2016/04/15

第5試合 WWE女子王座(新設)3ウェイ・マッチ

シャーロット(ディーバ王者)×サーシャ・バンクス×ベッキー・リンチ

この3人は本当に凄い。とくにサーシャ。
小柄な体格をものともせず、むしろ小さいから活きるような動きを、本当によく考えてます。そして、実行できる。
努力もムチャクチャしてるでしょうが、生来のセンスがかなりモノを言ってるように思います。
きっと、近いうちに女子王座はサーシャのものになるでしょう。王者サーシャ・バンクス、ニヤニヤするレベルで楽しみです。
ちなみに前述のスヌープ・ドッグはサーシャの従兄弟で、入場時に生でラップを披露してました。

新設女子王座に改めて就いたのは、ディーバ王者シャーロット。親父のリック・フレアーが介入して終わるという微妙な結果でしたが、攻防は3人の良さを遺憾なく見せてくれました。

そう言えばこの3人、いずれもサブミッション(関節技・絞め技)のフィニッシャー(決め技)を持っています。

王者シャーロットは父から受け継いだ4の字固め(フィギュア4)にブリッジを加えて2倍の効果になった“フィギュア8”。
サーシャは俯せの相手の首を後ろに締め上げる“バンク・ステイトメント”。
ベッキー(not センテンス・スプリング)は俯せの相手に極める十字固め“ディス・アーマー”。

昔は、「サブミッションは大きい会場では見えにくいのでウケない」と言われていたものですが、史上最大の観客であふれかえったレッスルマニアで、サブミッションは普通にウケてました。

そう言えば、けっこう何年も前からサブミッションはウケているのです。
これ、会場にデッカいモニターがあるのが大きいなと、長年WWEを見てるくせに今さら気づいたのです。
え? 気づいてた? 今頃そんなことに気づくのはお前だけ? 失礼いたしました。

第6試合 ヘル・イン・ア・セル

アンダーテイカー×シェイン・マクマホン

シェイン・マクマホン。お察しの通り、ビンスの息子です。
当然、かつては後継者と目されていたわけですが、7年前に突然WWEを辞めてしまいました。

正直に言うと、「滅多に試合をしなくなっちゃったアンダーテイカーの相手が、よりによってシェインかよ」と思ってました。
どこかで「素人」だと思ってたし。
もちろん、たまに試合に出ると無茶なことをやらかして、下手なレスラーより凄い試合はしてましたけど……レッスルマニアでアンダーテイカーの相手ってなあ……と。
辞める少し前から試合もやってなかったし。

しかし!いい意味で裏切られましたね。

舞台となる“ヘル・イン・ア・セル”とは、上のムービーでもわかるように、場外も含めたリング全体を、スッポリと包む金網のことです。
また、この形式だとノールールになるので、凶器なんかも使いたい放題。シェインの無鉄砲なスタイルが活きるんですよ、これが。

また、ヘンゾ・グレイシーとなぜか柔術の練習を積んでいたとのことで三角絞めなんかを繰り出してはいましたが、やはり白眉は、上のムービーで見られるセルのてっぺんからの実況席へのダイブです!
セルの途中からのダイブは何度かありましたが、てっぺんに立った状態からのダイブは、ミック・フォーリー以来ではないでしょうか?

フィニッシュ前にテイカーがシェインの頬をポンポンと優しく叩くシーンなんかも含め、期待を大きく超えましたね!

第7試合 アンドレ・ザ・ジャイアント・メモリアル・バトルロイヤル

R・トゥルース
アダム・ローズ
カーティス・アクセル
ケイン
ゴールダスト
コナー
シャキール・オニール(元NBAバスケ選手)
ジャック・スワガー
ダイヤモンド・ダラス・ペイジ
タイラー・ブリーズ
タタンカ
ダミアン・サンドウ
ダレン・ヤング
バロン・コービン
ヒース・スレーター
ビクター
ビッグ・ショー
ファンダンゴ
ボー・ダラス
マーク・ヘンリー
(五十音順)

率直に言って、ゆったり見物してました。つまらなくはなかったんですが、まあ、シャキール・オニールとビッグ・ショーの絡みが、概ね唯一の見せ場かな、と。
シャックは何年か前にRAWに出て、ビッグ・ショーと絡んだりしてたNBAのスターで、何となくこじつけた因縁をベースに無理矢理出した感じです。
でも、あの馬鹿でかいビッグ・ショーと並んで、身長が同じくらいでしたね。笑うレベルでデカイ。

第8試合(?)

ザ・ロック×エリック・ローワン

ロック様が登場し、いつものように名調子の演説を。
彼の口から、観客数がレッスルマニア史上最高の101,763人を記録したことが告げられました。

そこにワイアット・ファミリーが登場、例によってブレイが意味不明なスピーチを行うと、ロックから宣戦布告! 急遽()ローワンとのシングルマッチが組まれた!
……と思ったら、ロック・ボトム一発でローワン撃沈! あっという間に試合終了でした。

腹いせにワイアット・ファミリーがロックを取り囲み、襲撃せんとしたその瞬間、ジョン・シナ登場。

肩の怪我からの久々の復帰です。
例によって歓声とブーイングが相半ばする中、ロック様とシナはワイアット・ファミリーをリングから一掃、2人仲良く見得を切ります。
今やハリウッドで最も興行収入を上げる俳優になったロック様ほどの男と並んでも、シナは存在感でさほど引けを取りません。
何でこうまでブーイングを浴びるんだろ?

第9試合 WWE世界ヘビー級王座戦

トリプルH×ロマン・レインズ

メイン・イベントです。
ここまでで6時間以上経ってますから、いやはやWWEファンというのは物好きですなあ。

何気にこの試合、けっこうグレード高かったと思うんですよ。
でも、水を差したのがレインズへのブーイングと、トリプルHへの声援。

さっき、ジョン・シナについて“歓声とブーイングが相半ば”と書き、プロレス英語の解説の時もそれを書きましたが、それの悪化したバージョンがレインズなのです。
2人ともベビー・フェイス(善玉)で、トリプルH(WWEの本当のCOO)をはじめとする権力者側“The Authority”の悪だくみに逆らう立場です。
ところが実際には、当然ですが、COOたるトリプルHが自ら悪役となってまでプッシュをしているのがこの2人。

どうも、コアなマニアには、それが気に入らないようなのです。
だから、悪役チャンピオンのトリプルHに声援が飛び、正義の挑戦者レインズにブーイングが出てしまうのです。

個人的には、この2人はよくやってると思うんですよ。
たいへんな努力をしているのは身体を見れば一目瞭然だし、試合運びも(センスより頭脳先行型の印象ですが)うまいです。しゃべりだって非常に見事だと思います。
そして、子供と女性には大人気なんです。

でも、いかにもモテなさそうなコアなマニア層には受けが悪く、奴らもムキになってブーイングするもんだから、けっこうテレビからも聞こえてくるんですね。

それでも、今回のレッスルマニアで解消されるんじゃないかと期待をしていました。

トリプルHという人は、ヒールとして試合をして、対戦相手のベビーフェイスに声援が集まるように仕向けることに関して、驚異的な能力を持っているのです。
私はレッスルマニア28でのアンダーテイカーとの試合を目の当たりにして、それを実感しました。
そして、そんな斜に構えた見方をしている私でさえ、トリプルHにブーイングを送り、アンダーテイカーを心の底から応援していたのです。
ダニエル・ブライアンも、その自伝でレッスルマニア30でのトリプルHとの試合の中で、多くのことを学んだと書いています。そしてそれはレスラーでない人には説明が困難であるとも。

そんなトリプルHの超絶スキルをもってすれば、私はレインズは英雄になれると思っていましたし、ビンスもトリプルHもそう思っていたと思うのです。

果たして、試合ではトリプルHの名人芸が炸裂し、だんだんとレインズへのブーイングを声援が上回り出しました……が、ブーイングをかき消すところまでは行きません。
そして、レインズのフィニッシャーのスピアーがトリプルHを捉え、レインズが遂にWWE世界王座を奪取!……しても、モテなさそうな奴らがブーイングしてます

うーむ……
いや、そのモテないメンを非難しようとは思いません。そいつらにブーイングさせないだけの力がレインズにないといけませんから。
ただ、このままの形でプッシュを続けても、モテないメンはムキになってブーイングするだけのような気がするんです。

これはもう、レインズはヒールに転向して、全員からブーイングされるところから再出発するしかないのではないかと。
彼ならきっと、ヒール転向も、そこを耐えてからのベビーフェイス最転向も、できると思うんですよ。
元々、ヒールのチームで頭角を現してのし上がって来たのですから、またやってみればいいんです。


というわけで、何せ7時間もかかったイベントですから、1大会の観戦記としては異常に長いものになってしまいました。
全体として、やっぱりレッスルマニアは見ずに死んではいけないイベントだと確信しましたね。

見ていない皆様も、来年は必ずご覧になるよう、強く推奨いたします!

