2012/01/10

皆様、ご無沙汰しております。柏です。

折角復活させて頂いていたのに、どうしても書く事が出来ないまま去年が過ぎてしまいました。 未だ個人ページを残して下さっている JunkStage のスタッフ皆様には感謝のしようも御座いません。 又少しづつでは有りますが、書かせて頂こうかと思っております。

 

昨年は本当に色々な事が有った中、震災関連の話題は未だ継続中ですし、現場は減った案件も正直有りましたが昨年後半にシフトした案件なども多く、年末まで例年に無い程復興しようという気持ちが感じられる一年でした。

 

その中で自分のスタイルもスタンスも昨年は変化をして、社名が変更になったり、取り扱う内容が変化したりと、最近現場でも良く聞かれる事も多くなって来ましたので、その辺りを再度書き綴りたいと思います。

 

昨年4月末に今までの「ティーズサウンド」から社名が変更になって、

「インタースカイプロモーション」

と、社名が変更になりました。

 

やはり色々思う所も有り今回の社名変更、そして業態変更という事になったのですが、震災の影響が無かったかというと嘘になります。

 

震災の時に色々と思う所が有りました。

あの3.11から2日後、それまでに入っていたそれ以降のスケジュール、それが全て白紙になってしまいました。

うちはとても小さな会社です。が、やはり少なからずスタッフを抱えている。そのプレッシャーや金銭的な見通し、それが一度にこうして崩れてしまうという事の怖さを同時に経験する事になりました。

 

そんな事も有り、以前からこの社名にしようと大事な人や親しい人と準備はしていたのですが、震災をキッカケに一気に変えてしまおうと思った訳です。

 

勿論、それまでJunkStageで書かせて頂いてきた現場の事や、お付き合いの有る協力会社様とのリレーションも考えて、プラスアルファで何が出来るかという事を念頭に置いての変更でした。

 

何故変える必要が有ったのか。それは多分、その当時というよりも今現在の動き方。 具体的にはテクニカルを取り纏めるクリエイティビティーというものをもっと具現化出来ないかという事。

じゃぁ、今まで存在している制作業務と何が違うのか? という所も有るかと思います。

自身含め弊社スタッフはそれまでの業務の中で、音響(これが一番の軸)、そして映像照明の現場的オペレート、進行スタッフ、制作補助、パネルデザイン、設備施工、などなど。テクニカル以外も有りますが、テクニカルという大きな器で見た時にある程度の音響以外の経験値と空気を読むスタッフィングは経験してさせて頂いて来ていました。(勿論、専業の方の下に付いて勉強させて頂いた経緯も大きい訳です。)

そんな経験値、そして音響だけという業務の不安定さというのを震災で経験した事によって、現在のインタースカイプロモーションを立ち上げるキッカケとしました。

 

今は、「音が軸」というのは変わって居ないのですが、もっとフレキシブルに様々なクリエイティブに携わりたいという気持ちと、営利だけを追求するのでは無くて、もっと今までの経験値を生かして、トータルでテクニカルというのを見ていきたいという気持ちが強くなっています。

ですから、音響、照明、映像、写真、デザイン、全てを現場レベルでトータルに見る事が出来る。 そんな事をやり始めています。

 

少しずつですが、昨年もこうしてお仕事をさせて頂いている中で、音響だけでは見えなかった他のセクションの苦労、そして、代理店様、制作会社様の苦労というのも、少しずつ理解出来るようになり、自身達の視野も広がってきています。

 

やはりテクニカルの良い所というのは、専業だからこそ専門的な知識と技術で貢献出来るという所だと思うのです。

しかし逆を返すと、「井の中の蛙」になりがちという所。どんなにその業界の中で知名度が有っても技術が有っても、その論法を現場レベルで上から目線になりがちの人も多いのだなと改めて感じています。

 

だから、今は音響という仕事の悪い所も良く見え始めて居ます。

 

しかし自分の軸は音響という事は変わりません。それは多分これからも同じだと思います。 今まで以上に見えてきた弊害や良い所、そこをもっと変えていきたい。小さな事かもしれませんし、自身達だけで成し得る事も厳しいかもしれません。

 

