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2010/07/14

まだまだ飽きずに田植をしている、川口です。

まだ、6畝(約6アール)強の田の1/3程の田植が残っています。

去年、初めての田植をしていた間は、このままでは他所の田で稲刈りが始まる頃になってもまだ田植をしているのではないか?と、大いに焦っていたものでした。今年は、更に遅れているような気もします。大丈夫なんでしょうかね?

が、苗を植え足しながらも、並行して既に植えた苗が負けずに育ってくれるよう雑草も除いていかねばなりません。気は焦れども、ままならぬものなのです。

しかも、田だけではありません。田の仕事をしている間も、畑や山ではもの凄いスピードで、容赦なく、雑草が生い茂っていきますから、そちらも放って置く訳にはいかない。梅雨時はあらゆる植物達にとって太陽の光をなるべく多く受けるべく、葉を大きく、高く伸ばし、生存場所を確保するとても大事な時、皆、一刻を争って少しでも競争相手よりも大きくなろうと必死なのです。野菜や果樹達が、そんな競争相手に負けずに育つ事が出来るように手を貸す事が、彼らの命を分けて頂いて生きる「百姓」の仕事です。

実に忙しい時期なのです。

私、川口はこちらのコラムの内容からご想像頂ける通り、広い意味で「食べ物を確保する為」だけで殆ど全ての時間を使い切ってしまう、という人類史上においても恐らく最も贅沢な暮らしをさせて頂いて居る訳(*)で、かつ、今はその根幹を為すお米作りだけにも悲鳴を上げて居るのですが、そんな状態の中でも、「食べられないもの」の為にも少しは時間を使っています。

その一つが、棉(ワタ)を育てる事。

こちらが、生い茂っていた雑草の中から救い出した、今の棉(ワタ)の様子です。

7月の和棉畑

5月初めに播いた種からようやく本葉が数枚出るまでに育った状態。棉(ワタ)は、ここまでは地上部は殆ど成長せず、必死に地中へと根を伸ばしているのですが、これからは一雨毎にぐんぐんと伸びてゆきます。8月に入ると可憐な花を付け始め、その花から緑のコットンボールが実ります。お彼岸の頃からはそのコットンボールが弾けて真っ白いワタが吹き出すのです。

そんな棉の成長の様子も継続してお伝えしてゆきたいと思っています。

私が棉(ワタ)を育てているのは、綿花を収穫し、その綿花を加工して糸にし、染め、布に織り、身に纏う、そんな「仕事」も百姓としての暮らしの大事な部分として行きたい、と考えているからです。

「仕事」と言っても、「お金」には全くなりません。ただ、自分や家族が身に付けるものを自ら用意する、という事はどういう事なのか?を知っておきたい、というだけの事です。

こちらが、そんな「仕事」の数少ない成果の一つ、絣(かすり)のマフラーです。
畑で育てた棉を綿に打ち、自分で糸に紡ぎ、糸を括って藍で染め分けて、原始的な機で織った絣(かすり)です。

絣のマフラー

ちなみに、木綿が日本人の生活に広く使われるようになったのは、実は江戸時代以降、つまり結構最近のことなのです。もともとは熱帯性の植物である棉は、日本の気候では育ちませんでしたので、戦国時代までは木綿の布は全て超高級な輸入品であり、極一部の上流階級だけに許された嗜好品でした。その頃までの庶民の衣類は、藤、楮などの山に自生する植物繊維から糸を作り手織りしたものが主で、暖かい絹や棉の衣類などとても手に出来るものではなかったそうです。さぞ、冬は寒かった事でしょうね。。。

そんな棉が、中国大陸、朝鮮半島の人々の手によって数百年間もの長い時間を掛けて改良され、ようやく日本国内で栽培できるようになったのが江戸時代初期だったのだそうです。江戸時代の中期までには東北地方以南の殆どあらゆる地域で棉は栽培されるようになり、明治時代の初期には日本国内で利用される綿は全て国内で自給されていました。が、今では国内では全く商業的には生産されておらず、全て輸入されています。

全く時代に逆行する行為ですが、私、川口は、いつかはここで育てた棉から採ったワタで作った布団に包まって眠り、自分で紡いだ糸で織った布を身に纏ってみたい、そんな野望を持って暮らしています。

さて、次回までには田植を終えていられますように。

*) こんな暮らしをしてみて本当に驚嘆するのは、ご先祖様方は本当に働き者でいらしたのだなぁ、という事。食事の仕度だけでも、炊事毎に薪をくべて火を焚き、 水は井戸で汲む。お米の精米も手作業。その他の家事も全て手作業で、洗濯機も掃除機もない。その上、衣類も自分達で織り、縫い、繕って用意していたので す。とても真似出来ることではないなぁ、と思うのです。私はその何れの仕事も免れて暮らしているのに、こんなに忙しく感じているのですから。

2010/07/14 01:18 | 和棉 | No Comments

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