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紆余曲折の最果て、第9地区の宗谷岬に流れ着いたころにバンド名が決まった。
全員ボーカル兼ギター4人にベース1人、ドラムとキーボードはいないスタイル。
斬新と残念をかけてZZN’S(ジージーエヌズ)に着地した。
曲はOさんからは『精霊流し』というビーンボールが投げられたり、
ついでいうと、私からもドアーズの『ジ・エンド』というチェンジアップを投げて
エイリアンらしさを見せてやろうとしたが、
Y先輩がすかさずジャストミートして場外に運んだ。
直球、カーブ、スライダーとエイリアンたちがまた思い思いの乱れ投げを演じたが、
結局、ZZN’Sのネルソン・マンデラ、Y先輩によって
『true love』というベタベタモンスーンな当時の披露宴定番ソングに閣議決定された。
私たちZZN’Sの「似合わねーよ」の大ブーイングを
「あと3日しかないんだ」というY先輩の非暴力不服従オーラでみなは黙った。
あと3日ということは?
練習できるのは昼休みの正味3時間てことだ。
いやリアル正味の時間は昼飯かき込む時間を除いた45分×3で135分間。
あぜんとする私たちZZN’S
「1分て100秒くらいに増やせられないのかな~」
とどこまでものどかなベース担当Hさん。
あんたの体重じゃないんだという全エイリアンの無言の突っ込みもむなしく、
そして、私たちは、途方に、くれた。
「エイリアンと指が連動するギター」
たとえるならそんな感じで
私たちは3倍速のスピードで、ストロークをした。
しかし、ストロークする右手は3倍速にできても
探りながらコードを押さえる左手は3分の1倍速。
ラヴ・バラードがデス・メタルになり
ZZN’Sを激励に来たI君を昇天させた。
しかし、そこはエイリアン、
当日は懸命に時空のゆがみを矯正して
ハードコア・パンクに押しとどめることで
カップルの前途をなんとか保つことができた。
めでたし、めでたし。
めでたく、ないか…