でも、確かにテクニカルにはテクニカルの歴史が有ります。それをひっくり返そうというのでは無くて、悪い所は悪いと声を今まで以上に上げていこうと思っています。

そうしないと、やはり若手の就労状況の改善や、大げさでは無くてイベント業などではやはりテクニカルというのは事実底辺の扱いを受けてるのは事実です。そこはお金の流れなどを考えれば当然なのですが、その扱いというのを変えて行きたいと思っています。

 

まだまだ始まったばかりで、昨年はひたすら走り続けて来ました。今年も続いて行きます。

 

正直、今までここJunkStageで色々書いて来た中で、苦言を頂く事も有りましたし、それを言うと言う事は、業界の先輩達を否定する事になるから控えたほうが良いなど、色々ご意見も頂く事も有りました。

確かにそれも一理ですし、諸先輩方を蔑ろにしようというのでは無くて。 時代が変わってきている中で、音響業界を始めテクニカルの業界も変革して行くべきだと感じている自身の気持ちは否定するつもりが無いのです。

 

又、勿論全てでは有りませんが、仕事を上から下にスルーするだけでお金を得る代理店や制作会社、自身達の都合で進行しようとするテクニカル、などなど、そんな悪循環を無くしたいという事です。

 

少しつづでは有りますが、具現化していけているのは嬉しい事です。

 

ソフト面のクリエイティビティー、そして、ハード面のクリエイティビティー。それが融合した時にどんな事が起きてくるか、そんな事を目指しています。

 

 

2012年 再度スタートしたいと思います。

 

本年も皆様、宜しくお願い申し上げます。

 

柏 環樹

 

2012/01/10 03:43 | 音響デザイン | No Comments
2011/05/30

今回はやはりあの話題からは避けて通れないのも解っていたので、震災の時の事、そして音響に関して影響の有った事、そしてこれからを書いてみようと思います。

正直、あの震災の事は書く事を躊躇っていたのも事実で、今こうして書いていても自分が個人の事として、そして音響として書く事が正しいのかは解りません。 でも、それでも書いておかないといけないという気持ちが有るのも事実なので、読んで頂いている皆様に少し共有をさせて頂ければ幸いです。

 

あの日、震災の有った時。自分は事務所に居りました。スタッフと先の現場の打ち合わせと、そろそろ遅いお昼ご飯を食べようとしていた自分、そして埼玉スーパーアリーナで翌日からの別の現場の仕込みをしていたスタッフ達。

 

その瞬間、スーパーアリーナのスタッフの事、子供の小学校に丁度出かけていた経理さん、機材の事、事務所の入っているマンションの事、色々な事が一気に気にかかりましたが、誰も連絡が取れませんでした。

 

有る程度落ち着いて来た頃に、ようやくスーパーアリーナのスタッフ達と連絡が取れて一応開催が不明だけれども仕込みはしないといけない状況で有るとの事、こちらはこちらで他のスタッフ達は事務所でラジオやテレビ、そしてツイッターなどで情報をかき集めていました。

しかし、翌日からの仕事の予定も立てられないので、電話が繋がらない状況の中、歩いて行ける得意先には徒歩で翌日からの予定などの確認に奔走し、やっと夕方に仕込みから解放されたスタッフ達が帰ろうとした頃には帰宅困難という事態、徒歩やバス、深夜に再開した地下鉄などを駆使してスーパーアリーナから事務所に戻って来れたのは翌日の朝4時でした。

 

状況ばかり書いて行くとキリが無くなってしまうのでこの程度に留めますが、全員が無事に何とか翌日には帰宅出来た事がせめてもの救いでした。

 

その後相次ぐ仕事のキャンセルの嵐。

 

翌日からキャンセルの連絡が入り始めて、数日の間に3月、4月、5月の案件関係は全てキャンセルされました。

やはりイベントというのは社会が健全であるからこそ出来る事、そしてPR活動も然りでCMがACで埋め尽くされたように企業の自粛ムード、そして社会の空気は非生活必需産業で有る自分達にはとても重くのしかかっています。

 

正直、今この原稿を書いている時点でもキャンセルや延期の声は届いて来ます。そして、恐れていた「倒産」の二文字が自分の周りでも起きています。

 

