復。完治はできない病ですが、ほぼコントロール下にあります。花粉にあたらない限りは・・・。

子どもと離れて暮らす「離散家族」な状況なのは残念ですが、仕方ない。仕事の周囲に恵まれているので、平均すると1年に3〜4回、日本とヨーロッパを往復し、旅をしながら仕事をしています。なので結果的に、子どもに会えない期間が2ヶ月を超えることはない。学校が休みのときには日本に来てもらうし。

今では、定住国を持たない、ほんとうのノマド生活。当初は、「大変そう〜」と思ってたけど、人間、慣れるものですね(笑) スーツケースと Mac Book Air と携帯電話に投資し、どこでも仕事ができるようにしました。仕事の内容や方法も変えました。私物をたくさん処分し、モノをあまり持たない・買わないようにしました。軽量化のためだったら、投資を惜しみません(笑)。書類はぜんぶデジタル化してます。最近の趣味も、移動中にできる編み物と、身ひとつでできるベリーダンスになりました。(ノマドなので、ジプシー・ダンスが身に合うようです)場所を選ばない呼吸法も実践するようになりました。

「時差ボケは?」とよく聞かれますが、それも慣れるみたい。旅の前後になるべく予定を入れないでゆっくり過ごしたり、到着後はサウナか温泉に行って、少食を心がけたり、荷物を軽くしたり・・・と、様々な方法を編み出すことで、時差ボケや旅の疲れはほとんど感じません。家が成田空港に近いのもあり、いまでは新幹線に乗るような感覚で国際線に乗っています。

友人関係もダイナミックになります。もともと群れるのは好まないし、オープン・マインドでいればどこでも交流関係も広がるので、過不足のないちょうどいい感じです。定住地を持たなくなると、物欲も無くなり、あらゆる「欲」が無くなり、すべてがちょうどいい「中庸」なんですね。

いいとこどりしてると感じています。「ああもう少しでオランダ出るんだな〜」と思ったら、旬のホワイトアスパラを芯から味わって食べたり。オランダの良いところにも日本の良いところにも気づくことができるので、不平・不満が少なくなる。「あ〜 これ、オランダっぽいな〜」とか、「やっぱりこれが日本だよね」と、笑って流してしまう。スタックすることが無くなる。周囲にも自然に感謝ができる。

何より、「変化」への適応力をトレーニングすることで、若返ると思います! 実際、「若いね〜」「若返ったね〜」とよくいわれるようになりました。

変化を起こすにはエネルギーが要るし、周りとの摩擦をたくさん生みます。変化というのは、多くの場合、望まれていないのです。でも、前向きの、力強い変化であれば、周囲の理解はあとからついてきます。何かを変えたいと思った全ての人に、力がみなぎりますように・・・

2013/04/08


先々週末のイースターを、オランダで過ごしました。たまたまむかし農場だった家に住んでいる友人が、そのロケーションを生かして、イースター・パーティを主催してくれました。

↑イースター恒例の「卵探し」中・・・

オランダ人は殆ど外食をしません。倹約を尊ぶ気質なので、レストランに行って食事をするということ自体、贅沢なことのようです。昼食だって、みんな食パンにチーズを挟んだだけの質素なものを持参します。レストランに行くのは、何かのお祝い事があった特別な時のみ。

そのため、誰か友達と一緒に食事をするといった場合は、ほとんどが「おうちごはん」。自宅に招き、招かれるということがけっこうあたりまえの日常なのです。なので、オランダ人は「ホームパーティの達人」。その技をご紹介します。

■なにかにつけてホームパーティ

まず、ホームパーティといった場合、2つのケースがあります。1つめは5〜6人くらいまでの、招待制の小さな集い。「一緒にごはんを食べよう」というのが趣旨です。

2つめは、それ以上の人数を呼ぶ大パーティ。この前訪れたイースター・パーティもこの類い。バースデイ・パーティや、ハウス・ウォーミング・パーティ(引っ越しパーティ)などもこれにあたります。オランダでは、誕生日の本人が自分でパーティをオーガナイズする決まりなのです。私もそれほど広くない自宅で、20人規模をホストした経験があります!(オランダ在住邦人なら誰もが通る道です)

前者のパーティと後者のパーティで、違いはそれほどありませんが、前者を「おうちごはんパーティ」後者を「大パーティ」としておきましょう。

■「ワリカン」ではなく、「分担/シェア」の文化

招かれた側は、おうちごはんパーティの場合は必ずワインを持参します。バースデイ・パーティやハウス・ワーミングの場合は、ワインorプレゼントを持参します。このまえのイースター・パーティは逆で、ドリンクはホスト持ち、ゲストが「なにか一品、卵料理を持参」でした。私はアイスクリーム・メーカーを持ち込み、その場でアイスクリーム作り。

一般的には18:00から始まるのであれば、夕食つき。19:30以降からであれば、ドリンク+スナックのみ。いずれの場合も、日本のような材料費ワリカン制とか会費制はありません。すべてホスト側のもてなしの一部なんですね。そもそも材料費なんてじぶんで料理を作ればたいした額ではないので、そこをケチケチする文化ではないようです。

ここはオランダ人のカンチガイされやすいところ。英語で「Go Dutch(オランダ式にいこう)」というイディオムはなぜか、「ワリカンしよう」を意味してしまうのですが、実際オランダのカフェやバーではワリカンの場面に遭遇した事はほとんどありません・・・。どちらかというとそんな楽しい場で数字で割ったり、キャッシュをやりとりするのを嫌う文化なのです。むしろ進んで人に奢ります。「これはじぶんが払うよ」「じゃあ次のラウンドはボクが持つよ」。そんな「シェア」の文化。なのになぜ「Go Dutch」みたいなぬれぎぬ着せられてしまったのでしょう・・・。オランダ人がケチで有名だから?

確かにケチです。質素倹約を尊びます。でもだからこそ、ホームパーティなのです。そうすれば、思う存分振る舞えるから。なので男も女もみな、料理の腕を上げる努力をします。「ボクはBBQ系のグリル料理が得意」とか、「私のピザは生地から作るから美味しいのよ」など、披露したい料理がひとつやふたつあるのが当たり前です。

バースデイ・パーティの場合、フードもドリンクもホスト持ち。つまり誕生日の本人が、みんなに振る舞うしきたりなので、そんな得意料理のひとつやふたつないと困るのが現状。こんな規模のパーティをもしレストランやバーでやっていたら、いくらあってもお金が足りないので、自ずと自宅パーティとなるわけです。フードを自分で作れば、ドリンク込みで20人2万円で収まります。大好きな人たちが自分のために集ってくれて、一緒に楽しい時間を過ごしてくれるのであれば、とても安い出費です。そしてホストは、パーティをオーガナイズするイニシアチブをとる時点で感謝され、社会的にもリスペクトを得ます。

