2008.12.25

■キモノdeお散歩:お正月のデートコース

気がつけば今年もあっちゅー間に残すところ数日になりました。
今年は年末年始のお休みが例年よりちょっとだけ長いそうですが、みなさまはどんなご予定でお過ごしになりますでしょうか? わたくしは例によって実家にてすごす予定です。嗚呼、いつになったら「ドキッ☆恋人と一緒に初詣で!」が」できるのでしょうか……。道は長いな、と道行くカップルを横目で眺める今日この頃です。
とはいえ、久方ぶりのお休みを家でゆっくりお過ごしになる方も多いでしょう。
もしくはがら空きの都内にお出かけになって、遊び倒すぞ!な方もおいでかと存じます。
今回はそんな方に向けて、着物を着て出かけたいお正月の都内デートコースをご紹介いたします。

■AM9:30 ・・・JR上野駅集合

初詣から直行するぜ!な方も、そうでないかたもまずは腹ごしらえの後に上野駅に集合です。
あけおめ的な挨拶を交わしつつ、新春の上野公園を散策。
ここで男性はお正月の混雑にも負けず晴れ姿で訪れている女子を言葉を尽くして褒めるとなおよろしいかと存じます。
着物で移動すると結構疲れるものですので、実は着物に慣れないお嬢様はこの時点で疲労困憊だったりします。「あーもう無理。着物脱ぎたい。超帰りたい」となるのをかなりの確立で防ぐことができますので、ぜひお忘れなく。



■AM10:00・・・東京国立博物館

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気を取り直して、まずは文化的に一年をはじめるべく博物館へ参りましょう。
昨今は博物館や美術館でもお正月から開館しているところが増えてきました。多くの施設においては三が日はお休みのところが大半なので、暇だよーというお嬢様や旦那様の救世主になるのではないでしょうか。
今回ご紹介するこちらの博物館も2日から開館、「博物館に初もうで」をキャッチコピーに企画展示をはじめ和太鼓や獅子舞などの伝統芸能イベントも盛りだくさん!ここらでうんちくなど語れるとベストですが、お正月のまったりとした雰囲気を堪能するだけでも楽しいもの。作品ガイドなどに目を通しつつ、恋人通しで感想をあーだこーだ言い合うのも博物館見学の楽しみです。



■PM2:00・・・浜離宮恩賜公園

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遅いお昼を食べてから、電車に揺られること20分。
次に訪れたいのは浜松町駅から徒歩5分の「浜離宮恩賜公園」です。こちらでは元旦から1月3日まで「東京でお正月 浜離宮恩賜庭園で華やかなお正月」と題したイベントを実施予定。なんと将軍家の御鷹場(おたかば)であったこの地で、伝統ある鷹狩の技「放鷹術」を行うというのです!はっきりいって中々見ることができるものではありませんので、寒さにもめげずぜひ足を運びたいところです。
江戸のお姫様、お殿様の気分を堪能できるこちらのイベントを見つつ、抹茶などいただいて優雅なお正月を過ごしましょう。

<このデートのお勧めコーディネイト>

例年に比べ暖かいとはいえ、寒さが身にしみる季節。保温効果の高い肌着をお召しの上、羽織や爪皮などあったかグッズを駆使して参加したいところです。
移動が多いため慣れないお嬢様は帯は半幅帯がベストですが、お正月ということを考えれば袋帯の華やかさも捨てがたいもの。着物ルール的には三が日の間は晴れ着が正解なので、訪問着などここぞ!な着物でばっちり決めてみてくださいませv

2008.12.18

■コラム:広告に見るキモノモード

早いもので師走も中旬に差し掛かってまいりました。
この時期の企業広告はおべべ好きとしては目が離せません。なんでかというと、新年に向けて着物がスタイリングの中心になっているCM広告の露出度がものすごく上がる時期だからです。
いうわけで、今回は広告におけるおべべファッションチェックをテーマにお送りしようと思います。