今回の事で自分は「音響」という仕事の強さと脆さを両方感じる事が出来ました。

 

生活に絶対的に必要で無い職業で有るからこその脆さ

 

アーティストなどが日本の為に声を届ける事を直接手伝える強さ

 

改めて、自分はこの仕事をしていて良かったと思える事や出会いが有った事も事実です。

しかし自社の中でスタッフ達の生活を考えると、あまりにも脆い部分が多く(これは音響に限った事では無いのですが)このままで良いのかと自問自答する日々が続いていました。

 

結果、自分の選択肢は「人に何かを届ける事が出来るなら、伝え続けよう」そう思い続けて行く事を選択しました。

そして自分の手の届く所だけでも、例えそれが小さな範囲だったとしても守りたいと思えるスタッフ達に恵まれた事に感謝をしています。

 

柏は新たなステージに立つ事を選択させて頂きました。

 

「音響デザイン」からもっと広がれる様に、自分のしている事が人にきちんと届く様に会社の形態、そして10年以上使って来た社名を音響ブランドとし、もっと広いステージの為の社名を変更しました。

 

この変更は前から構想はしていた事だったのですが、自分だけでは無く、大事な人達とのお付き合いの中から実際に進行していた事を形にする事でした。

震災がキッカケという部分も勿論有ります。もっと深い所で自分の守りたい人を守れる環境は自分自身でしか作り出せないというのを見直せた事でも有るからです。

 

大事な人を守る為に10年以上続けて来た事を更に発展させていく事、そして新たなステージに立つ事、不安も有りますが続けて行こうと思います。

 

人と人が気持ちで繋がって行く、綺麗事かもしれませんがそんな事が現実に出来る環境を残して行きたい。 そう思っています。

 

これからはもっと進化して深化する自分を、愛すべきスタッフ、そして大事な人達。

 

新たな名前はそんな人の為に、その意味を愛し、その人の為に残して行こうと。

 

 

「音響デザイン」からもっともっと前へ。

 

次回はもっと軽い?ネタで、バンドとの付き合いについて書きたいと思います。

 

2011/05/09

長らくの休養を頂き、この5月から復帰をさせて頂きました。お久しぶりです、柏です。

このお休みを頂いている間に、東日本大震災という未曾有の大災害が起きて、未だ収束の糸口すら微かな糸のように細い状況では有りますが、やはりそんな中でも又こうして書かせて頂ける事が励みになっております。

 

この長いお休みの間、実は色々な事を体現して参りました。これから書いて行く事になるであろう事、そして自分にとっても一つステップを上がる事が出来たのでは無いかなと感じております。

 

今まで通りの事を書ければ良いのかなと、今回再開をさせて頂くに当たって考えていたのですが、これからはもっと違う側面も書ければなと思っていますので、又お付合い頂ければ幸いです。

Weekly ライターという肩書きも頂いてしまったので、そのJunkStageのスタッフをして頂いてる方々や、これをお読み頂いてる方々に何かしら少しでも届けば良いなと、改めて感じてちょっと緊張したりしています。

 

正直、震災に関連する事も書かねばならないと思っていますが、それは次回以降からスタートさせて下さい。

今回はこうして皆様に改めてご挨拶させて頂ける場が出来ただけでも、感謝の気持ちで一杯です。

 

改めまして、「音響デザイン」始めました!

 

宜しくお願いします。

 

2011/02/03

JunkStageをご覧の皆様、こんばんは。
いつもJunkStageをご訪問いただき、ありがとうございます。

現在、「音が見えるデザイン」執筆中のライター・柏環樹さんが私事多忙のため、こちらのコラムを一時休載とさせていただいております。
再開は3月初旬です。
連載を楽しみにしてくださっている皆様には申し訳ございませんが、再開をお楽しみにお待ちくださいますよう、お願い申しあげます。

(JunkStage編集部)

2011/01/21

 2011年、遅まきながら今年も宜しくお願い致します。

 という訳で、新年が明けて暫くコラムを書けずにいた所、某代表理事からお叱りをTwitter上で晒されてしまったので、お待たせして申し訳ありません。

 昨年は何かと色々な話題も豊富な年となりました。 何より、ワイヤレスマイクの環境に関する記事には自分が思っていた以上の反響を頂いて、舞台芸術に対するお読み頂いている方々の関心の高さを実感する事が出来た次第です。