そもそもホストは「自分のパーティでキャッシュを出させるなんて、粋ではない」と考えます。なのでホスト側は、会費が発生しないように、かつ自分に負担がかかりすぎないように、あらかじめ役割分担し、頼むものは頼み、バーであれば「21:00まではドリンクフリー」などの上限を明確に設定し、それをゲストとコミュニケーションするのです。あくまでワリカンではなく、「シェア」の文化です。

↑アイスクリーム制作中

■ホームパーティの延長戦で

私はこの大パーティの延長として、じぶんの結婚式もすべて自らオーガナイズしました。料理も自らしました。お好み焼きを約80人分、花嫁衣裳姿で焼いたのです(笑)! お好み焼きの材料費は安いもので、確かぜんぶで1万円くらいだったかな。結婚式の朝に、花嫁みずから自転車で市場にキャベツ10玉買いに行きましたよ。式が始まる2時間前には、花嫁はサラダのドレッシング作り、花婿はスープ作りに勤しんでいました(笑)70年代風ラウンジスタイルのクラブを貸り切って、会場・ドリンク・食器レンタルなども併せてぜんぶで20万円弱の格安パーティ。もちろん会費はとりませんよ!さきほど述べた通り、そういう文化ではないんです。

さすがに新郎新婦の手料理を振る舞うパーティは、オランダ広しといえどもあまり聞いた事がなく、みんなの記憶に残るウェディング・パーティだったようです。(笑)

お金に余裕があればケータリングが普通です。それか、料理上手な人をあらかじめ頼んでおくとか。そこで呼ばれるシェフはたいていセミプロで、パーティ料理の達人。私はこれまであらゆるパーティで、この類いの料理上手な人にレシピを聞きまくり、パーティ料理の腕を上げてきました。

■訪れる側のマナー

そこに集まる人たちに共通するのは、みんなホストと友達だということ。逆にいうと、そこにいるメンツでだいたいホストの人柄や興味、社交テイストがわかってしまいます。招待された側のマナーは、そこにいる誰もと交流する気持ちで訪れること。まず着いたら自ら、そこにいる全員と握手して軽く挨拶します。これがわからなかった移住当時、日本人的に恥ずかしがって誰かが話かけてくれるのをずっと待っていたなんてこともありましたっけ・・・(笑)新参者は、努力せねばならないのが世のきまり。

私のアーティストとしてのキャリアは全て、この類いのパーティで築いてきたと言っても過言ではありません。地縁が全くない私にとって、見知らぬ誰かにじぶんから話しかけることを地道に繰り返すしか、人脈を築くことができないわけで・・・つまりお酒好きなのが幸いしたわけですね。

■ホスト側の準備

じぶんでホストしながら料理したりサーブしたりする場合「決して慌てない」ことがコツのようです。「早く出さなきゃ」と慌てると、緊張感が走り、その緊張感を家人も察知してしまうので、雰囲気がギスギスしてしまいます。まずはお客さんに酒とつまみさえ出しておけば、だいじょうぶ。鼻歌うたいながらじぶんの世界に没頭する、くらいの余裕が大事だということですね。

オランダではベジタリアンが多いので、最大公約数的にベジタリアン食を作ることが多いです。材料も安上がり。つまみに肉や魚を入れれば十分ですしね。サラダ、スープは事前に用意しておいて、主食のパスタはその場で作り、デザートは人任せか、チーズを用意しておく、というのが私のいつものパターン。量は作りすぎないのも重要で、余ってしまうと見栄えがしないので、七掛けくらいの量がちょうどいいですね。

こういうパーティでは、男性がちょこちょこ動く方が映えます。奥さんはくつろいで呑んでばかり、というくらいでもいい。ダンナさんがホスト役を投げ出していいのは、シンデレラタイム以降(笑)。私は料理だけはしますが、他の部分、たとえば買い物、客の出迎え、選曲やBGM、見送り、片付けなどはぜーんぶ男性に丸投げで、呑みます!

そもそもオランダのパーティではビールをクレート単位で買うので、その時点でもはや女性の仕事ではない。人数が多いときは、ビールサーバーをレンタルしたりもしますが・・・。そのくらいオランダ人は、ビールを水のように飲むのです(笑)

最近、花粉症で体力が落ちてしまってからは、じぶんの5月の誕生日にパーティをやることができなくなってしまいました。そのかわり、息子がパーティの年頃になってきたので、毎年パーティをやってあげています。7、8歳のころからホスト役は息子に一任するようになりました。私はただのアシスタント。オランダの子達は、このようにパーティ・トレーニングされ、大きくなっていくのですね。

2013/03/20

子どもの頃、「友達の家は違うニオイがする」と感じたこと、ありませんか? 玄関に入ったときだけ感じるのだけど、しばらくいると慣れてしまう・・・。あるいは、カレー屋さんからの匂いに誘われてお店に入ると、しばらくすると匂いは気にならなくなってしまう。

嗅覚は、鈍感な知覚です。同じ刺激に飽きやすいのです。これを私はよく「鼻がバカになる」と呼んでいます。じぶんの体臭がわからないのも、いつもじぶんの匂いを嗅いでいるから。たまにニンニクを食べると、ああ自分ってけっこうクサいんだなと気づく事はありますが・・・(笑)

嗅覚は鈍感かと思いきや、けっこう敏感でもあり、すぐ飽和状態でパンクしてしまう。香水を選ぶ際、いくつも嗅いでいるともう、何がなんだかわからなくなってしまう時ってありませんか? 一般的には3つ以上は無理、といわれていたりしますね。実際はそんなことはないのですが、あまり強く嗅いでしまった場合は匂い分子が鼻腔に付着してしまい、恒常的に鼻の中から香水の香りがするような状態になってしまうということがあります。刺激が強すぎて、他の刺激を何も受け付けられなくなる、つまり「鼻がロックされてしまう」のです。

そんなときに鼻を「リセット」する方法をいくつか、みなさんにご紹介しましょう。

(1)コーヒー豆の香りを嗅ぐ

よく精油コーナーなどに、嗅覚をリフレッシュする為にコーヒー豆の詰められた瓶などが置かれていたりしますね。お洒落ではあるのですが、私の経験ではこれはあまり効果がありません。残念ながら。

(2)じぶんの肌の匂いを嗅ぐ

これもよくいわれるリセット方法ですが、やはりあまり効果的ではないと思われます。なぜなら、その空間にまだ香りの分子がふんわり残っているはずだから。香水売り場にいる限り、そこが無臭であるわけがありませんよね。

(3)窓を開ける

これはわりと私もよく使う方法です。そもそも匂いを扱っているときは、窓を開けて換気に努めています。けど、どうしても換気が追いつかなくて、空間に匂いが染み付いてしまうことは多々あります。強烈な匂いであればあるほど、換気もけっこう大変ですので、暑さ寒さとの勝負になってしまうことも。