■個性をアピールするならコレを参考に!「Canon PIXUS」

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このCMが流れると、「ああ年賀状書かなきゃ……」と思われる方も多いのではないでしょうか。
1作目のご紹介はご存知Canonの三姉妹シリーズです。今年は山田優さん・蒼井優さん・夏帆さんがイメージキャラクターに起用され、三人が姉妹に扮しそれぞれ着物姿で写真を取り合い年賀状を作って楽しむ、というのがCMのコンセプト。
ここで面白いのは、それぞれの女優さんのイメージやCM中のコンセプトに沿ったかたちでコーディネイトされている着物。特に目立つのは次女役・蒼井優さんの着こなしです。
リリースによると、蒼井さんが演じている次女の役は美大に通う2年生。
その設定を活かし、はっとするほど鮮やかな古典柄の振袖に赤の絞り半襟でダイナミックに着つけています。この色の組み合わせは洋服だとあまり見かけませんが、着物だとなんて鮮やかに映えることか!色彩に敏感な美大生、という設定をうまく活かしているわけです。
ちなみに長女役の山田さんは社会人一年生、という設定から白の振袖に緑の伊達衿でフレッシュな印象、三女役の夏帆さんは高校生の役ということでかわいらしいピンクのお振袖をお召しになっています。
Canonは「ENJOY RHOTO SPECIAL SITE」というプロモーションサイトも運営しており、そちらでは同社のイメージキャラクターである歴代の三姉妹のさまざまなコーディネイトも楽しめます。
着物で個性を表す、という点でこのCMはものっすごく参考になるのでした。

■これぞ正統派!控えめだから品がある「サントリー 伊右衛門」

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本木雅弘さん・宮沢りえさんという正統派美形を起用し、伝統的な日本茶の世界観を表現しているのはご存知こちらのサントリーのCMです。年間を通して放映されているので、ご覧になっている方も多いのではないでしょうか。
けれどこのCM、主役はあくまでお茶。
というわけで、宮沢りえさんのお召しになっている着物はどれもすっきりとした織りの着物が多いようです。お茶の色を引き立てるように、無地のシンプルな着物をきれいにお召しになっている宮沢さんを拝見するだにわたくしなぞ若輩者は「ううむ、これぞ着物美人」と納得してしまうわけでした。
が、これにももちろんタネがあります。
そう見えるのはなぜかというと、着物をはじめとする各アイテムがほとんど同系色のグラデーションで構成されたコーディネイトだからです。伊達衿を一切使わず、ほとんど白の半襟で清潔感を表すと同時に帯揚げ・帯締めに至るまでほとんど無彩色に近い色使いで、自己主張を抑えることによって品のよさを演出する。そうすることにより、宣伝物である「伊右衛門」のブランドのイメージをぐぐっとあげています。実際お茶系ペットボトル飲料の販売調査を見る限りシェアもかなり確保できているようですから、この着物戦略はかなり効果を挙げているといっても過言ではないでしょう。
ここでわたくしたちが学ぶべきは、この控えめな美しさ。
彼ママに会いに行くの、といったときに猫をかぶる際には、ぜひ参考にしたいところです。

■自分を格上げする――箔付けの威力「JR東日本 大人の休日倶楽部」
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年末年始の大型休暇が控えたこの時期は、GWやお盆時期に次ぐ旅行会社のキャンペーンが多い時期でもあります。師走のくそ忙しい時期に雪景色だの紅葉だののなかをゆったりと着物であるくモデルさんの姿を見ると、羨ましさや殺意を通り越してものすごく分かりやすく旅立ってしまいたくなるのは何もわたくしだけではありますまい。
JR・大人の休日倶楽部のキャンペーンは、そんな魔力を持っています。
ただしよくよく見ていると、モデルさんはすべてのJRキャンペーンで着物を着ている訳ではありません。例えばJRのキャンペーンしていた旅行地でも長野は確か洋服姿の吉永小百合さん(2008年キャンペーンモデル)が軽井沢らしき高原を歩いているというものでした。どうやら、着物モデルを使っている旅行先は一定の法則があるようです。その法則とは何かというと、「伝統」がその旅行地におけるキーワードになっているかという点ではないかと思うのです。
ここで例にあげましたのは、山形県の酒田へのキャンペーンCM。
日本におけるモスト・フェイマス・観光地はいわずと知れた京都です。京都はもちろんあらゆる意味で伝統があり、着物の代表的産地でもありますから、当然モデルさんは着物着用です。が、日本には各地に小京都なる観光地が存在します。金沢(石川)、弘前(青森)、遠野(岩手)など東日本に限ってもこれだけのプチ京都がある。もちろんプチとはいえ大ブランドの「京都」を名乗っているわけですから、当然なにがしかの「伝統」があります。例えば酒田の場合、同社によると「江戸時代、北前船によって運ばれ、東北の地に根づいた“京文化”」があるわけです。
ということで、これらの地域への旅行キャンペーンは当然のごとく着物がセットになってきます。
うがった見方をすれば、「着物」がすでに伝統工芸品なわけですから、それを着用することでその観光地に「箔付け」をしているようにも思われます。実際のところ、これらの旅行キャンペーンの広告は着物が主役といっても過言ではないほど。確かに周囲の景色とは調和しているのですが、景色のほうが引き立て役になっているほど着物の主張が大きいのが、こうしたプチ「伝統」へのキャンペーンです。
つまり、着物を利用した箔付け。
こうしたキャンペーンを見ていると、着物に対してわたくしたちが知らないうちに育てているイメージがどんなものであるか、ぼんやりと伝わってくるような気がします。