2016/04/15 12:34 | 観戦記 | No Comments
2016/04/15

前回は、観戦記なのに本編に入る前までという、何とも間抜けな展開でした。
本編の観戦記も、やはり2本に分かれております。
試合の概略および感想とちょっとした考察だけで、こんなになっちゃうほどのビッグ・イベントだとご理解ください。
これでも、本当に書きたいことの半分くらいなんです。動画が入れられるおかげで、試合そのものの描写なんかがずいぶんと短縮できてるんですよ。

レッスルマニア本編

第1試合 インターコンチネンタル王座戦 7ウェイ・ラダーマッチ

ケビン・オーエンズ(王者)
ザ・ミズ
ザック・ライダー
サミ・ゼイン
シン・カラ
スターダスト
ドルフ・ジグラー
(五十音順)

スタジアムでの試合では、ラダーマッチは欠かせません。

※上空にベルト等をつるし、ハシゴを登って取った者が勝者という試合形式

反則なしなので、当然ながらハシゴによる殴打とか、ハシゴへの激突とか、ハシゴから場外への落下とか、楽しいシーンの連続になります。
この試合も例外ではなく、「それ、やるの!?」的なシーンが続出でした。

個人的には、無名時代に来日してたオーエンズとゼインが、10万の大観衆の歓声を浴びながら殴り合うシーンに、感慨を禁じえませんでした。いやあ、2人とも立派になって……

そして、結末はまさかのザック・ライダーの王座奪取! ここ数年、ミスターかませ犬的ポジションだったので、驚いたのなんの。
ブレイクもしないままベテランの域に入りつつあるので、一花咲かせてほしいところではあります。

第2試合

AJスタイルズ×クリス・ジェリコ

職人肌の2人の見応えある折り目正しいプロレスの試合だったので、とくに“事件”なし。
ただ、このタイミングでジェリコの勝ちだったのは驚きました。

今年の頭まで新日本プロレスにいたAJ。日本での経験が長いジェリコなら、彼の良さを引き出せるでしょうから、この抗争をしばらく引っ張って、AJの良さを引き出して価値を上げる意図でしょうか?
AJを売り出そうというWWEの意図は明らかなだけに、この敗戦がどんな展開の伏線なのか、見極めたいところです。
もっともWWEの場合は、単なる思いつきである可能性が多々ありますが……

第3試合 3×4タッグマッチ

ニュー・デイ
(ビッグE、コフィ・キングストン、エグザビア・ウッズ)
×
リーグ・オブ・ネイションズ
(シェイマス、キング・バレット、アルベルト・デル・リオ、ルセフ)

アイルランド、イングランド、メキシコ、ブルガリアの4人を「League Of Nations」とするセンスはいいと思うんですが、J Sportsの字幕では「国際同盟」、オフィシャルサイトの訳では「多国籍同盟」なのが気になります。「League Of Nations」は「国際連盟」でしょうが……

なぜかドラゴンボールみたいな衣装を着たニュー・デイのトリオ漫才やなんかも面白かったのですが、いつもの試合とそんなに違わないような……と思っていたら、この後の展開の前振りでした。

国際連盟のニュー・デイへの暴行から救出するため、レジェンドかつWWE殿堂者、ストーン・コールド・スティーブ・オースチン、ショーン・マイケルズ、ミック・フォーリーが登場!

オチは、ついにストーン・コールドがニュー・デイに合わせて踊ったかと思いきや、エグザビアにスタナーを決めてビール大会でした。

いつかやってみたいんですよね、このビール大会。

いや、そりゃ風呂場でやればいつでもできるんですが、誰も見てないところでやっても虚しいですし……

第4試合 ノー・ホールズ・バード・ストリート・ファイト・マッチ

ディーン・アンブローズ×ブロック・レスナー

率直に言うと、有刺鉄線バットは使って欲しかった!(レッスルマニアに至るまでの番組中で、レジェンドたちが自分のトレードマークの凶器を持って、アンブローズを激励に来る小芝居があったんです。テリー・ファンクはチェーンソー、ミック・フォーリーが有刺鉄線バットを渡してました)
……けど、PG12の番組ではダメでしょうね。血ィ出ちゃうし。

それより、最近のブロック・レスナーの扱いが、“素手に闘ったら絶対に勝てない人”になりつつあり、どうもモヤモヤします。
ここ数年で普通に勝ったのはジョン・シナとトリプルHだけ。両方ともノールール系の試合で、リングに鉄階段を引っ張り上げて、その上での必殺技がフィニッシュでした。
アンダーテイカーも一度勝ったんですが、急所打ちを食らわせた挙げ句の疑惑の勝利でした。

アンブローズ戦もご多分に漏れず、素手で闘っている局面では、アンブローズは手も足も出ず、竹刀や椅子を手にした時だけ攻勢に出る展開でした。
そして、さんざん凶器攻撃を加えても、ラストはF5一発でピンフォールですから。

率直に言って、これからどうすんだろ?と。

Hall Of Fame Class 2016紹介

WWE殿堂入り式典は毎年レッスルマニアの前日に行われ、当日は殿堂者たちのお披露目があります。
今年2016年に殿堂入りしたのは……

日本のファンとしては、スタン・ハンセンの殿堂入りが嬉しいではありませんか! 10万人の前にハンセンが現れ、喝采を受けるなんて……感無量です。
紹介映像では、天龍源一郎がラリアットで吹っ飛ばされる映像が出てましたが、あんなの食らってたら、そりゃ喉も潰れてガラガラにもなりますわな。

セレブ部門はスヌープ・ドッグ。彼のこれまでのWWEへの貢献を考えると、まあ順当ですかね。

ウォリアー賞

ジョーン・ランデン

亡くなったアルティメット・ウォリアーに由来する賞で、精神力と忍耐を持って闘った人に贈られる賞です。
ランデン氏は著名なジャーナリストで、乳がんにかかったことを公表、その闘いを通じて多くの人の手本となったことを評価されました。

レガシー部門

“レガシー部門”の設立には、唸りましたね!

ファンが見れば、今回選ばれたレスラーたちは、モノホンの“レスラー”であることがわかると思います。ザックリ言うと、“本当に闘っても強い人たち”なのです。

社名をWW“E”に変えた頃から、「レスリング」という言葉がタブーになったようで、「レスリング」は「スポーツ・エンターテインメント」、「レスラー」は「スーパースター」「ディーバ」「コンペティター」などに言い換えられました。
実況でも、プロモでも、まず聞かれない言葉になっていたのです。

が、3年くらい前から、稀に聞かれるようになってきました。この1年は、2週間に1回くらいは聞かれるのです。
そして今回、プロレスが競技として行われていた時代、レスラーとしての強さが必要だった時代のレジェンドたちが、WWEの“レガシー”と定義されたのです。

これは、プロレスリングの歴史を思うと、非常に感慨深い事実なのです。
そのうち、こうしたことも書いていこうと思います。

(下)に続く!

2016/04/15 12:34 | 観戦記 | No Comments
2016/04/13

レッスルマニアを見ずに死んではいかん」まで言い切ったからには、当然ながら今年も見ましたよ、私は。
しかも今年は、WWEネットワーク開始のおかげで、完全にリアルタイムで見ることができました。
現地テキサスの日曜夜=日本では月曜の午前です。“副業”の会社は休みをもらいました。当然ですよ。どっちが大事だと言えば、明らかにレッスルマニアですから。

レッスルマニア本興行の前にキックオフ・ショーというのがあって、見所の解説やらその日までのご当地の様子なんかに加え、試合が行われるんですよ。それが、日本時間の朝6時開始なのです。
そういうわけで、休みだというのに朝5時に起床して、洗顔や朝食や洗濯物たたみなんかを済ませ、6時にはテレビの前に陣取りました。

※なお、Apple TVのアプリで見ると、どうもリアルタイムのストリーミング配信はやたらと再生が止まることに、前日の「WWE Hall Of Fame」の生中継で気づき、試験的にiPadからAirPlayでApple TVに送るようにしてみたところ、これがドンピシャ。途中で止まることなく楽しめました。
Apple TVでの再生にご不満の方は、ぜひお試しください。

キックオフ・ショー

何と、ほぼ全編がWWEのオフィシャルアカウントによってアップされていました。太っ腹ですな。

キックオフでは、例年1試合のところ、3試合が行われました。

カリスト×ライバック(US王座戦)

Team Total Divas × Team B.A.D. & Blonde
ブリー・ベラ、アリシア・フォックス、ペイジ、ナタリア、エヴァ・マリー
×
ナオミ、タミーナ、ラナ、サマー・レイ、エマ

ウーソズ×ダッドリーボーイズ

どの試合もなかなかのクオリティで、楽しめました。
女子の10人タッグマッチでは、この種の大人数試合にありがちなフィニッシャー(決め技)の連続競演も楽しめました。
試合を締めたのは、ブリー・ベラです。引退した夫ダニエル・ブライアンのフィニッシャー“イエス・ロック”を引き継いだだけでなく、これがまた見事な技の入り方でした。この入り方、ブライアンもやったのを見た記憶がありません。

▼そのシーンからの再生です。

そして、ブリーはこの試合が最後となるようです。ラストにそれを思わせるシーンも……

新WWE女子王座紹介

これは非常に重要なコーナーでした。
WWEでは、男性レスラーを「WWEスーパースター」といい、女性に関してはレスラーとそれ以外の登場人物をまとめて「WWEディーバ」と呼んで来ました。

イノベーターたるビンスCEOともあろう方が、女性タレントについては非常に保守的で、率直に言って、これまでは“セクシーな添え物”の扱いを受けていました。
セクシーなのはたいへん結構で喜ばしいのですが、才能ある女性が、それを存分に発揮できないのは問題です。

2つあった女子の王座が、“女子王座”ではなく、“ディーバ王座”に統一されたのが、象徴的な出来事でした。

しかしこの数年で、2軍であるNXTで奮闘していた若く才能ある女性“レスラー”達が、状況を変えたのです。
シャーロット、サーシャ・バンクス、ベッキー・リンチ、ベイリーの“4ホース・ウィメン”の功績です。

彼女たちは、“男みたいなプロレス”ではなく、ハードでスピーディながら、女性ならではのプロレスを作り上げて来たのです。
その過程は、心の底からリスペクトせずにはいられない道程でした。
彼女たちを中心にした、急速な女子の試合の地位向上は“ディーバ革命”と呼ばれ、これまでにない女子の試合の形ができあがっていく過程にあります。

「日本の女子プロレスも質が高いだろ!」とおっしゃる方、お気持ちはよく理解できます。
が、残念ながら、日本の女子にはレッスルマニアのような大舞台がないんですよね……
現在唯一の日本人ディーバASUKA(華名)がNXT女子王者に就いたことが状況を変えてくれるかも知れません。

そして、新しい女子王座のベルトのプレゼンターは、引退したディーバのリタが務めました。
リタと、そのライバルであるトリッシュ・ストラタスこそ、4ホース・ウィメンの先駆者とも言うべき人物です。危険を顧みないハードな試合スタイルで、命を削るような2人の攻防は、本当に凄かった……
まさに適役、心憎い演出です。

この段階で、まだ朝の8時。否応なく盛り上がってくるではありませんか!

つづく

2016/04/13 12:06 | 観戦記 | No Comments
2016/03/31

WWEの番組は、J sportsの日本語字幕版(10日後くらいに放送)にしても、WWEネットワークで見られる番組にせよ、番組中に聞こえてくる言葉は基本オール英語です。

※レッスルマニア32は日本語実況もあります。

私自身は、推定2歳児レベルの英会話力しかないので、WWEネットワークを見る時には、基本的に英語字幕をオンにして、それでも時々一時停止して辞書を引くレベルです。

※英語の字幕はあるので、“読めるけど聞こえない”あなたも安心ですよ。

そんなレベルの私でも、

  • 日本のプロレス的な和製英語と違う言葉
  • 一般的な言葉だけど、プロレス的文脈では意味が異なる言葉
  • ビジネス会話ではまず出てきそうにない言葉

がいくつかあることに気づきます。

このシリーズでは、そんな言葉をプロレス的“出る単として少しずつご紹介したいと思います(出る単だって。トシがバレバレですね)。
まあ、レッスルマニア32も近いし、いいタイミングなのではないかと!