(4)外に出る

まったく屋外に出てしまう。これが最もてっとり早いです。1、2分もいれば嗅覚は完全にリフレッシュします。森の中や海辺であれば、さらに良いですね。

(5)鼻うがい

体温の生理食塩水を作り、鼻うがい専用のジョウロで右から、左から、食塩水を流す。ヨガの「ジャラ・ネティ」という手法です。これはいちばん理想的な方法。嗅覚をリフレッシュすると同時に、鼻腔内に残っている分子も洗い流してくれるからです。

風邪対策などの点でも理想的です。わたしは慢性副鼻腔炎を患っているため、この鼻うがいを日々実践していないと一生お薬のお世話になってしまうので、がんばって続けています。

ただこの方法の難点は、ちょっとした練習が必要ということ。慣れた方に習わないと、水を変なところに流し込んでしまうので、症状を悪化させてしまうのです。

かのジャック・マイヨールは、嗅覚が生命エネルギー(プラーナ)と直結していることをヨガの行者から教わってから、海に入るときにはまず鼻に海水を流し入れ、鼻を洗浄していたといいます。

(6)シャワー、プール、海に入る

シャワーやお風呂から上がった後。プールで泳いだ後。海で泳いだ後。嗅覚が生まれかわり、もっとも冴えている瞬間です。私が通った南仏の調香師学校にも、プール併設でした。嗅覚に良いから、放課後にプールか海で泳げといわれましたね。

ある嗅盲の人の体験談をご紹介します。彼は印刷屋さんで働いていたので、強い刺激性のインクを恒常的に嗅いでいた事から、嗅覚を失いました。

あるとき、サハラ砂漠で2週間の旅をしました。砂漠という乾燥した灼熱の炎天下では、匂いそのものが存在しません。無臭の環境です。匂い分子が人間の鼻腔に届く前に、揮発してしまうのです。もちろん嗅覚を失った彼にとっては全く関係のないことのように思われました。

ところが、その後2週間ぶりにオアシスでシャワーを浴びていた時。その刺激で嗅覚が蘇ったのです。その後は、もとの嗅覚が徐々に戻ってきたといいます。

私自身は、呼吸器官系のリトリートのため、定期的に世界各国の海に出かけています。今まででいちばん効果高いと感じたのは、なんと御蔵島・・・不思議なものです。友人がツアーをオーガナイズしているので、メンテナンスのために定期的に通いたいところ。(ドルフィンスイムのコラムをお持ちの鈴木あやのさんにも、いつか現地でお会いするかも?)

 

以上6つのスピード対策と長期的手法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。状況によってどれがやりやすいか違ってきますので、臨機応変に組み合わせてみてください。

 

 

 

2013/03/07

春は夜の闇を誘う香りで溢れており、惑わされます。水仙の香り、夜桜の香り、しっとりほっこりした土の香り・・・。

人は、生きている限り、息をします。その息はたいてい鼻を通るので、わたしたちは毎回、無意識に何らかの匂いを「嗅いでいる」はずです。

しかしわたしたち、いつもいつも匂いを感じ、意識しているわけではありませんよね? まあ、いつもいつも感じていたら気が狂ってしまうと思いますが・・・。

もっと嗅覚を敏感にしたいという方達のために、日常で匂いや香りを嗅ぐときのちょっとしたコツを伝授しましょう。

■まず、息を吸う時は必ず、口を閉じ、鼻で吸ってください。口で吸ったら、匂いはしません。鼻を通らず、ストレートに肺に行ってしまうからです。風邪や気管支炎、喘息を引き起こす原因にもなります。

■空気はまず、鼻毛を通りますね。何かと嫌われることの多い鼻毛にも役割があり、外気中の汚染物質やウィルスなどを除去してくれます。いわゆる天然の「エア・フィルター」ですね! なのでここに空気を絡ませるように、ゆっくり吸いましょう。また、鼻毛が出るのがみっともないからといって、短く切りすぎないようにしましょうね。

■同時に空気は、鼻腔の中にある天然の「加湿器」を通ります。冷たく乾燥した外気は、ここで適度な温度と湿気を得て、37度近い体内に優しい空気になるのです。鼻から失われる水分はけっこう多いので、体内が水分不足になると鼻の調子は悪くなります。加湿器に毎日水を足さなければいけないように、鼻も水分補給が必要。水はしっかり飲みましょう。

■その後、鼻の穴は奥の方で、上中下の3本に別れます。この中のいちばん上の道沿いに嗅覚、いわゆる「嗅上皮」というものがあります。ここには細かい繊毛が生えており、そこに「匂いの分子」を絡ませないと、分子は嗅覚を素通りして喉を通って肺に行ってしまうのです。なので、ビジュライゼーションしてください。ゆっくり息を吸い、空気を鼻毛に絡ませるように、たゆたうタバコの煙のように流しましょう。

■この時、上級者の方は鼻の奥で気流の微妙な乱れ(turbulence)を起こすように息を吸いましょう。すると空気が繊毛に絡まる確率が高くなり、微細な香りを眺めるように観察することができます。調香師もこの嗅ぎ方をしています。ほんの少し吸い入れ、止め、また少し吸い入れ、止める。その繰り返し。呼吸自体をかなり繊細にコントロールする必要があるので、ヨガの呼吸法のクンバカ、丹田呼吸法などの練習がお勧めです。

■隅々まで観察するときは、目をつむるとよいです。極彩画のようなイメージが表れてきやすいです。

■微細な観察だけでなく、ただ単純に楽しむように自然に嗅ぐというのも大事。たとえばローズの香りからは、セクシュアルなエネルギーを取り込むことができます。実際にローズの香りがないときも、そのようなイメージで息を吸うと、骨盤底からの吸気をすることができます。健康に良いですよ。

■アゴを引いて息を吸った方が、鼻腔のいちばん上の通路に空気を通しやすくなりますし、吸気量のコントロールをしやすいです。(ヨガでいうジャーランダラ・バンダ)。試しにアゴをもちあげて嗅いでみてください。あまり匂いがしませんよね?