今回は3つの広告を見てきましたが、読者のお嬢様方にはそれぞれの中での着物の役割をぜひ積極的にコーディネイトに取り入れていっていただきたいと思います。猫をかぶりたいとき、センスをアピールしたいとき、自分を箔付けしたいとき、これらの広告のコーディネイトを思い出してみてくださいね。

2008.12.11

■本日のお買い物:祖母と母からのプレゼント

師走も中旬、世間ではクリスマスムード一色に染まりつつあります。
さて前回わたくしは「クリスマスなんぞ屁でもねえよ」的な暴言を吐きましたが、そんなわたくしのもとへもサンタさんが訪れてまいりました。日頃の心がけが利いたのでしょうか。そんなわけはないというかすかな声が聞こえてまいりますが、貰えるものは嬉しいわけで、わたくしは一足先にプレゼントをゲットできて完全にクリスマスっていいじゃんと宗旨変えをしております。
そんなわけで、本日はこのプレゼントについてのお話です。

わたくしのサンタさんは、福島県○市に住んでおります。
いつもの通り実家に帰省しましてから、母方の祖母の家に挨拶に行きまして、わたくしはサンタと遭遇したのでございます。
祖母の母方では呉服屋さんを営む親戚がいるということは以前にも書かせて頂いたかと思いますが、そういうご縁で祖母の家にも着物はわりあい残っているようです。が、喪服以外はとんと着物をお召しにならない一家なので、わたくしは今までもちょくちょくお邪魔しては横領もといご好意に甘えて着物を頂くこともありました。
(ちなみに前回記事の羽織もこの祖母の家から貰ってきたものです。)

というわけなので、今回もしょうこりもなく「なんかほしいよー」というオーラを出しまくっておりましたら、祖母もといサンタさんは風呂敷包みから反物を出してきてくれました。
品のいい朱紬でした。もー赤がかわいいんですよさりげなくて深くて! たまらーん!
しかもおそらく誰かが縫おうとしたのでしょう、赤い八掛と絹の裏地の反物まで揃っています。けれど祖母もその持ち主やら目的やらがすでに分らないとのこと。
これはチャンスだ!
そう思ったわたくし、かわいこぶって「ばーちゃん、これ、ちょーだい」と言ってみました。
祖母サンタは鷹揚に頷き、わたくしは見事反物をゲットしたのでございます。

さて困ったことに反物があってもわたくしにはどうしようもございません。
昔の方は自分で着るものはご自分で仕立てたのでしょうが、いかんせんわたくしの裁縫力は下の下(詳細はこちらの記事をご覧ください)、最初から自分で縫うという選択肢はありませんでした。わたくしは着物が好きです。でも好きだからこそ、この反物を血で汚して台無しにする勇気はない。
困ったところで仕方がないので、わたくしは大手メーカーさんに仕立ててもらおうかと思いました。

あまり知られていないことですが、たいていの呉服屋さんでは仕立てのメニューをお持ちです。一番安いミシン仕立てが約1.5万円~、一番高い手縫いは最低3万円からお値段も幅広い。
どんな反物をどんな仕立てにするかによっても値段が変わってきますので、一概にいくら、と言えないのが着物業界のおそろしさです。
そして着物はもちろん手縫いで仕上げるのがベスト。最近ではミシンの仕立てでもそんなにひどいものは見ませんが、ぴーんときっちり縫い上げてしまうと布の引き攣れが起こりやすいため、手縫いでゆとりをみつつ仕上げてあるほうが長持ちするといわれています。
が、わたくしこの不況でボーナスのボの字もでない。
金額の分らない仕立てなど恐ろしいものはほかになく、価格のはっきりしたミシンで……と考えたのでした。

それに待ったをかけたのは母でした。
弟の同級生の母君で和裁士をなさっている方がいるというのです。
「いいものなんだから、きちんと仕上げてもらった方がいい」
母の言うことはもっともです。
そして、わたくしは東京へと帰り、母が反物を預かってその和裁士さんにお願いしてくださることになりました。ちなみにお金は母持ちです。太っ腹な母に心から感謝します。

そんな紆余曲折を経て出来上がってきたのがこの子です! 