ただし、英語力2歳児なので少しずつのご紹介となりますが、ご容赦いただければ幸いです。10年前は犬と同じくらいだったので、これでも進歩しているのです。
あ、なお、日本語でも音訳された同じ言葉(例:top rope→トップロープ)の場合は取り上げません。

基本用語

まず、日本人が番組を楽しむ上で、押さえておくべき言葉から紹介して参りましょう。

tag

タッグマッチで、リング内のレスラーがコーナーに待機する相棒と手をパチンと合わせて交代するシーンは、プロレスに縁のない方でも一度は見たことがあるでしょう。
あれ、日本では「タッチ」と言いますが、あちらでは「tag」と言います。「trying to tag」とか「Tagged!!」とか「Make a tag」とかいう形で使われてます。

promo

日本でいう“マイクアピール”は、あちらでは“promo”といいます。“宣伝”の意味のようですね。何というか、素直な用語ですね。

chant

「イノキ!イノキ!」という“猪木コール”はご存知だと思います。ああいうのを日本では“コール”と言いますが、英語だと“chant”です。
当たり前っちゃ当たり前なんですが、リズムの取り方も違ってます。
たとえばホーガンに声援を送る時、日本では「ホ・ー・ガン!(4分休符)ホ・ー・ガン!(4分休符)」となりますが、あちらでは「ホー・ガン!ホー・ガン!」と連続します。
レスラーの名前を呼ぶ以外にも、さまざまなチャントがあります。
例えば……

You suck!

悪役に対するチャントです。「おまえ最低!」の意味です。J Sportsの字幕では「最低野郎!」と当てられていますが、カート・アングルだけ「へなちょこ!」という表記です。何でだ。

This is awesome!

主にリングの上で秀逸な攻防が披露された場合に、称賛のチャントが発生します。
直訳すると「これはすごい」ですが、J Sportsの字幕では「これぞ名勝負!」「これぞ名場面!」など、状況に応じて字幕が当てられます。意訳しすぎの気もしますが。

Holy shit!

打って変わって、主に凶器や備品を使って凄いことをやっちゃった時——例えば相手を実況席(なぜか基本的にスペイン語実況席)に叩きつけて破壊したり、2mクラスのハシゴからダイブして攻撃したりと、“エクストリーム”な攻防が凄かった時に起きる称賛チャントです。
直訳すると「聖なるクソ」ですが、字幕では「クソすげえ!」となかなか趣のある訳し方です。

Let’s go xxxx

試合中に(主に)ベビーフェイス(善玉レスラー)を応援する時、単なる連呼では語呂が悪いような場合にLet’s goが付きます。一度チャントしてから、手拍子を“チャッチャッチャチャチャ”と入れるのが通常です。

Let’s go Cena! Cena sucks!

で、ジョン・シナという当代ナンバー1人気のレスラー(何でも年間13億稼ぐとか)は子供と女性に応援され、モテない感じの若い男性に嫌われています。
なので、上記のチャントの前半が黄色い声で、後半が野太い声になります。
会場では「Cena sucks!」と叫ぶ男を子供のファンが睨みつける場面もよく見られ、なかなか楽しめます。なお「Cena sucks」は前述の「You suck」と同意ですが、三人称単数なので「s」が付きます(蛇足)。

ロック様用語

レッスルマニア32では、ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンの出番があるそうです。
彼のpromoは最低10分以上カンペなしでしゃべるのが当たり前なのですが、スラングを多用する上に造語を使います。
英語に堪能な方だと却ってわからない言葉があると思うので、ご紹介しましょう。上から目線ですが。

jabroni

元々は、プロレス業界の隠語だとのこと。ロック自身が「この隠語を堂々と番組で使ったのは俺が初めてだ」と語っています。
負け役を演じることをjobといい、負け役ばっかりのレスラーをjobberというのからイタリア語風(?)に転訛した言葉で、“ダメな奴”的な意味のようです。

smackdown

“お仕置き”の意味で、「lay the smackdown hotel!」という用法がもっとも多いです。
これはロックの造語で、その後番組名に採用され、今では辞書にも収録されるようになったという言葉なのです。

arse

assが放送禁止のようなので、代わりに使われる言葉です。
ロックだけが使う言葉ではありませんが、使用頻度は恐らく彼が一番です。

まだまだプロレス的な文脈で出てくる独自の英語はたくさんあります。
が、あんまり一気に紹介しちゃうとネタが切れてしまうので、このへんで。

2016/03/19

レッスルマニア!
プロレスファンなら死ぬまでに一度は生で見たいイベントです。

なぜかLLクールJが紹介するレッスルマニア31(2015年)のオープニングです。けっこうスケールの大きさがよく伝わる映像ですよね。

その規模の巨大さ、内容の濃さ、演出の見事さ、レスラーたちのモチベーションの高さ……どれを取っても、世界一のプロレスイベントと断言できます。

切れ目のない大河(ドタバタ)ドラマであるWWEですが、レッスルマニアで一度大団円を迎えるストーリーが多いのです。
レッスルマニア終了後にレスラーのリストラが行われることが多いのも、それを裏付(以下自粛)

2回目にも書きましたが、「The Forbes Fab 40: The World’s Most Valuable Sports Brands 2015」でも5位に選ばれるのがレッスルマニア。
開催地への経済的インパクトは1億ドルを超えるそうですから、自治体は本気で招致に動きます。開催が決まれば、州知事と市長が記者会見に出るのも通例になっています。

ビンス・マクマホンの“発明”

プロレス史上もっとも偉大なプロモーターであるビンス・マクマホンは、1985年、大きな賭けに出ました。
それまでの全米侵攻戦略で得た金を突っ込み、多彩なゲストを招いたビッグ・イベントを開催し、全米にクローズド・サーキット(ライブ映像を各地の映画館にリアルタイム中継し、有料客に見せる興行)配信するというビジネスモデル=レッスルマニアの開催です。

以前のプロレスではそれに見合うだけの規模のイベントができませんでした。同業者たちも冷笑的で、うまくいくはずがないと公言する者も少なくありませんでした。

しかし、そこで諦めるようなビンスではありません。
MTVとの連携やハルク・ホーガンの戦略的露出で、集客の基盤を作ります。そしてモハメッド・アリやシンディ・ローパーらと交渉し、大枚を張ってゲストとして招くことに成功。
クローズド・サーキットも順調に売れ、それまでのプロレス興行とは桁違いの収益を上げる大成功に導きました。
今日まで毎年欠かさずに開催される“プロレスのワールドシリーズ”は、ビンス・マクマホンの発明なのです。

現在はクローズド・サーキットからペイ・パー・ビュー(番組単位で料金を払うテレビ配信)やWWEネットワークに移行していますが、それまで「会場に集まった観客数×平均単価」だけが売上だったプロレスを「映像ソフト」として再定義し、会場のキャパを大きく超える視聴者を集められるようになったのです。

まさに業界のビジネスモデルを一変させた出来事でした。
ライブ・イベント、その配信方法、過去のイベントのアーカイブの収益化……それを80年代半ばから構想して実行しているのですから、その先見の明たるや、非凡極まりないとしか言えません。

レスラーの夢の舞台

そして、ファンにとって最大のイベントであるレッスルマニアは、そのままレスラーにとっても夢の舞台です。レスラーなら、一度はレッスルマニアに出てみたいと思うはずです。よほどのへそ曲がりでない限りは。
WWEを悪く言うレスラーもいますが、そういう人だって「出てくれ」と言われたら出ると思いますよ。だって、会場だけで8万人、カメラの向こうには百数十万世帯が見ているんですから。それを断ったら、おまえ何のためにプロレスやってんの、って話ですよ。

とくに初めてのレッスルマニア出場は、彼らにとって感激もひとしおのようです。
リアリティ・ショー番組「Total Devas」の一部がYouTubeで公開されていますが、出演者の1人の若きディーバであるペイジちゃんが、感涙にむせぶシーンは、心に迫るものがあります。

プロレスリング・ノアKENTAは、何とハルク・ホーガンが来日して大阪のリングの上で契約するという破格の扱いWWE入りしまし、リングネームをヒデオ・イタミとしました。
残念ながら負傷欠場中の彼が、テレビ放送前の試合「アンドレ・ザ・ジャイアント・メモリアル・バトルロイヤル」に出た時の様子をまとめた映像がこれです。

レッスルマニアというのが彼らにとっていかに夢の舞台であるか、おわかりいただけたかと思います。

何度も自慢して恐縮ですが、マイアミでのレッスルマニア28をWWEの招待で見ることができたのは、生涯忘れられない思い出ですし、ファンとしての誇りでもあります。

wrestlemania XXVIII

残念ながら、32年の歴史を誇るレッスルマニアは、アメリカとカナダでしか行なわれたことがありません。一応、東京ドームも候補会場には常に入っているそうですが、東京都が招聘に動くことがない限り、おそらく万年“候補”でしょう……

ということなら、こちらから出向いて見に行くか、次善の策としてWWEネットワークでの放映をテレビやスマホで見ることになりますが、当然、まずは後者を楽しまれることをお勧めします。
初月無料ですから、今(2016年3月)申し込めば、レッスルマニア32は無料で見られます
解約もカンタンで、有料期間になっても月々わずか9.99ドルです!
※例によって自主ステマです。WWEからは1銭もいただいてません。というか、何ならください。

レッスルマニア32

さあ、そのレッスルマニア32は、テキサス州ダラス(アーリントン)で行われます。現地時間4/3、日本時間4/4の朝から配信開始です。
トリプルH×ローマン・レインズのWWE世界ヘビー級タイトルマッチをはじめ豪華カード目白押しの、4時間にわたる一大イベントですよ!

▼レッスルマニア32予告映像

過去のレッスルマニアの映像がコラージュされて、規模感やワクワク感が伝わるのではないかと思います。
レッスルマニアの観客動員記録を更新するのではないかと言われています。

WrestleMania in 60 Seconds

WWEが自ら、各大会のハイライトを60秒に集約版した動画を、YouTubeに公開しています。レッスルマニア30以降がなぜかないのですが、1〜29は勢揃い。
全部だと多すぎますので、印象的な回だけを駆け足でご紹介します!