 こうした小さな動きがこの先の舞台芸術の環境整備に少しでも尽力出来ればと痛感しています。

 又、実際に現在のワイヤレスマイクの周波数帯とは違うデジタルワイヤレスシステムを導入するきっかけにもなった事が、昨年末から今年へかけての出来事という感じです。

 さて、表題にも有りましたが、この度 「JunkStage アワード 2010」の功労賞を受賞する事が出来ました。

 裏方としてこのような名誉を頂く事は、他のライターさん達に申し訳無いなと感じる反面、もっと尽力せねばいかんなと気を引き締める次第です。

 受賞は某日に頂いたのですが、仕事の関係で本当に一瞬だけ顔を出した場で頂く事になってしまいました。

 その場にいらっしゃった他のライターさん達とお話しする間もなく、現場へととんぼ返りしたのですが、まるで不審者のように頂くものだけ頂いて帰ってしまったのが心残りです。

 そんな受賞の仕方をしてしまいましたが、今回こうして受賞させて頂いて感じたのは「必要とされる」という喜びだなと。

 いや、決して某ライターさん達が心配しているような、柏は某代表理事にどんな弱みを握られているんだ、という事は一切御座いません。

 これは現場でも仕事でもこうした場に於いても同じなのですが、自分の力が役に立つので有れば出し惜しみをせずにやろう、という一言に尽きます。

 「必要とされるうちが華」であります。

 そして、これはうちのスタッフ達にも言い続けている事でもあります。

 自分が出来る事、出来ない事の線引きは大事かもしれないけれど、出来る事を出し惜しみする程、自分は偉くも何とも無いのだから、精一杯出来る事をやろうと。

 そしてそれが何か(誰か)の助けになるので有れば、出し惜しみをするな、と。

 JunkStage に自分が何が出来かを理解させて貰っているからこそこうして色々イベントなどで動ける訳です。

 そうした人の魅力やパワーを引き出す事の出来る JunkStage のスタッフ達を、ライターとはまた少し違う目線と志しを持っている魅力有るスタッフ達が居てくれるからこそ、 こうして「功労賞」という形で自分が 受賞させて頂いたのだと感じています。

 

 受賞に当たってはスタッフからの、暖かい手紙、そして綺麗な花(写真)。

 ありがとうございました。

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2010/12/20

 前回、ワイヤレスマイクに関して書いたのですが、思った以上に反響が有ってこうした小さな動きが先々に繋がれば良いなと本当に思いました。

 今回はそれをいい事に、ワイヤレスマイクに関してちょっと続きを書きたいと思いますが、どちらかというと今回の内容は周波数というよりもワイヤレスマイクの怖さとでも言いましょうか、電波を使うってのは結構大変なんですという話しです。

 単純に分類して、有線マイクと無線(ワイヤレス)マイクが有ります。

 有線マイクは書いて時の如く、ケーブルで繋がっているマイクですが、このケーブルが結構くせ者で、特に講演会などで動き回りたい講演者の方などにはかなり不評です。

 では、一方でワイヤレスマイクですが。 動きが制限されない、機材にもよりますが持って移動出来るので質疑応答用などにも向いている。

 こうして書くと、さもワイヤレスマイクは優秀のように捉えられがちなのですが、実はワイヤレスマイクはデメリットとして、混線、電波の途切れ、電池切れ、などが起りやすいマイクです。 又、たまにですがトラックの無線、トランシーバーの無線、などが混線する場合も有ります。

 ですが、意外とこの事実はお客様などにはあまり認知されていなくて、ワイヤレスマイクを使いたいのです、というご要望をよく頂きます。

 本当に大事な講演者の先生などでは有線マイクの方が途切れるという心配は無いので、出来る限り有線マイクの方が良いかもしれません。

 前回書いた内容で、コンサートなどでワイヤレスマイクが使えないとパフォーマンスに支障をきたす場合が有ると書きましたが、それは事実としても有線マイクで出来る事も多いと思うのも又事実です。