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▲朱紬。二枚目は一緒に祖母サンタがくれた半幅帯です。めんこい。

母と祖母、ふたりのサンタさんによって出来あがったこの着物、あったかくて軽くていうことなしです。こころなしか二人の心も纏ったようで、着ているだけで幸せになるのでした。
着物は三代で着るものだといいます。
その言葉の意味とは違うけれど、たまにはこういうお仕立てもいいなあ、と幸せに浸っているわたくしなのでした。

2008.12.04

■本日のお買い物:それ行け年末大商戦!

こんにちは、皆様。
なんだかぼーっと過ごしている間にいつの間にか師走に突入してしまいました。公私ともにお忙しい方が多いのではないかと推察いたしますが、私の場合忙しいのは金勘定。
そう、年末大商戦のシーズンがやってきたのでございます!

この時期はクリスマス商戦とも呼ばれ、プレゼント用の贈答品の発売ラッシュが始まることは周知のとおりですが、着物業界においてはクリスマス商戦は基本的に存在いたしません。
なぜならばもっとデカいイベントである「成人式/卒業式」が1月に控えているからでございます。成人式や卒業式といえばおべべ好きの女子、いえ娘さんをお持ちの親御さん、ご親族にとってはそれこそ結婚式に並ぶ着物イベントなのではないでしょうか。写真撮りまくり、ピースしまくり、思うさまめかしまくりの着物三大イベントに比べれば、たかがクリスマス。
年に一回巡ってくるイベントなんぞものの数ではないのです。

が。
それでもやはり年末ともなれば着物業界でもDMの嵐が吹き狂います。それは「年末大売り出し」があるからで、たとえば夏のバーゲンとどう違うのかといいますとものすごく貸衣裳の出品率が高くなるのが特徴です。
要するに、一年間フォトスタジオなどで使用された撮影衣裳の処分の時期なのでしょうが、これが結構美品揃い。ユーズドの着物とはいえ衣裳だったこともあって綺麗ですし、袖丈が現代日本人にすでに直されている分を考慮すればお値段も手ごろと申せましょう。
また何よりこの処分市のいいところは出入りやすい会場で行われるというところ!

通常呉服屋さんの展示会は店舗ないし○○会館や○○邸と言った由緒ありげな場所で行われることが通例です。それはそれで格式もあって「こんなステキな場所に出入りできる着物好きのあたしってス・テ・キ」などという感違いが出来て幸せにもなるのですが、いかんせん買わずに帰るということは非常にやりにくい雰囲気でもあります。何しろそういう場所は着物通の牙城なのですから、わたくし如きミーハーな人間などひとたまりもありません。
「この着物お似合いになると思いますよ」「ちょっと羽織ってみませんか」「あら良くお似合いで、ではこの帯もご一緒にいかがですか」などというセールストークに翻弄されてあっというまに素寒貧になることは確定です。

が、この時期の処分市の場合、たいていは会場としてデパートが選ばれます。
多くの場合は催事場のあるワンフロアを貸し切る形のようですが、デパートだけあって人の出入りもありますし、何かのついでにちょっと見にきたよ、という雰囲気。したがって眼の色変えて売りつけようとする恐ろしい店員(失礼)さんもいなければ、全身着物で隙のないコーディネイトをしている威圧感ばっちりのご婦人(さらに失礼)もおられません。

覗きやすく、買いやすいこの処分市。
お財布の中身と相談しつつ、ぜひみなさまも足を運んでみてくださいませ!

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▲最近ゲットした染の美しい黒羽織。年末年始に活躍させようともくろんでおりますv

2008.11.20

■キモノのお作法:冷えに負けるな!毛糸のぱんつ

こんにちは、皆様。
ついに冬将軍も到来し、ますます寒さが厳しくなっております今日この頃、皆様はいかお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
このコラムとぜんぜんまったく関係のないわたくし個人の印象ですが、どうも冬将軍と聞きますと頭の中で暴れん坊将軍がパカラッパカラッとひづめの音も高らかにそこら辺の街角から白馬にのって現れそうな気がしてなりません。もちろんビジュアルイメージはお茶の間のアイドル・松平健さまでございます。まあマツケンさまがおいでくださるならわたくしとしてはやぶさかではないのですが、しかし寒いもんは寒いわけで、ということは必然的に着物に袖を通す機会が減りました。

