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2012/11/12

いつの間にか、立冬を過ぎました、
荒神様の銀杏も黄金色、私の田の稲もすっかり黄金色です。
早生種からすこしづつ進めて来た稲刈りも今週中には終わります。
あっという間の4年目のお米作り。まだまだ食卓にあがるまでには手が懸りますが、それでも確かな実りを手にしてほっとしている百姓見習いの川口巽次郎です。

先週末、そんな谷間に、嬉しいお客様をお迎えしました。
Junkstageのライターの皆さん、8名様が秋の合宿と称してお越しになったのです。
その際の顛末は、yuuさんを始め、いくつかのコラムでご紹介下さっております、

そこで、私も、お迎えした側の視点から、その愉しかった時間を何回かに分けてここに記録させて頂こうと想います。

先ずはお買い物編。

ランチ作り体験で10名様以上のお客様に里山暮らし体験をして頂いた事は何度かありますが、泊まり掛けで来て戴いたのは初めての事です。折角の機会ですし、お魚の美味しくなる季節でもありますので、早朝から自転車で買い出しに出掛けました。

一番近くの市場ではないのですが、敢えてお気に入りの海沿いの魚市場まで、自転車で往復2時間以上の道のりをものともせずに参りました。

以前書きましたが、流石に毎日これでは身が持ちませんが、月に一度も無い事ですから、十二分に愉しめるサイクリングです。幸いお天気も良く、峠を越えて下りにかかる頃には丁度目の前に日が昇って来て、霧の間に差し込むオレンジ色の光がなんとも美しく輝いておりました。

海沿いの道に出ると、多島美の美しい波も穏やかな瀬戸内海が拡がり、吹く風も爽やかです。

市場に着くと、そこには既に沢山の人が溢れていました。祝日の朝ですからね。

次々とトロ箱に詰まった蟹や蝦が獲り合うように売れていってしまうので、買い負けないように頑張りました。お刺身用の中大型魚がやや品薄でしたが、それでも、皆飛び切り新鮮な魚を仕入れる事が出来ました。

こんな感じです。

お刺身用: ハネ(鱸)、チヌ(黒鯛)、鰈、鯒(コチ)、細魚(サヨリ

 


唐揚げ用: 中エビ、ネブト(天竺ダイ)


そして、瀬戸内で珍重されるワタリガニです。

豪勢です。

ちなみに、この魚たちは皆主に定置網で漁ったものです。

定置網というのは、瀬戸内でもこの辺りで特によく見られる漁法です。

その名の示す通り、魚を採る網そのものは決まった場所にいつも設置されていて動かしません。沿岸から見ると、海の上に棹が何本か規則的に立てられてその棹に沿って網が張られています。わざわざ舟や人が引っ張って網を動かさなくてもお月様の力でとどまることなく日々繰り返される潮の干満によって魚が勝手に入って来てくれる、そんな聴くだに素晴らしい漁法なのです。

先ず、潮が満ちると陸近くの浅瀬で大量に発生するプランクトンを求めて小魚たちが寄せ集まって来ます。
すると、続いて中大型の魚たちがその小魚たちの後を追って集まります。
潮が満ちている間の浅瀬は謂わば魚たちのダイニングルームなのですね。

やがて、潮がひき始める頃になると宴を終えた魚たちが沖へと戻って行きます。が、この帰り道に待ち構えているのが、上記の定置網。

岸に向かって長く伸びた網にぶつかった魚たちはその網に沿って沖へと泳ぎ、自然にその先に円く張られた網の中に誘導されます。そして、出口を見失ってその網の中をぐるぐると回遊しているうちにやがて漁師さん達がやってきて掬い上げられる、という寸法です。

この定置網には特に出口を塞ぐ蓋らしきものはありませんので、実は一旦は円い網の中に誘導された魚たちもその7割程はそのまま外へと泳ぎ出て行ってしまうものなのだそうです。

3割ほどの、私のようにのんびりした(というよりも有体に謂えば間の抜けた)お魚たちだけが網の中である事を特に気にも留めずにぐるぐると廻っている内に、漁師さんに掬い上げられる、ということになるのだそうです。

我が同類ながら、実に何とも間が抜けているというか、のんびりとしたお話ですよね?

でも、そんな風にして漁られた魚はどれもその季節に旬を迎えたものばかり。しかも、満腹で幸せの絶頂状態、ストレスも受けていない最高の状態で水から揚がってくるのですから、これ以上に美味しいものは望めない、という素晴らしいお魚たちな訳です。

こうして仕入れたとびきり新鮮な瀬戸内のめぐみを皆さんと一緒に調理して戴いた訳ですが、その模様は第二回以降に詳述させて頂きます。

ところで、市場で魚を仕入れる愉しみはそのとびきりの品質と安さだけではありません。(ちなみにお値段はこれだけ大量でも1人分は諭吉さんを越えない程度なのですから驚きですが。)
更には、今回のように大人数分の仕入れになると、色々なオマケを戴くことが出来ます。
お会計の際に、あ、あのママカリを少々、それから、そっちのトロ箱に入っているいろんな魚、安く分けてくれないかな?なんてお願いをしますと、それこそ、まぁ、持って行って、という事になったりするのですね。

瀬戸内の魚の本当の美味しさは「雑魚」と呼ばれる小魚にこそあるのですが、そんな「雑魚」をオマケに付けて貰っていただくのがまた何とも贅沢な幸せなのです。

今回は、食べ切れない分をお隣のおじいさんにもお裾分けをして、普段から頂戴しているお野菜のお礼とすることもできました。

いやぁ、ちょっと疲れるけど、たまの買い物は愉しいなぁ…笑

では、また次回。

2012/11/12 02:21 | 暮らし, 食べる | 1 Comment

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[…] 最初のお買い物編で当日仕入れた魚についてはご紹介しました。が、この仕込み、大変に手間のかかるものなのですね。 […]