■当たり前のことですが、鼻をスーっと通しておくに超したことはありません。特にアレルギー性鼻炎の人。ヨガの鼻うがい法「ジャラ・ネティ Jala Neti」を寝る前・起きた後に実践することを勧めします。実は私も慢性の副鼻腔炎。旅先にもJala Neti用のジョウロと食塩は欠かせません。

匂いを嗅ぐ事、イコール、息を吸うことであることがおわかりいただけましたでしょうか。上記の多くのものは、これまで20年に渡ってヨガと多くの呼吸法を学んだ経験と観察に基づき、独自に編み出した方法。ぜひお試しください。

写真:宵の枝垂れ桜。高貴な貴婦人の香り。スパイシー、パウダリー、スウィート、フルーティ。首都圏ではちょうど今がシーズンですね。ソメイヨシノはあまり香りがしませんが、枝垂れ桜には夜に香るものが多いのですよ。

2013/01/27

シンガポールからの帰りの飛行機の中でこれを書いています。

今回の旅は、シンガポール、マレーシア(日帰り)、インドネシア(バリ島で休日)と3カ国周りました。

じつはこれらの国すべて、私にはとても縁があるのです。というのも昔、この国々で喋られている言葉(マレー・インドネシア語)を大学の「第一外国語」として勉強していたのです。

履修の際、選択肢が6つありました。

  • 英語
  • ドイツ語
  • フランス語
  • 中国語
  • 韓国語
  • マレー・インドネシア語

上位3つのヨーロッパ系の語学はいわずとも人気があるし、当時(1994〜5年)はビジネス的に中国熱や韓国熱が高まっていた時代。

マレー・インドネシア語のクラスには、変わった人か、ヒッピーみたいな学生しかいませんでした。私も当然その「変人」の仲間ですけどね(^^) 履修人口は1000人中なんと30人!

今だったら状況は違うでしょう。むしろビジネスセンスのある学生こそ積極的にマレー・インドネシア語を履修するのではないかしら? それにマレーシアは、日本人の富裕層や年金生活者に人気の海外移住先とか。

まず当時の日本の常識としては、「マレーシアってどこだっけ?」 みたいな時代でした。バリ島でさえ、観光地としてもまだ知られていない時代でしたしね。

なぜそのような言語を選択したかというと・・・当時私はアメリカ留学から帰ってきて1年も経ってなかったので、白人系の言語や文化はうんざりしていたんです。そんな中、マレー・インドネシア語のPR週間に、先輩達が手作りのマレー菓子を配っていました。そのココナッツの味の美味しかったこと・・・。初めて食べた味で、感激しました。(とにかくナッツ好きな私。)

つまり胃袋で惚れ込んじゃったわけですね〜 (^^;)

そして、先輩達によるマレー舞踊のパフォーマンスにも心が動きました。ガムランの心地良い音の効果もあり、そのエキゾチズムにハマってしまったんです。

うちの学部は外国語学部でもないのに、1年半の間、毎朝3時間、語学の授業でした。しかも必修。それだけ外国語を重視している学部だったのであります。楽ではありませんでした。(今ではさすがにこの制度は見直され、廃止されているとのこと)

フランス語などであればお洒落なイメージで、なんとかモチベーションをキープできるかもしれませんし、中国語であればビジネス的に価値があるから投資と思って我慢できる。しかし何しろ、あまり馴染みのない国ですし、当然行った事もないし、将来役に立つとも思えない言語。そのため脱落者も多くいました(^^;)

でもチャーミングで熱心な先生(マレー人)と、アットホームなクラスメートのおかげで、なんとか1年半がんばれました。おかげで当時はけっこうしゃべれるようになったんです。新聞も読めたし。

で、1995年、がんばったじぶんへのご褒美にと、先生の村(カンポン)にホームステイ(短期留学)しました。そのときに初めて、シンガポール経由でマレーシアに入ったのです。そういえば親にも「マレーシアってどこの国?」と聞かれましたっけ・・・。

アメリカ以外の外国は初めてでした。しかも初めてのアジア、発展途上国、第三世界、熱帯の国。30人ほどのクラスメートと一緒にシンガポールからバスで、暗いハイウェイを移動した光景、ぬめっと肌にまつわる空気は、いまでも強烈に覚えています。

深夜着だったので、最初の宿は先生がアレンジしたどこかの学生寮。カンティン(食堂)で出されたメニューも超エギゾチックで、強烈に覚えています。塩漬け卵とか、めちゃめちゃ辛いカレーとか、腐ったようなニオイのする豆腐とか、カンクンとか。全てが初めてのフレーバー。

翌朝、バトゥ・パハットの郊外の村に着きました。先生の出身の村です。一家庭に1人〜2人、ホームステイしました。この村での原体験はあまりに長くなるので、割愛。

それ以来もシンガポールには縁があるのです。マレーシアでダイビングを始めたのもあり、大学が休みに入るたびにこのエリアの海を求めて旅しました。もちろん、シンガポール経由で。

その後2001年、山口市の文化振興課の研究職についたとき、このエリアのアート・シーンのリサーチに出かけたことがあります。そのときにはもうシンガポールのタクシー・システムやメトロ・システムなどを見ると、その計画的なデザイン性に「日本より先を行っている感」がありました。

その後はヨーロッパ在住の身となり、節約のためにいわゆる「南回り」という修行のような空路を取り、シンガポール経由で日本に帰国したりして、あいかわらずシンガポールに寄っています。

そして2002〜2004年にはインドネシアのバンドゥンで大掛かりな作品を作っていたので、何度も現地に足を運び、それもシンガポール経由でした。

2010年にはシンガポール美術館での展示に呼ばれ、仕事でまた呼ばれるように来始めたのはこの頃から。

そんなこんなで、シンガポールには20回近く来ているのではないでしょうか。(そのわりには観光をしたことがないので、あいかわらず土地勘がない。)

さて、あの頃はマレー・インドネシア語が喋れて得することは決してないだろうと思いながら必死に勉強していましたが・・・。実際のところ、どうでしょう。

この地域の人々も英語を学んでしまい、どうしても必要とされる場面が減って来てしまったので、やっぱりいまだに役に立つ訳ではありません。

それでもクリーニングのおばちゃんや住み込みのお手伝いさんにマレー語で話しかけると、太陽のような笑顔がこぼれます。「あらー! あなたマレー語しゃべれるのー?!」と。

マレーシアとインドネシアの人たちはとにかく人なつこい。みんなナチュラルな笑顔。たとえば東京とか、オランダでは決して見られないような。こんな笑顔が見れるんだったら、やっぱりこの言語を学んで「良かった」と思いますね。それに、そういう労働階級の人たちを通さないと見えない文化もあるんです。

ちなみに、英語が通じない田舎などに行くと言葉はサバイバルには便利です。バリ島での値引き交渉にもちょっと便利かな? この前もマレーシアのジョホールバルに日帰りで行った時、あまりに全てが20年前から変わってしまっていたので(あたりまえか)まったく見知らぬバスターミナルに着いてしまった時。しかも現金を持っていない。

なんとかマレー語を駆使していろいろ聞いて回り、ATMを見つけ、ローカルバスも見つけ、目的のバスターミナルまで行けたではないですか! しかもバスの運転手さんが「おまえ運賃払ってないだろう!」と文句いってきても、「ちゃんと払ったよ!」と言い返す。(←たかが20円くらいの運賃なのだ)

昔、かなりサバイバルなバックパッカー旅行をしていたときの体力、肝力、語学力がまだ私にもあったらしい・・・(^^)。

私がいま使えるのは、日本語、英語、オランダ語、そしてマレー・インドネシア語。最後のはもう怪しいとしても、普通の日本人にしては多い方です。

「才能があるんだね」と言われますが、いえ違います! 苦労しないで習得できたのは、日本語だけです。他は、完全に、「地道な努力」です。

なぜでしょうね。きっと、まったく文化も背景も言葉も考え方も違う人への興味なのだと思います。そういう人たちに触れる事によって、自分の考え方を見つめ直す機会を得て、結果として人としての器が大きくなる。それが楽しいのだと思います。

次はどの言葉にしようかな?

