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おすすめドキュメンタリー
今回は私のおすすめ映画を紹介したい。
知的障害者の僧侶とプロミュージシャンからなる異色バンド「ギャーテーズ」をおったドキュメンタリー『FREAKOUT』。
日本人住職と韓国人設立者の間に生まれる確執に対して偏らない迫り方が斬新。3月5日より新宿K’scinema、渋谷UPLINKにてロードショー公開、全国順次公開予定。
http://www.freakout-movie.com
『FREAKOUT フリークアウト』公式サイト
C) TRICKSTER FILM
<ストーリ―>
静岡県富士宮市にたたずむ超教派の寺、弘願寺。二代目住職の角田大龍は元ロッカーでもあり、95年に寺で暮らす3人の清僧(弘願寺で修行する知的障害をもつ僧侶)たちと「ギャーテーズ」というバンドを結成する。高橋ヨーカイ(ex.裸のラリーズ)、石塚俊明(from頭脳警察)ら実力派ミュージシャンたちとともに構成されるその演奏は、インプロビゼーション(即興音楽)を中心に清僧3人がフロントにたつアバンギャルドなスタイルで話題となり、その活動範囲は大きく広がっていった。
02年、大龍の恩師であり弘願寺の創設者でもある韓国人僧侶、釋弘元(和上)がニューヨークから突然帰国。苦境にあえぐ寺の再建の過程で、次第に韓国人の和上と日本人僧侶の大龍との間に違和感と確執が露わになっていく。それは単なる考え方の違いではなく、『日朝日韓問題』という歴史的背景が絡んだあまりに複雑な文化意識の差から生じたものだった。)
監督は鬼才・故石井輝男の愛弟子である矢口将樹。(05年故石井監督の遺作となった『盲獣VS一寸法師』の撮影風景を収めた『石井輝男FAN CLUB』を監督)本作『FREAKOUT フリークアウト』が監督第二作目。新進気鋭の若手監督だ。
冒頭からいきなりギャーテーズのライブの模様ではじまる。3人の知的障害の清僧さんたちははじけていてとても楽しそうだ。このギャテーズの3人の清僧さんたちがどうも映画の核になっているようだ。
彼らへの接し方は激情型の韓国人和上と温厚でアバウトな日本人の大龍で大きく異なる。3人の清僧さんの感情の動きに注目すると、彼らの希望の行きつく先が見える気がした。 いったいスタンスとはなんだろう。スタンスというものはどんな善意がくっついていてもそれは差別といういやらしいものを生み出す妖怪なのだろうか。正しさなんてむしろ幸せとは関係ないのかもしれない。
そんな独り言をふともらしてしまう際どさがこの映画にはある。