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2009/11/06

 ここ数日は特に寒いですね、街を歩いていても完全に冬衣装に衣替えになって来ている気がします。

 今回からちょっと現場の事などから外れて「音響デザイン」というものはいったい「何」なのかを紐解いて行こうと思います。

 以前から多少書き記してはいたのですが、やはりあまり一般的な職種でも業態でも無いのでもっと皆さんに知って頂ければと考えております。

 ちょっといつもよりも堅苦しくなるやもしれませんが、ご容赦下さい。

 さて、「音響デザイン」とは。

 今現在、実は「音響デザイン学科」というコースが大学にも出来る位に使われ始めているのですが、「音響デザイン」というものを包括的に考えて名付けている部分も有ると考えています。

 大学の「音響デザイン」とは、もっと広い視野の元に、例えば、

 PA, Mixing, 録音、コンピューターミュージック、オーケストレーション、音楽史、エンジニア育成、映画、CM音楽、映像音楽、MIDI制作, プリプロダクション、ポストプロダクション、、、、などなど。。。

 言ってしまえば、音が関わる全てに対しての「音響デザイン」という認識での学科名だと考えて頂くのが良いと思います。 これに関しては、専門学校も同様な手法での「音響デザイン」という名前を使用している学校も有ります。

 しかし。

 本来の「音響デザイン」というのはいったい何なのか?

 音が仕事として成立し始めた当初、この単語は「音楽監督」というラジオやテレビ、アニメなどの<効果音>を創り上げる人の事を挿していたように思います。

 著名な音響家に 大野松雄氏というとても素晴らしい方がいらっしゃいます。 詳しくは割愛しますが、大野さんは「鉄腕アトム」の足音をシンセザイザーを使って生み出した人物でも有ります。

 大野さんがなし得た事は、「音(響)効(果)」としての「音響デザイン」です。

 この世に無い音を1から創り出す魔術師 とでも言えば良いのでしょうか? 今も映画やテレビの世界では様々な音を色々な道具を使って生み出す仕事です。(小豆を使った波の音などは有名ですよね。)

 そして、「音楽効果」と呼ばれるのも又、一つのジャンルとして。 番組やイベントで使用される曲を例えば、CM使用で有れば15秒や30秒という尺に合わせる。等など(作曲、選曲、編曲、改変、等)が上げられます。

 この「音楽効果」は「音響効果」と同じと考えられている事も多いのですが、実際には専門性を持った別のお仕事です。

 効果の為の音、というよりは、楽曲を生み出す仕事です。

 更にもう一つ。「PA, SR」と呼ばれる、現場で音のシステムを構築する仕事です。これは「音」を「響き」をコントロールして、「音場」を生み出す仕事。 そして、コンサートやイベント会場で音をコントロール、ミックスする仕事です。

 さて。

「音響デザイン」とはとても曖昧な言葉として取られがちなのは、上記のようなジャンルも包括しているからなのです。

 又、建築音響も一つです。 これは、美術館や様々なホール、施設、レストラン、カフェなど上げれば切りがないですが、建物の中の音の響きを設計の段階からコントロールしたり、又、建築していく中でスピーカーや様々な機器を常設させて「音」を再生する「空間」を生み出す仕事です。

 じゃぁ、「音響に携わる事」=「音響デザイナー」なのか? と言われると、それは違うのでは無いかと考えています。

 もっと包括的に、「音楽効果」「音響効果」「現場音響」「建築音響」をトータルに見据える目、耳と知識、そして「音」に関わる事柄に対する経験を持ってこそ初めて実践出来る事なのです。

 ですから、PA,SR =音響デザイン ではまったく有りませんし、音響オペレーターやシステムプランナーが音響デザイナーかと言えばそうでは有りません。

 もっと全体で見据える事が出来る人が「音響デザイナー」で有ると考えています。

 しかし、この世界では「専門性」を突き詰める事こそが「美学」で有って、「音響」といえば PA,SR そして、コンサートやイベントという事柄を表す為に使用されているのが殆どです。 そしてその専門性が有ってこそ「プロ」で有ると。

 確かにその通りでも有るとは思います。

 しかし。

 専門性が有るからこそ、井の中の蛙なのです。

 例えば音響の専門学校に行く殆どの学生の目的は「コンサートの音響がやりたい」です。 そこに「音響」という言葉一つで様々な仕事が有る事を目指す学生はどの程度いるのでしょうか?

 そして又、音響に携わる人達は「職人気質」と見られがちです。

 「バンド音響しかやりません。」

 「舞台の音響しかやりません。」

 これを良しとするのもそれは一つポリシーとして素晴らしいと思います。 しかし、それだけという「専門性」は果たして本当の意味でのプロなのでしょうか? そして、「プロ」とはそれだけで食べて行ける人では無いのでしょうか?

 とても疑問です。

 次回は「音響デザイン」に携わる仕事から得た事実を書きたいと思います。

 

  

2009/11/06 12:26 | 音響デザイン | No Comments

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