着物というのは基本的に暖かい、といわれています。
確かにそれは間違いでなく、やわらかものの袷の保温力はかなりのものです。が、それ以上に冬涼しい、のほうが正しいような気がします。なんでかといいますと、抜かなきゃかっちょ悪い衿だとか袂の部分の切れ目(身八つ口といいます)とか着物には隙間が超いっぱいあるからです。
そんだけ隙間があれば風通しは抜群です。
かつての日本では衣類といえばオンリー着物ですからそりゃあ夏は涼しく冬はあったかかったのでしょうが、今は夏になれば半袖タンクトップキャミソールと肌を露出するべく作られたファッションがありますし、冬はファーだコートだブーツだと極限まで体温を閉じ込められる素材によって作られたオシャレアイテムがわんさとある。したがって、洋服になれたわたしたちが冬に着物を着るというのは寒く感じて当然なのだと思います。

……が、寒さなんぞに負けていてはおべべ愛好家の名が廃ります。

冬だって、いいえ冬こそかんわゆい着物を着ちゃったりめかしたりしたいわけですし、特に晴れ着着用が許されるお正月というビックイベントを控え、着物を愛する大和撫子たちにはぜひ着物美人を目指していただきたいところ。
わたくしも末端冷え性に苦しみつつ着物を着ているわけですが、実は裏技を使えば寒さの問題は100%解消とは行かないもののかなりの部分改善されるのです。

その裏技とは何かといいますと、皆様ご存知のババシャツを襦袢の下に着ることでございます。
合わせ技で毛糸のぱんつを着用するとなおよろしい。

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▲ワコールさんの毛糸のぱんつ。(例)

え、そんだけかよって思うでしょ?
でもぜんぜん違うんですよ!!
衿は仕方ないのでマフラーなどでカバーするとしても、意外と冷えやすいのが腰と肘。身八つ口から見えないよう体にフィットするものを選ぶと、両方カバーできますのでこれだけでもぜんぜん違うのです。で、腰には駄目押しで毛糸のぱんつ(薄手)を履くだけでかなり体感温度が違います。個人的にヒットだったのはUNIQLOのヒートテックシャツの七分袖。薄いわあったかいわでいいとこずくめです。
女性にとって冷えは万病の元といいますが、たったこれだけの技ですから是非みなさまにも試していただきたく存じます。

ちなみに。
この技、実は致命的な欠陥がひとつだけあります。
それはなにかといえば、恋人とデートしてあわよくばっていう素敵な夜には使用できないこと。
二部式襦袢もかなりひかれるようですが、それ以上にヒートテックシャツにがっつり護られたボディに男性が果たしてときめいてくださるのか…・・・。
恋人がいらっしゃる淑女のみなさま、どうか、くれぐれもお気をつけあそばせ!

2008.11.13

■本日のお買い物:このハギレの使い道。

こんにちは、皆様。
すっかり秋めいている今日この頃ですが、先日JunkStageの編集部より下記のようなメールを頂きました。

 TO:真砂さん
本文:
こんばんは。最近は、お買い物をなさっていないのですか?
たまにははっちゃけている真砂さんのお姿がみたいです!

……。
JunkStageの編集部の方、ひいては読者のみなさまはわたくしの散財模様を楽しみにしていらっしゃるのですね。こんばんは、などど悠長にご挨拶をしているバヤイではないようです。
が、無い袖は振れない……!!!
なぜかと申しますと、最近わたくしまたお仕立てをしてしまったからでございます。
それにつきましては出来上がってから書きたいと思いますので、今回は今までのお仕立てのその後について、100%ノンフィクションにてお伝えいたします。

さて、着物のお仕立てをしたことがない方はピンと来ないかもしれない今回のコラムタイトル。
「ハギレっていったって、使い道なんかないんじゃないの?どーせ余り布でしょ??」とお考えになる方も多いのではないでしょうか。
実は、着物に限らず和装モノのお仕立てには多種多数の反物を使います。
たとえば着物であれば一番簡単な単衣で1反、袷の着物ですと表と裏で柄を変えればそれぞれ1反、さらには八掛にも1反買って仕立てなければなりません。
が、当然のことながらよほど大柄の方でもなければ1反まるまる使うことはありえない。
1反は約46m前後ですから、普通は余る布が出てくるわけです。
多くの呉服屋さんでは当り前と言えば当たり前ですが、この余り布もきちんと包んで届けてくれます。

