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2010/01/11

すでにおめでたさも……なくらいに薄れつつありますが、
本年もひとつよろしくおねがいします。

限りなく透明に近づいた謹賀な気分を再び濃くするべく、
今回は親父と正月にみた映画の思い出を書きます。
あれは小6の正月だった。
テレビの特番にも飽きて、こたつでグダグダしていた私に
親父が映画に誘った。

「なぬっ?」
うちの親父は休みだろうが片時もじっとしておらず、
釣りにいったり畑に出ている半農半漁な男で、
まさか映画をみるとは、1時間以上坐っていられるとは、
私の脳内メモリーには記憶されていなかった。
私の心臓はビクッと脈打つと体外に飛び出してカラータイマー化しはじめた。

映画に限らず、親父とだけは一緒に出かけたくなかったのだ。
親父はぱっとみた感じ、謹厳実直な勤め人にしかみえない。
しかし、年に一回くらい、
「あれっ」という異次元な空間をクリエイトする
ギンガ系から来た人になってしまうのだ。

ただし、ギンガ系といってもフィーゴやジダンといった
スーパースターの故郷の銀河系ではなく、
おサムい方のギンガ系だ。

どういう構造なのかわからないが、
親父の体内に埋め込まれたギンガ系センサーが反応すると、
光速でギンガに戻り、変身して再び私の前に飛んでくるのだ。

そしてあるときは、
ロケット花火を手に持ったまま点火し、
地面と垂直だった親父の右手は火力に引っ張られて平行移動し、
50メートル離れた生垣にスパークさせ、隣家の犬を半狂乱にさせたり。

またあるときは、
熱を出して寝込んでいるおふくろの姿をみて、
「よし! 漢(おとこ)の料理をつくったる」
と2時間待たせて脂汗を流しながら
「このルー、変やぞ⁉ なんかパン粉みたいなん浮いてくる」
とほんのりチーズの香りを漂わせたカロリーメイト・シチュー鍋を運んできて、
そのファンキーさで部屋の空気を一気に零下に引き下げたり。

油断していると天災のように
ギンガ系軍団の超絶テクニックを披露してくれるのだ。

「ひょっとして」
親父のレアな笑顔をみて、すでに変身してしまったのではと
敏感に天災を予感した私のカラータイマーは黄色く点滅している。

「よっしゃ、きまった!」
上機嫌の親父はしぶる私のことなどお構いなしに
腕をつかむとこたつから引きずり出し、半ば強引に車に乗せた。

続きはまた次回……

2010/01/11 02:41 | 映画 | No Comments

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