*写真は全て、ジョホール・バル(マレーシア)で撮ったものです。
2012/12/30

「匂いって、究極のエロですね・・・」と、映画「パフューム」を見たある友人。

持病の鼻炎のため匂いには疎かったその人、最近になって私と話しているうちに、匂いという側面から生活を見直すようになったらしいんですね。

なのでこの一言の意味するところは深く、きっと合点がいったのでしょう。「匂いを追求するとエロに辿り着く」そして、「エロを追求すると匂いに辿り着く」、どちらも否定できない人間の本質である、と。

男女が交わるとき。強く人の匂いを意識する瞬間がありませんか? そしてそれはたいてい、普段の意識でいえば「臭いニオイ」ではないですか?

かつてから、八丈島などの「くさや」や「納豆」、「ぬか漬け」など、いわゆるすごく臭い食べ物を人間がわざわざ好むのはなぜだろうと思っていました。「くさや」なんて、「おじさんの口臭」そのものではないですか。

世界に視点を移して見ても、フランスのドロドロになったカマンベールチーズはオシッコのニオイがするし、どこにでも臭い食べ物が存在します。そしてそれがその地域の食文化の誇りであり象徴だったりするのです。

なぜ人間はこんなに臭い食べ物に執着するのでしょうか。

きっとそれは、男女の交わるときに嗅ぐ「人の匂い」と関連があるのではないだろうかと睨んでいます。

私が「歩く匂いカミングアウト塔」となって、いろいろな方と意見を交わして明らかになってきたのは、女性のアソコの匂いは「桜海老」「酸っぱい漬け物」、男性のアソコの匂いは「納豆」「くさや」「カマンベールチーズ」であるとの衝撃の事実。

いや! 違う! XXの匂いだ! といった対抗意見がおありの方は、twitterで @makiueda 宛にコメントお願い致します (^^)

そして、今後私と呑む方はこの話題を酒の肴に楽しみましょう。

臭さをもアクセプトできる人間の愛って、すごいなあと思います。

愛をもってしても相手の匂いが気になって仕方がないとき、ちょっとした対処方法があります。鼻で匂いを嗅がずに口で息を吸えば、匂いがしませんよ〜。匂いのセンサーは鼻にあるのですから、そこを通さなければいいわけです。

けれども日常的な口呼吸は健康面からいってNGです。鼻毛は天然のエアフィルターであり、鼻腔は天然の加湿器です。常に鼻呼吸するようにしてくださいね。

2012/12/22

先日Junkstageのパーティでも私のこのコラムへの反響をいろいろいただきましたが、やはり圧倒的に「体臭の話をもっと!」という声が多いのですよね。ご期待にお応えし、今回もまた体臭に関してマジメに(?)思考したいと思います。

そもそも私はこのコラムを「普段はあまり書けないようなディープなことを、みなさんとシェアする場」と捉えていますので、友達が減らない程度に明かしていきます (^^) どうぞ今後ともよろしくお願いしますね。

女性はふだんから、匂いに敏感になる機会が多いです。シャンプー、化粧品、アロマ、などなど。料理に親しむ方は、香りにも敏感であるはずです。

そのため男性の匂い(臭い)にもひときわ敏感です。

それを男性も知っているのか、男性の体臭に関する悩みは多いですね。だからといって西洋人がよくやるように、香水で体臭をマスクするのにも抵抗がある方も多いのでしょう。

そんな方には、是非以下のことを実践していただければ幸いです。

(1)重曹で洗濯物を洗う

「洗濯物の香りがいい男性って、無条件に好きになっちゃいます!」 

テレビで人気ある女優さんがこう発言したそうです。(ゴメンナサイ、名前忘れました。)確かに、清潔であるはずの洗濯物がクサイと、男であっても女であってもげんなりしてしまいますよね。

海外の洗剤の香りが日本とはずいぶん違うのにお気づきになったことはありませんか? 西洋人、特に男性は体臭がきついので、洗剤にはムスクの香料が大量に使われています。これが生活排水に大量に流れ出し、河川を汚すので、魚は大丈夫なのか・・・などの議論がニュースで上がっているほど。

また、洗濯機も高温設定ができるようになっており、白いシーツやシャツなどの色を保つため(=汚れをきちんと落とすため)、90度で洗います。まちがって色物をこの温度で洗ってしまうと、洗濯物が全てグレーに変色してしまうので注意! 

このように西洋人も大変な努力を払って汚れをこそぎ落としております。

さて、高温設定もできない日本の洗濯機。洗剤をいくら使っても、何度洗っても、匂いが取れない・・・ということありませんか? とくに家干しの方。

そんな場合は、「重曹」を洗剤代わりに使ってみてください。100円ショップにも売っており、分量はパッケージに表示されています。私はよく大さじ1杯を入れ、その分洗剤を減らします。体臭の元である汗は酸性なので、重曹が中和してくれるのです。最後に香りの良い柔軟剤を使うと相乗効果が高いですね。

洗っても洗っても、ニオイが気になる・・・という洗濯物の中には、菌が住んでいると考えましょう。洗濯物をいちど酢に通してから洗います。そうすれば、洗濯物の中に住んでいる菌類が死滅します。そしてその常在菌は、人それぞれ違います。臭い服と自分の服を一緒に洗うのは、避けましょう (^^;)

(2)精神的・肉体的なゆとりを保つ

嗅覚が鋭いある女性が、交際中の彼の体臭を4つに分類してくれました。

1. シアワセ臭:普段の、その人の香り
2. ケモノ臭:セックスの最中など、興奮した時の、オトコっぽい、いい香り
3. 精神的ストレス臭:恐怖心、不安からくる臭い
4. 肉体的ストレス臭:単なる疲労疲弊からくる臭い

これはなかなか鋭い観察です。私も実感からこのように感じています。科学的・医学的な説明もできそうですが、長くなりそうなので省きましょう。

1や2は、女性からすればとてもいい香りなのです。安堵感ももたらします。

問題は3や4の時ですよね。この類いの臭いって、何をしてもダメなんです。石鹸で落としてもすぐ戻ってくるので、こまめな入浴さえ効きません(泣)

対処法は言わずとも、肉体的・精神的なストレスを減らすことです。しかし時間はかかります。

以前、ムスク系の香水で、じぶんの体臭を引き立ててくださいね! と書きましたね。まずはそのような方法で「自分のニオイはだいじょうぶだ」と言い聞かせ、安心しましょう。実際、不安や恐怖がニオイのモトだったりもするので、だいじょうぶだと思い込む事は(それが思い込みであったとしても)、有効な処方箋です。