 自分が仕事でワイヤレスマイクを使っていても、例えば繁華街(銀座、新宿、渋谷など)の映画館などでの舞台挨拶では、ほぼ必ず前回記事に書いた「要免許帯」を使います。 勿論事前申請をして、他に近所で同じ帯域のワイヤレスマイクを使っていないかというのを確かめるのです。

 何故そうするかと言うと、それとは別に一般の方も使えるワイヤレスとして紹介をしたB帯と呼ばれる帯域のマイクは、「パチンコ屋さんの呼び込み」「デパートのアナウンス」などなど上げればキリが無いほど街に電波が溢れています。

 こちらもB帯でやるとそこと混線する場合も多いからです。

 又、会場によっては有線マイクでお願いをする場合も有ります。

 それはどうしても電波塔が近くて、ワイヤレスマイクの電波に信頼性の不安を感じる場合などです。

 これは各社様々な会場、時間帯、地域、でワイヤレスマイクを使ってみた実績でここはこれだとダメなどのデータの蓄積がなされているので、それを参考にもしたりします。

 前回書いた、電波使用に於ける構築がゼロからになってしまうというのは、こうゆう側面も有る訳です。 長年掛けて培って来た、実験とも言えるデータ蓄積は伊達ではありませんから。

 じゃぁ、前回書いたデジタルワイヤレスというのはどうなの? という所ですが。

 正直もう仕方が無いので、試しに導入を始めてみる事にしました。

 今までのワイヤレスの周波数帯域(770~806Mhz帯域)とは完全に別の、2.4Ghz帯域のワイヤレスマイクが発売になったのでテスト使用を開始しています。

 まぁ使い勝手がどうなんてのはここで書くべき内容では無いので割愛しますが、2.4Ghz帯域は wifi やデジタルサービスなどで使われている帯域(2010年現在)で、全世界で免許や許可申請のいらないという帯域です。

 正直これがワイヤレスの救世主になるかどうかは別として(現在同時使用は某メーカー発表値で12本同時使用まで)、今のトータル30本程度同時使用出来る環境にはまだまだほど遠いのです。

 ですから、後2年で何とかしようとしている総務省のやり方には疑問だらけです。

 と、2回に渡って同じ話題で書いてしましたが、それだけ重要だという事がもっと認知されたら良いなと考えているので、ご勘弁下さいませ。

 次回は来週にでも。

 今度はもうちょっと明るい話題でお届けしたいと思ってます。

 では。

 柏

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2010/12/20 01:28 | 音響デザイン | No Comments
2010/12/06

 先月末、総務省がとうとう電波利用帯域の再編で現在ワイヤレスマイクなどに使用している帯域を携帯電話に割り当てる事がほぼ確定となってしまいました。

 これは現在自分達が現場で使用している 770~806Mhz帯域を携帯用に明け渡さなければならないという事なのですが。

 これは以前に一度書きましたが、とうとう動き出したという所でしょうか。

 しかしこれはどうにも納得がいかないというのが、放送業、音響業務に関わる身としては感じる所です。

 周波数を変更、移動するという事は、今まで所有使用してきている要免許帯のワイヤレスマイクは全て買い替えないといけないという事になるからです。 単に買い替えれば済むという考え方は軽卒な考え方で、要免許帯は「特定ラジオマイク利用者連盟」(通称:特ラ連)に利用申請をして、入会費、年会費、運用調整費、免許申請手数料、免許関係書類取扱費、や電波利用料などが掛かっています。

 今回の総務省の方針では、買い替えに必要な経費を電波が空いた後にその帯域を使う携帯業者に負担してもらうとなっていますが、果たしてそう上手くいくのでしょうか?

 例えばテレビ局などで使用されているマイクを全て入れ替えるとなると、数億円の規模になるはずですし、自分達のような中小業者でも数百万~数千万の負担になります。

 現在のアナログラジオマイクからデジタルマイクへの変更を総務省は促していますが、現在有るデジタルマイクの音の遅延(マイクで喋ってから機器が音を出力するまでの時間)の問題が未だ完全には解決していません、それを2年で開発を進めると方針を発表していますが、メーカー主導なこの部分をどう改善するのでしょうか?