レッスルマニア(第1回)

MSGで開催された、記念すべき第1回レッスルマニアです!
モハメッド・アリ、シンディ・ローパー、ビリー・マーチンらをゲストに迎え、メインイベントはハルク・ホーガン、ミスターT(俳優)組×ロディ・パイパー、ポール・オーンドーフ組のタッグマッチでした。

レッスルマニア 2

NY、シカゴ、LAの3会場で同時開催という離れ技。
オープニングはレイ・チャールズの「美しきアメリカ」。オジー・オズボーン、ジョー・フレイジャーをはじめ豪華ゲストが多数参加し、ミスターTはロディ・パイパーとボクシングマッチ、ウィリアム・ペリーらNFLの選手がバトルロイヤルに参戦しました。

レッスルマニア III

ポンティアックのシルバー・ドームに9万人以上を動員、当時の室内動員記録を達成しました。アレサ・フランクリンの「美しきアメリカ」で幕開け。
ランディ・サベージ×リッキー・スティンボートのインターコンチネンタル王座戦が白眉で、今でも史上最高のインタコンチ戦と言われています。
メインはハルク・ホーガン×アンドレ・ザ・ジャイアント。史上初めて、アンドレがピンフォール負けを喫した試合です。

レッスルマニア VI

トロントのスカイドームでの開催。初めてのカナダでのレッスルマニアです。
メインイベントではWWF(WWEの旧称)王座とインターコンチネンタル王座のダブルタイトルマッチで、ハルク・ホーガン×アルティメット・ウォリアーのベビーフェイス(善玉)どうしの珍しい一戦で、ウォリアーが勝利して王座を統一!

レッスルマニア VII

LAでの開催。「美しきアメリカ」はウィリー・ネルソン。アンダーテイカーのレッスルマニアデビュー戦があった大会です。日本からは何と天龍源一郎と北尾光司が出場しました。

レッスルマニア X

切りのいい10回目のレッスルマニアは、原点回帰のMSG開催。「美しきアメリカ」はリトル・リチャードが歌いました。
この日のインターコンチネンタル王座戦ショーン・マイケルズ×レイザー・ラモンのラダー(ハシゴ)マッチは、今でもハイライトシーンがたびたび放映される名勝負でした。

レッスルマニア XII

アナハイムでの開催。メインのWWF王座を賭けたブレット・ハート×ショーン・マイケルズのアイアンマン・マッチ(60分間闘い、奪ったピンフォールが多い方が勝ち)は今でも名勝負の誉れ高い試合でした。

レッスルマニア XIV

ボストンでの開催。日本からはTAKAみちのくが出場しました。
メインのWWF王座戦で、ショーン・マイケルズ×ストーン・コールド・スティーブ・オースチンのWWF王座戦では、マイク・タイソンが特別レフェリーをつとめ、会場を盛り上げました。

レッスルマニア XV

フィラデルフィアでの開催。「美しきアメリカ」担当はボーイズIIメンが務めました。
日本からはTAKAみちのくが連続出場、WWFライトヘビー級王座を防衛
メインはザ・ロック×ストーン・コールド・スティーブ・オースチンの、ノー反則マッチのWWF王座戦。何度見ても飽きない名勝負です。

レッスルマニア 2000

アナハイムでの開催。日本からはTAKAみちのくとフナキが出場しました。
ここで行われた、WWFタッグ王座をかけたトリプル・スレット・ラダーマッチ、ダッドリー・ボーイズ×ハーディー・ボーイズ×エッジ&クリスチャンの試合は激烈な名勝負で、永遠に語り継がれるレベルです。

レッスルマニア X-Seven

ヒューストンでの開催。
トリプルHの入場は、モーターヘッドによる生演奏でした。
前年の三つ巴タッグマッチはTLC戦(Tables Ladders Chairs、テーブルとハシゴと椅子が凶器として使える試合)で再戦となり、これまた素晴らしい勝負となりました。
ビンスは自ら試合に出て、何と息子シェインとのストリート・ファイト・マッチで妻リンダに急所を蹴られて敗戦。
メインでは、ストーン・コールド・スティーブ・オースチンがビンスの助力でザ・ロックを破ってWWF王座を奪取し、悪役転向という結末!

レッスルマニア X8

再びトロントでの開催。
メインはクリス・ジェリコ×トリプルHのWWF統一王座戦ですが、何と言ってもザ・ロック×ハルク・ホーガンの新旧スター対決が白眉でした。睨み合いだけでスカイドームの大観衆を爆発的に盛り上げた、一度は見ておくべき名勝負です。

レッスルマニア XIX

シアトルでの開催。
ビンスはハルク・ホーガンとの両者血だらけのストリート・ファイト・マッチを敢行、ザ・ロックはストーン・コールドとムチャクチャな名勝負を演じ、カート・アングル×ブロック・レスナーのWWE王座戦も好勝負と、見所たっぷりの大会でした。
レスナーはこの試合でシューティング・スター・プレスをしくじって首を負傷、意識がもうろうとしながらも試合を締めました。

レッスルマニア XX

切りのいい20回目、やはり原点回帰のMSG開催。
メインの世界ヘビー級王座戦では、クリス・ベノワがトリプルH、ショーン・マイケルズとのトリプル・スレット・マッチを制して王座を獲得、同日WWE王座を防衛していたエディ・ゲレロと泣きながら抱き合うシーンは感動的でした。
2人とも、日本でワイルド・ペガサス(ベノワ)、ブラック・タイガー(エディ)として活躍していたので、日本人ファンにとって、涙を誘われる名場面。
今見ても、ジーンと来ます。その2人も、もうこの世を去ってしまいました……

レッスルマニア 21

ハリウッド開催。
日本からは何とが参戦し、ビッグ・ショーとの相撲マッチを制しました。
ジョン・シナがJBLからWWE王座を奪取。これがシナのWWE王座初戴冠でした。
初のマネー・イン・ザ・バンク・ラダーマッチ(天井から吊された、いつでも王者に挑戦できる契約書の入ったブリーフケースを奪い合う試合)はここで行われました。

レッスルマニア 23

デトロイトでの開催。20年前と同じく、アレサ・フランクリンが「美しきアメリカ」を歌いました。
ビンスとドナルド・トランプの代理戦(ウマガ×ボビー・ラシュリー)“バトル・オブ・ビリオネア”が行われました。
特別レフェリーのストーン・コールド・スティーブ・オースチンが、トランプに得意技スタナーを食らわせるシーンは、今こそウケるのではないかと。

レッスルマニア XXIV

オーランドでの開催。
何とフロイド・メイウェザーがビッグ・ショーとの体重差3倍の異種格闘技戦を行いました。
リック・フレアーは引退試合でショーン・マイケルズと対戦。何度見ても涙を禁じ得ない名勝負でした。

レッスルマニア XXVI

グレンデールでの開催。
WWE殿堂入りしたアントニオ猪木が顔見せに登場しました。
この記事の“ビンスの禊”が行われたのもこの日です。
ショーン・マイケルズは引退を賭けてアンダーテイカーに挑んで敗れ、引退しました。
当時唯一の日本人スター、ヨシ・タツはテレビ放映前のバトルロイヤルで優勝したものの、今思えばキャリアのピークがこれでした……

レッスルマニア XXVIII

マイアミでの開催。見に行ったぜ!
アンダーテイカー×トリプルHのヘル・イン・ア・セル戦(場外と天井を含め、リング全体を覆った金網の中での試合。もちろん反則なし)は、ベテラン2人の驚異的な名人芸でした。
ザ・ロック×ジョン・シナの新旧スター対決には、フロー・ライダーマシンガン・ケリーがそれぞれの入場前にパフォーマンス。ロックは久々の試合にも関わらず、名人芸を遺憾なく発揮しました。

レッスルマニア 29

ニュージャージー州イースト・ラザフォードでの開催。
アンダーテイカー×CMパンクでは、リヴィング・カラーがパンクのテーマソングを生演奏。
テイカーのレッスルマニア連勝記録は翌年破れるので、連勝記録はこの日の21勝目で終了しました。
トリプルH×ブロック・レスナーのノー反則マッチやザ・ロック×ジョン・シナ再戦と、好勝負連発でした!

今年はリアルタイムで見るぞ!

WWEネットワークっつうもののおかげで、月額課金の範囲内で、リアルタイムでレッスルマニアが見られる環境になったのが、非常に感慨深いです。しみじみします。

というわけで、今年は会社(副業)を休んで、朝からレッスルマニア観戦します。有休の申請も、とっくにしましたよ。
気が向いたら観戦記のひとつも書こうかな……と思ってはいます。

あなたもお仲間になりましょうよ。
何ならレッスルマニアが終わったら、解約しちゃったっていいんだし(営業妨害)。

2016/03/19 05:15 | 全般, 見方 | No Comments
2016/03/10

1997年11月9日、プロレス史上もっとも物議をかもすことになる、ある事件が起きました。
ファンの間では「モントリオール事件(Montreal Screw Job)」として知られる事件です。

映画「レスリング・ウィズ・シャドウズ」は、その一部始終を映像化しています。
元々は時のWWF(WWEの旧称)王者ブレット・“ヒットマン”・ハートのヒューマン・ドキュメンタリーのはずが、この事件が起きたことによって、特別な映画になってしまった作品です。

(▲これ、フルで入ってるっぽいんですけど、大丈夫なのかな?)

