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2010/03/22

今回は『意志の勝利』観劇レポートをお送りします。

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昨年10月初旬に出かけたが、
公開終了間際でおまけに週末ということもあってか、
すでにシアターN渋谷、スクリーン1の75席はほぼ埋まっていた。

はやる気持ちを抑えて、上映開始前に肝に命じておかなければならないことがあった。
今観る私は、ヒトラーおよびナチスの正体を知っているという
公開当時に観た人たちとは比べ物にならない
大きなアドバンテージをもらっているということだ。

さて、妙な熱気?に包まれて問題作『意志の勝利』がはじまった。
ヒトラーを乗せた小型飛行機が雲の畝を分け入っていく冒頭のシーンは、
戦争特集番組でアーカイブ(歴史記録資料)として
頻繁に使われているからおなじみだ。

飛行機は古都ニュルンベルク上空を旋回し、着陸に備える。
街路に映るその影は、ドイツの国章である鷲を連想させる。

空港に着陸した飛行機から姿を現したヒトラーは、
あたかも巨大な鷲から舞い降りた戦争神のよう。
しかし、この神は近づきがたくはない。

飛行場からホテルまでのパレードでは、
赤ん坊を抱いた若い主婦から花束をもらったり、
宿泊先のホテルの窓から身を乗り出して
詰めかける大衆に手を振ったり、
ロックスターかサッカーのスタープレーヤーみたいで
親近感がわく。

厳めしさと親しみやすさ。

「緊張と弛緩」

これがこの映画のキーワードなのだと気づいた。

このキーワードで映画を眺めつづけると、
レニは緊張のシークエンスと弛緩のシークエンスを
織り交ぜて編集していることがわかった。

緊張のシークエンスでヒトラーのリーダーとしてのカリスマ性を叩きこみ、
弛緩のシークエンスで警戒心をといている。

ユーゲント集会でのヒトラーの力強い演説で頼もしいリーダー像をアピールし、
ユーゲントの野営キャンプで青年たちがふざけながら顔を洗い、
ゲームじみた訓練に興じる光景を挿入して、ほっと安心させる。

興味深いのはヒトラーの演説そのものが
緊張と弛緩でなりたっているということだ。

彼の演説は、特殊な波だ。
断固たる口調でまくし立てたかと思うと、沈黙し再びゆっくりと語りかける。
最初、振幅も波長も小さいのだが、
次第に両方とも大きくなっていき、
最後に振幅が最大になって波頭が崩れ、
砕け波のようなカタルシスを残して終わる。
 
緊張のシーエンスの中で彼の緊張と弛緩の演説は
いわば入れ子構造のような働きをしている。

だから、特殊な波はヒトラーの演説だけでなく、
緊張と弛緩でできているこの作品の全体構造でもあるのだ。

観ている私も、
この波に情緒を揺さぶられ、軽く陶酔しそうになった。
工夫されたカメラワークもその陶酔に拍車をかける。
幸い歴史知識が防波堤となって、この陶酔に陥ることを防いでくれた。

私のまわりの観客は表立った反応はなかったが、
ユーゲント集会でのヒトラーが演説を終え踵を返すシーンで
近くの席の若い女性が顔を輝かせて「すごーい!」と
叫んだのが印象に残っている。

その感嘆はヒトラーの演説そのものに対してなのか、
演説のなかにサブリミナル・カットで青年の笑顔を挿入した
レニのテクニックに対してなのか。
はたまた、もっと他のことに対してなのか
訊いてみたかった。

観終わって軽い高揚感を覚えたことは確かだった。
与えられたアドバンテージを差っ引いて考えると、
もし私がドイツ人でこれを当時に観たならば、
まんまともっていかれたかもしれない。
『意志の勝利』は今もって魔力を秘めた危険な映画だ。

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2010/03/22 06:56 | 映画 | No Comments

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