 又、その2年の猶予の後に移行調整するとなっていますが、今までのワイヤレスマイクからの買い替えの期間を考えると到底その期間で対応出来る事では無いと思います。

 そして一番の問題は、今まで全業者が「特ラ連」を通じてコンサートやテレビ番組などでワイヤレスマイクを同時に数十本使う場合でも、周波数の計算式やアンテナの位置による安全確保のノウハウなどが、全部周波数が変わる事によって「無」になってしまうからです。

 技術的な問題としては、今までの帯域から短波かデジタルテレビで空いたホワイトスペースへ追いやられると、特に電波の届きにくい短波ではアンテナなどを調整したとしても演出的に距離や死角などかなりの制約が出る事が懸念されています。

 ちょっと小難しい事ばかり書きましたが、簡単に言えば。

 AKB48のライブは出来ません。劇団四季のミュージカルも出来ません。芸人さん達が大勢出る収録も出来ません。

 ぜーんぶ、有線マイクで動き無しでお願いします。

 と、総務省は言っているようなもんです。

 何故今回こうして声を大にして言うかというと。

 今回のこの決定は、原口前総務相が指示をして作業部会が5月に発足、そして11月には最終報告で決定という短期間の議論で我々の仕事に携わる人間でも知らない人はまだ居ますし、移行後の問題なども十分に議論もされないまま政府主導で一方的に行われた感が否めないからです。

 勿論、未だ納得がいかない部分も数多く、放送関係、劇場関係、などから上申は行われるのでしょうが、どうなって行くのか次第で様々な部分に影響が出る事が予想されます。

 確かにワイヤレスマイクが全てでは無いですが、一般の方でも簡単に会社のプレゼンテーションなどでワイヤレスマイクをお使いの事と思います。 今回はB帯と呼ばれる免許の必要ない帯域はそのまま確保されていますので、一般の方もお持ちのポータブルアンプなどの帯域は問題にはなっていません。

 これはそこまでを移行するとなると、どれだけの買替え費用が必要になるのか目も当てられなくなるからなのでしょうか。 要免許帯域は一般の方が所有される事はほぼ無いとは思いますが、実はホールなどでの講演の際には知らず知らず使っていらっしゃるかもしれません。

 今回のこの動きは、検証も無しに移行が決定すると、文化芸術にも多大なる影響を及ぼしかねないという事を十分に政府は理解をして頂きたい。

 海外でも周波数の移行や制限は厳しいですが、日本は特に使用出来る限度が今でも少ない位です。

 改革も良いですが、制約ばかり増えて費用も掛かりすぎて、こんな事では日本の芸術文化に関わる仕事の行く末が本当に暗雲に覆われていくようです。

 

 

2010/12/06 11:40 | 音響デザイン | No Comments
2010/11/20

 だんだん寒くなって来て、そろそろ冬の訪れなのかなと感じる今日この頃です。

 また間が開いてしまっているので、編集さんに怒られる前にちゃんと書かなくてはと思いつつ今年はこの秋口はAPEC進行も有ったお陰で中々時間のマネージメントが難しいですが、やっと落ち着いたのできちんと書きたい事が一杯です。

 さて、今回は「学術会議」と「音」というテーマです。

 「学術会議」と一括りにしてしまっていますが、「医学」「薬学」and more.. と様々な会議が日々行われています。

 そんなちょっと一般的に見ればお固い感じを受けるかもしれませんが、そこにも音は必須な要素だったりする訳です。 発表者の先生の講演、質問者の声、進行役の先生、会を進行するMC、と様々な人の声を綺麗に拡声する事がこの仕事の最たる目的です。

 ちょっと別所では、同時通訳も有りますがそれはまた別の機会に。

 実はあまり一般には知られていませんが、病院などで「~先生は学術総会の為、~まで休診です。」なんて張り紙や看護士さんに言われた事は有りませんか?