その上で、精神的・肉体的なゆとりを持った生活が大事。基本的なことですが、早寝早起き、日常的な適度の運動(特に有酸素運動が良し)、菜食を心がけ、腸内環境を良くして、アルコールは嗜む程度、これらを実践するのが体臭改善への基本です。忙しい方でもこれらの点を気をつけながらの両立した生活ができるはず。

「ねえねえ、今のボク/ワタシのニオイ、どう思う?」とパートナーやじぶんの子どもに聞く習慣をつけると、変化がわかって良いですね! 勇気が要るかも知れませんが、相手だって気になってる事は話したいはず。でも決して自ら話しはじめることができないテーマ。相手に話し始めるきっかけを与えるボランティアだと思って、相手のためにも勇気を持ちましょう。

2012/10/28

 

 

15:00。なにげなくラジオを聞いていたらいきなり、ハスキーな女性の声が聞こえてきました。格調高いオランダ語に混ざって、セクシーに甘えるような喋りです。

アナウンサー(以下 ア)「こちらは娼婦のAさんです。こんにちは」

娼婦(以下 娼)「こんにちは」

ア「ところでAさん、いまおいつくつですか?」

娼「70よ。まだ私現役なの。ヴァギナは、まだまだ成長するばかりよ♡」

ア「そ、そうですか・・・」

・・・で、折しもアメリカの大統領選が熱い時期ですので、話題はそちらに。

ア「ところでAさん、アメリカの大統領選挙をどう見ますか?」

娼「まず、あのふたりは、わたしに言わせれば、ただのオスの猿ね。」

ア「はあ・・・」

娼「オバマは単におっぱいでヌクヌクしたくて、ロムニーはヴァギナが欲しいだけなのよ。アメリカではとくに、政治はセックス・パワーの見せ合いなのよね。・・・」

娼婦さんがこのように、大統領選をケチョンケチョンに批判した後。

オランダの某人気番組(パウル&ウィッターマン)の男性評論家が登場。もうひとりの女性評論家と、議論を交わしました。

議題は、「オランダにはなぜ女性評論家が少ないのか」。女性の社会進出が進んだオランダでも、言論メディアに影響力のあるのは男性ばかり。男女不公平ではないか、と。

男「女性は教育や仕事の機会も平等に与えられてるじゃないですか」

女「男性は既存権益にしがみついてばかり。男ばっかりでつるんでるし。これじゃなにもかわらないわ」

男「まあまあまあ・・・。きょうは天気のいい金曜午後なんだから、もうちょっとソフトにいこうじゃないか・・・」

男女の関係や問題って、ところ文化かわっても、大なり小なり似たようなものなんだな、と思いました。

そうそう、前出の娼婦は単に、アミューズ(遊び)の演出だったわけです。「女性(娼婦)が政治評論ってのも、珍しくていいんじゃない?!」というであり、暗のステートメント。

女性のメタファーとして娼婦っていうのもどうかと思いますが、真っ昼間からこんな奇抜な演出をするオランダのテイスト、ちょっとおもしろいですよね。きっと番組編集者が粋な女性だったのでしょう。

前回の「女性はどのように生きたらよいのでしょう?」コラム、多くの方から反響がありました。特に男性から多かったのが興味深いところ。

女性は女性でそれなりに自由を謳歌して楽しんでいるのは大いによろしいですが、男性はちょっとしたアイデンティティ・クライシスを感じる時代なのかも。

今回は男性バージョンとして、「オランダの男性は、強いオランダ女性を前に、どうやって生きているのか」をご紹介しましょう。

まずオランダの男性は、家事育児なんでもこなす人が多いです。その点、「世界でもっとも理想的なパートナー」とイギリス人女性も賞賛しておりました。オランダ男子はこの点がクリアーできないと、結婚は難しいのではないでしょうか。

べつに上手にできなくてもいいんです。「シェアする気持ち」が望まれます。

べつに50%50%でなくてもいいんです。共働き家庭がほとんどですから、「火曜日と土曜日はボクの担当」あるいは、「料理はあなた、掃除洗濯は私」みたいなざっくりした決め方です。

子どもが生まれると、女性は3ヶ月ほどで職場復帰します。そして、フルタイムで働いていた男性は週5から週4か3へ、女性は週3か2へシフトすることが多いようです。これがオランダ・モデルとして有名な「ワークシェアリング」です。

以下はオランダ白人家庭に非常によくある、一般的な例です。

月:子ども達は保育園へ。お父さん、お母さんは職場へ
火:お母さんは休み。家事育児係。
水:お父さんは休み。家事育児係。
木:子ども達は保育園へ。お父さん、お母さんは職場へ
金:お母さんは休み。家事育児係。

つまりお父さんは週4日働き、お母さんは週3。子ども達は週2で保育園に行く。

お母さんが週4働く場合、週1はどちらかの実家にヘルプに入ってもらうようです。レギュラーの場合は、親族といえどペイが行われているのが通常。

女性には教育や仕事の権利(プラス、家事育児をシェアする権利)が平等に与えられるようになった昨今。だからといって「主夫」が出現するかというと、そうでもないようです。

「主婦」はたまにいます。子どもの数が多くなればなるほど負担が大きくなるので、一時的にお母さんが仕事をやめて、「お母さんは育児家事、お父さんは仕事」と分担する日本モデルのような家庭は、あるにはあります。都市部より田舎の方が多いようですが。

やはり男は働かなければならないのですね。かつ、家事も育児も分担し、夜は奥様をもちあげ賞賛しなければならない(笑)。たいていが厳格なプロテスタント的育ちをしている男性ですから、あらゆる悪の誘惑にも勝たねばなりません。(カソリックの場合は懺悔が救いになったりしている。)オランダの男性は大変ですね。

金銭的には、夫婦共同の「家族アカウント」というのを銀行で作り、そこに毎月定額振り込んだりします。ふたりとも同額というわけではなく、収入に見合った額です。

オランダは一見、非常にフラットな男女平等社会に見えますが、社会的ステータスだけは別もののよう。会社の重役、大学教授・講師、評論家、政治家などなど、社会的なリスペクトを得られる(あるいはそれを必要とする)職業は、男性ばかりです。(しかも白人系)

私もじつは、オランダ王立アート・アカデミーなど様々な大学で非常勤講師を務めたことがありました。そのときに学生にいわれました。「女性に教わるのは、そういえば初めて。」

しかも、アジアからの移民の女性ですよ。社会的にはエギゾチックではあるが、ひじょうに弱い存在。(日本でいえばフィリピン女性の社会的地位がこれにあたるかもしれませんね。)オランダではそんなヒトが大学で教壇に立つなんて、じつは異例中の異例。教える側も教わる側も、やりにくい。教えるたびに私は、肝っ玉が強くなりました。