意外にもこちらのアニオタ向けWikiがWikipediaよりも親切丁寧に書かれていますので、ご興味のある方は読んでいただくとして、大雑把に言うと、モントリオール事件とは、以下のような事件なのです。

時代は変わる

90年代の半ば、アメリカのプロレス界では、それまでの「ベビーフェイス(善玉)対ヒール(悪役)」という図式が崩れ、WWFではアンチヒーローのストーン・コールド・スティーブ・オースチンが、WCWではnWoというヒール・ユニットが人気を集めていました。

前述のブレット・ハートは、古き良きヒーロータイプのチャンピオンで、この頃にはだんだんと時代から遅れた存在になりつつありました。
しかし、依然として地元カナダでは英雄的存在だったのです。

紆余曲折あったものの、WWFのオーナーであるビンス・マクマホンは、ブレットとの契約を終了することを通告します。ブレットは、それを受けてWCWに移籍を決めました。

しかし、その時点でブレットはWWFチャンピオンでしたので、まさかそのままでの移籍を認めるわけにはいきません
実際、91年にはWCW王者のままのリック・フレアーがベルトを所持したままWWFに移籍して「真の世界王者」ギミックを使っています。
逆に、95年にはWWF女子王者アランドラ・ブレイズが同様にWCWに引き抜かれ、WCWの番組中に女子王座のベルトをゴミ箱に捨てるパフォーマンスをやっています。

これと同じことをまたやられては、たまったもんじゃありません。
当然ビンスは、11月のペイ・パー・ビュー番組「サバイバーシリーズ」でショーン・マイケルズとの試合に負けて王座を置いていくことを要求しました。

しかし、ブレットの契約には、辞める前の1ヵ月については不利な試合結果について拒否できるオプションがついていたのです。
ブレットとマイケルズは前年のレッスルマニアのメインイベントで、アイアンマン・マッチの名勝負を演じた組み合わせですが、プロレス観の違いから折り合いが悪く、控室で殴り合いまでした間柄。
しかも、アメリカでは“アンチ・アメリカ”のヒールを演じていた時期でも、地元カナダではベビーフェイス。ヒーローだったのです。
地元カナダでマイケルズに負けるのは嫌だと、ブレットは負けを拒否しました。

では試合中にマイケルズがブレットを裏切って勝ってしまう……という手もありますが、シュートマッチ(真剣勝負)に関してはブレットの方がずっと上なので、恐らく返り討ちの可能性が高く、リスクが大きすぎます。
かくして試合当日まで話し合いはもつれ込み、「誰かが乱入して無効試合に。翌日の生放送番組の『RAW』で、王座を返上」で話がまとまりました。

観客の前で、テレビカメラの前で、チャンピオンが騙された

しかし、何とビンスはブレットとの約束を履行する気はサラサラなかったのです。

かくして試合当日、一進一退の攻防が演じられた後、マイケルズがブレットにシャープ・シューター(サソリ固め)をかけた瞬間、まさに技をかけたその直後に、レフェリーは即刻ゴングを要請、ブレットの負けを宣告したのです! もちろん、ビンスがそうするように指示をしたのです。

場内は騒然、ブレットも何が起きたかわからない表情であたりを見回します。マイケルズはベルトをつかむと、すぐにリングを離れて控室へ逃げ込みます。
やがてハメられたことに気づくと、リングサイドのビンスに唾を吐きかけ、放送席を破壊。
控室に戻るとマイケルズを詰問しますが、マイケルズは「知らなかった」と弁明(実は知っていたことを後に告白)。
収まらない怒りに駆られてビンスの部屋に入ると、ビンスを殴打します。ブレット自身も手を怪我するほどの一撃でした。

この試合を最後に、ブレットはWWFを去り、競合のWCWに移籍することになりました。

そして11/17、控室でブレットに殴られたアザを左目の下に残したまま、生中継の番組「Raw」で、ブレットを騙したことを認めつつも、インタビュアーのジム・ロスから「ブレットに同情するか」と尋ねられると、こう答えました。

※J SPORTS字幕風
同情? ブレットへの同情などまったくない。まったくだ。
ビジネスの為にならん、ファンにもレスラーにも自分を育てた組織の為にもならん伝統主義者などに同情などせん。
ブレットは自分勝手なことをやり、それを抱えてこれから生きていくのだ。
ブレットは自分自身をハメたのだ。同情などまったくない。

Sympathy? I have no sympathy for Bret, whatsoever. None.
I have no sympathy for someone who is supposed to be a wrestling traditionalist, not doing the right thing for the bussiness that made him, not doing the right thing for the fans and the performers and the organization who helped make him what he is today.
Bret made a very, very selfish decision. Bret’s gonna have to live with that for the rest of his life.
Bret screwed Bret. I have no sympathy whtasoever for Bret.

この一部始終は、上記の「レスリング・ウィズ・シャドウズ」で映画になったのです。
ブレットによるビンス殴打の場面は、撮影を止められたので映ってはいませんが、顔を押さえたビンスの姿を捉えています。

これ以降マイケルズは、ベビーフェイスとして大人気の時期でも、カナダではブーイングと「You screwed Bret!」チャント(※日本の「猪木コール」のような「コール」は、アメリカでは「チャント」と言います)で迎えられていました。

誰が責められるべきなのか

以上が「モントリオール事件」の概要です。

いやはや何とも気が重くなるような事件ですし、ファンとしては心情的にレスラーに同情してしまいます。かつては私自身もブレット寄りの考え方でした。
長年貢献してきたチャンピオンを、公衆の面前で騙し討ちですからね。「ビンスはひどい」と思ってましたよ。

しかし、今では(同情が消えたわけではないものの)正しいのはビンスだと思います。

もしも、ブレットの希望どおりにベルト返上→移籍となっていたら、移籍先のWCWで「WWFでは王座を守りきった。俺がナンバー1だ。だがWCW王座こそ真の王座だ。手に入れるために来たぜ」とか言わされたかもしれません。そうなってしまったら、WWEの面子は丸潰れです。
WCWはWWEよりも上、というストーリーができてしまいます。
そういうリスクは、排除しなければなりません。何より、ブレットが抜けた後もWWEのリングに上がるレスラー達の立場がなくなります。

ビンスは、ブレットを騙すことでWWEを守ったのです。

その後、WWEはさらに過激なストーリー展開に舵を切り、この記事で書いたように、CEOのビンスが自らリングに上がり、汚れ役を引き受けるようになります。
自らビールの海に溺れ、助平面をさらし、股間を蹴られ、小便をもらし、頭を丸坊主にされ、血を流し、カメラ前で泣き……と、CEOにして筆頭株主が自らみっともない役割を果たしたのです。

会社のトップが自ら恥をかいているのに、いくらスターでも、「俺、負けるの嫌だ」とは言えないではありませんか。

そして、後日談

2010年、ビンスとショーン・マイケルズは、実にWWEらしいやり方で、ブレットと和解します。
もちろん、本当の和解は事前に済んでいるのですが、ストーリー上では1月から3月末のレッスルマニア26まで引っ張ったのです。

久々にWWEのリングに姿を現したブレットは、ショーン・マイケルズを呼び出し、色々あったものの、歴史に残る名勝負をやった間柄であることを語り合い、和解しました。
握手し、ハグする2人に万雷の拍手が贈られます。

もう1人和解する必要がある人間がいる、ということで、ブレットはビンスを呼び出します。
やはり握手→ハグに拍手が贈られます。勝者をコールする時のように、ビンスはブレットの手を取り、高く上げた……と思いきや、いきなり急所を蹴り上げたのです!
リングでうずくまるブレットを尻目に悠々と引き上げ、ステージから「ハメてやった」と言い放ちます。

そしてレッスルマニア26に於いて、2人はストリート・ファイト・マッチで再戦することに。反則なし何でもありのルールです。
ブレットは兄弟や現役の弟子タイソン・キッド、デヴィッド・ハート・スミス、姪のナタリアを引き連れて登場。

しかし、リングを取り巻いた家族や仲間の様子が変です。ブレットを見る目が冷たく、しかも距離を置いて立っているではありませんか。口論さえ起きています。
そう、周到なビンスは、彼らを買収した上でこの試合を実現させたのです! 何と悪辣なオーナーでしょうか!

……と思いきや、ブレットはそれを知った上で家族や仲間に買収された振りをさせ、安心したビンスを試合におびき出す作戦だったのです!

「俺をハメたつもりだろうが、俺がお前をハメたんだ!」
ブレットのセリフに、ビンスは速攻で逃げ出そうとするも、ハート一族に捕まってボッコボコにされます。
ラストは、ブレットが立ち上がることもできないビンスの急所を踏みつけた挙句のシャープ・シューターに捕らえ、ビンスは泣き叫びながらマットを叩いてギブアップの意思表示。
ブレットは10数年ぶりに復讐を果たし、めでたしめでたし!

……この時ビンスは既に60代の半ばですから、老人への集団リンチじゃん、とも思えますが、これは恐らくかつて騙したブレットへの、ビンスなりの“禊”だったのではないかと思われます。

会社を守るためとはいえ、10年以上WWEに尽くしてきた男を裏切ったのです。ビンスも人の子、実はずっと申し訳なく思っていて、あえて徹底的な復讐を受けるストーリーを選んだのではないかと。

そして、和解を果たしたブレットは今でも時々リングに上がって、スピーチをしたり、寸劇に加わったりと、いい関係に戻ったようです。
めでたしめでたし。

2016/03/10 10:53 | 全般, 見方 | No Comments
2016/02/13

2016年2月9日(現地時間8日)、衝撃的な知らせを目にしました。

元WWE世界ヘビー級チャンピオン、ダニエル・ブライアン引退の知らせです。

以前から、負傷からの回復が遅く、復帰は無理なのではないかという噂はありました。それが現実になってしまったのです。もう、残念なんてもんじゃありません。

いつか当コラムでも取り上げるつもりだったレスラーですが、帰ってくると信じていたので、扱うのはけっこう後かな……などと思っていたのに……
残念ながら、こんなことになってしまったので、今回はブライアンについて書こうと思います。
例によって、正確な細かいところよりも、ダニエル・ブライアンという男がいかに凄いか、という話になります。

Bryan_Ryogoku
※2012年の来日公演で

来歴についてはWikipediaの記事でわかりますし、自伝「Yes!: My Improbable Journey to the Main Event of WrestleMania [Kindle版]」もあります。
自伝は、もちろんストーリー上のキャラクターとしてではなく、生身の人間としての自伝なので、かなり胸に迫る大著で、かつマニア的な視点でも楽しめます。
当然オール英語ですが、Kindle付属の辞書を駆使しながらであれば、(プロレス業界用語さえ気をつければ)英語が苦手でも完読できます。ソースは英語力2歳児相当の俺。

ブライアンは弱冠18歳でプロレスラーとなり、ROHをはじめ熱心なファンに支えられた小さな団体を中心に活躍してきました。WWE入りの前は、マスクマンのアメリカン・ドラゴン、本名のブライアン・ダニエルソンとして、FMW、新日本プロレス、プロレスリング・ノアに何度も来日しています。
独立系団体のシーンでは、若くして評判をしっかり確立していた人物なのです。

しかしブライアンが入った当時、WWEは基本的に他団体をこの世に存在しないかのように扱っていました。従って、これまでのキャリアがいかに凄くても、それはなかったも同然の扱いだったのです。

ブライアンのWWEデビューは、番組「NXT」(今のNXTとは異なり、番組名に過ぎませんでした)で、プロレスのキャリアが自分より短いザ・ミズが“プロ”として付けられた“ルーキー”としてでした。

今では、独立系団体で活躍していたレスラーが、最初から大物扱いでWWEデビューできるようになりましたが、そうなったのは、ブライアンやCMパンクらの活躍が大きかったのではないかと思っています。

 

ファンの支持が最大の武器に

率直に言って、プロレスに興味のない人には、何でこの人がそんなに凄いのか、わからないのではないでしょうか?
何だか髪の毛はボサボサ、顔の半分が山羊ヒゲ、イケメンでもなく、背も高くなく、身体がゴツいわけでもありません。まあ、普通に考えて、人気の出る要素は皆無ですよね?

