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2011/07/19

業田良家原作の4コマ漫画は週刊誌連載中に時々目を通していた。

別に買ってまで読むほどではなく、病院で診察を待つ間やふらっと入った本屋で立ち読みしたり、

そんな時間つぶし感覚で不定期に味わっていた。

 

主人公の幸江(中谷美紀)という女はいつ見てもヒモのイサオ(阿部寛)に金を巻き上げられ、

散々ひどい目に遭わされているのだが、どういうわけだかじっと耐えているだけなのだった。

たまに目を通すといつもこんな感じで、幸江の気持ちがわからずイライラさせられた。

結局いつの間にか連載は終了してしまったらしく、

それっきり時間つぶしでそれを目にすることはなかった。

だから私はその断片の薄幸な幸江しかしらなかった。

そのコミックが実写映画になった。

ウリのちゃぶ台返しはVFXが漫画っぽい味を醸し出していて、

重くなりそうになるストーリーの中で揺り戻し的なよいアクセントになっていたが、

なぜこのギャンブルと酒におぼれるイサオに真っ当そうに見える幸江が献身的に尽くしているのか、

はたまたそういう性癖の女なのか、見ているうちに次第に原作同様イライラが募ってくる。

 

そんなフラストレーションでかたまったころ、幸江が事故に遭って一気に時間が遡り、

あまたの謎がすっと腑に落ちた。

圧縮された時空に少女時代からイサオとの出会いまでの秘められた思い出が

涙分をほどよく飛ばして濃縮されていて、

知らないうちに新たに自分の涙を加えて絶妙な濃度に還元しているのだった。

巧みな情への迫り方に、してやられたと思ったところですでに後の祭りだが、

この落とされ方は悪い気分ではない。

2011/07/19 09:33 | 映画 | No Comments

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