私がアカデミーに採用されたのも、ちょうど学校側の良識ある人たちが「アカデミックな世界も女性や移民を積極的に受け入れるべきだ」という反省を見せ始めた時期でした。彼らは私の友人達でもあるのですが、とてもオトナな態度です。

そんな流れがいま、オランダ社会全体にあります。冒頭に紹介した娼婦のトークもその象徴。男性って、社会的なステータスがあるていど必要な生き物で、そこは女性のネイチャーではありません。しかし、男性からのオトナな反省、手放す勇気、そして寛容な受容あってこそ、女性も社会進出できるというもの。器のように受け入れるそんな優しさだって、男性のネイチャーです。

このように、オランダにおける女性の社会進出は、まだまだ試行錯誤中、現在進行形です。難なくスムーズに進行したと思っていたらおおまちがい。読者の方は意外に思われたかもしれませんね。いろいろなクライシスがありますよ。

日本の方が柔軟だなあと思う部分もあります。ヨーロッパには伝統と歴史の重みがありすぎるのです。靴の修理屋さんひとつとっても、ギルド時代から続く職人気質とプライドが厳然と存在しているので、どんな女性でも簡単に入り込めるわけではありません。職人的なシェフの世界や、調香の世界だって、いまだに男性ばかりです。

けれども、日本と決定的に違うのは、仕事をやめて出産した女性には当然のように社会復帰が期待されている点。「結婚を機に女性が仕事をやめ、家計一切を仕切り、旦那さんは奥さんからお小遣いをもらう・・・」といった日本の既存のフレームを説明すると「それでは奥さんは、年金生活に入ったようなものじゃないか」とビックリされます。

確かに、女性の選択肢や生き甲斐が変化した現代においては、出産した女性に「社会から引退してしまった感」を持たせないようにすることが、思いのほか大事なことなのではないでしょうか。それができる器を持っているのは、ほかでもない、男性/お父さんです。

それは女性にとってもプレッシャーですが、「現役」であることの歓びは、女性をいちだんと生き生きとさせます。そして何より、子ども世代にとって、それは希望ともなります。

オランダにはいわゆる「お局様」はいません。お母さんとなった女性は、外見が武器の若い女性と違い、熟成した内面と安定性、そして母性が評価され、一定のリスペクトを得ています。お母さんになると、それまで24時間まるごとじぶんだけの時間だったのが、ほとんどゼロになります。そのため、手際が良くなり、仕事の効率が上がり、計画性もつくのです。

オランダのお母さん達の働く目的は、どちらかというとお金ではなく、生き甲斐です。女性が家計を半分負担するとなると、こんどは家庭が殺伐としがち。子どもが病気になったときにどっちが休むかで、喧嘩が始まりましょう。なので、あくまで稼ぐのはお父さん、というフレームを崩している家庭は少ないようです。

男女の関係において、このような激変の時代に身を置いている私達。このテーマにかんたんな解があるわけがありません。男も女も、心と体を柔軟に鍛えておくことが、ひとつ支えとなるでしょう。

日本では、ヨガをやっているのは、ほとんどが女性ですよね。オランダでも、女性が多いのは確かですが、男性率もかなり高いです。ある晩ヨガスタジオに行くと、私以外はみんな男性だったなんてこともありました。日本の男性も、オランダの男性のように、ヨガでココロもカラダも柔軟に保ち、アイデンティティ・クライシスに備えておきましょうね♪

 

(冒頭写真は、このテーマとはまったく関係ありませんが、オランダのチーズ売り場です〜)

2012/09/27

台風の前はいつもカラッとしてて気持ちがよいものですね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

先日、アメリカからの来客がありました。ちょっと前に私がfacebookにアップした秋刀魚の七輪炭火焼の写真を見て、わざわざアメリカ西海岸から遊びにきてくれたのです。

・・・というのは冗談ですが、半分ホント。アメリカからマレーシアに帰省する途中下車をわざわざ計画してくれたのです。七輪炭火の秋刀魚のために・・・。あきれるくらい食いしん坊な人たちです・・・。

彼ら、ビリー&ビビアンとは、エジプトのダハブを旅行中に知り合い、いっしょにスノーケリングをしました。彼らはイタリアのオーガニック農家に修行に来ているとかで、美味しいもの好きな私と意気投合。アメリカ系マレー人とのことで、私がホームステイしていたマレーシアの田舎の話をしたり、オーガニック食の話をしたり・・・短かったけど楽しい時間を共に過ごしました。それももう5年くらい前の話。ずっと連絡もとりあっていなかったのに、こんな形で再会できたのも、すべては秋刀魚が引き寄せてくれた縁です。

最寄り駅で待ち合わせしたのですが、3歳児の載ったベビーカーとバックパックという出で立ち。長期海外旅行をしているとは思えない身軽さです。コインロッカーに荷物を預けたら?とか、タクシーで行こうか?とか、いろいろ気を使ってみたのですが、「べつに、歩けるよ」。そのままの姿で10分歩いて我が家へ到着。すごい体力です。ビリーは52歳、ビビアンは47歳。とてもそんな歳に見えません。どこからこんなパワーが出て来るのでしょうか・・・。

自宅のテラスの七輪で、いろいろな野菜と秋刀魚を焼きます。七輪を囲みながら、その暖かい火を見つめながら、静かな時間が流れました。この5年を埋める話です。

彼らは私が出会った当時、WWOOFというボランティア・プログラムで、イタリアのオーガニック農家に滞在中でした。WWOOF(Worldwide Opportunities on Organic Farms)というのは、オーガニック・ファームで住み込み労働する代わりに、知識やノウハウを提供してもらうグローバルな仕組みです。日本にもあるようですね。http://www.wwoofjapan.com/main/

アメリカ西海岸で一生懸命働き、一財を成した後でしたから、その後の人生は故郷のマレーシアでオーガニック・ファームをやろうと考えていたのだそうです。ところが息子が生まれ、その子がひどいアレルギーで、とりあえず住み慣れた西海岸に戻って来たのだとか。

そして居を構えたのはカリフォルニア州のナパ。ナパといえば、ワインで有名なところ。気候が穏やかで、太陽がさんさんと降り注ぎ、食べ物がおいしいところなのだそうです。息子のアレルギーを治すため、そして育児を楽しむため、自分たちで畑をやり、農作物を作り、ほどほどに働き、のんびり生活をしたい・・・そんな希望を叶えるため、ナパという地を選んだのだとか。

ちなみに彼らは、様々なワイン農家で働いた結果、ワインを飲まなくなってしまったそうです(笑)。たとえオーガニックと謳っていても、あれやこれやと様々なものを人工的に入れる現場を経験し、結果的にじぶんでワインを作って友人に振る舞うことはあっても、じぶんで飲むのは「味見程度」になってしまったとか。なので、この晩はお酒は入らなかったのですが、ふしぎともの足りない感じはしません。

