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2010/12/06

 先月末、総務省がとうとう電波利用帯域の再編で現在ワイヤレスマイクなどに使用している帯域を携帯電話に割り当てる事がほぼ確定となってしまいました。

 これは現在自分達が現場で使用している 770~806Mhz帯域を携帯用に明け渡さなければならないという事なのですが。

 これは以前に一度書きましたが、とうとう動き出したという所でしょうか。

 しかしこれはどうにも納得がいかないというのが、放送業、音響業務に関わる身としては感じる所です。

 周波数を変更、移動するという事は、今まで所有使用してきている要免許帯のワイヤレスマイクは全て買い替えないといけないという事になるからです。 単に買い替えれば済むという考え方は軽卒な考え方で、要免許帯は「特定ラジオマイク利用者連盟」(通称:特ラ連)に利用申請をして、入会費、年会費、運用調整費、免許申請手数料、免許関係書類取扱費、や電波利用料などが掛かっています。

 今回の総務省の方針では、買い替えに必要な経費を電波が空いた後にその帯域を使う携帯業者に負担してもらうとなっていますが、果たしてそう上手くいくのでしょうか?

 例えばテレビ局などで使用されているマイクを全て入れ替えるとなると、数億円の規模になるはずですし、自分達のような中小業者でも数百万~数千万の負担になります。

 現在のアナログラジオマイクからデジタルマイクへの変更を総務省は促していますが、現在有るデジタルマイクの音の遅延(マイクで喋ってから機器が音を出力するまでの時間)の問題が未だ完全には解決していません、それを2年で開発を進めると方針を発表していますが、メーカー主導なこの部分をどう改善するのでしょうか?

 又、その2年の猶予の後に移行調整するとなっていますが、今までのワイヤレスマイクからの買い替えの期間を考えると到底その期間で対応出来る事では無いと思います。

 そして一番の問題は、今まで全業者が「特ラ連」を通じてコンサートやテレビ番組などでワイヤレスマイクを同時に数十本使う場合でも、周波数の計算式やアンテナの位置による安全確保のノウハウなどが、全部周波数が変わる事によって「無」になってしまうからです。

 技術的な問題としては、今までの帯域から短波かデジタルテレビで空いたホワイトスペースへ追いやられると、特に電波の届きにくい短波ではアンテナなどを調整したとしても演出的に距離や死角などかなりの制約が出る事が懸念されています。

 ちょっと小難しい事ばかり書きましたが、簡単に言えば。

 AKB48のライブは出来ません。劇団四季のミュージカルも出来ません。芸人さん達が大勢出る収録も出来ません。

 ぜーんぶ、有線マイクで動き無しでお願いします。

 と、総務省は言っているようなもんです。

 何故今回こうして声を大にして言うかというと。

 今回のこの決定は、原口前総務相が指示をして作業部会が5月に発足、そして11月には最終報告で決定という短期間の議論で我々の仕事に携わる人間でも知らない人はまだ居ますし、移行後の問題なども十分に議論もされないまま政府主導で一方的に行われた感が否めないからです。

 勿論、未だ納得がいかない部分も数多く、放送関係、劇場関係、などから上申は行われるのでしょうが、どうなって行くのか次第で様々な部分に影響が出る事が予想されます。

 確かにワイヤレスマイクが全てでは無いですが、一般の方でも簡単に会社のプレゼンテーションなどでワイヤレスマイクをお使いの事と思います。 今回はB帯と呼ばれる免許の必要ない帯域はそのまま確保されていますので、一般の方もお持ちのポータブルアンプなどの帯域は問題にはなっていません。

 これはそこまでを移行するとなると、どれだけの買替え費用が必要になるのか目も当てられなくなるからなのでしょうか。 要免許帯域は一般の方が所有される事はほぼ無いとは思いますが、実はホールなどでの講演の際には知らず知らず使っていらっしゃるかもしれません。

 今回のこの動きは、検証も無しに移行が決定すると、文化芸術にも多大なる影響を及ぼしかねないという事を十分に政府は理解をして頂きたい。

 海外でも周波数の移行や制限は厳しいですが、日本は特に使用出来る限度が今でも少ない位です。

 改革も良いですが、制約ばかり増えて費用も掛かりすぎて、こんな事では日本の芸術文化に関わる仕事の行く末が本当に暗雲に覆われていくようです。

 

 

2010/12/06 11:40 | 音響デザイン | No Comments

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