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2016/02/07

90年代のある日の電話にて。

テッド・ターナー(CNNの創業者)「ビンス、私もレスリング・ビジネスをやることにしたよ」
ビンス・マクマホン「そうか、おめでとう。だが、私がやっているのはレスリング・ビジネスではなく、エンターテインメント・ビジネスだ」

ビンセント・ケネディ・マクマホン。WWEのCEOです。
プロレスの歴史が編纂されたら、絶対に欠かすことのできない人物です。
彼こそはプロレス業界のゲーム・チェンジャーで、イノベーターなのです。
ジョブズだのザッカーバーグだの、ビンスに比べたら、単なる小僧です!(言い切った)

IMG_0708

※似顔絵です。iPad版Adobe Sketchで描きました。なかなか上手くいきません。

このコラムの第1回第2回の記事でリンクした動画に共通して出てきたビンス。
これまで紹介した動画では、パンツ丸出しで逃げ回ったり、ビクビクしながらリムジンに乗ったところを爆殺されたりしてましたが、彼こそがプロレスをエンターテインメントとして完成させた人物なのです

ビンスの功績は山ほどありますが、どれを取ってもコラム1回分を費やす価値があります。
そこで今回は、「自ら身体を張った!」というところをご紹介して参ります。

絶対に引き抜かれないのは自分だけ

冒頭でご紹介した電話の会話の後、テッド・ターナーは豊富な資金にものを言わせ、NWA系の多くのプロモーターを傘下に収めて対抗勢力“WCW”を立ち上げ、あっという間にWWF(WWEの旧称)に対抗する勢力に成長します。
しかも、WWFの看板生番組、月曜夜の「Monday Night Raw」の裏番組に、発音がクリソツの「Monday Nitro」をぶつけてきて、両者は熾烈な視聴率争いに突入します。
通称「Monday Night War」の始まりです。

資金が豊富なWCWは、莫大なギャラを提示して、WWFのスターを次々と引き抜きます。ハルク・ホーガンまでが引き抜かれる有様です。
何せ敵は、CNNやカトゥーンネットワークを始め、いくつもの放送局を抱える大資本。いくらプロレス界では敵なしだったビンスでも、本気で金を張り合ったら勝てるわけがありません。

さて、では、何があってもWCWに引き抜かれることがない人間は誰か?

……

そう、ビンス自身です。全員引き抜かれて最後に残るのは、ビンス・マクマホンなのです。

悪のオーナー、Mr.マクマホン

どこかで改めて書きますが、ビンスは、自社のチャンピオンだったブレット・ハートを、ストーリー上ではなく、“本当に”だまして王座を取り上げたことで、ファンからは不評を買っていました。
それを逆手にとって、自らを“悪のオーナー、Mr.マクマホン”として売り出したのです!

ビンス入場時にビジョンに流れる映像です。「No chance in Hell」ですよ、「No chance in Hell」!

アンチヒーローのストーン・コールド・スティーブ・オースチンが人気を集めたのに合わせ、ビンスは自ら労働者を搾取する邪悪な経営者キャラを演じたのです。
ムチャクチャな要求をしてレスラーや従業員を苦しめ、気に入らない奴は片っ端から解雇!
You’re fired!!!」(日本語字幕では「貴様はクビだ!」)は、ビンスのキメ台詞のひとつです。日本では(2016年2月時点)アメリカ大統領候補の1人、ドナルド・トランプのキメ台詞と報じられてましたが、本家はビンスです。真似すんじゃねえよ、変な髪型のくせに。

これが、身体を張るということだ!

では、ビンスがいかに身体を張っているか、動画で見ていきましょう。時系列はあんまり気にせず並べてありますので、マニアの方はつっこまないでください。

ストーン・コールド、ついにビンスに直接手を挙げます。しかも得意技スタナーも炸裂。挙げ句の果てに放送禁止ハンドサインを両手で!

ビンスのカッチョイイ車に、ストーン・コールドがセメントを流し込んで破壊。ビンスの顔芸に注目です。

リングサイドでトラックに乗りつけたストーン・コールドが、リングにいるビンス、息子シェイン、悪役だったザ・ロックに向けてビールを噴射! あわてふためいてクロールするビンスのリアクションが秀逸です。

ストーン・コールドの行動はエスカレート。ビンスを拉致し、銃を突きつけて脅します。
ついに引き金が引かれた時、オモチャであったことが判明するのですが、恐怖のあまり、ビンスの股間のあたりに……4:00あたりです。

そして、何度もストーン・コールドに叩きのめされているうちに、ビンスはついにブチ切れて自らリングで闘うことを宣言! 何と、50歳を過ぎてからのプロレスデビューですよ。

元々身体を鍛えてはいたようですが、さらにハードなトレーニングを積んで、リングに上がってしまいます。
ここから、本当にビンスの“身体を張るCEO”としての日々が始まります。
WCWに勝利を収めた後も、身体を張り続けたのです。

息子シェインと対決。家族総出で大乱闘です。
ここに出てくる家族は、妻リンダ、息子シェイン、娘ステファニーの3人とも、本当の家族です。プロレスでありがちな、リングの上だけの家族ではありません。
妻に急所を蹴られ、娘は息子にビンタをかまし、息子は父親を血だるまに。この家族の狂気が伝わる映像です。

ドナルド・トランプとの“バトル・オブ・ビリオネアズ”です。お互いに代理のレスラーを立てて試合をさせ、負けた方が頭を丸めるという勝負です。
当時からトランプの髪型は珍妙ですね。
案の定、ビンスの代理ウマガがトランプの代理ボビー・ラシュリーに敗れ、1:50あたりから強制剃髪されます。
ストーン・コールドが特別レフェリーとして絡み、ビンスを暴行する定番シーンも。

ストーン・コールドが引退した後も、折に触れてはリングに上がり、身体を張り続けます。

何とアンダーテイカーとBuried Alive Match。ジュース(プロレス業界用語で流血)までこなします。

素行不良のオートンにクビを宣告しようとして暴行されます。
顔面ストンピング、パントとも、けっこうハードに当たってます。

乱戦の中、ビッグ・ショーに殴られて昏倒。

CMパンクと試合。その後、CMパンクが自分の結婚式の最中に解雇の電話を受けたことを思うと、味わい深いですね。
最後の方では、ビンスの顔が傷だらけです。

ブロック・レスナーからF5を食らいます。この時、本当に腰を負傷したとか。

ビンスの名場面50連発!

世界中の上場企業のCEOのうち、ここまでやる人がいるでしょうか? 絶対にいませんね。
こうやってCEO自ら率先して身体を張って、血を流し、汚れ役を引き受ける会社が、いったいどこにあるのか。
ただひとつ、WWEだけは、こういうCEOに率いられている会社なのです。

そんなビンスも今や70歳。試合をすることもなくなり、番組に登場する機会も減りました。
しかし、今でも身体を鍛え、時々リングに上がって悪役を演じ、ベビーフェイスに殴られ続けています。
御年70歳にして「マッスル&フィットネス」誌の表紙を飾れるCEO、それがビンス・マクマホンなのです。これが尊敬せずにいられるでしょうか!?

MnF_vince

ほら、ジョブズだのザッカーバーグだの、小僧でしょ?

2016/02/07 07:14 | 群雄名鑑 | No Comments

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