荷物の中からごそごそと取り出し、自家製のドライ・トマト、ドライ・アップルとミントティーを「今日の御礼に」とプレゼントしてくれました。ナパの太陽をいっぱいに浴び、エネルギーに満ちたものばかりです。

そして息子エリオのアレルギーは、ほとんど治ったようです。3歳の彼は、目に力があり、生き生きとしている。

こんどは私の話が始まります。オランダでの土地性アレルギーで体を壊し、家族を放ったらかしにして、生まれ育った地に帰ってきてしまった・・・という話を、まったくとがめることなく「当然」と受け止めてくれるのは、やはり同じようにアレルギーに苦しんだ経験からでしょうか。

そして話は美味しいものの話に戻り、秋刀魚はオメガ3の宝庫だから健康にすごくいいとか、冷蔵庫や冷凍庫の発明が食事を不味くしてしまったとか。オーガニックでなくとも旬のものがいちばんヘルシーであるとか、七輪炭火はもっとも理想的な調理法だとか。

英語で”Japanese Oven” とよばれる七輪は、マレーシアのお母さんがよく料理に使っているのだそうです。兵隊さんが戦時中に持ち込んだのでしょうか。

「アメリカ式にバーベキューやると、コンロの保温性が悪いから、箱一杯の炭を使っちゃうけど、七輪だとほんのわずかで長持ちするんだよね。世界で最もエコロジカルで、美味しい調理法だよ。」と、七輪の素晴らしさを既に知っていらっしゃる彼ら。

そうなんですよね。熱よりも遠赤外線で火を通すから、肉も魚も野菜も「半生」くらいでちょうどいい。七輪じたいの保温性が高いので、「赤々と燃える炎」ではなく、「仄かに暖かい遠赤外線」でじっくり時間をかけて調理することができる。つまり割と低い温度で食材に火を通すことができるんです。香りの視点から解説すると、熱に弱いフレーバー(芳香成分)を大量に失うことなく、火を通す事ができる。

ガスコンロ。電気オーブン。電子レンジ。IHヒーター。現代には、いろんな熱伝導の方法が存在します。それぞれが、違う科学の原理を応用していますので、同じものを調理してもできあがりの味が違ってきます。鍋の材質も、銅、アルミ、鉄、ステンレスなどから選べる時代です。組み合わせとしては無限大。便利な世の中になりました。しかし、それによって、美味しさが向上しているのかというと、疑問です。

小学校時代の飯ごうすいさんやキャンプを経験している方はどなたも、「炭火で炊いた白米ほど美味しいものはない・・・」ということをご存知のはず。よく考えてみると、おそらく戦前あたりまでは、それが当たり前の時代でした。そっちの方が贅沢のように、私には思えます。

ビリー達のマレーシアの実家では、お母さんが七輪を普段遣いしているようです。ふつうに台所に置いてあり、コンロとして常用してるんですね。素晴らしいです。私もそうしようかしら(笑)・・・。

とにかく、七輪炭火礼賛! 秋刀魚万歳! そんな晩になりました。地球を股にかける私達、またいつどこで会えるかはわかりませんが、きっとどこかで会える気がしています。この友情や絆を、なんと表現したらよいのか迷います。言葉も国も違っても、美味しいものを、美味しく料理して、その一瞬の時を共有する。ありがたいことに、わたしにはそういう気持ちのよい友人が、世界中にたくさんいるように思います。

彼らが去ったあともしばらく、彼らがナパから運んで来てくれたいい気が部屋を巡っていました。私も近い将来、彼らのような生活をしたいな! どこがいいかしら・・・

 





2012/08/30

夏休みも終わりに近いですね。

みなさん夏休みの宿題は終わりましたか〜?

昨日は私も、宿題追い込みの小1の姪をあずかり、いちにち監督をしました。妹はフルタイムで働きに出ているため、宿題がなかなか終わらなくて困ってるとかで。

午前中はドリルの時間。わたしも片手間で仕事をしながら、パン焼き器に材料を仕込み、スイッチオン。お昼ご飯はサンドウィッチにしようと思って。

お昼近くになると、パンの焼けるいい匂いがしてきます。いわゆる「シアワセ臭」ってカテゴリーがあるとしたら、こんな匂いなんだろうな〜・・・なんて考えながら、お腹を空かせつつ、仕事に励む。

お昼ご飯は焼きたてのパンでタマゴサンド。待った分だけのシアワセがあるということ、姪の顔から見て取れます。

午後は、お習字の宿題をやりました。たぶん、お習字というものは30年ぶりくらい・・・懐かしかったです。でも最近の墨汁ってあまり匂いがきつくないんですね〜。

夕方、宿題を終えて知恵熱が出た姪は、オバアチャンと遊び、その間に私はささっとカレーを作ります。カレーの匂いって、なんでこんなに食欲を誘うのかしら・・・と思いながら。

ふと、愕然とする事実を発見してしまった。姪っ子の面倒を見ながら、パンを焼いて、カレーを作るなんて、まるで私の叔母とやることが同じではないか・・・

 

幼少の頃よりオートクチュール・デザイナーの叔母から影響を受け、今でも共鳴することが多いという話は、こちらの記事に書きました。斬新な服を一から作りあげる叔母の仕事を側で見ていなければ、おそらくアーティストとしての上田麻希は存在しなかったと思います。

私が札幌に遊びにいくといつもパンを焼いてくれ、得意のカレーを作ってくれました。今でもそうです。カレーは南インドでのヨガ修行で習ったとかでかなり本格的。みずからスパイスをホール状から煎って調合したカレー粉を使うので、とっても香り高いのです。わたしもそのスタイルを踏襲しています。

パンの匂い。カレーの匂い。部屋に染み付いた、インセンスの香り。叔母と私の共通項のようです。しかも最近はベリーダンスを始めたせいか、かける音楽もインド音楽っぽくなってしまった。そういえば叔母もいつもインド音楽をかけている・・・。

ここまで行動が似ると、いったい何のせいなのだろうと思ってしまいます。

「わたしたちは、視覚や聴覚重視の生活をしていると思いがちだけど、じつは感情に結びついた嗅覚にコントロールされているのだ」と述べているのは、イェール大学の GORDON M. SHEPHERD。嗅覚は、科学の世界では最も低い位置づけなのですが、じつは嗅覚こそが人間の生活のドライブになってるのでは・・・という考えのもと、「NEURO GASTRONOMY」という本を書いています。まだ読みかけのこの本にも、答えがありそうです。

 

さて。私の姪も、じぶんの姪が遊びに来たら、パンを焼き、カレーを作り、インセンスを焚き、インド音楽を流すのでしょうか。それは未来のお楽しみ。

 

 

 

 

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