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2010/03/01

 とうとうバンクーバーオリンピックが閉幕しました。 素晴らしい競技の数々に思わず見とれてしまう事も多かった事と思います。

 そんな中、オリンピックの中継を見ていて、特に開会式と閉会式ではテクニカルとしてとても興味深い点がいくつも有りました。 オリンピックスタジアムでの開会式、閉会式で、あのアリーナにどれだけの最新技術が使われているのかを携わった人に多少聞く機会が有りましたので、書いてみたいと思います。

 音に関して、会場出力はいわゆるラインアレイスピーカーと呼ばれるシステムを中心として、ライブも出来るシステムの構築、そしてもの凄い数のワイヤレスマイクや伝送システム。 そして、送出側ではデジタルミキサーや各国の放送チームへ送出の為のかつてない程のデジタル化が行われたそうです。

 リアルタイムでデジタル化された音声を収録、放送、会場への送出というとても最新技術とクリエイティブ、そしてチャレンジングな試みのお陰で世界中にあの素晴らしい音質で届ける事が出来たのでしょう。

 それにしても、国内で放送された映像を見るだけでももの凄い数のスピーカーが天井から吊られているのが解って、いったどれだけのリハーサルと仕込の時間が掛かったのかと思ってしまうのは職業病でしょうか。

 さて、今回の開会式で特に美しかったのが、映像です。 そして、それは単なる映像の投影という事では無く、床一面の海原やセンターに吊られたサークルスクリーンに映し出される映像など、どうやってやっているのは解らないような演出が施されていました。

 今回のオリンピック開会式等の映像の演出は、Rafael Lozano-Hemmer が携わっています。 彼は、1967年生まれで Canada, Montreal の Concordia University で物理化学を専攻していました。

 彼は、映像と照明を駆使したアートプロジェクトを立ち上げており、その中で彼が創り上げて来たアーティスティックな試みが今回のオリンピックでの開会式と閉会式、そして、会場外の明かりの演出< vectorial Elevation >を手がけています。

 開会式などの映像投影に関しては床やセンターサークルなどの映像はほぼ全て超高輝度プロジェクターによって投影される事によって行われているのですが、その演出手法で彼の「 Under Scan 」を中心とした物が使われています。

 興味の有る方は、彼のサイトを覗いてみて下さい。

 http://www.lozano-hemmer.com/index.html

 それにしても、こうした演出手法などを見ていると映像と照明の垣根がとても無くなって来たように感じます。

 この先、最近映画では使われ始めている3D技術などが使われるようになって来るのも時間の問題なのかなと思いますが、単なる技術革新だけでは無く、こうしたアーティスティックリレーションが行われる事による既存技術+アルファという表現手法を駆使した、新しい演出手法が登場する助力となっていって欲しいものです。

 でも今回こうしてアートとスポーツの融合で有ったりを目の当たりにすると、日本でのこうしたアーティスティックリレーションの弱さを感じずにはいられません。 新しいアートをいち早く取り入れる寛容さが日本の文化、行政にも欲しいものです。

 又、今回の開会式で点火台が1本上がらなかった事を「ミス」としてそこで終わらせない事が今回の演出の強みで有ったのでは無いでしょうか。 確かにあの場面で当事者で有ったならば肝を冷やすと思うのです(見ていて他人事とは思えない位変にドキドキしました。) しかし、 閉会式ではその開会式で点火出来なかった一人だけが再度点火をするという素敵な演出など、人が魅せる事の演出手法は素晴らしいと感じました。

 各競技のアスリート達が感動をくれたように、こうした演出も人の手に因って創り上げられているからこその感動が生まれると思うのです。

 又、次回のオリンピックでは素晴らしい演出が感動を世界に届ける事を期待しています。


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