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2010/03/08


ワールドカップ南アフリカ大会が近付いてきた。
歴代の大会で最も印象に残る大会は?と問われると、
1986年メキシコ大会と即答する人も多いだろう。

アルゼンチン代表のエース、マラドーナ。
伝説となった準々決勝イングランド戦での「神の手ゴール」と
「五人抜きゴール」で世界中を魅了した。
マラドーナのための大会とさえ呼ばれた。

ワールドカップをアルゼンチンに持ち帰ったマラドーナを出迎えに
150万もの群衆が空港から大統領府までの沿道を埋め尽くした。
 

 沿道に出た人には、

単なるひまつぶしや物見遊山の人、

前評判の低さに反する予想外の結果に純粋にうれしくなった人、

その思いの熱さはバラエティに富んでいたことだろう。

しかし、人の海に入るとその温度は高まり、

瞬く間に上昇した心中海面温度は小型のハリケーンを生みだす。

そして思考を吹き飛ばしてゆくのかもしれない。これはスポーツの祭典だから嵐のような非日常の陶酔が、新鮮で微笑ましくもある。私もこのシーンが好きだし、

一体感を感じたいと思う。 

しかし、それを意図して特定の政治家や政治集団にやってしまったらどうだろう。

それからさかのぼること半世紀。

このフリーズ熱狂をヒトラーという類まれなモンスターを使って
映画でやってしまったのが、レニ・リーフェンシュタールだ。

前年に政権を獲得したナチス党は、古都ニュルンベルクで
1934年の9月4日から一週間にわたって開催された
「意志の勝利」と題された党大会を、
新首相ヒトラーのカリスマ性をアピールする意味合いで
プロパガンダ映画としての製作をもくろんだ。

製作をヒトラーから要請されたレニは、
撮影への全面協力と最終編集権を含む作家的自由をヒトラーに確約させ、
メガホンを執った。

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この『意志の勝利』は、ナチスのプロパガンダ映画として悪名高い。
21世紀の現在でもドイツでは一般上映が禁止されているほどだ。

監督のレニ・リーフェンシュタールは、戦後、戦犯として逮捕は免れたが、
事実上、映画界から追放された。

このいわくつきの映画が昨夏69年ぶりに日本で劇場公開され、
私は、吸い寄せられるようにシアターN渋谷へ観にいった。

なぜなら、この映画を高校生のころからずっと観たかったのだ。

ビデオでもDVDでもなく、スクリーンで。

一人でくつろいだ状態ではなく、他の観客に埋もれてワンオブゼムで。

ゼムの反応とワンである自分の心の動きをチェックしたかったのだ。

次回はそのレポートを書いてみたい。

2010/03/08 10:58 | 映画 | No Comments

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