 そんな時に先生達は実は全国から一カ所に集まって「学術総会」に参加されている訳です。 じゃぁ、「学術総会」って何? というと、年に1回程度~数回の頻度で先生達は集まって症例の報告会や勉強会をやっている訳です。

 この会のお陰で最先端医療の報告や症例報告、様々なディスカッションを行って次の世代に繋がる医療の方向性を示す事が出来て来ている訳です。

 じゃぁ、音はどうなの?と。

 実際の会場では、演台と呼ばれる発表者の為のマイクの拡声などが主な仕事ですが、客席会場内に質問用のマイクを立てたり、会場にもよりますが結構な量のマイクや引き回しが必要になってきます。

 これが全国規模の会になると、東京国際フォーラム全棟貸し切りや先日APECが行われたパシフィコ横浜の全棟など、かなりの量になります。

 会自体は、一つの会場だけでは無くて第1会場~第○○会場など様々な会場に分かれてディスカッションや発表が行われます。 普段、こうして仕事をしていると様々な業種の方々とご一緒する事も多いのですが、この「学術総会」はいつも気にする仕事の一つであります。

 様々な先生が発表を行う内容を拝見しながら新しい医療の事を勉強出来たりする訳です。勿論、内容は専門的な事が多く全ては解りませんが、聞いていてとても勉強になります。

 そして自分達はその大事な情報を会場にいらっしゃる先生達にクリアに声を届ける為に様々な調整やスピーカーの置き位置などを考えるのですが、日本人の先生が講演をされる場合と海外の方が講演される場合には多少調整の仕方が違うのです。

 日本語は「母音」の言語ですが、例えば英語は「子音」の言語というのも良く解ります。 特に日本人の声は母音~(あ、い、う、え、お)が主体で音の周波数要素が低いのですが、英語は(さ、し、す、せ、そ)が綺麗に聞こえないと単語を判別するのが難しくなるんです。

 ですから、自ずとマイクの調整方法も変わって来ます。

 そんな講演者一人一人に気を使いながら、今日も学術総会現場でオペレートしております。

2010/11/20 03:23 | 音響デザイン | No Comments
2010/10/29

 前回まではちょっとUSTREAMなどの話しが多かったので、今回はイベントの空間をデザインする事について書いてみたいと思います。

 イベントの空間をデザインするのは、そのイベントのプロデューサーです。(ここは言い切ります。)

 しかし、その空間をデザインした事で、出来る事出来ない事をテクニカルスタッフを交えオールセクションでミーティングをする訳です。 そこで、物理的に出来ない事なのかそれとも予算的に出来ない事なのかを取捨択一して、全体のイベント空間を演出プロデュースしていく訳です。

 自分は音響というテクニカルセクションの人間ですので、全体のデザインをする事はあまり有りませんが、全体をデザインするという事は、そこにテクニカルのスタッフが居るという事では無く、場所としてどうゆう空間にしたいのかというプロデューサーの腕に掛かっています。

 勿論、テクニカルサイドからも意見を上げる場合も多いですが、大概の現場の場合は図面を頂いて、そこにテクニカルセクションのプランを組み上げて行く訳です。 そうした事を取りまとめてトップクライアントに提案調整する事が如何に難しいのか、実際の現場ではよく体感します。

 善かれと思って作り上げた事でも、意思疎通のちょっとした歯車の違いから実際の現場で出来なかった事など実は多々有る訳です。

 「自分が良いと思う事が、お客様のブランディングに良いとは限らない。」

 これはとても肝に命じているいる事です。

 確かに、こうした方が効率が良いとか、音が良いとか、色々理由は付けられる事が有るとします。

 しかし、お客様のプライオリティーが何処に在るのかという事をキチンと考えて、そこを優先させなけければいけないのです。 「こっちの方が音が良いんだから、そこは押し通さないとダメだよ。」という人も居るでしょう。 自分はそこは引くべきところだと考えています。

 勿論、全体のコンセプトや会場などの見合う形で有れば十分提案する事も可能でしょうが、それが果たして一番お客様の為で有るのかという点で言えば時と場合に寄る訳です。

 日々そこを吐き違えないように、慎重に考慮しながら組んだプランが認められた時ほど嬉しい事は有りません。

 先日、空間をデザインするという点で素敵なものに出会いました。

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 実はこれ、風船で出来たシャンデリアです。

 重量も無く、会場に来てから一つずつの風船を膨らまして組み上げて行く姿を拝見しておりましたが、まさに職人技。

 そして、たまーに作っている最中に風船が割れるといちいちビクっとしてしまいましたが、出来上がりを見てとても素敵な気持ちになりました。

 しかし、このシャンデリアその数時間の本番イベントの後にはすぐに廃棄されてしまうので、ちょっともったいない気がします。でも、家に持って帰るには大きすぎるサイズなのですけどね。