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▲わたくしの自宅にいるハギレちゃんたち。

でも、わたくしは超ド級の不器用です。
自分で針を持つのも衿付けや取れたボタンをくっつけるためぐらいで、雑巾や小袋なんぞ縫おうものなら血で汚すことは間違いありません。怖いもの知らずだったその昔、お気に入りの(しかもよりにもよって)コットンリネンで香り袋を作ったこともありますが、友人には「梅の模様なんて風流ね」と言われたのはわたくしの血の染みでございました。
そんなわけで、わたくしいつもこのハギレを頂くたびに「どーしたもんか……」を頭を悩ましていたのでございます。

ところでそんなわたくしに救いの手が!
いつも着物を買っているお店で相談したところ、和装バッグに仕立ててくださるというのです。和装バッグとは旅行のときなどに着物着用に必要な道具一式を納めておける鞄のことで、着物好きならひとつは持っていたいアイテム。しかしながら市販のものはどれもダサい(失礼)デザインでいまいちグッとくるものがなかったのでした。

大和田:い、いくらくらいで作れるんですか?
店 長:そうですねえ、小さいものなら2000円くらいから作れますよ!

なんですかそのアバウトな数字……。
でもド肝を抜かれるほど高いわけではないということなので、小振りなものをひとつお願いすることにいたしました。

昔の方は繰りまわしと言って、ハギレも帯に使ったりと大変上手に使っていたようですが、わたくしにはこれが精一杯。出来上がりが今からとても楽しみです!

2008.11.06

■キモノのお作法<魅惑のアイテム・半衿>

こんにちはみなさま。
久しぶりのこのコーナー、本日は半衿のお話でございます。

半衿。
着物をお召しにならない方だとぴんとこないかもしれませんが、着物を着たときに襦袢になにか白いものがピローンとついていたのをご記憶のお嬢様も多いのではないでしょうか。
半衿とはそもそも、首周りの汚れを直接着物につけないようにと考案された変え衿です。
とはいえ気軽に付け外しができ、首周りの印象を変える秀逸なコーディネイトアイテムでありながらお手頃価格(なにしろ元は着物の端切れや余り布です)で求めることができるとあれば、使わない手はないでしょう。

使い方としては、襦袢に縫い付ける方法が一般的です。
きちんとお召しになっている方は三河芯と呼ばれるものと併用して襦袢に直接縫いつけて使用しますが、わたくしのように毎日着るわけじゃないしとっかえひっかえ着たいし襦袢もそんなに枚数持ってないし、ってお嬢様方にはプラスチック衿芯(大体200円くらいです)を使う方法やファスナータイプの取り外しの利く衿のある襦袢を使う方法もございます。さらに針なんぞもったこともねえよ、というぶきっちょさんなお嬢様には両面テープを使って貼りつけるという荒技もございますので、お好きな方法でご利用ください。

ちなみにわたくしの場合は、絹の襦袢にはプリント柄の半衿、ポリエステルの襦袢には白半衿(もしくは白に近い色の地の刺繍衿)を使うことにしております。生得の性格がかなり面倒くさがりなこともあり、汚れが目立つ白半衿は両面テープでぺりぺり貼り付け、汚れが目立ちにくいプリントの柄半衿はきちんと針で縫いつける。こうすれば着物の色を選ばずにしょっちゅう着る半衿は簡単に取り換えて洗うこともできますし、プリントの半衿は季節によって柄や素材の違いを楽しむことができるからです。さらに乱暴な事情を申し上げますと、絹素材の襦袢は風を通せば不潔感が激減しますが、ポリエステルはマメに洗濯しないとなんとなくごわつくので、よく着る襦袢にはよく使う白半衿と一緒にネットに入れて洗濯機に放り込むことができるというメリットもございます。

注)基本的に女性の場合、化粧品などで半衿はものすごく汚れます。したがって2・3回で取り換えるのが必要かと思います。わたくし自身は横着なのでひと月に1回取り換える程度ですが、お心映えが試される部分でもありますのでぜひ積極的にお針子をなさることをお勧めします。

さてこの半衿、季節によって色や柄がかなりがらっと変わります。
着物からちらっとしか覗かない部分ではありますが、だからこそでしょうか、夏はレースや白を基調としたものが多く、冬はプリント柄やファー素材のものが揃い、店先で小さな布を眺めているだけで楽しいものです。

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▲ 今年の半衿ちゃんたち。
(画像をクリックすると、販売元のサイト様に飛びます。)

今年の半衿業界には目立った流行はありませんが、プリントものの襟が充実してきました。
写真のようにワンポイントのモチーフものをはじめ、古典模様の総柄、レースを用いた厚みのあるタイプなどコーディネイトの幅を広げてくれそうなアイテムばかり。