しかし、彼には“人を惹きつける力”があるんです。何というか、無条件に応援したくなるような。
人相なのか、やられっぷりの良さなのか、我が身を顧みない果敢さなのか、はたまたそのすべてなのか……

これは、引退に際してまとめられた、ブライアンのキャリアを振り返る映像です。WWEデビューから、レッスルマニア30でのトリプルHとの対決を勝ち取るまでがまとめられています。

最後の方に、ブライアンの「YES」Tシャツを着たファン(大半が、仕込みではない本当のファンだそうです)がリングを占拠し、トリプルHに直接対決を、そして勝者がレッスルマニア30のメインイベントに参戦することを要求するシーンがあります。4分20秒くらいですかね。

このシーンこそ、ブライアンのキャリアを象徴しているシーンだと思います。
本当の支持がないと、こんな演出自体が成立しません。支持が弱いレスラーの場合、こんなことをしたらブーイングが起きるでしょう。まさにブライアンでしかできない演出なのです。

通常、WWEに限らず、プロレス団体はスターになると期待されるレスラーを売り出します。そこで期待に応えられるレスラーはごく一部です。そして、本当にスターになれるのは、そのうちの更に一握りなのです。最初から脇役扱いされるのも、珍しいことではありません。

率直に言って、ブライアンは脇役に毛が生えた程度の売り出し方でした。ゴールがインターコンチネンタル王座くらいの扱いかなという印象でしたね。

しかし、彼は小さなチャンスを活かし、観客の支持を集め、会社側の想定をはるかに超えるレスラーになったのです。
真の意味で「みんなのチャンピオン」と言えるのは、ダニエル・ブライアンだけなのではないかと思うのです。

前出の映像の後、レッスルマニア30当日、トリプルHとの直接対決を制して、王者ランディ・オートン、第1挑戦者バティスタの試合に食い込み、トリプル・スレット・マッチに出場する権利を得ます。

そして、メインイベントでついに王座を獲得!

映像から、ものっすごい盛り上がりが伝わってくるかと思います。
この日、アンダーテイカーの連勝記録がストップし、なんとなく会場のムードは悲しげだったのですが、完全に吹き飛ばすような盛り上がりです。

ファンの支持を背景に、業界最大の舞台で、頂点に上り詰める。
ダニエル・ブライアンは、そんなことを実現した、数少ないプロレスラーの1人なのです。

 

ヒール時代に訪れた転機

さかのぼって2011年、Smackdown版マネー・イン・ザ・バンク契約書(いつでも世界ヘビー級王座に挑戦できる権利)を保持していたブライアンは、試合後の乱闘で失神していた王者ビッグ・ショーに対して権利を行使、乗っかるだけで王座を奪取します。

▼その時の模様です。

それまでのストーリーで、ビッグ・ショーは「伸び悩むブライアンを励まし、助ける先輩」的な役割だったので、言わば恩人を裏切る形での戴冠です。この王座奪取は、そのままヒール転向を意味しました。

そして、上に紹介した映像にも出て来た、両手を何度も天に突き上げながら「YES!」と叫ぶ“YESチャント”は、世界王座に就いたのを観客に自慢するためのギミックとして始まったのです。

世界ヘビー級王者として、2012年最大の舞台、レッスルマニア28を迎えます。
見に行ったんですよ、これ。ハイ、自慢です。でへへへ。

Bryan_WM28

で、この試合は第1試合でした。大事なオープニングの試合で、王者として入場するブライアン。
やはりYESチャントをしながらの入場です。
……が、ゴングが鳴っても、当時の彼女役のAJリーにチューとかしてたら、挑戦者シェイマスにブローグキックで蹴っ飛ばされ、わずか18秒で敗れて王座を転落します。

現場では「えええええ!?」的な受け止められ方をしつつ、意外にも「いくらヒールとはいえ、あんな扱いはひどいんじゃないか」的な雰囲気がありました。小さい身体でがんばっているブライアンに対して、この扱いはないだろ!的な。
これが、その後のブライアン人気爆発の火種になったのです。

 

YESムーブメント、はじまる

レッスルマニアに限らず、ペイ・パー・ビューは米国時間の日曜夜に行われます。
そして、月曜夜には毎週「RAW」の生放送があるのですが、世界中からレッスルマニアを見に来た濃い〜ファン連中が、せっかくなので月曜まで滞在して、会場で見ていくわけです。
私も当然、見にいきました。

Bryan_RAW_Arena

開場前だというのに、既にたくさん集まった濃い〜連中が、もうYESチャントを散発的にやっていました。その瞬間を撮っていなかったのが残念ですが……

そんな状態なので、「RAW」が始まってからは、ずーーーーっとYESチャントです。
観客がYESと言わないのは、ヒールが攻撃した時に「No!」と言う時だけでした。

そして、生中継が終わった後、たいてい“ダークマッチ”と呼ばれる、テレビに映らない試合があるのですが、その日のダークマッチにブライアンが出ちゃったのです。

Bryan_RAW

この写真、とてもヒールの入場シーンには見えませんよね? もう、会場内はブライアンしか応援できない雰囲気だったんです。
ブライアンの攻撃に「Yes!」、相手の攻撃に「No!」。6人タッグマッチだったのですが、ブライアンが控えに回ると、「We want Bryan!」チャントが発生する始末です。

悪いことに、結末がブライアンが押さえ込まれての負けだったので、観客は収まりません。

結局、アドリブでブライアンが一席ぶって、何とか興行は締まったのですが……

観客はこの調子。こんなのが町に繰り出したので、会場周辺はYESチャントだらけでした。
横スキップ&YESチャントで道を渡っている馬鹿も、そこらじゅうにいましたよ。

 

その後、YESチャントは思わぬ展開を見せ、

野球にも、

アメフトにも、

アイスホッケーにも波及していきます。
そして、いつしか“YESムーブメント”と言われるようになっていったのです。

率直に言って、このYESムーブメントがウケて、ブライアンの人気が上がったという側面もあるとは思います。が、このムーブメント自体、ブライアン以外に起こすことができたとは思われません。

思えば、YESムーブメントはマイアミのアメリカン・エアライン・アリーナで始まったわけですね。
私は、そこにいた1人になれたことは、いささか誇らしさを感じます。

その後、YESムーブメントを逆用し、ヒール時代にはYESチャントに苛ついてひとり「No!」チャントをやるギミックで会場を盛り上げ、ケインとのWWEタッグ王座獲得などを通じ、常にストーリーを盛り上げつつ、ファンの支持の高さから、なし崩し的にベビーフェイス(善玉)再転向

強豪を次々と倒しながらも、トリプルHはじめ首脳の陰謀で王座への道が徹底的に阻まれるストーリーの末、レッスルマニア30で大団円を迎えるわけです。

翌年にはインターコンチネンタル王座も獲得し、WWEが管理するすべての王座に就く“グランドスラム”を達成しました。

しかし、決して大きくない身体で常に全力で試合をしていた代償は大きく、たびたび怪我に悩まされていました。
近年では脳震盪の脳にもたらす障害が重大であることがわかってきており、ブライアンにもドクターストップがかかってしまいました。これ以上の頭部への衝撃は危険だと判断されたのです。

2016年2月8日の生番組「RAW」で、ブライアンは引退を宣言しました。
ファンの後押しで前進していたことが、本人の口から語られています。

リングサイドの手の届く範囲の観客全員に挨拶し、ステージの仲間に見送られ、リングを去りました。

ありがとう、みんなのチャンピオン、ダニエル・ブライアン。
あなたのキャリアを思うと、このくだらない世の中をもうちょっとがんばって生きていこうと思えます。

 

※WWEネットワークの「Daniel Bryan’s Greatest Moments」で、ブライアンのWWE入団テストマッチから引退まで、キャリアの要所要所の試合が見られます。初月度無料です(自主的ステマ。お金はもらってません)

2016/02/13 07:57 | 群雄名鑑 | No Comments
2016/02/07

90年代のある日の電話にて。

テッド・ターナー(CNNの創業者)「ビンス、私もレスリング・ビジネスをやることにしたよ」
ビンス・マクマホン「そうか、おめでとう。だが、私がやっているのはレスリング・ビジネスではなく、エンターテインメント・ビジネスだ」

ビンセント・ケネディ・マクマホン。WWEのCEOです。
プロレスの歴史が編纂されたら、絶対に欠かすことのできない人物です。
彼こそはプロレス業界のゲーム・チェンジャーで、イノベーターなのです。
ジョブズだのザッカーバーグだの、ビンスに比べたら、単なる小僧です!(言い切った)

IMG_0708

※似顔絵です。iPad版Adobe Sketchで描きました。なかなか上手くいきません。

このコラムの第1回第2回の記事でリンクした動画に共通して出てきたビンス。
これまで紹介した動画では、パンツ丸出しで逃げ回ったり、ビクビクしながらリムジンに乗ったところを爆殺されたりしてましたが、彼こそがプロレスをエンターテインメントとして完成させた人物なのです

ビンスの功績は山ほどありますが、どれを取ってもコラム1回分を費やす価値があります。
そこで今回は、「自ら身体を張った!」というところをご紹介して参ります。

絶対に引き抜かれないのは自分だけ

冒頭でご紹介した電話の会話の後、テッド・ターナーは豊富な資金にものを言わせ、NWA系の多くのプロモーターを傘下に収めて対抗勢力“WCW”を立ち上げ、あっという間にWWF(WWEの旧称)に対抗する勢力に成長します。
しかも、WWFの看板生番組、月曜夜の「Monday Night Raw」の裏番組に、発音がクリソツの「Monday Nitro」をぶつけてきて、両者は熾烈な視聴率争いに突入します。
通称「Monday Night War」の始まりです。

資金が豊富なWCWは、莫大なギャラを提示して、WWFのスターを次々と引き抜きます。ハルク・ホーガンまでが引き抜かれる有様です。
何せ敵は、CNNやカトゥーンネットワークを始め、いくつもの放送局を抱える大資本。いくらプロレス界では敵なしだったビンスでも、本気で金を張り合ったら勝てるわけがありません。

さて、では、何があってもWCWに引き抜かれることがない人間は誰か?