 こうした、現場のコンセプトに見合う造形物や音、照明、それを取りまとめてくれているプロデューサーにはいつも

2010/10/29 09:30 | 音響デザイン | No Comments
2010/10/29

 前回は簡単なUSTREAMの配信方法などの概要について書きましたが、今回は実際の中継現場とUSTREAM配信での違いというか、最近自分自身が現場で体験した内容をふまえて書いてみたいと思います。

 USTREAMは個人が情報や意思を映像付きで発信するというとても簡単な方法です、最近は企業イベントなどでもUSTREAMを活用しようという動きも見られていますが、今までの中継のスタイルもまだまだイベントでも活躍しております。

 先日、又もや映画の舞台挨拶の現場での事ですが、東京を主として大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台などへの中継が行われました。

 この時に感じたのは、今までの中継のスタイルと現在の中継のスタイルがUSTREAMを始めとするブロードキャスティング分野の発達によって、変わりつつ有るという事を身を以て体感した訳です。

 今までは、衛星中継、電話中継などが多く、テレビでも使われていますが携帯のテレビ電話回線を使った中継を例に取ると、これには映像の鮮明さなどの問題点が多く、しかしメリットとしては中継車が居なくても現場から中継出来るという利点も有りました。

 次に衛星中継ですが、これは鮮明な映像とスタジオクオリティーの中継が可能という利点が強いですが、まず衛星を使う事でのコストが高い事、そして中継車が現場近く(イベント会場など)に居なければならないという事がデメリットではないでしょうか。

 では、インターネット回線を使った中継はどうでしょう。

 前回の現場では、NTTの映画館ネットワーク専用回線を使って、東京から全国各地の映画館に配信をして、中継映像、音声共に映画館のスクリーンで見られるという中継を行いました。

 この中継方法の良い部分は、衛生中継などに比べてコストが低い事、そしてクオリティーも配信のエンコード方法によっても違いますが、HD配信も可能となります。 逆にデメリットはというと、NTTの工事が必ず必要という事、専用回線を確保して貰う為に専門の技術者が各所に立ち会う必要が有るという事。

 全ての中継方法でメリットデメリットは有りますが、ブロードキャスト回線を使った中継が現在一番バランスが取れているのではないでしょうか。

 では実際の中継はどうだったかというと、音響チームからは音を、カメラチームからは映像を中継チームに送り、中継チームがNTTチームに中継信号を送るという流れになっていました。

 一つ問題になるのは、これは中継をする場合やUSTREAMでも起る事ですが、映像と音声がズレるという事です。

 ここがズレているとどうしても人は相手の口元を見て言葉を理解する部分も大きいので、ズレた映像を見ていると結構違和感を感じます。 それを中継先で補正する事も可能なのですが、大概の場合は音が先になって映像が少し遅れます。

 この音と映像を合わせる事を、通称「リップシンク」と呼びます。

 ここの部分がイベント中継などでも結構問題になる事が多く、原因は映像のスイッチャー(切り替え機)などの信号が多少遅れる事が原因と考えられていますが、USTREAMでも起る事が多いので、どちらかというと映像の方がデータとしても容量が大きいものになるので、デコーダー作業の際の処理値の差分で起る事ではないでしょうか。

 いずれにしても、こうした中継やUSTREAM配信を行う場合にまず考えておくべき事は、回線が十分な速度が有る場合はクオリティーを求めるのも良いのですが、回線品質などが低い場合には無理に高画質、高音質に拘るのでは無く、多少クオリティーが下がっても途切れないという事が全ての
事項に優先させるべきだと思います。

 勿論、企業イベントなどでの専用回線などが敷設される場合には、その部分は大丈夫なのでしょうが、一般ユーザーの場合はそうも言ってられない状況が有ると思います。

 今回は実際の中継方法の差などについて書きましたが、機会が有ればまた書きたいと思います。

 USTREAMの活用方法など、まだまだ発展途上なので又ご報告出来ると思います。

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