わたくしは基本的に地味めな着物には総柄など着こなしのアクセントになりそうなもの、華やかな着物には同色を入れたワンポイントか白衿を選んでいます。すこししか見えない部分だからこそ、おべべ好きとしては凝り甲斐があるというもの。
お嬢様方も、ぜひお気に入りの一枚にあわせて半衿を選んでみてくださいね。

2008.10.30

■キモノの美意識:<3>普段着からお洒落着へ

こんにちは、みなさま。
キモノの着用に関する意識の変遷を図版とともにめぐる集中連載も遂に最終回となりました。
今回は、明治から現在にかけての集合写真からその着用変遷を見ていきたいと思います。
まずはこの写真をご覧ください。

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▲料理を作る女たち
(写真提供:長崎大学付属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース

この写真は、明治中期に撮影されたものです。
前回、着物は実用重視の場合は袂を短くするなどの変化があった反面、遊女ファッションに代表されるお洒落な着方としてゆったり着つけていた、というお話をさせていただきましたが、この写真を見ると料理という極めて日常的な場面において、袂の部分の扱いについては人それぞれであったことがわかります。とはいえ、着つけに関してはかなりきっちりされている感じ。

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▲人物の集合写真
(写真提供:長崎大学付属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース

また、撮影されることを意識していると思われるこちらの集合写真をご覧ください。
この写真は日常そのままではなく、“撮影される”ことが前提で撮られたものが視線が中央に集まっていることから推察されますが、こちらはゆったりした着付けになっていることがわかります。明治期に撮影されたものと思われますが、特に男性の着物の着用方法がかなり適当、もといおおらかなことにご注目ください。ゆったりした着付けはすなわち、お洒落着の着方だったわけです。

その流れは大正時代も続きましたが、昭和に入ると戦争の影響もあって女性の日常着も次第に着物から洋服に変化していきます。

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▲歩道に面した食堂
(写真提供:OLD PHOTO of JAPAN

これは昭和時代に撮影されたものですが、店員の女性の服装は着物と洋服と二通り。また、通りを歩く女性は着物です。着物から洋服へと移行する、まさに過渡期に撮影されたものなのでしょう。こうして制服や仕事着から徐々に浸透していった着物は、平成に入って完全に日常着として定着したのです。

翻って、現在。
日常着ではなくなった着物は、お洒落着としてゆったり着るという方はすくなくなりました。それはおそらく、着物を着続けた方々は比較的裕福なご家庭の方だったからではないかと思います。戦争中、着物を質として米や野菜に変えたという話はわたしも祖母から聞いたことがありますが、そういうことをしなかった方々というのはそれをする必要のなかった農家の方か、もしくはする必要がないくらい裕福なご家庭、つまり上流階級の方だったのではないでしょうか。そして洋化していく中で、軍服に代表されるかっちりきっちりした服装が上品とされるようになり、びしっと一分の隙なく着物を着ることが品のあることとされるようになった。日常着でなくなったからこそ、着物を着ることに品が必要になったのではないかと思うのです。

今、着物を日常着として着る方は非常に少ない。
私も大好きですが、さすがに毎日着るわけにはいきません。日常着にするにはあまりに着物は高価でめんどくさいものになってしまった。それはこの、「着物はきちんと着るべきだ」という意識のせいだろうと思うのです。だから、着崩れても気にしないほど、着物を着る人が増えればいいな、と思います。そうしたら、もう少し堂々と街をあるけるのではないかな、と思うのです。

2008.10.23

■キモノの美意識:<2>普段着としての着物

こんにちは皆様。
前回に引き続き、着物モードの時代ごとの移り変わりを画像と共に考証する無謀な連載の第二段、今回はまず江戸時代までさかのぼってみましょう。
まずは下の画像をご覧ください。

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▲鳥居清長「当世遊裡美人合・たち花」
(画像提供:東京国立博物館画像アーカイヴ

これは江戸時代の浮世絵画家からみた、遊廓の美女図です。
江戸時代における着物のトップモードは芸能界こと歌舞伎・文楽の世界であったという話は以前も書かせていただきましたが、それと同じくらい、女性たちに注目されたモードの発信地は遊廓でした。現在も「小悪魔★ageha」などキャバクラ嬢のメイク・ファッションが注目を集めていますが、それと同様の感覚で遊女たち(特に、大夫職につく高級遊女たち)のファッションセンスは女性たちにとって真似をしたいと思わせる対象だったのです。
理由としては、芝居の中で遊女を美人が演じて注目を集めたこと、役者絵に次いで多く出版された遊女の格付け本や遊女絵の流通に伴ってその華やかな意匠をこらした服装が高嶺の花として印象付けられたことが考えられます。
その遊女たちの着こなしは、画像を見ていただければわかるとおりかなりゆったり着つけられています。これは付け文といわれるラブレター兼督促状を隠したり、ちょっとしたお金だの簪だのを手早くしまったり直したりする必要から発達したとも言われていますが、ともあれこういう着こなしがオシャレなことだと考えされていたわけです