……

そう、ビンス自身です。全員引き抜かれて最後に残るのは、ビンス・マクマホンなのです。

悪のオーナー、Mr.マクマホン

どこかで改めて書きますが、ビンスは、自社のチャンピオンだったブレット・ハートを、ストーリー上ではなく、“本当に”だまして王座を取り上げたことで、ファンからは不評を買っていました。
それを逆手にとって、自らを“悪のオーナー、Mr.マクマホン”として売り出したのです!

ビンス入場時にビジョンに流れる映像です。「No chance in Hell」ですよ、「No chance in Hell」!

アンチヒーローのストーン・コールド・スティーブ・オースチンが人気を集めたのに合わせ、ビンスは自ら労働者を搾取する邪悪な経営者キャラを演じたのです。
ムチャクチャな要求をしてレスラーや従業員を苦しめ、気に入らない奴は片っ端から解雇!
You’re fired!!!」(日本語字幕では「貴様はクビだ!」)は、ビンスのキメ台詞のひとつです。日本では(2016年2月時点)アメリカ大統領候補の1人、ドナルド・トランプのキメ台詞と報じられてましたが、本家はビンスです。真似すんじゃねえよ、変な髪型のくせに。

これが、身体を張るということだ!

では、ビンスがいかに身体を張っているか、動画で見ていきましょう。時系列はあんまり気にせず並べてありますので、マニアの方はつっこまないでください。

ストーン・コールド、ついにビンスに直接手を挙げます。しかも得意技スタナーも炸裂。挙げ句の果てに放送禁止ハンドサインを両手で!

ビンスのカッチョイイ車に、ストーン・コールドがセメントを流し込んで破壊。ビンスの顔芸に注目です。

リングサイドでトラックに乗りつけたストーン・コールドが、リングにいるビンス、息子シェイン、悪役だったザ・ロックに向けてビールを噴射! あわてふためいてクロールするビンスのリアクションが秀逸です。

ストーン・コールドの行動はエスカレート。ビンスを拉致し、銃を突きつけて脅します。
ついに引き金が引かれた時、オモチャであったことが判明するのですが、恐怖のあまり、ビンスの股間のあたりに……4:00あたりです。

そして、何度もストーン・コールドに叩きのめされているうちに、ビンスはついにブチ切れて自らリングで闘うことを宣言! 何と、50歳を過ぎてからのプロレスデビューですよ。

元々身体を鍛えてはいたようですが、さらにハードなトレーニングを積んで、リングに上がってしまいます。
ここから、本当にビンスの“身体を張るCEO”としての日々が始まります。
WCWに勝利を収めた後も、身体を張り続けたのです。

息子シェインと対決。家族総出で大乱闘です。
ここに出てくる家族は、妻リンダ、息子シェイン、娘ステファニーの3人とも、本当の家族です。プロレスでありがちな、リングの上だけの家族ではありません。
妻に急所を蹴られ、娘は息子にビンタをかまし、息子は父親を血だるまに。この家族の狂気が伝わる映像です。

ドナルド・トランプとの“バトル・オブ・ビリオネアズ”です。お互いに代理のレスラーを立てて試合をさせ、負けた方が頭を丸めるという勝負です。
当時からトランプの髪型は珍妙ですね。
案の定、ビンスの代理ウマガがトランプの代理ボビー・ラシュリーに敗れ、1:50あたりから強制剃髪されます。
ストーン・コールドが特別レフェリーとして絡み、ビンスを暴行する定番シーンも。

ストーン・コールドが引退した後も、折に触れてはリングに上がり、身体を張り続けます。

何とアンダーテイカーとBuried Alive Match。ジュース(プロレス業界用語で流血)までこなします。

素行不良のオートンにクビを宣告しようとして暴行されます。
顔面ストンピング、パントとも、けっこうハードに当たってます。

乱戦の中、ビッグ・ショーに殴られて昏倒。

CMパンクと試合。その後、CMパンクが自分の結婚式の最中に解雇の電話を受けたことを思うと、味わい深いですね。
最後の方では、ビンスの顔が傷だらけです。

ブロック・レスナーからF5を食らいます。この時、本当に腰を負傷したとか。

ビンスの名場面50連発!

世界中の上場企業のCEOのうち、ここまでやる人がいるでしょうか? 絶対にいませんね。
こうやってCEO自ら率先して身体を張って、血を流し、汚れ役を引き受ける会社が、いったいどこにあるのか。
ただひとつ、WWEだけは、こういうCEOに率いられている会社なのです。

そんなビンスも今や70歳。試合をすることもなくなり、番組に登場する機会も減りました。
しかし、今でも身体を鍛え、時々リングに上がって悪役を演じ、ベビーフェイスに殴られ続けています。
御年70歳にして「マッスル&フィットネス」誌の表紙を飾れるCEO、それがビンス・マクマホンなのです。これが尊敬せずにいられるでしょうか!?

MnF_vince

ほら、ジョブズだのザッカーバーグだの、小僧でしょ?

2016/02/07 07:14 | 群雄名鑑 | No Comments
2016/01/25

究極”という言葉が広く一般に使われ出したのは、「美味しんぼ」あたりで使われてからですかね?

Macプリインストールの辞書を引くと、

① ある物事を推し進めて最後に到達するところ。究竟。「―の目的」
② 物事を最後まできわめること。

ということでした。あんまり軽々しく使う言葉ではなさそうです。

プロレスはエンターテインメント、と何度も書いてきましたが、エンターテイン=“楽しませる”というのは簡単なことではありません。
喜ばせる、怒らせる、笑わせる、悲しませる、スッキリさせる、感動させる、唸らせる、考えさせる……これらすべてを含んだものが、プロレスの場合の“楽しませる”なのです。

そのために、プロレスラーは身体を鍛え、訓練を受け、考え抜いて役割を全うします。
ある人はカリスマ性を売りに、ある人はやられっぷりの良さを売りに、ある人はアクロバティックな飛び技を売りに、ある人は卓越したしゃべりを売りに……あらゆる手を尽くして、ガッツリ観客を満足させようとするのです。

で、ですね、もしも、もしもですよ、“その人がいるだけで、観客が満足する”なんてレスラーがいたら、まさに“究極”だと思いませんか?
存在そのものがエンターテインメント、そんなレスラーがいたら……

い る ん で す !

“究極のプロレスラー”と、私が勝手に認定するのが、ジ・アンダーテイカー(The Undertaker)その人です。
208cm(6フィート10インチ)、135.6kg(299パウンド)の巨大な男で、長年WWEを支えてきた人です。

私のプロフィール写真も、この人にインスパイア()されたものでございます。
このコラムの目的は“くわしい説明”ではなく、“いかにプロレスが楽しいかを伝えること”ですので、詳細は上記リンク先やウィキペディアの記事でも見ていただくとして、“アンダーテイカーがいかに凄いか”だけを書かせていただきます。

Undertaker
※似顔絵です。

キャラクターの迷走を凌駕する“存在感”

不世出のスターである彼も、一朝一夕に“究極”に達したわけではありません。
はるか昔、アンダーテイカーになる前、“パニッシャー・ダイス・モーガン”というリングネームで新日本プロレスに来たことがあるんですが、その時は、残念ながら鳴かず飛ばずでした。私も「ダメじゃん、こいつ」と思ったような。

1990年、WWE(当時WWF)でアンダーテイカーのキャラを与えられてから、彼の躍進は始まります。
アンダーテイカーとはまんま葬儀屋の意なのですが、日本で紹介される時は(まんまだとカッコ悪いからか)“墓堀人”となります。
当時は怪奇派のレスラーはたくさんいました。恐らく、最初は彼もそういうレスラーたちの1人に過ぎなかったのではないかと思います。

キャラ設定の粗さにも、それが表れていると思います。
まず、“葬儀屋”なのに死人キャラ。そして、一言も話さないキャラクターでした。
また、(もう死んでるから)痛みを感じないという訳のわからない設定だったので、殴られても蹴られても投げられても、表情はまったく変わりません。本当は痛いこともあったでしょうに。
マットに叩きつけられて横たわっても、何事もなかったように上半身をムクッと起こすギミックは、今でも“ここぞ”というところで使われています。

そういうテキトーな設定にも関わらず、彼は頭角を現します。
数ある怪奇派レスラーでは終わらないだけの能力を持っていたのです。
WWEデビュー翌年の91年には、レッスルマニアに初出場してジミー・スヌーカに勝利。これを契機に、その後のレッスルマニア連勝記録がスタートします。
同年、何とハルク・ホーガンを破ってWWF世界ヘビー級王座を獲得。短期政権で終わったものの、これは当時としては異例の戴冠劇でした。

同時期に出てきたレスラーの中で頭ひとつ抜けつつも、設定はころころ変わっていきました。

骨壺からのエネルギーで動く設定、“異父弟”のケイン登場、なぜか稲妻を操れる設定、姿を消したり現れたりする設定が加わるのですが、いつの間にか痛みを感じない設定はなくなりました。
しまいには、大型バイクに乗って、革ジャン+バンダナ+ブーツの不良中年“アメリカン・バッド・アス”キャラに。何でも本人が怪奇キャラが嫌になり、普段のまんまの自分をギミックにしたのだとか。

しばらくすると、結局は葬儀屋キャラに戻るという、何だかわからない状態で、これは設定が迷走したと言ってもいいのではないかと。

しかし、ファンは一貫して(ヒール時代も)アンダーテイカーを支持し、現在に至っても絶大な人気を誇っています。
つまり、キャラの変化に関係なく、“アンダーテイカーそのもの”が支持されているのです。

 

アンダーテイカーの凄さは、次元が違う

では、アンダーテイカーの何がそんなに凄いのか。

  • 巨体にもかかわらず素速く動ける身体能力。
  • リング内からトップロープのずっと上を飛び越えられる瞬発力。
  • 特長ある決め技の数々。
  • 動きの緩急、静と動の組み合わせの妙。
  • 長丁場の試合の組み立てもうまく、30分以上試合をしても、終始飽きさせない上手さ。

こんなのはごく一部です。言い出したら終わらないくらい凄いところはありますよ。
しかし、彼の本当の凄さは、こうしたこととは違う次元にあるのです。

アンダーテイカーが本当に素晴らしいのは、

“出てくるだけで凄い”

これに尽きます。

出てくるだけ、ただいるだけでも凄いんです!