そもそも、着物は日本人にとって日常着でした。
中世の風俗を知る上で貴重な資料である「職人尽歌合」を見ますと、女性は動きやすさを重視した丈の短い筒袖を考案して着用していることがわかりますし、時代劇などを見ても江戸時代の庶民の女性のたもとは短くされています。
つまり、上記のゆったりした着物モードは憧れとしての着付け方であり、時代を追ってその着用方法がゆるやかに取り入れられていったことが考えられます。

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▲職人尽歌合(部分)
 (画像提供:東京国立博物館画像アーカイヴ
上記を踏まえまして、次回は集中連載最終回、明治から現在にいたる着物モードの着用変遷について考えていきたいと思います。
よろしければ、お付き合いくださいね。

参考図書:
遊女の知恵(中野栄三著、雄仙閣)
吉原という異界(塩見鮮一郎著、現代書館)
お江戸の意外な生活事情―衣食住から商売・教育・遊びまで(中江克己著、PHP出版)

2008.10.16

■キモノの美意識:<1>着物の着方の変遷

こんにちは、皆様。
先週は突然一週間お休みしてしまいまして、大変申し訳ございませんでした。お休みしていた間は秋の花粉症に悩まされたり着物のお仕立てをしていたりしていた(お仕立てについては後日ご報告させていただきますv)のですが、ぼちぼちこのコラムもリニューアルしなければ!ってことで今週から数回にわけまして、着物をめぐる乙女たちの美意識について迫ってみようと思います。

で、今回と次回で着物における着用意識の変遷のお話をさせていただこうかと思います。
まずは下記の写真をご覧ください。

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▲ 雨傘をさす女性たち
(写真提供:長崎大学付属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース

こちらは明治時代の女性の写真です。カメラを意識したのか赤を効果的に用いた一枚ですが、その着方はどこかゆったりとしていて、今の着物モードから見るとだらしなくさえ思えます。ただし写真は当時非常に貴重なものでしたから、これは当時の基準で“きちんと”した着付けだったのでしょう。
着つけに関するこの意識のずれ、いったいいつから始まったのでしょうか。

先日、朝日新聞日曜版(12日、be_s7面)にて武蔵野大学の矢田部英正先生が「日本人の身体」と題したコラムを発表なさっていました。ざっくり要約すると、下記のような趣旨の文章であったと思います。

「キモノは窮屈なのか」
平成生まれの学生の着物へのイメージは男女ともに良好で、「かわいい」「自分で着られるようになりたい」というものが大半。その一方、成人式を境に「窮屈」「動きにくい」というイメージを抱く女性もいる。しかし過去の着用事例を見れば、必ずしも着物は窮屈なものではない。かつてはゆったりと柔らかく着つけて、それに応じた立ち居振る舞いをしていた。

この記事から見えてくること。
それは平成の世において着物が日常着ではなくなっていること(着物=晴れ着)という図式です。
洋服でもそうですが、普段着つけないものを身に付けると窮屈なのは当たり前の話です。燕尾服しかり、ドレスしかり、着物しかり。けれど、昭和くらいまでは毎日普段着として着物を着る習慣が日本にはありました。わたくしは先日、大正生まれの祖母の家族写真を見る機会があったのですが、そこに映っていた女子は全員着物姿でした。各種制服に洋装が取り入れられた結果、男子は女子よりも可及的速度で着物を脱いでいったのでしたが、そういった制度に属さない女性にとって普段着は長く着物であったのです。

ひるがえってジーンズに馴れた平成女子にとって、足を開いて歩くことが困難な着物は確かに窮屈でありましょう。
洋服の定着は、わたくしたちの歩き方まで変えてしまったのです。
別段それ自体は単純なモードの変化であって、進歩でも退行でもないと思いますが、現代において着物はきちんと着るのがよい、とされている。
でも、いつから着物はきちんと着なければいけないものになってしまったのでしょうか?
次回は江戸時代までさかのぼって、着物の着用変遷について考えてみたいと思います。
よろしければ、お付き合いくださいませ。

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