それが、彼を他のあまたのスーパースターと隔てているです。
最初の方で書いた“その人がいるだけで、観客が満足する”を体現しているのなんて、アンダーテイカー以外にはいないのです。

会場が暗転すると同時に鐘の音が鳴り響くだけで、場内の盛り上がりは速攻でMAXになります。
ある意味、“出てくる前から”観客の心を掴んでしまうわけですから、“出てくるだけ”という表現は正確ではないかもしれません。

まあ、ちょっとこの動画を見てくださいよ。

鐘の音が鳴ってから試合のゴングまで、長いと5分以上かかりますが、観客の目はその間アンダーテイカーに釘付け
私も、アンダーテイカーの入場は、毎度毎度同じなのに、ジッと見入ってしまいます。

前回も書いたように、入場シーンはレスラーにとってすこぶる重要です。誰もが色々な工夫をこらして、盛り上げようと努力するものです。

が、アンダーテイカーは、基本、“ゆっくり歩いて、たまに白目をむく”だけ。
たったこれだけしかやらないのに、数千人から数万人の耳目を自分だけに集中させることができるんです。

よく、「武道の極意は“闘わずして勝つこと”」なんて言いますよね?
プロレス的には、“試合をしなくても盛り上げること”が極意なのではないかと。
アンダーテイカーがその“極意”に到達したということは、間違いないと思っております。

 

The winning streak was over

そして、先ほどサラッと「レッスルマニア連勝記録」と書きましたが、初レッスルマニアのジミー・スヌーカ戦を皮切りに、2014年のレッスルマニア30でブロック・レスナーに敗れるまで、何と21連勝の結果を残しています。

2回目に書いたように、試合結果はあらかじめ決まってはいます。
が、とにかく2013年までは、レッスルマニアで負けていないのは、アンダーテイカーだけだったのです。

恐らく何年か経ってから、誰かがアンダーテイカーがレッスルマニアで負けていないことに気づいて、それをギミックに変えたのではないかと邪推してるんですが、とにかく、彼の連勝記録はレッスルマニアのひとつの売りになったのです。
COOのポール・レヴェスク(リングネームは“トリプルH”)曰く、「アンダーテイカーの連勝記録が興味を引くので、カードも決まらないうちからチケットが売れる」とか。

何でもレスナーに負けて連勝記録を終わらせたのは、アンダーテイカー自らの希望だそうです。
これはインパクトのある試合結果ですから、リークを防ぐため、経営陣と本人たち以外のほとんどの人間に伏せられており、何とレフェリーまで知らされていなかったとのことです。
なので、アンダーテイカーが負けたのを見たレスラーたちも驚いたくらいですから、観客の驚きたるやたいへんなものでした。

我が家でも、子供たちと3人で見ていたのですが、カウントが3つ入った瞬間、一斉に「ええええっ!?」と叫び声が上がりました。もちろん、私も同様でした、
会場のビジョンに映った「21-1」(21勝1敗の意)の数字を見ても、現実のこととは思えない。
そのレベルの衝撃だったのです。

私はもちろん、子供たちもプロレスがエンターテインメントであることは百も承知です。
しかし、事前に結末を知らなければ、衝撃的な結末はやっぱり衝撃なんですよ。
上でご紹介した観客以外にも多くの人が衝撃を受けたようです。お時間のある時にでも、「undertaker winning streak end reaction」で動画検索してみてください。すっごいリアクションが山ほど見られます。

翌2015年のレッスルマニア31ではブレイ・ワイアットを相手に勝利しましたが、連勝記録そのものは終わってしまいました。
彼が自ら望んで連勝記録を終わらせた、という事実は重いのです。

長年WWEを、いや、世界のプロレス業界を牽引してきた男が、いよいよ引退を本気で考えているのではないかという気がしてならないのです。

2016年4月3日、ダラス(アーリントン)で行われるレッスルマニア32。
史上最大の観客数が見込まれており、しかもアンダーテイカーの地元テキサスでの開催です。
ここで彼は引退するのではないかと、ファンの間では憶測されています。
しかし、本日現在まともなチケットは入手不可能です。
WWEネットワークで見るしかないのか……(勝手ステマ。お金はもらってません)

ファンの1人として、しっかり見届けたいと思います。

2016/01/25 06:29 | 群雄名鑑 | No Comments
2016/01/16

テーマソングが鳴り響くと同時にスクリーンに映像が流れ、観客はその段階で誰の登場かを察し、会場は一瞬でドカンと沸きます。
テーマソングのイントロを知らなくても大丈夫。スクリーンの映像にはたいてい名前が出てますから。
多くの観客が、思い思いのサインボードを高く掲げます。
レスラーがステージのエントランスから姿を現し、花道に進むと、手を伸ばす観客の手を叩きながら、あるいは憎悪を煽りながらリングに歩を進めます。
リングアナウンサーは、よきタイミングで「Following contest is scheduled for one fall. Introducing first, weighing in at 150 pounds, from Tokyo, Japan, he is the “King of Kinks”, Kinnosuke Kindaichi!!」とコール。
リングに上がったレスラーは、それぞれ独自のキメのポーズ!
ベビーフェイス(善玉役)には大声援が、ヒール(悪役)には大ブーイングが浴びせられます。

……というのが、WWEでの試合開始時の類型です。
昔のような、テーマソングに乗ってレスラーがリングに揃ってからリングアナが順番に紹介する、という流れは、今ではタイトルマッチだけで見られる光景です。
近年では新日本プロレスもWWE方式を取り入れています。

こうしたやり方に変えた理由は知りませんけど、以前に比べて展開がスピーディーになり、ショー全体のテンポが良くなったように感じます。
また、リングに上がってすぐに乱闘という展開になると、昔のやり方だと紹介がすっ飛ばされてしまいますが、今のやり方なら紹介が済んでから乱闘できます。……これは関係ないか。

ところでWWEの会場のアリーナ部分は、テレビがある場合は下図のような形になっています。

arena

この形にすることで、

  • ステージ→花道→リングと、3つの舞台を用意でき、レスラーはそれぞれをうまく使ってアピールが可能
  • ステージとリングの二手に分かれた舌戦の舞台ができる
  • リングアウトのないルールの試合で、この3つの舞台を縦横に使った展開が可能
  • ステージで生演奏し、それに乗って入場できる

など、会場を広く使ったショーができるようになるわけです。

レスラーの入場シーンは、まさにこの3つの舞台をフルに使うことのできる、重要な見せ場です。ここを楽しむのが、プロレス観戦のひとつの楽しみなんですね、これが。
ただし、言い換えるとレスラー表現力の問われるシーン、とも言えます。レスラーの力量を見極めるポイントでもあるわけですね。
ここで観客に期待感を与えられないような人は、ハッキリ言って大したことがない場合が多いですね。悪いけど。

せっかくなので(何が?)、実際の入場をご紹介しましょう。

まずは、この10年以上トップスターの地位を保っているジョン・シナの入場から。
子供や女性ファンに圧倒的人気ですが、若い男性のマニア層を中心にアンチも多く、声援とブーイングが拮抗するのが彼の入場の特徴です。賛否両論もまた、トップの証と言えるでしょう。

そのシナも、レッスルマニアのような大舞台では、こんなマーチングバンドで入場したりと、更に盛り上げる工夫を怠りません。

変わったところで、自分でラップしながら入場するR・トゥルース
場内盛り上げに長けたレスラーですが、クスリの前科があるので、来日するには法務大臣の許可が必要です。
手続きがエライ勢いでたいへんだそうで、呼び屋さんがそうまでするのはミック・ジャガーやポール・マッカートニー級の大物だけでしょうから、恐らく彼は日本には永久に来ないでしょう……

変わったところでは、双子のタッグチーム、ウーソズも盛り上がります。
かつてのWWEスーパースター、リキシの息子たちです。
サモア人の彼らは、伝統の“シヴァタウ”を踊るのですが、どんなデッカイ会場でも地声で叫びます。
78,000人以上の観客が入ったサンライフ・スタジアムでちゃんと聞こえたのには驚かされました。
続いてコール&レスポンス→炎のエフェクトと、かなり要素が盛りだくさんですね。

ディーバ(女子)からは、双子つながりでベラ・ツインズ。よく見るとすげえコスチュームですね……

ヒールからは、まずワイアット・ファミリーを。
ブレイ・ワイアットを“家長”とするカルト・ファミリーという設定で、山奥に隠れ住む得体の知れない大男の集団キャラですから、不気味さを強調する入場シーンですね。ブレイの意味不明な長尺の演説も定番の見せ場です。
入場時に観客がスマホのライトをつけるのがお約束。電気式のランタンを、息を吹きかけると同時にスイッチを押して消すのがご愛嬌です。

またヒールからボー・ダラスを。
実は、上の動画のブレイ・ワイアットの弟ですが、ストーリー上では一切からみがありません。
いわば“意識高い系ヒール”で、自己啓発的な演説を行っては観客からうざがられ、ブーイングを浴びます。
彼のおかげで、「アメリカでも、自己啓発系ってうざいと思われてるんだなあ」と学べましたよ。

また変わったところで、自撮り棒の映像を画面に出しながら入場するタイラー・ブリーズ
NXT(ザックリ言うと、WWEの二軍です)から昇格、進境著しいナルシストキャラのヒールです。
ディーバのサマー・レイを伴って登場します。

最近は花火(WWEの場合、なぜか日本のファンも“パイロ”といいます)を使う入場は減ってきていますが、大舞台ともなると、花火をバンバン打ち上げます。レッスルマニアだけで数千万円分の花火を使うとか。
下の動画は、花火を使った入場のトップ10ビデオです。

さて最後に、大舞台中の大舞台、レッスルマニアでの入場シーンのトップ10です。
スケール感が違いますねえ……

どうですか、お客さん!

今回はひたすら入場だけご紹介しました。
人間関係でも第一印象が大事だし、映画でも冒頭のシーンは重要です。音楽もイントロの影響は大きいですし、小節だって評論だってプレゼンだって、出だしは本当に重要です。
それはプロレスでもまったく同じなんですね。

ところがですね、実は、錦之介認定の“究極のプロレスラー”の入場は、ラスト2本の一部に、ちょろっと入っているだけなんです。

果たして、それは誰なのか。
次回のお楽しみとさせてください。

2016/01/16 11:17 | 見方 | No Comments

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